新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2014年11月20日発売)
3.78
  • (127)
  • (304)
  • (206)
  • (27)
  • (4)
本棚登録 : 2171
感想 : 229
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166610006

作品紹介・あらすじ

最強コンビが語り下す戦略、情報術



領土・民族・資源紛争、金融危機、テロ、感染症。これから確実にやってくる「サバイバルの時代」を生き抜くためのインテリジェンス。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 新・戦争論
    僕らのインテリジェンスの磨き方
    著:池上 彰
    著:佐藤 優
    文春新書 1000

    力は、軍事、政治、金融、産業、科学技術、情報というように分散して存在している
    日本の政治家が、誤解している、集団的自衛権と個別自衛権の違い
    同じ条文についての、公明党と、自民党、共産党らの解釈の相違

    池上彰は、現代において、集団的自衛権と、個別的自衛権は、不可分になっていること
    日米安保下にて、米軍は、尖閣諸島について、日本実効支配しているからこそ、防衛発動するが、実際には、そのような紛争は起こりにくく、また、米国務省の主流は、中国重視であることを語っています。

    本書は、日本国内の安全保障の認識と、世界世論における安全保障にあり方に重大な認識の相違があることを物語っています

    気になったのは以下です。

    ■戦争論

    ・クラウゼヴィッツの戦争論はまだ、古くはなっていない
     核の抑止は、動作せず、通常戦争は全くなくなってはいない

    ・武器の輸出、高度の武器の開発には、膨大な費用がかかるので、殺しのビジネスとしてあらゆる相手に営業をかけている

    ・相手国に厭戦気分を引き出すのに、テロは有効であり、それを得意とするのはイスラエルである

    ・感染症の拡大、エボラ出血熱歓迎というのは、しょせん、感染症によって、人口を調整するしかないという理屈である

    ■民族と宗教

    ・漢族は、人口は多いが、天然資源がない、少数民族は、人口は少ないが、天然資源は多い

    ・偉大な中華民族、でも、中華民族とはなにか、果たして、中華民族というものがあるのか

    ・チベットと、モンゴルとの伏線、チベット仏教という宗教にて、2つはつながっている

    ・ダライラマとパンチェンラマ、相互に生まれ変わりの指導者の選定と育成に、巨大な国家権力が介入している

    ・中国は、宗教と政治の調整はうまくいっていない

    ・北朝鮮、金日成は、クリスチャンであった

    ・ロシアでは、正教会が宗教というより、習慣として、組み込まれている
     このため、数ある宗教の上にロシア正教会を位置づける構造となっている

    ・完全世俗国家フランス ブルカ禁止政策は、イスラムという特定宗教に対しておこなったものではなく、完全に、政教分離政策の中で選択された政策である

    ・イスラム原理主義 カリフをトップに据えて、シャリーア(イスラム法)を適用する、宗教一致国家を建設すること

    ・富は上記5%の人間に偏在していて、儲けの半分を慈善事業として、吐き出さないとつぶされるということを経験則で理解している

    ■欧州の闇

    ・中東、ウクライナの紛争は、エネルギー問題が深くかかわっている
     米シェールにて、売れなくなった天然ガスをロシアは欧州に安く売ろうとしていた
     同じくカタールも、石油のスポット売りをはじめた

    ・かつての食糧危機の時代、店頭で人肉を販売していた、ウクライナ
    ・ロシアに協力したコサック、ナチスに協力したタタールが、共存しているのがウクライナ

    ・プーチンは、ウクライナを併合することではなく、緩衝地帯としてウクライナを扱いたい。併合してしまえば、西側と直接対峙することとなってしまう

    ・イギリスは、スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの4カ国の連合である
    ・北海油田の大半は、スコットランド領に集中しており、イギリスとしては、スコットランドの分離独立はなんとしても、避けなければならない
    ・スコットランドは、カルヴァン派であり、イングランドのイギリス正教会とも宗教もちがう

