売る力 心をつかむ仕事術 (文春新書 939)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609390

作品紹介・あらすじ

「皆が反対することこそ成功する」――40周年を迎えるコンビニ業界トップのセブン-イレブンをはじめグループ総売上高九兆円の巨大流通企業、セブン&アイ・ホールディングスを率いる鈴木敏文さん。本書では秋元康、佐藤可士和、牛窪恵、鎌田由美子、小菅正夫各氏ら異分野の人々の考え方を引きながら、「『お腹がいっぱい』の人に何を食べさせるか」「海辺の店でなぜ、梅おにぎりが大量に売れるのか?」「人は『得』より『損』を大きく感じる」「動物の『絞り込み』で成功した旭山動物園」といった身近な話題を基に独自の経営理念を分かりやすく説いています。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に思い出して読んでみると最高に考え深い本だった。さすが、鈴木会長(もう違うか)。一番刺さったのは、その人のためにではなく、その人の立場に立って考えるということ。当たり前を大事にして新たな視点を持って生きていく。とても大切で難しいことだ。

  • 違う視点を持つことの重要さ。これは大事。

  • みんなに反対されたけど、結果成功しました、という事例がここまであると、おそれいります。(コンビニそのもの、おにぎり・弁当、セブン銀行、金の食パン、などなど。)カリスマ経営者ってすごいんだなと素直に思う。

  • <どんな本?一言で紹介>
    「セブン&アイ・ホールディングス」のトップ・鈴木敏文氏がおくる、ヒット商品やロングセラーを出し続ける戦略。

    <どんな人におすすめ?>
    商品開発やサービス提供に関わっている人。
    お客さんの心に響く、接客・セールス・モノづくりをしたい人。
    一流の人から、ヒット商品やサービスを連発するための考え方を学びたい人。

    <読んだら、どんなことが分かるの?>
    「セブンプレミアム」をはじめとしたさまざまな事例から、ヒット商品やロングセラー商品を作り続けるための考え方。

    ・「本気」の人にチャンスはやってくる
    ・どんな高級料理も三日続けて食べれば、お茶漬けが食べたくなる

    ・「伝わらない」のは「存在しない」のと同じ
    ・コークもスーパードライも日本一の理由

    ・経営者が陥る「成功の復讐」とは
    ・大ヒット「金の麺」開発の秘話

    ・チャンスのために用意する「三枚のカード」

    <日々の生活、仕事などに活かせるポイント>
    1.「当たり前」をつづけて「非凡化」する

    セブン-イレブンの全店平均日販は約67万円と、他の大手チェーンと12~20万円の開きがある。それは、一つ一つの地道な努力の積み重ねによる非凡化の成果にほかならない。だから簡単に差が縮まらないのだ。

    たとえば、「赤飯おこわおむすび」製造のため全国の工場に製品専用の蒸す設備を設置したり、焼きたてのパンを提供するため店舗の近くに専用パン工場をゼロから立ち上げたりしている。

    そうすることがお客様にとって「当たり前」であり、「あるべき姿」だったから。こうした「当たり前」のことを徹底して実行し、積み重ねていくと、あるとき爆発点に達し「非凡化」する。「非凡化」することで、大きな成果に結びつく。

    2.お客様の「6割」より「4割」に目を向けるべし
    「セブンプレミアム」がヒットしたのは、競合相手がまだ進出していない「上質さ」と「手軽さ」の空白地帯を見つけたからだ。

    「手軽さ」という、参入が容易で誰もが狙う6割のお客様に目を奪われず、「上質さ」という空白地帯にいる4割のお客様のニーズに確実に応えることで大きな成果を得る。市場の大小に目を奪われるか、自己差別化で勝ち残る道を見いだすかの違いがここにある。

    3.「お客様のために」はウソ、「お客様の立場で」が正しい
    鈴木氏の「視点」の基本は、常に「お客様の立場で」考えること。
    例えば、ヨーカ堂では年末おせち用の黒豆を売る際、以前は量を多めにした「パック詰め」を割安で売っていたが、売り上げが芳しくなかった。そこで「量り売り」に変えた途端、売上は何倍にも伸びたそうだ。

    「パック売り」は「まとめて安く売れば、お買い得感をもってもらえる」という発想。いまは少子高齢化が進み、一世帯あたりの人数がどんどん減っている。買い手側から見ると「必要以上に買わされる」という感じられ、ニーズからかけ離れていたのだ。

    この事例は「お客様の立場で」考えるために、自分の過去の経験をいったん否定しなければならないことを示している。

    また、「お客様のために」と考えたときの問題点は、「お客様のために」といいながら、自分たちのできる範囲内や、いまある仕組みの範囲内で考え、行っているにすぎないケースが多いことだ。
    「お客様の立場で」考えるときは、自分たちに不都合なことでも実行しなくてはならない。

