大人のための昭和史入門 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2015年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166610389

作品紹介・あらすじ

「戦争はいけない」「軍部が悪玉だった」「指導者が愚かだった」――歴史はそんな悪玉、善玉の二元論では語れません。昭和の日本がたどった戦争の時代16のテーマを、社会のダイナミズムを知る大人ならではの歴史観で読み解く、昭和史再入門の決定版!

現代最強の知性19人が論じつくします。



昭和史 最重要テーマ16

【世界史のなかの昭和史】半藤一利、船橋洋一、出口治明、水野和夫による特別座談会

【リーダーに見る昭和史】「日本を滅ぼした『二つの顔』の男たち」保阪正康

【満州事変】「永田鉄山が仕掛けた下克上の真実」川田稔

【張作霖爆破事件】「軍閥中国は「イスラム国」状態だった」広中一成

【国際連盟脱退】「松岡洋右も陸相も『残留』を望んでいた」井上寿一

【5・15事件】「エリート軍人がテロに走るとき」別宮暖朗

【2・26事件】「特高は見た『青年将校』の驕り」佐藤優

【日中戦争】「蒋介石が準備した泥沼の戦争」北村稔

【三国同盟】「『幻の同盟国』ソ連に頼りつづけた日本」田嶋信雄

【日米開戦】「開戦回避 チャンスは二度あった」佐藤元英

【原爆投下】「ヒロシマ・ナガサキこそ戦争犯罪だ」宮崎哲弥

【ポツダム宣言】「日本は『無条件降伏』ではなかった」五百旗頭真

【東京裁判】「戦争裁判の遺産と限界」日暮吉延

【GHQ占領】「日米合作だった戦後改革」福永文夫

【人間宣言】「天皇・マッカーサー写真の衝撃」眞嶋亜有

みんなの感想まとめ

歴史を多角的に捉え直すことで、昭和の日本の複雑な社会背景や戦争の経緯を理解する手助けとなる一冊です。各テーマを異なる著者が掘り下げ、満州事変や国際連盟脱退など、戦前から戦後にかけての重要な出来事を時系...

感想・レビュー・書評

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  • なぜ日本は戦争に突き進み、悲劇的な結末となったのか知りたくて読む。
    組織の統制不全、メディアと世論、各国の思惑、経済力と資源力、様々な要因について知ることができる。国際社会で平和に生きるために、自分だけでなく全ての人がこの戦争の歴史から学ぶことが必要だと思う。現代のロシア、アメリカの大国がやっていること、戦争の口実が本書から知り得たことと重なり、そう思う。

  • 阪南大学図書館蔵書検索OPACで貸出状況や所在を確認↓
    https://opac-lime.hannan-u.ac.jp/opac/volume/684634

  • 最初対談本かと思ったら、各テーマごとに異なる執筆者が書いたパティーンだった。入門書というにはテーマの選び方に疑問を感じるかな……。
    戦前は満州事変や国際連盟脱退など。WWⅡは三国同盟(+ソ連)や原爆投下など。あとその後のポツダム宣言を受諾しての降伏、東京裁判、GHQの占領政策など。
    私は広中一成氏の中国軍閥、井上寿一氏の国際連盟脱退、五百旗頭真氏のポツダム宣言の項などが勉強になった。
    今まで知らなかったことも知ることはできた。

  • 日本近代史について、さまざまな著者が
    色々な視点で時系列に語っている

    教科書で聞いたことある出来事、
    人名くらいだったので中々理解を全て
    できるわけではないが
    太平洋戦争に向けては世論もかなり強かったこと
    敗戦国としての根強い意識、
    島国だからこその思想など、多角的に知れた

    今の社会を見ても、政治への興味などがないと
    こういったことになりかねないな、と思った

  • 座談会形式の分量が予想以上に少なく、その代わりに各分野の識者による様々な角度から昭和史を分析した論考がメインとなる構成。色々な考察を読めるのは興味深かった。個人的に昭和史は戦前戦後含めて余りにも膨大で複雑な事象が入り組んでいてまだまだ理解が追いつかない。幾らでもおかわりできてしまうほど興味が尽きない。

  • こんなに近い歴史なのに、改めて知らないことばかりと認識。勉強必要です。当時の日本国内、中国国内、その他の個々のプレーヤーの考え、動き、そして、その絡まりが大変興味深かったです。「人間宣言」の項の「米英に対する劣等感」「そこから生まれる淋しさの感情」、日本人に通底する心性、なるほど。そうかもしれません。

  • 近代の歴史は、思っていたよりも込み入っている。

  • 2022.3.17 29

  • 全書を通じて一貫したテーマがあるわけではなく、識者からの様々な角度からの昭和史解釈。
    海と陸の話。GHQ。近代史における日本の立ち位置等、断片的に興味深いコンテンツあり。
    尚、予備知識が必要で入門書ではない。

  • 200619大人のための昭和史入門
    半藤一利 舟橋洋一 出口治明 水野和夫 佐藤優 保阪正康

    1.日本の失敗
    1915 対華21カ条要求 袁世凱←田中義一
    1929 世界恐慌
    1931 満州事変
         高橋是清蔵相 積極財政 成長率7%/5年平均
    1936 緊縮財政へ 高橋暗殺


    2.戦争目的がない→グランドデザインが必要
    目的がないから、出口戦略も描けない
    縦割りの部分最適 全体最適へ
    「損切り」ができない
    各部署が大本営発表 無責任

    3.国際連盟の脱退
    1933 国際連盟の脱退
    1940 日独伊三国同盟

  •  歴史を読んでいると、今まさに起きていることについて考えさせられる。そんな気がした。最初の章の半藤一利さんたちの対談。リットン調査団の報告とか、日本史では日本の排除的なイメージで聞いた気がしたけど、実は日本の権益を認めるというものだったとか。そこで喧嘩を打っちゃうなんて、賢明じゃなかったよというのは他でも聞くところ。当時の日本でもそれがわかっていた人はいたのに、その意見が通らなかった。

     合いの手のようにいれられる出口氏のコメントが考えを広げてくれる。

    「わかっていた人がいたのに、それが影響を与えられないという組織構造が問題なんじゃないでしょうか?」

     そういう組織構造は、今まさに現在進行形の問題なんじゃないだろうか。

     本書全体でいうと幅b広く、いろいろな人の文章が集められている。読んだことのある人の文章もあれば、そうではないんだけど専門的には深く研究しているらしい人の文章もある。売れている人の方が、文章に読みやすさとか個性があるなぁ、というのは感じるところ。学者さんというだけの方の文章って、なんか報告書みたいでね(苦笑)。それはそれとして、知らなかったことをあれこれ知れたとはおもぅんだけどね。

  • 昭和の政治経済を全般的に学べる。
    戦後のGHQと当時の国内政治は中学高校で浅くしか学んでいなかったので頭の整理ができてよかった。

  •  「大人のための」と銘打ったのは、学校で習ったような単純化された歴史観では片付かない複雑な問題と向かい合うため、と「はじめに」で書いている。
    ・松岡洋右全権も荒木貞夫陸相も国際連盟脱退を望んでいなかったが熱河作戦の悪影響を抑えるため脱退した
    ・外務省(善玉)対軍部(悪玉)の二項対立図式ほど単純ではない
    ・1930年代末から太平洋戦争下、ソ連は対英米戦のための潜在的提携国であった
    ・日本は「無条件降伏」ではなく、米政府内のグルーやスティムソンの意見により天皇制保持など日本が受け入れやすい形にされた
    ・戦後改革は、項目により濃淡はあるが日本側の開明的官僚のイニシアチブもあった
    ・日韓の歴史問題での対立は戦後一貫したものではなく80~90年代から激化
    といった記述は、確かに素人がイメージする歴史とは異なる。また、冒頭の対談では、第一次世界大戦後に国際政治は伝統的な帝国主義外交から「理念」、経済やルールや持ち込まれるようになってきたのに、日本はその変化についていけなかったと語られている。
     各論はそれぞれ10頁程度なので読みやすい。他方、筆者や対談者の中には、五百旗頭真教授をはじめ十分な実績がある研究者と、どちらかと言えば文化人枠のような人物が混在しており、各論考の評価が難しい。テーマや各筆者の背景はバラバラで、統一されていない印象も受ける。

