石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609918

作品紹介・あらすじ

HONZ成毛眞氏 大絶賛!エネルギーがわかれば世界が見える。安全保障、世界経済、ナショナリズム、環境問題、新技術と、あらゆる問題に絡むエネルギーの基礎知識をこの一冊で。第1章 日本の輸入ガスはなぜ高いか?第2章 進化するシェール革命第3章 「埋蔵量」のナゾ第4章 戦略物資から商品へ第5章 もう一度エネルギー問題を考える第6章 日本のエネルギー政策

感想・レビュー・書評

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  • ☆著者は商社でエネルギー関連業務に従事。
    ☆金曜懇話会の代表世話人(新興国・エネルギー関連の勉強会)

  • 石油価格はどう決まるのか?要するに「今や世界のどこでも調達できる市況製品」なのか、「地政学リスクにさらされた戦略商品」なのか、という点について、著者の結論は「基本的には市況製品。その気になればどこからでも買えばいい。ただし、戦争など一朝ことあれば戦略商品としての性質も出てくる」ということ。

    あと個人的には長らく腹落ちしていなかった「シェールガスってなんであんなに価格弾力性が高いんだろう?」(ちょっと石油価格は上がれば開発が一気に加速し、価格が下がれば開発が止まる。本来投資が莫大な資源開発は市況によってそう簡単には止められないし始められない。例えばLNG)。という点について、シェールガス開発のメッカである米国においては、資源開発は地権者の私的所有権の範囲で決められるから(普通は国との交渉)、というのはなるほど感のある見解であった。

  • 元商社マンによるエネルギー論。なんといっても現代社会の基幹であるエネルギーについて手ごろな見取り図を与えてくれる。石油・ガスの話がおおむね中心。ブローカーの存在意義など「あれっ?」と思う記述があったり、電力会社の原油生焚きのような説明不足もあるがご愛嬌レベルと思う。

    ・天然ガスは液化してLNGにする技術が開発される前は、石油のほぼ役に立たない副産物でしかなかった。

    ・LNGプロジェクトには探鉱、開発に加えて液化、タンカー、再気化のロジが必要。需要地との距離により必要なタンカー船腹量が異なるが1兆円規模になる。よって典型的なLNG長期契約では引き取り義務を定めたり、仕向地規定条項があったりする。売主、買主が一体となって推進するわけだ。

    ・とは言え2013年の世界天然ガス生産量のうち貿易量は30%。さらにそのうちパイプラインが70%で、LNGが30%、天然ガスは地域性が強く、地域間の価格関連性は弱い。日本のLNG輸入量は世界の貿易量の約4割弱。

    ・日本向けLNGは原油代替だったので原油価格リンク。欧州の天然ガスは競合である重油や軽油価格リンク。パイプライン大国アメリカは国内需給で決まる。

    ・国境をまたぐガス田は早いもの勝ち。

    ・パイプライン大国アメリカは天然ガス消費量の22%、日本の6倍。アメリカでなら天然ガスをスポットで売ることができる。トリニダード・トバゴのようにアメリカ市場で売る前提でガス田開発をすると、長期契約と違って供給責任がないので設備の安全係数を低く見て低コストにできるそうな。

    ・ふつう地下資源は国家のものだがアメリカでは土地所有者のもの(海上は連邦と州)。イギリス法由来だが今ではアメリカとカナダだけ。

    ・アメリカの基幹パイプラインは第三者使用権が保障されている。入札などで誰でも使用できる。

    ・大手国際石油会社の代表だったセブンシスターズは73年には供給量の64%を占めていたが、石油ショックを経て国営会社が伸張し、最近では16%に過ぎない。

    ・契約に関するリスクでは支払リスクより履行リスクが厄介と。ここはもう少し説明してほしい。契約不履行をされると銀行によるLCも意味がないと。

    ・ロンドンのIPEは原油先物取引においてNYMEXに立ち遅れていたが、現物受渡し不要の差金決済に条件を変更したことで流動性が高まった。また湾岸戦争で時差による地の利もあった。東京は時差で言うと一般に不利な立場になる。アメリカと日本の間には海しかなく何も起こらない。

