グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

  • 文藝春秋
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レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609741

作品紹介・あらすじ

国内外の気鋭の論者が徹底討論世界的なデフレ不況下での自由貿易と規制緩和は、解決策となるどころか、経済危機をさらに悪化させるだけであることを明らかにする!

感想・レビュー・書評

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  • 各国が新自由主義を推し進めたのと同時期に格差拡大、成長の鈍化が起きたので、リベラル、グローバリズムはダメなのです、というような論が何度も繰り返されており、まともに双方の因果関係を論証しようとしているのがトッドのみ。学術書ではなく、タイトルの主張がすでに既成概念として存在していて、そこに対する批判を交えずに議論をまとめたような印象を覚える書。エビデンスに乏しい話と、あまり意味を成さない例え話(経済には統治が必要なのだ、という話を、交通ルールを撤廃したら道路はぐちゃぐちゃになりますよね?という話で語るのはギャグで言ってるのか不安になるレベル)ばかりであり、よろしいものではない。

    本書が2014年に発売され、その2年後にBrexitとトランプ大統領の誕生があったのは偶然ではない、だからこそ手を取ったのだが、肝心の中身がこれではちょっと。

  • 現在の行き過ぎた(と個人的には思っている)グローバリズム、自由主義経済については懸念を感じている。という意味では自分は保守なんだと思う。一方で、本書にも書かれている通り、本来反対すべきグローバリズムを今の保守派が進めているのは、やっぱり謎。
    言葉の響きで単純に「よいもの」と思い込んでいるわけではないだろうし、必ずしも個人(および企業)が自己の利益のためのみに利用しているだけだもなさそうな。そんな謎に対する1つの考えも述べられています。
    個人主義、民主主義の行き過ぎ、識字率、劣化(本書ではエリート・指導層の劣化とあったが、国民全体の劣化ともいえるのではないか?)といったいろんな要素を絡めて考えていく必要があるようで。個人的にもちょっと今後も考えていきたいテーマ。

  • グローバリズム批判の本。

  • <blockquote>「グローバル資本主義に酔って経済は成長する」とシンジられてきましたが、実際のデータを客観的に眺めてみれば、真実はまったく逆であって、「グローバリズムは成長を鈍化させる」のです。(P.22)</blockquote>
    帰省なき自由貿易を推進することで、経済が過度に複雑になって不安定になった。一定のルールに酔って経済のあり方をある枠内にとどめ、安定化を図ってきた歯止めが失われ、不安定性がコストになってしまった。その最たるものがリーマン・ショック。

    エリートの失墜、ノーブレス・オブリージュが失われたことが新自由主義に結実し、新自由主義の元グローバリズムが世界を滅ぼす?

    「世界を滅ぼす」かはともかく資本主義に至るまでの社会の流れを止めるないし変えてしまったのは事実だろうなぁ。かといって資本主義的価値観が完全になくなったわけではないというところとの齟齬がいまの歪みなのではないか?

  • 2014年刊行。
    著者(対談者含む)エマニュエル・トッドはフランス歴史人口学者・家族人類学者。同ハジュン・チャンはケンブリッジ大学経済学部准教授(開発経済学)。同柴山桂太滋賀大学経済学部准教授(経済思想・現代社会論)。同中野剛志は元京都大学大学院准教授。同藤井聡は京都大学大学院教授(公共政策関連の実践的人文社会科学)。同堀茂樹は慶應義塾大学総合政策学部教授(仏文学・哲学)。


     タイトルどおり、反グローバリズムの論客が対談、あるいは小論形式で当該テーマについて叙述。納得する部分もあるものの、正直新味はない。またあまり紹介すべきところもない。
     また、対談と小論だけなので、緻密とは言いがたいし、情報の漏れ落ちの危惧もないではない。

     他方で、グローバリズムのカウンターがナショナリズムというところで、(理解は出来るが)ややげんなり。他には無いのかなあ…と思いつつ、いわゆる新自由主義経済学的手法を採用している国の多くの場合、経済成長率がさほど高くないことは記憶に止めておくべかも。
     なお、非グローバリズムの中国は良いのだが、ここで気になるのはアメリカ。一定程度経済成長をしている彼の国については、どう見たらいいのかな?。

