アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く世界経済 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609482

作品紹介・あらすじ

経団連をはじめとする輸出産業は、なぜ消費税の増税を喜ぶのでしょうか。例えば日本製品を米国に輸出する場合、輸出企業は、消費税に当たる金額を輸出還付金として日本政府から受け取ることができます。これが非関税障壁となり、日本企業の競争力を増すことになるのです。米国は、過去にも日本の消費税に対して以下のような報復を行なってきました。1989年 消費税導入→日米構造協議、1994年 消費税増税法案可決→年次改革要望書、1997年 消費税増税→金融ビッグバン、2010年 消費税10%案→日米経済調和対話、2012年 増税法案可決→TPP協議本格化……。では、今年と来年の増税には、どのような報復を画策しているのでしょうか。「消費税」をはじめとして「TPP」「規制緩和」「為替」等の諸問題は、日米交渉の歴史という観点から見ると一つの道筋で繋がっていることが分かります。現地で渉猟した米公文書館の資料をもとに解説する「誰も書かなかった日米経済戦争の真相」、著者の集大成となる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・文春のメルマガ。

    【期待したもの】
    ・タイトルが理解できなかったので。何で日本の消費税をアメリカが嫌がるのか。

    【要約】


    【ノート】
    ・ニーモシネ

    ・消費税はつまり間接税。日本やヨーロッパはこれだけど、アメリカでは直接税のみ。しかも法人税減税とセットになることが多く、これはアメリカにとっては大いなる非関税障壁。


    ・さらに、何とかって制度で、輸出した製品については還付金が交付される。これは二重課税にならないようということらしいのだが、これにより、間接税を採用していないアメリカからすれば間接税は障壁になるということ。

    ・第1章しか読めてない。

  • 【米国は消費税に対していかなる報復に出るのか】消費税、TPP、量的緩和、為替……。これらの諸問題は日米間の通商政策の歴史から見ると一つの道筋で繋がっていることが分かる。

  • 消費税引き上げ時にはアメリカの報復という点は面白いが、仕入れ税額控除の仕組みから生じる輸出免税の還付を、輸出還付金と表記しているあたりチョット疑問を感じる。下請け業者に支払った金額に消費税が含まれているとみなされ?実際に余分に払っているし、還付額は、その下請け以下最初に携わった企業らの納める消費税額とほぼイコール、つまり国としては収支は0、輸出業者は得しません。あたかも大企業には別途交付金があるかのような記載に感じます。201402

  • アベノミクスは海外で評価されているという報道を耳にしていたので、当然アメリカは、消費税増税も支持していると思っていました。

    アメリカから見て、消費税の増税というのは許せない政策である、ということが、この本の著者である岩本女史によって解説されています。

    消費税増税が予定通り実施された場合には、TPPをはじめとする報復にでるであろうことを、今までの報復の歴史(規制緩和、為替など)を引き合いにして述べられています。

    消費税が2段階で10%にまで上がるかどうかは現時点では不明ですが、今後の消費税の税率と、アメリカ等の動きに注意を払っていきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・国民所得が上がらない中で、物価上昇率目標2%だけを推進すればこれは不景気下の物価上昇であるスタグフレーションとなり、一般国民にとっては最悪のシナリオとなる(p27)

    ・付加価値税、消費税は今や世界の約140カ国で採用されている税制度であるが、その中に米国は含まれていない(p37)

    ・間接税は、仕向地原則のもとでは、輸入品には輸入国の付加価値税が課税、輸出品には輸出した国から還付金がもれなく渡されることになっている(p43)

    ・海外から米国へと輸出されている製品に対しては、原産地で課税免除されるために還付金が与えられる(p44)

    ・日本国内では、消費税増税は社会保障費の捻出、財政再建のためと宣伝されているが、むしろ国際的な通商問題である非関税障壁として消費税の存在が大きい(p49)

    ・輸出還付金で渡されている2.5兆円も含め、合計12.5兆円が本来の消費税収のはずが、全体の4分の1が大企業に還付されている(p50)

    ・付加価値税に還付金を付けることを米国が軽率に認めてしまったことが、後になって大変深刻な取り返しのつかないミスになったとされている(p71)

    ・消費税に代表される輸出品への還付金付きの間接税引き上げと、法人税の引き上げがセットにされるようなら、報復措置を取ると米国は言明している(p82)

    ・TPPを一言で言えば、各国の関税引き下げを目論んだ試みである(p105)

    ・大店法の改正で漁夫の利を得たのは、日本の大規模小売業であった、海外資本は繊細な要望への対応は無理があった(p115)

    ・消費税導入あるいは引き上げ、見送りの時期と、日米通商交渉の歴史はまるっきり重なっている(p119)

    ・ISD条項に絡む提訴の最たる例として、取り上げれられるのがカナダ、米国とカナダはNAFTAを結んだ際にISD条項を付随させた結果、エチルという企業によってカナダ政府が国際仲裁所に提訴されたことがあった。オクタンを精製する際に使用されれる添加物MMTを有毒物質と考えている政府が規制、それを輸出できないエチルが提訴した(p124)

    ・ニクソンショックにおいて、10%の輸入課徴金の賦課がされたが、為替レートが修正されれば、撤回することも示されていた。実際には1971年12月のスミソニアン協定でレートが308円と設定された時点で、課徴金が終了となった(p173)

    ・1ドル=360円となった背景は、昭和9-24年までの卸売物価の上昇が、日本209倍に対して、米国は2倍、2国の比である104.5倍を、昭和9-11年の対米レート:3.45円にかけると、360円となる。ただし、3.45円が大幅な割安レートであった(p185)

    ・輸出還付金が大企業に留まっているわけではなく、下請け企業をはじめ支払いはきちんとされているといわれるが、価格として埋没してしまうか不明(p235)

    2014年2月8日作成

  • 著者の研究により、消費税と為替が通商問題で繋がっている事を見いだし、そのその内容を章を追うごとに読み解いている。
    背景には膨大なデーター及び公文書があり、正に岩本沙弓の渾身の1冊だと思う。
    著者の本を全冊読んでいるが、その中でも難しさは一番か…。
    内容がいいから誰にでも薦めたいが、この難しさは相手を選んでしまうなあ。弱者の為の内容なのに、そこがジレンマですね。
    暫く筆をおくそうだが、私は岩本沙弓の復活を待ってます!

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著者プロフィール

大阪経済大学経営学部客員教授。91年より外資金融機関にて外国為替を中心にトレーディング業務に従事。金融専門誌『ユーロマネー』誌で為替予想部門の優秀ディーラーに選出。為替のプロとして、いま大注目の経済評論家。『新・マネー敗戦』『世界のお金は日本を目指す』など著書多数。

「2013年 『経済は「お金の流れ」でよくわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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