「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)

  • 文藝春秋
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610099

作品紹介・あらすじ

最強メンバーは1万2000ページに及ぶ激動の記録をどう読んだか?初めて明らかにされた幼少期、軍部への抵抗、開戦の決意、聖断に至る背景、そして象徴としての戦後。天皇の視点から新しい昭和史が浮かび上がる。第一章 初めて明かされる幼年期の素顔第二章 青年期の栄光と挫折第三章 昭和天皇の三つの「顔」第四章 世界からの孤立を止められたか第五章 開戦へと至る心理第六章 天皇の終戦工作第七章 八月十五日を境にして第八章 ‟記憶の王”として

感想・レビュー・書評

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  • 自分が受けてきた教育は、かなりかたよっていたと実感した。張作霖爆殺事件にあたって、昭和天皇が田中義一首相をやめさせたとき、西園寺公望は、「憲法の精神に反しては」いけないと天皇を戒めた。終戦は、鈴木寛太郎首相が憲法違反を承知で天皇のところに乗り込んで行って進めたという。つまり、明治憲法下では、天皇親政は認められないという了解があったのである。しかし、私は、戦前は天皇が何でもできたと学校で教わった。
     また、原爆が投下されても日本では降伏が話題にならなかったが、ソ連が参戦して降伏を決断したと習った。これは、ファシズム体制が社会主義によって敗れたという左翼イデオロギーによるバイアスがかかっているという。

  • うーん…。
    やっぱり近現代史は難しいというか、いまだ歴史になっていないというか、敬語を用いる相手は「研究対象」ではないよなあというか。著者たちが(敬語なしで)書いている近現代史や天皇・皇族ものの「研究書」は、とても面白く読んできたのだけれど。
    先帝陛下についてのみならず、近衛から松岡から、全方位的に言い訳をしているような感じ。てか、昭和20年8月以降がほとんどオマケになってしまっている時点で…昭和は64年もあったんですけどね…。
    実録というものが「公」に編まれることの意義はとてもよくわかったが、「私」がそれに言わずもがなの補足を付ける必要はないように思った。

    2015/3/21〜3/22読了

  • 東2法経図・6F開架:288.4A/H29s//K

  • 宮内庁「エース」による昭和天皇の「実録」を4人の座談会でディスるという体裁。お蔵入りだった史料の公開もあり、学者的には新たな発見や裏付けもあったようだが、あくまでも宮内庁編纂による昭和天皇の歴史なので、当然天皇批判と解釈される史実は省かれているのだろう。一級史料には間違いないし、実証主義的でもあり、さすがに虚偽記載はないだろうが、記述のモレ・ヌケ・印象操作等々の懐疑は拭えないといったところか。

  • 本文中にもあるように、この『実録』が編纂されたものであるなら、すべて鵜呑みにすることはできないけど、読みながら史料をもとにした戦争前後の考察の追体験ができておもしろかった。
    平成生まれの自分としては、昭和天皇は記憶に残る人物ではなく、歴史上の人物である。でも、幼少期や部屋に飾られた肖像のエピソードから、一人の人間としてのイメージもわいたように思う。

  • 掛けた歳月24年5カ月、総ページ数12,000ページ。87年に渡った昭和
    天皇 の生涯を綴った『昭和天皇実録』の編纂が終了し、今上陛下に
    奉呈された のが2014年9月。

    そして、今年3月から一般刊行が始まった。早々に予約をしたのは
    いいが、 全19巻を5年かけて刊行することを予約語に知って愕然とした。
    それまで 何があっても生きていなくちゃ。

    既に刊行された2巻は手元にあるのだが、未だ手を付けていない。
    読もうと思った矢先に、本書が出版されたからだ。昭和天皇の
    崩御後、関連の書籍が多く世に出たので時間のある限り読んだ
    のだが、それでも知らないことが多い。

    なので、『昭和天皇実録』に取り掛かる前段階の予習として本書は
    最適なのではないだろうか。昭和史に詳しい4人それぞれが、持論を
    展開しながらも『昭和天皇実録』の主要と思われる部分を読み解いて
    いる。