    ・ベルギーにも、南北問題がある
     EUの首都でもある、ブリュッセルが、分離問題に見舞われたら、EUは崩壊する
    ・もともと、ベルギーは、第1次世界大戦のときも、第2次世界大戦のときも、永世中立国であったが、大国に蹂躙された。このため、現在は、軍事同盟をがっちり結んで、西側のメンバーとして生き残ることにした

    ■イスラム国

    ・シリアのアサド政権は、アラウ派、輪廻転生を信じるシーア派
    ・シリアには野党がいない
    ・シリアの危機に、レバノンのシーア派の過激派ヒズボラが支援にはいった

    ・イスラム国は、スンニ派の過激派
     シリアが確保できないとわかると、イスラム国は、イラクの北部油田の占領を行った

    ・湾岸協力会議(GCC) サウジ、UAE,バーレーン、オーマン、カタール
     スンニ派の首長国の連合は、サウジを盟主として、集団安全保障体制を確立している

    ・イランは、シーア派で、12イマームと言う派閥にぞくしている。メシア信仰を含む

    ・ヨルダン王国は、ムハマンドの出身部族クライシュ族が支配、中東の1つの軸になっている
     ヨルダンは、エジプトとともに、イスラエルと国交をもっているめずらしいイスラム国家である

    ■北朝鮮

    ・拉致問題と核開発
    ・北朝鮮の本音は、拉致問題で日本と和解し、和解金をもらって、それを、核開発に転用すること
    ・このために、背後にいる米国は、日本と北朝鮮が安易に合意ができなように和解の条件のハードルをあげることを、画策している
    ・そもそも日本は、ミサイルをうってくる国に、援助をするのか、それは、個別的自衛権に抵触するのでは?

    ■中国

    ・虎もたたけば、ハエもたたく。習近平は、幹部の汚職も責任を追及する

    ・ウイグル問題は2つの意味がある。東トルキスタン(東のトルコ)(チュルク・ベルト)と言う意味と、モロッコからウィグルに達する広大なイスラム圏(イスラム・ベルト)の東端という意味である

    ■米国

    ・2050年問題 有色人種が、白色人種の人口を上回るという問題

    ・数で少数派である、現在の白人支配者がそのまま、政権を維持するためには、民主主義とは別の考えが必要となる

    ■結論

    ・民主主義と独裁とは矛盾しない

    ・今の日本の危機は、民主主義としてでなく、自由主義としてである

    ・日本が軍事大国をめざさないというのであれば、そのぶん、インテリジェンス機能を充実して、きちんと機能させなければならない

    ・諜報の情報源の98%は公開情報である

    ・佐藤の情報術、それは、B5ノート1冊を常に持ちあるくというものだ

    ・新帝国主義
     旧来は全面戦争にいたっていたが、現在は局地戦が中心である
     旧来は植民地の確保が目的であったが、現在は違う、植民地の経営にコストがかかるから
     資本の過剰、金融を中心に、外に投資して儲けようとする

    ・新時代の外交戦略
     力による均衡
     相手国の立場を考えず、自国の立場を最大限に主張する
      相手が、すくみ、沈黙するのであれば、そのまま、押して、権益を強化する
      相手が、必死に抵抗し、国際社会に訴えるのであれば、譲歩する
     心を入れ換えたというのではなく、それが自己の利益を極大化するという判断である
     過去に占領した土地は、すべておれのものだという考え

    ・紛争が収まらない理由
     流血の不足、双方が、もうこれ以上犠牲を出すのは嫌だと考えない限り停戦合意にはいたらない

    ・ヘーゲル曰く、歴史は繰り返す
     ただ、もう1言を加えると、「1回目は悲劇として、2回目は喜劇として」


    目次
    はじめに 池上彰
    序章 日本は世界とズレている
    第1章 地球は危険に満ちている
    第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
    第3章 歴史で読み解く欧州の闇
    第4章 「イスラム国」で中東大混乱
    第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
    第6章 中国から尖閣を守る方法
    第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
    第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
    終章 なぜ戦争論が必要か
    おわりに 佐藤優

    ISBN:9784166610006
    出版社:文藝春秋
    判型:新書
    ページ数:256ページ
    定価:830円(本体)
    2014年11月20日第1刷発行
    2014年12月25日第6刷発行

  • 2014年の出版だが、ウクライナや尖閣諸島、北朝鮮など現在もホットなトピックを扱っており、今こそ読み直したい本。現代の新帝国主義(池上さんの言葉を借りれば「過去の栄光よ、もう一度」)の行き着く先は...

    ムスリムの話で出て来た「複合アイデンティティ」という言葉は、覚えておきたい概念。「どのアイデンティティがどの位相で出るか」という点に着目すると、それまで矛盾に思えていた事象を理解できるようになる気がした。

    他に面白かったのは、
    ・オバマは教養が邪魔して対応が遅くなりがち
    ・軍事エリートと政治エリートのトップから馬鹿を排除せよ

  • 当代きってのインテリジェンス・プロの、池上彰と佐藤優の対談。面白くないわけがないと、本屋で即買い。期待を裏切らない面白さであった。
    特に佐藤優のロシアとイスラエルとキリスト教という特殊な切り口を持った凄い分析力に魅力を感じる。全然違うタイプのこの二人の波長が何故合うのかも不思議の一つ。

    【中国の民族問題】
    ・国内に56もの民族を抱えている中国は、今の共産党政府に従い、宗族のネットワークさえあれば近代化は可能なのか? いわば中国はプレモダンの国が、近代的な民族形成を迂回してポストモダンに辿り着けるのか、という巨大な実験をやっている。

    【中東】
    ・5月の安倍内閣のイスラエルとの共同声明を日本の中東政策の大きな転換点と見る。
    ・イスラム国の特殊なのは、シリアやイラクといった国家を支配することを目標としていない。
    ・結局「アラブの春」で露呈したのは、不安定で脆弱な中東国家の実体だった。
    ・アラブの春によって、中東における共和制型の政権を倒すことに関心を持った国があった。それがサウジアラビア。アラブの春による混乱に乗じて、中東に覇権を確保することを狙っていたのではないか。
    ・金融政策や財政政策といっても、世界の富は国家を迂回して動いている。アメリカは膨大な情報を集めているが、それがテロの防止に役立った事はない。冷戦後20年も経って、政府が情報とマネーを統制できなくなっている。
    ・世の中には旧来型の戦争観を持っている国がある。ロシアであり、中国であり、イランだ。民主主義国は、極力戦争を回避して外交によって回避しようとする。ところが戦利品を獲れるという発想をもつ国は本気で戦争をやろうとする。短期的には、戦争をやる覚悟を持っている国の方が、実力以上の分配を得る。これが困るところだ。
    ・イスラエルが全力を挙げて、シリアのアサド政権を支持している。これはイスラエルにとってアサド政権は予測可能な敵だが、政権が倒れてシリアが混乱したら何が起こるか予測不可能になる。

    【欧州】
    ・カイザーのドイツ帝国は、軍事力によってウクライナを穀倉地帯として支配しようとした。その後、ナチス・ドイツは人種神話によって、同じ事をやろうとした。そして現在のドイツはユーロの力によって、それに成功した。
    ・永世中立国は大失敗だったというのが、二度の大戦からベルギー人が学んだ教訓です。周りの国が約束を守ってくれて初めて、永世中立国はなりたつ。約束を守らないという国が一つでも出てくれば、成立しなくなる。

    【北朝鮮】
    ・北朝鮮は「帰国希望者が2万人いるから受け入れてくれ」などと恐ろしい事を言ってくるかも知れない。

    【韓国】
    ・朝鮮民族が中国のすぐ傍にいながら同化されずにやってこれたのは、決定的な喧嘩をしなかったから。そう考えると中国といかにうまくやるかということが、韓国の生き残りにとっては死活問題になります。朴槿惠はそう気づいているのでしょう。

    【アメリカ】
    ・ミズーリの問題が軟着陸できるかどうかを含めて、アメリカの内政がかなりの混乱に陥るのでは。もはやオバマは外交ではなく、内政問題に縛られてくる。(早くも9月時点で指摘)
    ・オバマは頭が良く教養も高く、いわば「名誉白人」にすぎない。人種差別に関する悪を教えられていない。
    ・アメリカでは、実質的な権力を持っているのは、数としては少数派のウォールストリートであり、WASPであるという構造は変わらない。これに2050年問題(白人の少数派転落)があり、民主主義というツールは実行力を失っていく。

    【新帝国主義】
    ・フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」のような考え方は間違っており、「新帝国主義」の時代になった。ここでは外交面では古典的な力学モデルの「力の均衡」の世界になる。
    ・「自由」というのは恐らく「資本の自由」で、それがとんでもない格差を生み出す。
    ・「平等」とは力が背景にないと実現できない。これが最終的に独裁制に繋がっていく。あるいは皇帝がいて、そのもとでフラットになる。イスラム国は恐らく平等の考え方から出て来ている。
    ・マルクスは言う「ヘーゲルは歴史は繰り返すと言ったが、そのとき一言付け加えるのを忘れていた。一回目は悲劇として、二回目は喜劇として」

    等々と話題がつきない。本当に面白かった。

  • 殺し足りないから戦争は終わらない。お互いが嫌になるまで犠牲が出ないと終わらない。

    イスラームの価値観が理解出来ないとイスラームと分り合うことは出来ない。

    毎日の情報収集について。偏らないために。


    2014年クリミア半島併合時の本だが、2022年現在のウクライナ戦争を理解するためにとても役立ちました。

  • ・イスラエルの顔認証機能搭載の超小型無人暗殺兵器、世界最先端のサイバーセキュリティ技術。日本とは危機感が全く違うこともあり、これらの突出した技術力でグローバルなビジネスを展開している。
    ・北朝鮮が拉致被害者問題に関係して、「帰国希望の旧日本国籍所有者が2万人いるから受け入れてくれ」というカードを切ってきたら日本政府はどう対応するのか?

  • 〇学んだこと
    1.柔軟なナショナリズムを身につけること
    2.拝金教としての貨幣価値
    3.「悪」に関する教育は重要

  • まだまだ安心できない今日だと気付いた。今起きている事実に向き合っていく必要があると思う。

  • テレビニュースなど、なんとなくわかったふりしながら見ているが、実は知らない事、根本的な事すら知らずにわかった気分になっていた自分が恥ずかしく感じるし、さも難しそうな顔して偉そうなコメントしている大人がけっこう適当に発言しているんだなとか気づかされる本でした。

  • この内容で、戦争論、は無いよなぁ。副題のインテリジェンスの磨き方の方がしっくりくる。

    驚きは少ない本でしたが、北朝鮮が日本に返す人数を2万人とかすると、日本が困るからそれはそれでカードになる、と言うのは斬新で驚いたな。

  • 出版されて数年経っているけど、なぜ世界でこういうことが起こっているのか、がとても分かりやすい。現在の世界の動向を理解するのにも役に立つ良書。

  • 各国のパワーポリティクスにより国際情勢が変化する。他国が抱える問題を分析し、したたかな外交戦略が必要だ。冷戦後、民族紛争や宗教紛争が表面化し、決して世界から戦争がなくなったわけではない。問題の根本を知る機会となった。

