日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
3.17
  • (9)
  • (25)
  • (33)
  • (10)
  • (9)
本棚登録 : 414
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610105

作品紹介・あらすじ

「政治には何も期待できない」という国民の政治不信。そして経済の低成長、野党再編、地方・女性・非正規、沖縄・日米同盟など山積する難問。しかしこうした現状は、政治を甦らせる好機でもある。NHK「ニッポンのジレンマ」で注目を集めた、1980年生まれの気鋭の政治学者が「安倍政治」の急所を衝き、マンネリ化した「左」「右」双方に語りかける。「闘え左翼! 正しい戦場で」「共感せよ右翼! 寛容の精神で」と。【目次】はじめに――イデオロギー闘争から取り残された人々へ■1 不毛な左右対立を超えて コンパッションの思想とは 自由のあとに来るもの――時代性の中のリベラリズム リアリズムという宗教 総理の靖国参拝をどう考えるか 弱者認識の奪い合い 日本の右傾化?■2 日本政治を可視化する 野党再編について 戦後リベラリズムの担い手としての統治利権 「維新」と反エスタブリッシュメント感情 アベノミクスの歴史的位置づけ 歴史的偉業とは何か 開かれた保守の外交政策 「ちゃんとしている仮説」――自民党圧勝のアベノミクス選挙を振り返って■3 地方、女性、非正規 地方経営における共感と想像力――「維新」が回帰すべき方向 地方創生について 非正規労働者に未来を 共和主義者のジェンダー論■4 外交・国際情勢 集団的自衛権論争の本質 闘え左翼、ただし正しい戦場で Gゼロの世界 ガザと中東和平について ロシア/ウクライナについて ロシアのG8追放は禍根を残す 日韓関係の未来 日米同盟と沖縄 沖縄県知事選とアメリカとの付き合い方

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 刺激的なタイトルで、平積みもされており、つい手に取ってしまった。
    現代日本の政治が抱えている問題、時事的テーマを、国際政治学者の眼を通して、アベノミクス選挙、地方創生から、非正規雇用、ジェンダー論まで、政治分野をオールラウンドに論及している。
    今、沖縄の基地移転が喫緊の課題となっているが、外交・国際情勢の章では、専門分野の読みとして、アメリカは優先順位の関係で、日本防衛のコミットメントから徐々に撤退していくと予測する。
    その場合の日本の生き残る道は、沖縄をアジア統合のハブにすることだと提案する。一読の価値ありか。

  • 前著「シビリアンの戦争」が興味深かったのをきかっけに著者のブログもちょくちょくフォローしていた。ブログ読者にとっては既読の項目も結構含んでいる。

    ナショナリズムを嫌悪しつつ空想的平和主義にも懐疑的な穏健保守、といういわば「ビジネスパーソンの気持ちいいところ」が立ち位置の人、という印象を抱いていただけに、この割とラディカルな書名はやや意外かつ期待値は高かった。お、あえてこのタイトルなら予定調和でない何か新しい視点が得られるかも、と。

    その観点からいうと、安陪政権に対する評価が総じて肯定的なのはやや肩透かし。もちろん「肯定している」ことそれ自体への不満ではなく、それなら別にこの書名でなくてもよいのでは、という意味で。これだと文字どおり「日本に絶望している」想定読者層の一部は途中で投げ出してしまうのではないか。

    その意味では、圧倒的に迫力があったのは「非正規、女性」にフォーカスした労働市場の論考だった。こういう人々にまっとうに報いないで何のための国民国家か、民主主義か、という一連の主張はもっとも切実に響いた。繰り返しだが、読むべき人たちが外交・安保部分で「ちっ、政権万歳か」とここまでたどり着かないとすれば、それはもったいないという思いだ。

    要は、国民国家という形で経済の際限なきグローバル化を一定程度せき止める(そのための防衛コストも税金として国民に負担させている)以上、その枠内の人々の不公平は許容すべきでない、ということと理解した(結果としての格差もさることながら、「世代」とか「性別」といった基本的には変えようのない前提条件の不公平の是正)。私はこれに強く共感するし、この点の進捗のあまりの遅さこそが著者のいう「絶望」なのかもしれない、というようなことを思った。

