イスラーム国の衝撃 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610136

感想・レビュー・書評

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  • 最近のISILの事件の報道を見て、イスラム圏の事情を全く知らなくてニュースが理解できないと思っていたときに、@unmotored さんが推薦してたのでkindle版で購入。
    #図書館の本には長蛇の待ちが入ってました。

    なるほど、これは非常にわかりやすく、時宜にかなった良い本でした。
    中東の地理すら危ういので、家では地図帳とにらめっこしながら読みました。

    ところで、本題とは全然違い不謹慎ですが、国家に対抗するために、中央集約的組織に拠らない個別の行動が、不特定多数に宛てた宣伝やプロパガンダによって、全体としてある目的に沿って機能するというシステムの存在は目から鱗でした。
    この考え方は、高等動物の脳による中央集権的な身体の支配に対して、昆虫のようなプログラムされた反応と分散的な神経系の生命の違いのようにも感じます。
    常識的に考えると、統制がとれた組織の方が効率も良く、強そうですが、構成員の自主的行動による活動はそれを完全に止めることは大変難しいですね。
    組織論として興味深い点も多く、もう少し、この考え方を突き詰めてみたいところ。

    そうそう、本が増えるのが嫌で、ここ数年は本は図書館で借りて読むようにしていましたが、最近kindle版にあってすぐに読みたい本はkindle版で買ってしまいます。
    #持ってる本すらkidleで買い直したものも(^^;;

    今回の本みたいに巻頭の地図と読んでるところを行ったり来たりしながら読むのも出来るし、本に書き込むのが嫌いな私でも、電子的にならマーカーを引いたりするのも躊躇なく出来るし、辞書も引けるし、思い出したときにすぐ見れるしで、kindle、便利だなぁと。
    いっそのこと、全ての本のkindle版が出て欲しい(笑)。

  • なんか難しい

  • 評判通りわかりやすく良書なり。

  •  前に読んだ『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』(ロレッタ・ナポリオー二著)と同じく、IS(イスラム国)の一般向け概説書である。

     ISについての誤解や先入見が突き崩されていくくだりが随所にあり、蒙を啓かれた。たとえば――。

    《日本ではしばしば根拠なく、ジハード主義的な過激思想と運動は、「貧困が原因だ」とする「被害者」説と、その反対に「人殺しをしたい粗暴なドロップアウト組の集まりだ」とする「ならず者」説が発せられる。相容れないはずの両論を混在させた議論も多い。西欧諸国からの参加者のみを取り上げて、「欧米での差別・偏見が原因」と短絡的に結論づけ、「欧米」に責を帰して自足する議論も多い。
     本書で解明してきたグローバル・ジハードという現象の性質を理解すれば、単に「逸脱した特殊な集団」や「犯罪集団」と捉えることは、問題の矮小化であると分かるだろう。》

     また、ISの資金源についての考察にも唸った。「世界で最も富裕なテロ組織」と呼ばれるISだが、それはいくつもの誤解に基づく過大評価の面がある、というのだ。

    《サウジアラビアが資金源という説は、イスラーム系武装勢力一般に流れる資金と「イスラーム国」の資金を混同しており、シリアやイランやロシアによる意図的なプロパガンダの影響を露骨に受けている。サウジアラビア政府の資金が直接「イスラーム国」に供与されているとは考えにくく、あったとすれば、ジハードを支援する宗教寄進財団を経由した個人の寄付だろう。》

     ……というふうに、巷間ささやかれる「資金源」説を一つひとつ否定し、実態を明らかにしていく手際が鮮やかだ。

  • 2015年02月13日 17:58

    自分のイスラム圏、文化、歴史、宗教への無知を思い知り、佐藤優氏の書評を読んで購入。 
    客観的に事実を網羅し、私のような素人にも分かりやすい文章で書かれていて、理解が深まった。 

  • ISは一見、信者からすると目から鱗のような新しいことを言っているのだと思っていたが「新しい思想を提示することへの無関心こそがイスラーム国の特徴」とあって、今まで知らなかった事実を本書に教えられた。
    ムスリムが一般的に信じているか、あるいは強く反対はできない基本的な教義体系から要素を援用している。

    ISの特徴はメディア戦略。ビデオにおいてはハリウッド並みの技術を持つ。映像における構成もしっかりしており、人々が目をそらさず、思わず見てしまうような演技、演出をしている。
    表立って欧米人を使うことで話題性を作っている。組織が大きく見えがち、噂されがちのため、本当の実態はもっと小さい可能性がある。

  • アル・カイーダ、アラブの春、イスラーム国とそこに一連の流れがある。それにしてもアラブ諸国やイスラムは洋語が複雑すぎる。(笑)もう何冊か読んで状況を俯瞰してみよう。

  • 9.11アメリカ同時多発テロ以降、各メディアで言われるように
    なったイスラム過激派またはイスラム原理主義者という言葉。

    世界各地で起きたテロのニュースを見ながらも、どこかで日本
    には無関係だと思っていなかっただろうか。過去には日本人が
    人質になったこともあった。殺害された日本人もいた。

    だが、日本も無関係ではなくなったのがイスラム国による
    邦人ふたりの拘束・殺害事件だったのではないか。

    あの事件以降、イスラム国に関する書籍がいくつか出されて
    いる。既にジャーナリストの常岡浩介氏の著作を読んでは
    いるのだが、もう少し歴史的背景から知りたいと思って
    選んだのが本書である。

    感情を廃し、実に冷静にイスラム国の成立からその背景に
    あるもの、彼らが行う報道活動、外国人戦闘員の有効な
    使い方を解説している。

    ただ、読み手の私の知識不足で十分には理解出来ていない
    部分も多い。

    結局はアメリカの中東政策の失敗だったのか?湾岸戦争以降、
    アメリカは中東に自分たちの都合のいい政権を作ろうとした。
    それがことごとく失敗している。統治能力がなかったり、
    アメリカが手を引いたそばから暴走したり。

    部族、民族、宗派の対立。そして、抑圧された一部の集団が
    権力の隙をついて支配を広げて行く。

    「ビンラディンを殺害しても、第二・第三のビンラディンが
    生まれるだけだ」と言った人がいた。

    もし、アメリカがアサド政権と手を組んでイスラム国殲滅に
    成功したとしても、似たような組織はまた生まれて来るのでは
    ないだろうか。

    中東が安定するには国境線を引き直すしかない?まさかね。

  • ポピュリズムの本を読んで、西欧においてイスラムに対する風当たりは思った以上に強いんだな、と感じたので、積んでたイスラーム関係本を読んでみた。聞きかじった知識が断片的にあるよ、くらいの状態だったので、まとまったものを読んで整理されたような気がする。

  • イスラーム国(IS)について解説する一冊です。なぜ中東の情勢が不安定で、この地域でイスラーム国が台頭したのか?本書を読むとその背景がだんだんと浮き上がってきます。イラクを筆頭に米国の武力によって民主主義が破壊されてしまったという事実が中東地域をさらなる混乱に陥れたのではないか?そう思わずにはいられない一冊です。

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