  • 本書は、緊迫する世界情勢について、池上彰と佐藤憂が如何にニュースを読み解いているかを対談形式で語った内容をまとめた一冊。

    世界における「力」というのが、軍事・政治・金融・産業・科学技術・情報といったように分散した形で存在しているのが、今の世界であるという前提に於いて、日本はそのいずれもが弱いというのが両氏の見解。

    特に外務省の矛盾した外交政策を批判している。
    朝鮮半島有事に備えた集団的自衛権を閣議決定する一方、北朝鮮への制裁を一部解除してしまう支離滅裂さ。
    そのなかでも最高裁が朝鮮総連の不服申し立てを受けて売却手続きを止めた、「朝鮮総連本部ビルの競売」については、裁判所の過剰忖度であるとし、三権分立が機能していないとしている。これは政府の拉致問題解決に向けた動きの妨げになるという裁判所お得意の「高度な政治判断」ではないかと。

    こうした支離滅裂さは「集団的自衛権」にも見られ、強行採決までしたこの法案の内実は個別的自衛権と集団的自衛権の重複する事象で従来の政府見解を一歩も踏み越えていないものだとういう。

    冷戦期であれば、アメリカとソ連という大国同士の対立、国家同士の戦いになっていて構図が明快であったが、紛争を利権にした暴力民間企業やテロ組織・破綻国家がプレーヤーになってきているのが今の国際社会を難しくしている原因だという。

    池上氏の見解によれば、北朝鮮のシナリオとしては、経済解除→拉致問題解決→日朝国交正常化交渉だという。
    というのも小泉首相が訪朝した際の平壌宣言で、国交正常化することが決まっており、北朝鮮側からすれば、少しでも多くの金を取ろうという腹づもりらしい。
    1965年に日韓基本条約を結んだ時に日本は官民合わせて11億ドルの金を「独立祝い金」として出している。北朝鮮側からすれば、それと同じくらいの金額を現在の物価水準に合わせて提供されることを期待しているというのだ。

    で、日朝国交正常化における予測に対してここらあたりから暗い影がさしてくる。
    日本側は北朝鮮側に対し1945年前後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨及び墓地・残留日本人・拉致被害者などの調査を開始。
    現在の北朝鮮に在朝日本人が何万人いるかは定かではないものの、2世・3世を含めた日本人を突如北朝鮮が帰還させるとなった場合、どうなるのか?ということ。
    文化も言語も違う、大量の在朝日本人帰還が行われれば経済・地域社会は混乱を起こすことが予想される。

    拉致被害者問題が解決された後に噴出する様々な問題を予測した場合、日朝国交正常化がほんとうに必要かどうかを考えさせられる。

    また、両氏のテーマは尖閣諸島問題にも及ぶ。
    特にこの問題に関する佐藤優のアイディアには非常に心動かされた。

    まず、中国の最大の弱点は台湾省の中に尖閣諸島があると認定していることを踏まえ、当事者である台湾を除外することはできないことを利用するというもの。
    「地方政府同士が交渉するとした場合、台湾省が中国側の当事者となるので、漁船同士の問題に関しては那覇政府と台湾政府の管掌という位置づけにしてローカル政府のレベルで話し合う枠組みをつくってしまえば軟着陸できると思います。我々は台湾と交渉しますと」

    この交渉テクニックが披露できるあたり、さすが外務省のラスプーチン!

    最後は両氏のニュースソースに話が及ぶ。

    スパイの情報源の98%以上が公開情報であるから、複数のニュースソースを閲覧することが大切だという。
    情報源として挙げられたのが、インターナショナルニューヨークタイムス・朝日新聞・東京新聞・沖縄タイムス・イズベスチヤ(ロシア)・赤い星(ロシア)・産経新聞・日経新聞 ・CNNウェブサイト・ウォールストリートジャーナルウェブサイト・北朝鮮のネナラウェブサイト。 