  • 表紙の写真で分かるように、エマニュエル・トッドが表看板の本だが、彼が語る場面は、他の著者よりそう多いわけではない。

    グローバリズムが経済的繁栄をもたらすという理論は、じつは根拠がなく、逆に世界に不公平と混乱をもたらす元凶であることを、座談会およびそれぞれの論文でわかりやすく説いた本。

  • エマニュエル・トッド氏の新書を何冊か買い、その一冊目として読んだ。
    読み始めてすぐに、対談ではなく本人の単著を読めば良かったと後悔した。
    「エリートの大劣化」「あいつらは何もわかってない」「金持ちが儲けるために規制を操っている」など、ヘイトスピーチや陰謀論に近いような、質の低い議論が展開されているように感じたからである。(特にそうした物言いが顕著なのが中野氏)

    そうしたなかでも、やはりトッド氏単独の部分では、新たな視点を得ることができた。
    それは、教育の高度化が格差の存在を当然視することに繋がるという指摘である。
    著しい教育上の格差を誰もが(特に子をもつ親が)強く認識しており、そこに不平等の潜在意識が表れている、という指摘は実感を伴って理解できた。

    私はこれまで、エリート教育を強化することは社会の発展に必要であると考えていたが、世界でも特に極端なエリート教育の国、フランスのエリートであるトッド氏の指摘は、そうした考えを見直すきっかけになりそうだ。
    そうした視点からも、さらに同氏の著作を読みながら、考えを深めていきたい。

  • 第Ⅰ部 グローバリズムが世界を滅ぼす
    第Ⅱ部 グローバル資本主義を超えて
    トータリズム(全体主義)としてのグローバリズム 藤井聡
    新自由主義の失敗と資本主義の未来 H-J・チャン
    歴史は繰り返す? 第二次グローバル化の未来 柴山桂太
    国家の多様性とグローバリゼーションの危機 社会人類学的視点から E・トッド
    新自由主義と保守主義 中野剛志
    第Ⅲ部 自由貿易とエリートの劣化

  • グローバリズムにより貧富の差は広がり格差社会がひずみをもたらす。保護主義を推奨する。
    必ず毎年利益を出し、年々GDPが上がっていくこと前提の経済の考え方に息苦しさを感じる点で、納得できるところが多い。

    が、グローバル化を止めてしまって、代わりに経済を発展することができるのか?というところに答えは見つからない。その思考自体が間違っているということなのだろうが。

  • エマニュエル・ドット氏と日韓の論客がグローバル資本主義のの行方を語ります。バブルとその崩壊を繰り返し、大企業によるの寡占化、短期利益を求めての目先のパイの奪い合い、株主はクリックひとつでやめられるが従業員はそうはいかない、国家という枠内でのガバナンスの欠如などの問題を洗い出し、それでもネオリベラリズムを支持するのはエリートが内向きな小さなグループに閉じこもって統治を放棄していると糾弾。
    一般人もそれで良しとしてしまうのは、子供の頃貧しかった高齢者が今を豊かだと感じていることに加えて、ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」を挙げて論じている。
    2014年6月発売の本書ですが、ドット氏の「新自由主義と結びついたことで保守は死んだ。米国人は自由貿易や市場を信用してない。」との発言は本来の保守復権のトランプ大統領を予言しているようです。もっとも、トランプ氏の側近は氏の発言とは裏腹に生粋のリバタリアンばかりとの話もあるようですが。。。

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著者プロフィール

1951年生。歴史人口学者・家族人類学者。フランス国立人口統計学研究所(INED)に所属。家族制度研究の第一人者ラスレットの指導で、76年に博士論文『工業化以前のヨーロッパの7つの農民共同体』を提出。同年、『最後の転落』で、弱冠25歳にして乳児死亡率の上昇を論拠に旧ソ連の崩壊を断言。その後の『第三惑星』と『世界の幼少期』(99年に『世界の多様性』として合本化)において、各地域における「家族構造」と「社会の上部構造(政治・経済・文化)」の連関を示す全く新しい歴史観と世界像を提示。『新ヨーロッパ大全』I、II(1990)では多様性に満ちた新しいヨーロッパ像を提示。対イラク戦争開始前の2002年に発表された『帝国以後〔アメリカ・システムの崩壊〕』ではアメリカの衰退、とりわけ経済力の衰退を指摘。

「2019年 『ユーロ病と日本病』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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