- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166609741
感想・レビュー・書評
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グローバリズム批判の本。
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表紙の写真で分かるように、エマニュエル・トッドが表看板の本だが、彼が語る場面は、他の著者よりそう多いわけではない。
グローバリズムが経済的繁栄をもたらすという理論は、じつは根拠がなく、逆に世界に不公平と混乱をもたらす元凶であることを、座談会およびそれぞれの論文でわかりやすく説いた本。 -
「グローバル資本主義によって経済は成長する」と信じられてきましたが、実際のデータを客観的に眺めてみれば、真実はまったく逆であって、「グローバリズムは成長を鈍化させる」
グローバル資本主義を推し進める人々は、ビジネスに自由さえ与えれば富も雇用も創出され、最大限の成長があると信じてきた
アメリカにしても日本にしても「国による産業保護」という規制が成長を生ん
アメリカが、実は世界で最も強力な産業政策を行っているのです。インターネットにせよ、半導体にせよ、航空機にせよ、研究開発を支援したのは国防総省や軍などの政府機関
グローバリズムは国境を前提にしないものであって、国境が存在することを前提とした上で、異なる国家同士の交流を図ろうとするインターナショナリズム(国際主義)とは真逆の概念です。両者は、一見似ているように思われることがありますが、まったく異なる概念
今日の先進国は、自国経済を発展させるにあたって、未成熟産業を育成する、さまざまな手段を使ってきました。関税、補助金、国営企業といった方法です。これによって若い産業の生産者を外部との激しい競争から守ったのです。ここ数十年、こういった政策を途上国は採用しにくくなっています。
今は一株当たり一票ですが、たとえば三年以上にわたって株式を保有している安定株主には、三倍の議決権
グローバル化は人類の歴史で何度も繰り返されてきた
一八七〇年代から、一九一四年の第一次世界大戦までの期間を「第一次グローバリゼーション
第一次グローバル化の時代は、人の移動については現在よりも盛んでした。特に、ヨーロッパ大陸から大西洋を越えて南北アメリカ大陸に向かう移民の波が大きかった。オーストラリアやニュージーランドも、この時期に人口を急速に増やしています。
一九五〇年代から七〇年代までのブレトンウッズ期には、どの国でも格差が縮小
自由貿易はよく賞賛されます。しかし、その「自由」とは誰にとっての自由なのでしょうか。端的にいえば、国境を越えて活動する投資家や企業にとっての自由
なぜグローバル化への批判が「一〇〇%貿易をしない国」の主張を意味するのでしょうか。要は程度の問題
だんだんと賃金を純粋なコストと見なすようになります。賃金は内需に貢献する要素であることをやめてしまいます。それは純粋なコストになり、すると企業は、賃金コストの削減の論理に入っていきます。
歴史において非常にはっきりとしていることがありまして、それは、住民が読み書きできるようになると経済が発展し始めるということです。
世界のすべての人が読み書きできるようになっていくという人類史上、極めて特別な時期に到達したのです。
労働者も消費者なのだから、という前提です。労働者も皆と同じように国民の一部分を成していたわけです。
「自由貿易」という強迫観念
しかし、(日本を含めて)私が最前列国と呼ぶ国々は、現代の姿を定め、新しい資本主義や経済組織の新しい形を発明していますが、成長率は一%、二%で、最大でも二・五%
米国とイギリスは共に、グローバリゼーションの主な担い手であり、規制緩和の担い手
自由貿易のイデオロギーは、普遍主義的であろうとするイデオロギーであり、地球全体に同じものを求めます。
保守と新自由主義では人間観が違う。主流派の経済学が想定するのは、原子論的な孤立した個人です。それに対し保守は、自分の生まれた国や共同体がもつ固有の生活様式や文化、国土や環境といったものに制約された社会的存在(Social Being)として人間を