    佐藤氏は最後にこうしめくくる。
    「嫌な時代になってきた。これからの世界を生き抜くためには個人においては嫌な時代を嫌な時代と認識できる耐性を身につける必要がある。そのための通事性においては歴史を知り、共時性においては国際情勢を知る事。知識においては代理経験をして嫌な事がたくさんあるというのをよく知っておくことです」

    両氏のプロレスのような知識の応酬に、ただただうなずくだけであったが、情報に対する真摯な態度が好印象であった。

    本旨とは関係がないのだが、両氏は兵器に関する知識も多分にあり、特にイスラエルの暗殺飛行機に関しては、SF小説を読んでいるような錯覚すら感じたほどだ。

  • 欧州、中東、アジア、アメリカとそれぞれの地域の過去と今、そして未来へと孕んでいる問題を
    それぞれが独自の情報網でもって解説。現地からの情報も多くこちらにも響きやすい。
    ・アメリカの民主党は中国重視のため尖閣問題には及び腰。その中国もウイグルの民族、宗教問題から尖閣には力を入れたくない。中国はバチカンとの間に国交が無い。理由は司教の人事権。
    ・スコットランドは独立の気運が高く。独立の場合は北海油田のほとんどがスコットランドのものぬる。
    ・イスラム教に関して。スンニ派は終末蘇り思想。シーア派とアラウィ派は輪廻転生。シリアのアサド大統領はイギリスに留学経験有。そのため、シリア攻撃にイギリスは消極的。
    ・スンニ派のハンバリー法学派のワッハーブ派がゴリゴリの原理主義でアルカイダやイスラム国になる。〈イスラム国は東はインド、西はスペインまで侵略を計画。つまり旧イスラム王朝の領土〉

  • これ年に1回位出し続けてほしい。世界の見方がすっきりする本。日本の新聞やテレビじゃダメなんだろう。
    最後の田母神さん言及に吹き出した。

  •  いま、最も旬な話題を、最も旬な池上彰と佐藤優が語り合った。サブタイトルが「僕らのインテリジェンスの磨き方」とあるとおり、彼らの情報収集の方法を紹介しながら、最近の国際情勢を読み解く。

     池上彰は今でもテレビのニュース解説番組で、分かりやすい解説をして人気がある。論調も非常に中立的な印象があって好感度が高い。

     逆に佐藤優といえば元外交官だが、鈴木宗男議員の事件に連座する形で逮捕起訴され、その後実刑判決を受け刑に服している。そういう暗いイメージが付きまとうが、その後外交官時代の経験や知識を基に分筆活動に入り、大変面白い驚くような作品を発表している。

     この繋がりのなさそうな二人だが、情報の扱い方を語り合うには意外にも最適だったのかもしれない。今注目されている朝鮮、中国を始め、ウクライナやイスラム国の話題など、どのように情報収集し分析しているのか知ることができた。特に宗教の話題は初めて知ることが多く「眼から鱗が落ちる」とはこのことだろうと思った。まさにインテリジェンスの磨き方である。

  • 将来の日本と他国との関係を考えるという視点で歴史や文化(宗教)を学ぶ必要があることを再認識。

  • ●民族と宗教、中東の問題、朝鮮や中国の情勢について解説している。

  • (2015/4/8)
    博識の二人による海外最新最深情報対談、という感じ。
    北朝鮮が中国の影響で少しだけ持ち直しているとか。
    日本は歴史上、中国朝鮮連合軍と戦っているが単独はないとか。