  • 共感をキーにして著作しており、それなりにまとまっているので良いと思います。

  •  話題の美人政治学者(それにしても、この「瑠麗」というきらびやかな名前、美人でなかったら荷が重いよな)が、自身のブログ「山猫日記」をベースにまとめたもの。著者にとって初の新書、初の一般向け単著である。

     なかなか魅力的なタイトルではあるが、内容はとくに入門書という感じではない。ふつうの政治時評集である。
     ただ、著者が「あとがき」に「構造に着目した分析を心がけています」と書いているとおり、構造的な分析が勝った時評なので、その分だけ一般的な時評よりは入門寄りといえるかも。

     「この著者は安倍政権にすり寄っていてケシカラン!」というAmazonのカスタマーレビューが散見する。とくに右翼的でないのに安倍政権に好意的(集団的自衛権行使にも賛成)であるのは、いまの言論界では特異な立ち位置かも。

     著者は、いまの政治学者の中でも言葉のセンスが抜きん出ていると思う。「うまいこと言うもんだなあ」と感心するキラーフレーズが随所にあるのだ。

     たとえば、ロシアのクリミア編入に際しての欧米の対応を批判した、次のようなくだり。

    《私が非常に気になるのは、ウクライナ全体の安定と人々の安全が問題の核心であるはずなのに、EU諸国やアメリカが、益がないばかりか非現実的な対応をしていることです。まず、欧米の指導者や識者の頭の中には、民衆革命のファンファーレが高らかに鳴りすぎています。これは、欧米の指導者の自国の歴史の自画像が作り出す、根強い、往々にして害のある思考パターンです。》

     この文のキラーフレーズは、「頭の中には、民衆革命のファンファーレが高らかに鳴りすぎています」だ。このフレーズに込められたアイロニーの痛烈なこと。

  • テレビでしゃべってる方が面白い

  • 決して「日本に絶望」していないけど、「政治の勉強がしたい!」と思ったら、目の前にあった一冊。笑 すんなり理解できる章となぜか難解(おそらく自分の知識不足。。。)で「???」になる章と理解にばらつきはありましたが必死についていきました。笑

    しかし、「政治を知ろう!」と思ったら「歴史」「経済」「民族」など多岐にわたる理解がないと関係性を理解することができないことを思い知らされる。。。さあ、また勉強しよっ!

  • 日本の状況を努めて客観的に見ていると思う。
    しかし、妄想の世界に生きる人々が多数の現実。予想が当たることはあっても、提言が活きることはなさそうに思えてならない。

  • 冷戦期は安全保障を語るのはジャーナリストでも学者でも、危ない人というレッテルを貼られた。

    外交の基盤は情報で、情報の基盤は分析。
    我々が恐れるべきは、我々自身の無責任な冷戦思考。冷戦思考には様々な悪癖がある。

  • 保守とリベラル、グローバルと伝統、同盟と独立、官僚と民主主義、高齢者と若者、男性と女性、生産と分配といった二項対立。自由と平等を求めて戦ったリベラリズムは冷戦後に窮地に立たされた。戦前回帰を主張する日本の保守も疑問。排除の論理は自らの首を絞める。今の日本の右派は単なる反左派。現在の日本のコンセンサスは中福祉・中負担の福祉国家運営。基本的人権や個人主義の尊重。防衛主体の軍事力の保持。その他テーマは野党再編への期待など多岐にわたる。

  • タイトルに惹かれて購入。なぜ絶望しているのか? ○民党も民○党も国民の辛さを真に理解した政治を行っていない不満があるから。そして、地方自治体の長や国・地方議員は名前を連呼するだけの選挙運動、地縁血縁で票を入れることを民意とする国民に絶望しているから。本書は残念ながらその解を提示してはいない。国際政治学者としての政策提案としては面白いものがある。ただしカタカナ語を多様する筆致には辟易したが……

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

三浦瑠麗(みうら るり)
1980年神奈川県生まれの研究者。専門は国際政治。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。東京大学農学部を経て、東京大学公共政策大学院修了、東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。主な著書に『シビリアンの戦争』(岩波書店)、『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書)、『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書)。2019年5月17日、自伝的作品『孤独の意味も、女であることの味わいも』(新潮社)を刊行。

日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)のその他の作品

三浦瑠麗の作品

日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする