男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)

  • 文藝春秋
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レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609345

作品紹介・あらすじ

古代ローマ、あるいはルネサンス。先進的な文明、そして数々の芸術作品を生んだエネルギッシュな時代には、いつも知的好奇心あふれる熱き男たちがいた――。ハドリアヌス、プリニウス、フェデリーコ2世(フリードリヒ2世)、ラファエロ、そしてスティーブ・ジョブズ、安部公房まで。確かな技術と壮大な空想力で時代の一歩先を読み、新たな次元を切り拓いた古今東西のボーダレスな男たちを軸に、『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリが語る想像力の在り処。

感想・レビュー・書評

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  • ヤマザキマリさんの文章は読んでいてとてもスカッとします。

    時間軸を縦に掘り下げる、すなわち歴史を遡って自分に似たタイプの人間を探す…という発想にまずびっくり。
    私の中では「歴史上の人物=偉人」なので、そんな偉大な人と自分が同じタイプかどうかなんて、考えてみたこともなかったのです。
    ヤマザキさんにとって、似たタイプの人は古代ローマの博物学者・プリニウスであり、ルネサンス期の画家・ラファエロなのだそう。
    やはりスケールが違う…!

    イタリア男性の好みの女性は「共犯者になれる人」なのだそう。
    何かやらかしてしまっても、一緒に状況を面白がりながら手を取って飛び込んでくれる人…これって、自分の男性の好みとも同じかも…と気付かされました。

    ヤマザキさんがいい女のお手本として挙げているのが須賀敦子さん。
    穏やかで知的、かつしたたかでチャーミング…ああ、確かにかっこいい。

    『男性論』というタイトルではありますが、「こんな女性でありたい」という私なりのイメージをより明確にしてくれる1冊となりました。

  • ハドリアヌス、プリニウス、ラファエロ、スティーブ・ジョブズ、安部公房…。「テルマエ・ロマエ」の著者が、古今東西、理想の男たちの魅力を語り尽くす。自身の漫画的日常や、女性論、日本論なども収録。

    なかなか興味深い内容でした。

    みんな外へ出よう,元気だそうよ♪

  • 高校を辞めてイタリアへ絵の勉強をするため日本を脱出したマリさん。さまざまな辛酸をなめ、恋愛し結婚し子供を産み一所懸命仕事をし、ユニークな視点をもつマリさん。
    外から見た日本、ほんとのイタリア。
    最近ヤマザキマリさんに心酔する私が、喝を入れられた言葉がこの本にある。
    「置かれた場所で咲かない」
    マリさんは、居心地が悪ければその外に出ればいい、自分にはここしか居場所がないと考えることは自己暗示、一歩外にでれば多様な価値観が認められる広い世界だってある・・・
    忍耐強さが唯一長所だと思っていた自分に、子供のころの自分に、言って聞かせたい言葉だ。
    いま苦しんでいる子どもや大人に(特に子どもたちに)聞かせてあげたい言葉。
    大人はそう簡単にはいかない、それは自分勝手というものでしょ。そんなのわかってます、だけど、自分で自分を縛ることはない。状況をかえることが難しくても、せめて固執した考えからフリーになりたい。
    そんな人にはまず、1日でもいいから、旅をお勧めしたい・・・などと、いろんなことを考えてしまった。旅といってもいろんな旅の方法がある・・

  • テルマエロマエの作者ヤマザキマリさんのエッセイ。タイトルほど男性論は語っていないが、ヤマザキさんのイタリア愛がひしひしと伝わってくる情熱を感じる一冊だった。
    私はヤマザキさんの漫画を読んだこともなければ古代ローマ史の知識も教科書情報がおぼろげに残っている程度だったので、共感が少なくあまり入り込めなかった。

    一方で女性論については激しく同意。ルリ子ちゃんの例えのように、日本人は男性も女性も外見的な美しさに執着せず、成熟美を知るべきだと思う。
    また、調和の美しさというのは初めての観点で、肩に力の入っていないナチュラルな人が特段美人でなくても素敵に見えるのは、この調和によるものなのだと勉強になった。

  • 面白かったです。

  • 自分自身で時間をかけて『辞書』を作り上げて行く。これが人生ですね。
    ヤマザキマリさんの人生観についての本でした。私は彼女ほどしっかりはしていませんが、同じ人生観を持ってます。特に若い人はどんどん外に出て行っていろいろな体験をするべきです。
    今まで当たり前と思ってたことは当たり前ではなくなりますから。
    その時々の体験が自分の辞書の1ページとなり、いつかは分厚い辞書となるでしょう。困った時には、想い出してページをめくってみればヒントが隠されていると思います。