    ・コモデティ:その業界の関係者でない一般の人でもいつでも容易に取引できる商品

    ・シェール革命によりアメリカ産LNGが世界に出回るようになると、天然ガスもコモデティ化がある程度進むと予想される。

    ・平時のコモデティ、非常時の戦略物資

    ・消費エネルギー量 「原始人」2,000kcal/d、「高度農業人(AD1,000年)」24,000kcal/d、「技術人」230,000kcal/d

    ・日本では電気は投入エネルギーの43%を占めるが、ロスが大きいので使用エネルギーだと24%。

  • 【由来】
    ・文春のメルマガ。ダイヤモンドかTKの佐藤優評でも見たか?

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】
    ・ニーモシネ

    ・ガスは液化技術が難しい。このため、ほとんどが現地消費であり、流通しているのは30%程度。

    ・アメリカのシェールガス・シェールオイルは、今後ますますアメリカの国力を増すことに貢献するというのが著者の見立て。

    ・石油の生成には根源岩、移動、貯留岩、トラップ、帽岩の5つの要素が絶対に必要。この中のどれかの存在が欠ければ、石油は存在しない。ちなみに、貯留岩ってのは、スポンジのイメージ。

    ・戦略物資と見なされていた石油もコモディティの一種と見なされるようになったのである(P173)。平時にはコモディティだが、非常時には今でも重要な戦略物資なのである。

    ・資源量と埋蔵量は違う。埋蔵量は、実際に取引する状態にできる量のこと。これは技術的な進歩や、市場価格との関連から変動する。かつては埋蔵量はもうすぐなくなる、というような数値だったが、今は比較的安定している。

    ・「エネルギー界の池上彰さん誕生!」との帯。う〜む、自分の地頭が悪いせいか、そこまではよく理解できなかったような。とは言え、ひとくちに「エネルギー」と言った時に漠然と抱いていたイメージに、かなり具体的な肉付けができる程度には理解できた。

    【目次】

  • 三井物産でエネルギービジネスに長年従事してきた著者による素人にもわかるエネルギー入門。自分自身10数年前エネルギー関連のAgendaに関わりそれ以降エネルギー問題については注視してきたが改めて俯瞰するために大変役立つ良書。難しい問題をここまで平易な日本語でしかも新書で著している点にも感動です。ちなみに著者はライフネット生命社長の岩瀬氏のお父様だそう。すごい親子。

  • 石油の未来はどうなるんかな。
    少なくとも、ガソリンで走る車を乗る人は
    マニアと呼ばれる日が近い。
    10年後?

  • 「資源量」と「埋蔵量」の違いを説明していた3章の内容がとても興味深かった。なぜ埋蔵量がどんどん増えてくのだろう?石油が枯渇する、と自分が小さい頃から聞かされてきたのに全然枯渇する気配がないのはなぜなんだろう?昔から抱いていた素朴な疑問が解消した。

    なるほど、と思ったエピソードが二つ。石油業界ではサンクコスト(ポイントフォワードというらしい)の概念が浸透していて、しかしそれがゆえに掘削の計画は滅多に中止とならない、というエピソードがひとつめ。もうひとつは、オイルショックの後に原油価格が下落していった際、OPECは生産調整によって価格維持を目指した。ところが、加盟国がこっそり生産量を増やした結果、市場価格が下がり続けてしまったという「囚人のジレンマ」の話。

  • 石油史を概観出来る好著である。
    P.198. 現代人は、230,000kcal/day のエネルギーを消費している。

  • 内容はちょっとわたしが求めていたものと違ったのだが、あとがきの最後は奥様への感謝の言葉で締められていてほっこりした。

  • エネルギーというと石油を真っ先に思い浮かべる。が他にも天然ガス・石炭・原子力など他にも資源はある。総合商社で長年エネルギービジネスに関わってきた著者が資源ビジネスを優しく解説する。日本の輸入ガス価格は高いい背景、石油価格が乱高下する理由・・など新聞に書かれてあることのもう一歩先を網羅。興味深いのが各国の使用エネルギー効率などのデータ。資源に乏しい日本だが、それでも優れた技術があることが浮かび上がってくる
    技術優位性を有効活用することが世界へ貢献できることだと著者は述べる。

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