    売り手の都合の範囲内で「一生懸命やる」のと、お客様の都合に合わせて「正しいことをやる」のとではまったく意味が違う。

    <感想>
    一冊でかなりのお得感。事例のあるのでイメージしやすい。
    私は「赤飯おこわおむすび」のコアユーザーだが、「一品のためだけに全国の工場に機器をつけるなんて、非効率?」「資本があるからできるんでしょ」って感じてしまうところが、「本気で物事に取り組んでないんだな」って改めて感じた。反省。

  • 鈴木敏文さんは真に尊敬する経営者です。久しぶりの自著なので楽しみに読みました。「手軽」&「上質」というコンセプトに志の高さを感じますね。想像を超えて間口の広がったコンビニですが、現場を支えるのはバイトです。技能や質を維持し高めるノウハウが基本なので、このあたりはもっと知りたいですね。共感・賛同する人物や組織のエピソードを載せておられますが、私には要らない部分でした。それにしても、御歳81歳という所に、「セブン」への一抹の不安を感じます。

  • キーワードはたくさんあったが、
    「お客様の立場で考える」という言葉が印象的。
    「お客様のために」は売り手の都合や押し付けになるので、「お客様の立場で」ということを筆者=社長は意識している。
    だから、ATMを置いたし、質の良いPBを相応の値段で売る。
    できない(ATMは投資回収出来ない)とか、失敗する(PBは安いから評価されている)とか、それは売り手の立場や都合で言っていることが多い。
    この本の良い点は、セブンイレブンの話だけではないこと。青山フラワーマーケットや幻冬舎、フランフランの事例を取り上げつつ、自身の体験を語る。飽きないし、説得力が増す。
    まさに読みての立場で書かれている。

  • セブン-イレブン・ジャパンの代表である鈴木敏文さんの仕事感

  • セブンアイホールディングスのトップ、鈴木敏文氏の最新刊。

    日経新聞の広告を見て衝動買いしました。
    その広告には著者が周囲の猛反対を受けながらも立ち上げた新たな事業が羅列されていました。

    ・株式上場
    ・セブンイレブンの創業
    ・コンビニでの弁当おにぎりの販売
    ・消費税還元セール
    ・セブン銀行の設立
    ・PB商品の開発

    などなど。

    これらのすべての事業は周囲の反対とは裏腹に全て大成功を収めたのは言うまでもありません。

    著者はなぜこれらの事業に着目でき、そして実行できたか本著には詳しく書かれています。

    あっというまに通読し、ファンになってしまいました。
    思わずアマゾンで著者の作品をほぼ全て注文。

    これからじっくりと著者の哲学に迫っていきたいと思います。

  • 1時間ちょっとで読了。事例が物凄く新しくてビックリした。今年の夏頃に書いたんじゃないかな。

  • 一橋大MBAの楠木教授がレビューを書くとのことなので、アマゾンで探してみたらすでに「出品者から購入できます」となっており、早くも絶版かと慌てて近所の丸善で購入。
    先般読んだ『鈴木敏文の「統計心理学」―「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む』の内容ともかぶる部分もあるが、今回は鈴木会長ご本人の著作ということで視点が違って楽しむことができた。
    本書の基本構成は同社が発行している『四季報』での鈴木氏と各界の著名人との対談をベースにできている。
    ●第1章
    「手軽さ」と「上質さ」の2軸を大事に考える。必ずしも「手軽さ」だけが求められているわけではない。

    ●第2章
    「お客様のために」ではなく「お客様の立場」で考えることが肝要。

    ●第3章
    客をきちんと理解すること。機会ロスをなくす。
    ネットとリアルの融合「オムニチャネル」。

    ●第4章
    本気の人間にはチャンスがやってくる。目先の利益ではなくその先の利益をきちんととらえる。

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著者プロフィール

鈴木敏文(すずき・としふみ)
セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO。
1932年、長野県生まれ。1956年、中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手の東京出版販売(現・トーハン)に入社。1963年、ヨーカ堂(現・イトーヨーカ堂)へ移る。1973年、セブン‐イレブン・ジャパンを設立し、コンビニエンスストアを全国に広め、日本一の流通グループとして今日まで流通業界を牽引。2003年、勲一等瑞宝章を受章。同年11月、中央大学名誉博士学位授与。経団連副会長、中央大学理事長などを歴任。
著書には『朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言』(新潮文庫)、『売る力―心をつかむ仕事術』(文春新書)、『挑戦 我がロマン』 (日経ビジネス人文庫) ほかがある。

「2016年 『働く力を君に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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