  • 感想未記入

  • 今日の書評は「大人のための昭和史入門」この本の導入部の座談会が興味深かったので、そこからブログを起こします。目からウロコ的なところが多かったです。

    まずカール・シュミットというドイツの政治哲学者は、世界史を「陸と海の戦い」として捉え、近代は交易や情報を握った「海の時代」としているとのことです。

    例えば、日露戦争は「陸の国」ロシアに対し「海の国」日本とイギリスの同盟が勝った戦争といえる。

    第一次世界大戦もまた、アメリカ、イギリスといった海の国が勝ち、ドイツを中心とした陸の国が敗れた。日本は戦勝国で「海の国」だったのに関わらず、その後「陸の国」を志向した。それで中国に攻め入り、陸の陣営で負けた。

    また日本は石炭から石油への切り替えが遅い。その為石油の為に満州、南方進出となったということです。

    また、アメリカが「門戸開放」即ち経済自由主義という普遍的な理念を展開する中で、日本はアジアのローカル・ルールでやれると考えていた。日米が戦争するまで、日本とアメリカは最後まで共通理解を持つことができなかった。

    話は第一次世界大戦に戻るが、戦争直前の各国の工業生産力、鉄鋼や石炭の産出量を見ると、ドイツ、オーストリア=ハンガリーの同盟国と、ロシア、英国、フランスの連合国はほぼ拮抗している。ところがアメリカは一国で、両グループと同じ生産量を有していたとのことだ。

    戦争により、各国は財政再建に走り、金本位制に戻すのだがそうするとやはり景気が悪くなる。日本もヨーロッパも20年代を通じて2%ぐらいしか成長していないのだが、アメリカはもうすでに21年ころから、反転に転じて完全な独り勝ちになっている。

    近年、高橋財政とアベノミクスの同質性を指摘する声があるが、高橋も短期的には金融リフレ政策を行い、円安を放置して軍拡で需要を生み出した。さらに長期的には皇族改革に取り組もうとした。次に大恐慌からの痛手から立ち上がると、今度は財政再建に着手する。これが軍縮をもたらし、軍部と衝突し2・26事件で高橋が殺された遠因となったことは間違いないという。

    先程も上げた「海の国」と「陸の国」でコストを比較すると、「海の国」は優位である。海の国が抑えるのは基本的に市場と港で、例えば上海とかシンガポールとか拠点を点で抑えればいい。

    一方「陸の国」は鉄道を敷き、その沿線を守るため軍隊を出す必要がある。線と面を抑えるためコストがかかる。

    話は変わるが「リットン報告書」は各新聞社の論説委員がみんな「日本に好意的な評価だ」と感想を漏らしているが、社説では徹底的に批判している。当時のメディアの論調は、満州事変も賛成だし、満洲国も賛成。ひとたび世論を沸騰させてしまうと、今度は世論に縛られてしまう。

    日中戦争で不思議に思うのは、日本は「十八史略」などで中国は首都を取っただけでは、戦争は終わらないということは分かっているのに、ということ。三国志の劉備も逃げては精力を回復してくる。

    最後に山本五十六が対米戦の見通しを聞かれて、「是非やれといわれれば、初めの半年や一年はずいぶん暴れてごらんにいれます。しかし、二年、三年となっては、全く確信は持てません」と答えた有名なエピソードがある。これは日本の国力を見極めた発言である。

    最後に、人類は第二次世界大戦が終わったとき、ともかく戦争に正義はない、「正義の戦争」は存在しない、ということを知った。それがやはり教訓である。しかしそれが21世紀になって変わった。その始まりはNATOが1999年コソボを空爆した。その理由が「人道の為」だった。9・11後もアメリカはテロを防御するため、先制攻撃だとしてイラク戦争を始めた。アフガニスタンに進行した。また人類は教訓を忘れている。

  • 第一次大戦で帝国は次々に崩壊したため、直接的な統治による帝国の時代は終わり、英米は経済やルールによって支配する非公式の帝国を展開するようになった。しかし、対華二十一か条要求は5号が日本人を顧問として入れることや警察を日中合同とするといった内容だったため、公式な帝国になることを宣言したようなものだった。そのため、イギリスは日英同盟から手を引き、アメリカは日本を警戒するようになった(水野)。

    1940年に締結された日独伊三国同盟は、第5条で独ソ不可侵条約をはじめとする対ソ関係の現状維持が確認されており、付属文書ではドイツが日ソ両国の友好的了解を増進することを規定していた。日本は、ソ連を加えた四国同盟に発展することをめざし、1941年4月には日ソ中立条約が締結された。