    本書のメインとなっているのが戦前から終戦までだったので、『重臣たち
    の昭和史 上・下』を読んでおいてよかった。これが予備知識として
    役に立った。

    幼少時の話も興味深かったのだが、今まで昭和天皇の関する作品を
    読んでいて何故、軍部の暴走をみすみすお許しになったのか疑問に
    感じてたんだよな。

    だが、半藤氏の以下の発言ですとんと自分の中で何かが繋がった。

    「実は私は、昭和天皇には三つの顔がある、と考えているんです。
    ひとつは「立憲君主」としての天皇、もうひとつは陸海軍を統帥する
    「大元帥」。そして両者の上位にさらに、皇祖皇宗に連なる大祭司で
    あり神の裔である「大天皇」がおわす、というのが私の仮説です。」

    ふたつの異なる立場の間で、板挟みになっている昭和天皇像が
    克明に浮かび上がるではないか。

    もうひとつの発見は、これまで内容が明らかにされていなかった
    「拝聴録」である。折々に昭和天皇が侍従を相手にご自分の胸の
    うちを語られた聞き書きである。

    やっぱりあったんだな。だた、どこにあるのかがはっきりされていない。
    今上陛下のお手元にあるのではないか…とも言われるが。

    この「拝聴録」がいつか一般に公開されたら、昭和史が今以上に
    興味深くなるかもしれない。

    本書の4人の語り手の解読を参考に、そろそろ『昭和天皇実録』に
    取り掛かろうかな。でも、その前に昭和史を今一度復習しておいた
    方がいいかも。

    『昭和天皇実録』本体を読み通すのは無理…と言う人でも、昭和史に
    興味がある人にはダイジェストとしていいかもしれない。

  • 『昭和天皇実録』を座談会形式で読み解いていくというもの。個人的に新味はあまり感じませんでした(史料として初めて明らかになった史実はあるらしい)が、あの膨大な『実録』のポイントを押さえて議論されている点は有意義かもしれません。

    読んだ部分で印象に残ったのは、昭和天皇の立憲君主と大元帥という立場の間での葛藤が描かれていた部分です。例えば、大元帥としては反対だけど立憲君主としては賛成せざるをえない、というような局面があったとのこと。またその二つの上に立つ「大天皇」という観念があったというのは初めて知りました。

    最後に半藤一利氏が「歴史に定説がないとは、よく言われることですが、私たちは新たに史料として加わった『実録』をもとに、これからも「事実を知ること」を続けていかなくてはなりませんね。」と語っている部分は歴史学の本質や使命を突いているのでは、と思いました。

  • 読むのに疲れちゃった~~大した歴史好きじゃない我が身には何が何だか解らないが、研究者には「実録」を書いた人間の意図が見えるらしい

  • 主に戦時下において、情勢と周囲の人間に翻弄された昭和天皇心中や発言を「昭和天皇実録」を題材として解説している。権力と責任の所在が統一されていない・曖昧である時、いかなる状態を招くのか、という点において、先の大戦は、将来の日本を考える上で、最も参考とすべき出来事だと思う。

  • 「昭和天皇実録」が発刊されるということで、昭和に生まれた者として、気になるなとは思ったものの、19巻もの大冊を予約注文なんてできないよなと思ってたら、1巻が出された頃に一緒に本屋に並んでいたこの本を購入。
    1年強、積読になっていましたが、平成今上天皇陛下の退位が話題となり、「昭和」を語る上で欠かせない真珠湾攻撃から75年となる12月8日に読了。
    「昭和史」や「日本のいちばん長い日」の半藤一利が、保阪正康と一緒に政治学者や歴史学者とともに、「実録」に描かれている昭和天皇について語る。
    戦争前後の姿はいろいろ描かれているので、見聞きしていることもあるけれど、立憲君主制の中で、天皇陛下の苦悶のあとがうかがい知れる。
    幼少期の素顔も興味深い。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう かずとし)
1930年、東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、文藝春秋新社に入社。編集者として活動しながら匿名記事も記す。1965年に大宅壮一の名義を借りて『日本のいちばん長い日』を執筆、発行。『漫画読本』『増刊文藝春秋』『週刊文春』『文藝春秋』編集長を歴任。1995年に文藝春秋を退社してから作家・評論活動専任となる。
1993年『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2006年『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。2009年の語りおろし『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』はベストセラーとなった。
妻の半藤末利子は、松岡譲と、夏目漱石の長女・筆子の四女で、夏目漱石が義祖父にあたる。

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