  • ・しかし、この話のポイントは「モテモテでよかったわね」というところにはありません。そうやってルリ子の尻を追いかけ回すイタリアの男たちに、「ほんとはどんな女の子が好き?」と訊ねてみたならば、「共犯者になれるひとがいい」とか、そんな感じの答えが返ってくるはずなのです。
     共犯者、イタリア語では「コンプリチェ」ですが、たとえば自分がいたずらをしでかしたときに「何やってんのよ」と叱るだけでなく、「やっちゃったね」と一緒に乗ってきてくれるひとのことをいいます。なにか自分が新しい局面に立ったとき、背中に隠れているのではなく、一緒に手を取って飛び込んでくれるひとー。つまり真に「理想の女性」は、「お人形さん」では困るのです。

    ・そういった特異な性愛は人間の歴史とともにあるものですから、決して悪いとは思いませんが、ときどきそのファンタジーの方向の単純性には思わず呆れてしまうことがある。なぜなら、その女の”かたち”が意味することとは、「無抵抗なかわいい少女が、こんな俺を受け入れてくれて、発育したママのような身体でなんでもさせてくれればなあ」というものだからではないでしょうか。もちろんファンタジーは誰しも抱くものですが、ちょっとその気弱さに情けなくもなってくる。

    ・そしてもっと問題なのが、そうしたおもに男性側から作り上げられたいびつな美の価値観を内面化して、それにあわせようと躍起になる女性が多いということ。イタリア男にしてみれば、「こんなかっこういい女性を彼女にできる俺どうよ」というベクトルが働くから、女性たちも成熟してゆける。でも、日本の男性にはなかなかそういう感覚がないでしょう?男性が大人になればオートマチックに女性も解放されると思うのですが、多くの日本の女性が「若さ」という指標にとりつかれているように見えるのは、個人の問題のようでいて、じつは構造上の問題です。

    ・古代ギリシャのヘレニズム時代、そして古代ローマ時代に作られたヴィーナス像をみると、女性らしいしなやかさをそなえつつ、どこか力強いという印象を受けます。
     たとえばルーヴル美術館にある「ミロのヴィーナス」。ヘレニズム期の紀元前100年ごろに作られたといわれるこのひじょうに有名な女神像は、神秘的な眼差しをたたえ、なににも媚びていない真の女性の姿を表しているかのようです。女神であるからには、万能な存在です。でもすごく謙虚なたたずまいもある。彫刻家のロダンが、この像に心奪われてしまったことも納得です。
     ミロのヴィーナスに限らず、ヴィーナス像を仔細に眺めていると、普遍的な女性の美とはどういうものか、漠然としながら理解できることがあります。それは、ただの外面的な造作の整いかた、つまり美人か不美人かだけが、美を形づくるものではないということ。ましてや、着るものや髪の手入れの度合いなど関係ありません(そもそもヴィーナス像は、半裸かヌードのものも多いですし)。
     いわば、宇宙的哲学としての「調和」-自然との調和だったり、内面と外面の調和だったり、知と情の調和だったりと、ともかく調和的であることに女性の美は宿るのだなと感じます。そうした調和を無視して、人為的に外面だけをいじくりまくる方が、みっともないと思ってしまうのはわたしだけでしょうか?

  • 不思議な体裁の本。カットアップした様な編集に感じた。編集者との対談を文書化した感覚。第6章が良かった。

  • 男性論というタイトルや惹句に思い込み過ぎた。
    普通のエッセイ。

  • 読後に私もがんばろうと元気がもらえる。著者をひきつける古代ローマの寛容性とダイナミズムと増長性。古代ローマ、何も知らなくて本を読んでみたくなった。題名は男性論だけど、私はいい女論が響いたかな。

    2016.2.21

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著者プロフィール

1967年東京都生まれ。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの美術学校で油絵と美術史などを学ぶ。97年、漫画家としてデビュー。その後、シリア、ポルトガル、アメリカで暮らし、現在はイタリアに在住。2010年、漫画『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)で手塚治虫文化賞短編賞を受賞。漫画作品に『スティーブ・ジョブズ』、『モーレツ! イタリア家族』(共に講談社)、『オリンピア・キュクロス』(集英社)などが、エッセイに『国境のない生き方――私をつくった本と旅』(集英社新書)、『男性論』(文春新書)、『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』(文藝春秋)などがある。

「2020年 『別冊NHK100分de名著 ナショナリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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