詐欺の帝王 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 334
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609611

作品紹介・あらすじ

溝口敦氏といえば、泣く子も黙る極道取材の第一人者。その溝口氏が、裏社会について取材を進めるうち、つい四年前まで詐欺業界の周辺で「オレオレ詐欺の帝王」といわれていた本藤彰(仮名)なる人物と出会いました。 本藤は、名門私大に在学中からイベントサークルがらみのビジネスで金儲けのコツをつかみ、集団レイプ事件を起こした早大スーパー・フリーの主宰者・和田真一郎のケツモチ的存在でもありました。卒業後、一度は大手広告会社につとめますが、退社して闇金融を開業したのを契機に、詐欺の世界で名を轟かせはじめます。 オレオレ詐欺の草創期に荒稼ぎしただけではなく、ワンクリック詐欺、未公開株詐欺、社債詐欺、そしてイラク・ディナール詐欺と、彼が率いるグループの業務は、〝詐欺のデパート〟といっていいほど多岐にわたっていました。 そんな「帝王」が「罪滅ぼしの気持ち」もあって、溝口氏に〝シノギ〟の実態を赤裸々に語ったのです。 詐欺師たちはいかなる手口を使い、どんな人間を嵌めるのか? なぜ被害者が後を絶たないのか?――現代日本の〝闇〟を暴く力作です。

感想・レビュー・書評

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  • 想像以上に動いている金額が大きい。そしてその闇は深い。

    悪い奴ほど合理的とも言われているが、本書に登場する主人公はその典型例と言える。戦略的思考に長けているので、表社会でも十分に成功したであろう。
    しかし、学生時代に楽してお金儲けをする術を身につけてしまったので、表社会には魅力的なポジションを見つけられなかったのだろう。

    それにしてもシステム詐欺は怖い。人間の欲が詐欺に遭う原因だと思うが、そこを巧みに突いてくる詐欺師たちは、後を絶たないだろう。

    家庭教育、学校教育をしっかりと立て直して、その様な犯罪に手を染める若者が安易に育たない社会にしていかなければ、安心して歳を取れない。

  • 特殊詐欺の元締めへインタビューしたという触れ込みだったので興味を持って読んでみました。食肉の帝王を書いた著者なので期待して読みましたが、いささか拍子抜けする感じでした。

    元締めへのインタビューはそこそこに、特殊詐欺周りの状況が書いてある。また、著者お得意の暴力団の代替わりなどが書いてある。そんな本です。

    特殊詐欺は闇金融の発展形である、という事実は率直に驚きましたが、それ以外の事項については、正直に言ってあまり新たな知見があったとは言えませんでした。

  • 吉本芸人の「闇営業」が注目されています。
    昨日は、問題の渦中にいる「雨上がり決死隊」の宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が記者会見して、世間の耳目を集めました。
    ただ、問題の本質はどう考えても特殊詐欺グループだと思います。
    連中のような反社会的勢力をいかに排除するかが問われています。
    ただ、特殊詐欺グループがどのようなグループなのか分からなければ、排除も何もありません。
    というわけで、暴力団などの反社会的勢力について書かせたら右に出る者はいない溝口敦さんが著した「詐欺の帝王」。
    発刊が2014年とやや古く、新手の特殊詐欺についてはフォローできていない懸念はありますが、特殊詐欺グループの思考形態や行動様式はほとんど変わっていないでしょう。
    結論から言うと、こんな連中に眼を付けられたら、素人ではとても太刀打ちできないということ。
    誤解を恐れずに言うと、彼らは本当に頭がキレる。
    本書の「主役」は、かつて「オレオレ詐欺の帝王」と呼ばれた本藤彰(仮名)。
    大学のイベントサークルの代表として頭角を現し、大手広告代理店(D通?)に就職するも、左遷に遭って犯罪に手を染めるようになりました。
    その手練手管のすさまじいこと。
    本物のヤクザさえも抑え込んでしまうのですから恐れ入ります。
    勉強不足で、「かぶせ」という連中の手法も本書で初めて知りました。
    一度何かの詐欺に引っ掛かった被害者を何度も狙い、骨の髄までしゃぶり尽くす。
    本藤はこう話します。
    「300万円振り込むということは、3000万円は貯金があるということです。この残りを根こそぎ搾り取った方が(片っ端から電話を掛けるより)効率的なわけです」(カッコ内引用者註)
    悪党です。
    ここで、「私は詐欺に引っ掛かったことがないから大丈夫」とホッとしたあなた(私も)。
    安心してはいけません。
    プロスペクト理論によれば、人は利益を目の前にすると、利益が手に入らないリスクを回避したがる傾向があります。
    この傾向から自由になるのは、なかなか難しい。
    つまり、私を含め誰もが「特殊詐欺被害者予備軍」と言えるのです。
    では、どうすればいいのでしょうか。
    まずは官憲に、さらに対策を強化していただく以外にない。
    売れっ子芸人の宮迫や田村らを招いて大パーティーを開いていた例からも分かる通り、特殊詐欺グループは派手に散在するのが好きです(これは単に好きだという理由のほかに、銀行口座に入金できないなどでカネの使い道の選択肢が乏しいこともあるようです)。
    そこに目をつけ、官憲は派手な金の使い方に注目し、特殊詐欺グループを徹底的に取り締まっていくのです。
    もっとも、特殊詐欺グループが散在するようなキャバクラなどの店長や黒服は「たとえお客が犯罪者であっても、うちの店に大金を落としてくれる太い客が大事だ」と考えるため、なかなか協力を得るのは難しいと著者は指摘します。
    では一体、どうすれば?
    庶民の私としては、今まで同様、身の丈に合った生活をしながら、少しでも勉強して自己防衛を図るほかないと思うのです。
    詐欺に遭いたくない方はどうぞ。

