- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166609963
作品紹介・あらすじ
日本人は英語は読めても話せない。それは日本の英語教育に問題があるのではないか――長年指摘されてきたこの問題を解決すべく、文部科学省は2011年以降、小学校5年から英語を必須科目とし、さらに20年までに、小学校3年から英語教育を導入する方針を打ち出した。そんな風潮に対し、英語教育の第一人者が本書で、「英語が話せなくて何が悪い」と異議を唱える。「帰国子女は英語がペラペラでうらやましいか?」「小学校で英語を教えるとどうなるか」「『読み書きはできるけど話せない聞けない』は本当か?」「センター試験にリスニングが導入された成果は?」などをテーマに、日本人が長く馴染んできた文法・読解中心の英語教育が、いかに外国語の習得に効果的であったかを具体的に指摘していく。
感想・レビュー・書評
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タイトルがやや突っ走っている感があるが、早期英語教育や(過度に?)コミュニケーションを重視した英語などに警鐘を鳴らしている。筆者の立ち位置を理解した上で読んだつもりなのでさほどの驚きはないが、共感できる部分はいくつか。乱暴にまとめると、英語ができないという前にきちんと勉強している?のってことか。周りをみると、日本人の英語力は増していると思う。〝費用対効果〟という観点ではもうちょっと望まれるのかも知れないが、言語としての日本語と英語の距離を考えるとこんなものだろうと思ってしまう。極めようと思ったら、日本語を極めるのも相当難しいはず。
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そもそも英語ができなきゃ英会話なんて無理なんだから、まず英語の勉強をきちんとしようね、という内容の本
著者の考えの前提となっているのは、
・「読む・書く」ができるのであれば、「聞く・話す」は比較的容易である
・ほとんどの日本人にとって「聞く・話す」機会はそう多くないが、「読む」機会は結構ある
というもので、その前提の上、
・やはり文法中心で行くべき
・小学校から英語の学習をするとか、中学・高校の英語の授業は英語のみで行うという論調には反対
という立場からこの本は書かれています
また、これまので日本の英語教育を批判する人の中には、「日本人は読む・書くはできるが……」という人がいるが、その実、
・この「読む・書く」すらまともにできていないという現状
・英語教育が「聞く・話す」中心にすでに移行してきているが、それでもTOEIC等でアジア最低であるという事実
を考えなければならないとも著者は説く。
まさに正論に感じた。
確かに30秒程度の会話文の元文を読むのに10分とかかかっていたら、聴いて理解して話すなんてのはどだい無理な話で、会話にならないのは当り前である。
そこで著者は精読・多読等により基本的なところを押さえたうえで、リスニングすることを薦めている。
なお、本書は英語教育に対する問題点を指摘する本であり、英語学習については別の著作を参考にするのがよい。
そのほか、「ネイティブはこういう」みたいな本についてはこれは人それぞれでまったく意味がない、と指弾しているのは痛快である。
また、「Are you a boy or a girl?」「Is this tea or coffee」なんて使わないという議論については、英語の問題というよりは文章の背景を理解してその状況を類推する国語力の問題だとしている点も面白い。
さらに、高貴な人の診察時に「医者が足袋を履いていた」という部分を英訳時に「医者が手袋をしていた」と訳したエピソードは、対訳としては誤訳なのかもしれないが、文化上の違いなどを考えれば納得できる、なるほどな翻訳例であった。 -
英会話偏重の英語教育への警鐘
話す?聞くのベースには常に書く?読むが必要であり、文法や訳読は英語の基礎力を高める。
帰国子女が自動的にバイリンガルになるのは幻想で、あくまで上手くいった例にすぎない。
結局は英語の習得に必要なのは基礎学力と学習への強い意志である。 -
英文学者ならでわの視点があった。夏目漱石は英会話ができなかったというウソがなせ広まったのかの反証が面白い。オーレックスの辞書について初めて知ることができた。
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会話偏重型に批判的なのはわかる。英語も読めない人が会話できるわけがないっていうのもわかる。だけどその例がちょっと狭苦しい。ただ、翻訳の難しさや、夏目漱石はじめ本気で英語を身につけるにはどれだけの本気さが必要かなど、そういう点は興味深かった。
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江利川春雄 受験英語と日本人
市川力 英語を子供に教えるな 中公新書クラレ
シカゴの塾で英語を教えた
簡単な日常会話ができる第一段階
学校で、理科、社会、数学、国語などの強化を理解できる第二段階
日本語で第一段階に達していると、英語でも第一段階に達する。ただし、日本語で第二段階に達するための努力を怠っていると、英語で第二段階に達しない
カナダで英語圏からフランス語圏に移ってきた場合
低学年で来た子供の歯フランス語を母語とする友人と喋り出すのが早いけど、教室で使うフランス語はいい加減で、レポートを書くのが苦手
高学年で来た子は、フランス語を母語とする子どもと友人になるのに何ヶ月も要するが、まもなく教室の学習に藤生なくフランス語を使えるようになる
話すと書くは表裏一体
解釈に強くなるための英文50 岩波ジュニア新書
漱石 方丈記の英訳
漱石よりアタの時代に学生の英語力が低下してきたのは、日本が成長発展して、昔のように、外国人の教員に英語で講義してもらう時期がすぎたせいだと漱石は述べている -
日本人と英語の付き合いを考える上で示唆に富む一冊。
知らなかったことが多く、例えばバイリンガルって意外と成功せず苦労する話とか、夏目漱石の英語力は飛び抜けて優秀だったり、時代とともに読み書き重視から聞く話す重視の英語教育に変遷してきたこととか、偉大な翻訳家にも誤訳があるってこととか。
自分も同感なのが、日本人の英語力が伸びないのはモチベーションの問題ってことや、読み書きはできるってのが実はそうでもないこと、今までの学校教育が潜在的な英語の素養を養っていることなど。
今後も謙虚に英語の勉強を重ねていきたくなりました。 -
14/12/03。
12/09読了。本田選手の陰での努力に感動。 -
行方昭夫さんといえば、英文解釈・英文精読の大家じゃないですか!その方が「英会話不要論」とはどんな内容なのか気にならないはずがありません。
…ということで読んだのですが、内容的には「さすが」と唸らされます。(当然ですね)
私も、行方さんのおっしゃるように、文法や訳読中心の学校英語が日本人が英語が出来ない諸悪の根源のように言うのは違うと思いますね。お門違い。その点についてはこの本は完璧な論陣を張っていると思います。間違いなく一読に値します。
なお、帰国子女の英語についての章は私も大いに考えさせられます。他人事ではない、直面している課題だけに…