    しかし、、結局現状に対する不満、富の偏りが戦争につながる、という思いは強くなった。
    今や国対国の戦争ではなく、宗教、民族間の紛争ばかり。
    その一方、ロシアは旧ソ連領土だったクリミアを欲しがったり、過去の領土を取り戻す動きがあちこち。
    ”イスラム国”もその流れだという。
    誰も現状に満足しない。そこに戦いが起こる。
    「戦争はいけない」は「現状に満足せよ」につながるわけだ。
    その際持てるものは富を分配しなくてはいけない。持たざる者の不満を解消しなければならない。
    それができるかどうか。
    今は、それをやりすぎて活力がなくなってパイが減ったからパイを増やすためにはその再分配システムをお休みしよう、
    というのがトレンド。そしてそれが行き過ぎになりつつある。
    新自由主義が批判されるのはそこ。私もM.フリードマン信仰者だから新自由か、、、
    再分配システムなどという恣意的なシステムは絶対うまくいかない、という思いはあるが、
    戦争を起こさないための必要悪なのか、、。
    神の見えざる手はそうはうまく働いてくれないということか。


    ■はじめに(池上彰)

    ■序 章 日本は世界とズレている
    有名無実の「集団的自衛権」
    慰安婦問題の本質とは? ほか

    ■第1章 地球は危険に満ちている
    イスラエルの無人機は“暗殺者"
    「イスラム国」は四割が外国人兵士 殺しが下手なアメリカ――攻撃・暗殺・テロの有効性
    エボラ出血熱の背後に人口爆発あり ほか

    ■第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
    「中華民族」は存在するのか
    ダライ・ラマと五回会った
    クリスチャンだった金日成
    フランスは完全世俗国家
    「イスラム国」の正体は?
    慰安婦問題はアメリカが深刻 ほか

    ■第3章 歴史で読み解く欧州の闇
    ナチスに協力したガリツィア
    クリミアのロシア人とウクライナ人は仲がいい
    ウクライナの意味は「田舎」
    スコットランド独立騒動の真相
    イギリスは「民族」にもとづかない国家
    EUの首都ベルギーが危ない ほか

    ■第4章 「イスラム国」で中東大混乱
    アラブの春の後の無惨
    シリアのキーポイントは、アラウィ派
    「イスラム国」の横取り戦略
    アメリカとイランの接近の理由は?
    湾岸の黒幕、サウジアラビア
    モサド長官の交渉力 ほか

    ■第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
    アメリカは日朝交渉をつぶしたい
    北朝鮮のミサイルは、日本への求愛行動
    張成沢はなぜ処刑されたか?
    中国人に怒る平壌の人々
    日本のカネが頼りの北朝鮮
    「日本人大量帰還」は北朝鮮のカード
    日本VS.朝鮮、一対一の戦争はなかった ほか

    ■第6章 中国から尖閣を守る方法
    中国の思惑通りに進む尖閣問題
    毛沢東化する習近平
    トルコと回族がつながるウイグル問題
    民族主義か? イスラム主義か?
    中国にとって尖閣よりウイグルこそ重要 ほか

    ■第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
    教養が邪魔するオバマ
    「白人」だけの民主主義
    アメリカの宗教事情
    大統領候補はヒラリー? ほか

    ■第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
    息が詰まる日本のネット空間
    公開情報だけで世界はわかる
    情報は「信頼できる人」から
    情報は母国語でとれ
    スケジュールからメモまで「一冊の大学ノート」で ほか

    ■終 章 なぜ戦争論が必要か
    新帝国主義と過去の栄光
    嫌な時代

    ■おわりに(佐藤優)

  • 2024/01/20

  • 当時の国際情勢を語る本だったが、自分の理解は全く及ばなかった。
    ヨーロッパや中東に関する知識が無さすぎるためだ。
    今一度勉強する機会を得ようと思った。

全207件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

池上 彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京科学大学特命教授を務め、現在5つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』(ちくまプリマー新書)、『お金で世界が見えてくる』、『日本の大課題 子どもの貧困』編者、『世界を動かした名演説』パトリック・ハーラン氏との共著(以上ちくま新書)、『なぜ僕らは働くのか――君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』(監修、学研プラス)、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ』(ダイヤモンド社)、『20歳の自分に教えたい経済のきほん』(共著、SB新書)ほか、多数。

「2025年 『池上彰の経済学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上彰の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×