  • 後味の悪さだけが残った本。イベサー(イベントサークル)の意味もよくわからなかったが、頭がよく、行動力、リーダーシップを持った人間が道を誤ることもよくあるということか。
    この本は騙される側の立場ではなく、騙す側の社会的背景を語っている。

  • 鈴木大介の本とはなんかだいぶ違う感じ
    あっちは、人に着目している感じだが、
    こっちは実際の事件とかと関連させて述べている感じ
    個人として扱ってはおらず、
    一つの事象として扱って、
    それをベースに話を進めている感じ
    両方読む価値はあると思う
    単純に本の面白さで言ったら、
    鈴木大介のが面白かったかな

  • 2015.06.14 日刊SPAより

  • 「暴力団」の溝口敦氏によるオレオレ詐欺の背景。イベントサークル→広告代理店→ヤミ金融→詐欺とキャリアを積み重ね(?)逮捕されずに引退した人物のインタビューと取材をベースに現代詐欺事情を解き明かす。人の欲につけ込み常に変化するルールの抜け穴をついて詐欺を行うことを高度にシステム、そしてこの人物を逮捕できない日本社会。防衛のための一冊。

  • 本当に工藤氏本人に取材をしたのか怪しいと思う/ ページの大部分は無関係な周辺情報で、まるでちょっとだけ伝聞で聞いた内容をさも取材したかのように書いている印象を受ける/ ネット上で、これは某指名手配氏が国内向けのメッセージとして書かせたんじゃないかという意見があったが、さもありなん/ なにか意図がないとここまで中身のないものを出版するだろうか/ それと自分の知っている範囲で明らかにおかしい記述なども有り、そこまで信用できない読み物だ、と個人的には思う/ ネットの引用も多い/ 

  • 興味があったので。
    よく勤務先に不動産投資とかで電話かけてくる輩もまぁ同じだよなと思ったり。断ってるのにしつこく食い下がり、時には逆ギレして何とかして会おうとする。会ったら軟禁で契約。
    新入社員研修とかアンケートを装って個人情報(名刺)を求めてくるのも同じ。本人の同意なく第三者に個人情報を提供する名簿業者も一翼を担ってる(…と、本書とは関係ないけど)。
    サクッと読めた。内容も興味深い。ただ、途中に(前置きとして書かれてはいるものの)脱線気味でまとまっていないように感じられる箇所も。飛び飛びで、登場人物(仮名やアルファベットなど)にややこしさを覚えたり。構成がなーという印象でした。

  • 2017/07/08読了。

    090金融や、オレオレ詐欺等を手掛けた本藤氏との対話をまとめた本である。

    全体を通して、本藤という人間は大変に頭が良く、人の扱いやチームビルディングのスキルがある。言葉の端々にいかに人を使うか、いかに強固なチームを作るか、何を許容し、何を許さないかの記述をしている。

    ただ、そういった手段で手に入れたお金は使い道が限られる点は問題としてある。やはり、まともな仕事でそのスキルを発揮すべきではないか。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。ジャーナリスト。1942年、東京都に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、フリーに。著書には『暴力団』(新潮新書)、『血と抗争 山口組三代目』『山口組四代目 荒らぶる獅子』『武闘派 三代目山口組若頭』『ドキュメント 五代目山口組』『山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント2008~2015』などの山口組ドキュメントシリーズ、『食肉の帝王』(以上、講談社+α文庫)、『詐欺の帝王』(文春新書)、『パチンコ30兆円の闇』などがある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。

「2018年 『山口組三国志 織田絆誠という男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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