    日米開戦を回避する機会は2度あった。1941年4月に作成された日米諒解案では、日米通商関係の正常化、東南アジア資源取得についての日米協力、アメリカによる日中和平斡旋などが謳われていた。外相だった松岡洋右は三国同盟に抵触しないことなどを求めて大修正したため、アメリカ側は失望した。同年6月に独ソ戦が勃発すると、対ソ戦に参戦するか(北進論)、東南アジアに進出するか(南進論)の選択を迫られた。7月に「世界情勢変転の如何に拘らず大東亜共栄圏を建設」するために南進を決定し、南部仏印に上陸を開始したため、アメリカは抑止力としての硬化を狙って、綿と食糧を除く一切の対日完全禁輸を発令した。近衛首相はアメリカ側に重大な危機意識をもたらしたことに驚き、天皇の全権委任によって大統領との直接談判を画策したが、アメリカ側は従来の「諒解案」が成立しなければ首脳会談には応じがたいという態度を示した。東条英機内閣の外相に就任した東郷茂徳は、日米関係が決定的に悪化した南部仏印進駐前の状態に戻す「乙案」を提議して陸軍に認めさせた。これを受けてアメリカ側も暫定協定案を作成して4か国代表に内示したが、11月の4か国代表との個別会談後に暫定協定案は撤回された。その理由としては、蒋介石の工作説、イギリスの工作説が有力だが、日本軍がタイへ進駐しようとしているという情報がもたらされたことがあげられている。

    原爆の使用について、日本では「軍事上の必須性に迫られたものではなく、ソ連を牽制して戦後の交渉を有利に運ぶという外交目的によるものだった」とする見解が通説で、原爆外交説と呼ばれている。アメリカでは、これを修正主義派に分類されており、オリバー・ストーンも修正主義派として扱われている。アメリカの哲学者ジョン・ロールズは、1940〜42年のベルリンやハンブルグへの空爆は正当であるが、戦争の帰趨が決した段階でのドレスデン爆撃、東京や名古屋などへの焼夷弾爆撃、広島、長崎への原爆投下は正当化できないという(「万民の法」)。戦争倫理学のマイケル・ウォルツァーも同様の議論を展開している(「正しい戦争と不正な戦争」)。

    戦後の占領下で行われた選挙法改正と労働組合法は、戦前に日本政府で用意され、戦争によって中断された改革案が日本側のイニシアティブによって実現し、農地改革は日本側のイニシアティブで始まり、GHQの介入によって徹底された。財閥解体は日本側の発想がなく、GHQのイニシアティブによって行われた。

  • 全然入門書ではないし、10~15P程度で、昭和の事件を違う人が各々の独自の視点で説明しているだけなので、体系的でもなく、断片的で内容のレベルもテイストもバラバラ。雑誌記事を1冊の新書に仕立て上げて、いい加減な題名をつけただけ。

  • 予備知識がかなりいる。そこそこ歴史を勉強した者だと楽しめるかも。何人かの論客による歴史考察。

  • 20160220 ある程度昭和史を知ってる人向け。ほとんどなんも知らない人には、話がブツ切りすぎて理解できないとこがある。

  • 昭和の問題について各有識者が深く語る。教科書以上に知識を深めたい人のための歴史書。多面的な論じ方が好印象。戦争は正義。


     戦争は正義だから、悪いんだ。極悪。

     善い悪いじゃなく、正義の名のもとに始めるから戦争はヤバい物なのであるとわかる。そんな本。


     この本に登場する話題の一般論くらいは知らないとチンプンカンプンな内容だと思うから、決して入門編ではない。中級編だな。でも中級者には、面白い。スゴイおもしろい。


     昭和の時代って、現代ほど合理的じゃなくて、近世ほど非科学的じゃない。そんな中途半端だから泥沼の時代になったんだなという印象だった。
     明治時代はもっと西欧的で、合理的で、法治的だったのに。優秀な人ほど先に死んでいく時代だったから、混迷を極めたんだな。


     現代社会は合理的に進んできた。それゆえの歪みが出てきそう。正義に踊らされた歪んだ主張がまかり通るようなね。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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