大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610457

作品紹介・あらすじ

『新・戦争論――僕らのインテリジェンスの磨き方』に続く、最強コンビによる第2弾! 今、世界は激動の時代を迎え、各地で衝突が起きています。 ウクライナ問題をめぐっては、欧州とロシアは実質的に戦争状態にあります。 中東では、破綻国家が続出し、「イスラム国」が勢力を伸ばしています。そして、これまで中心にいたアラブ諸国に代わり、イラン(ペルシャ)やトルコといったかつての地域大国が勢力拡大を目論むことでさらに緊張が増しています。 アジアでは、中国がかつての明代の鄭和大遠征の歴史を持ち出して、南シナ海での岩礁の埋め立てを正当化し、地域の緊張を高めています。 長らく安定していた第二次大戦後の世界は、もはや過去のものとなり、まるで新たな世界大戦の前夜のようです。わずかなきっかけで、日本が「戦争」に巻き込まれうるような状況です。 こうした時代を生きていくためには、まず「世界の今」を確かな眼で捉えなければなりません。しかし直近の動きばかりに目を奪われてしまうと、膨大な情報に翻弄され、かえって「分析不能」としかいいようのない状態に陥ってしまいます。ここで必要なのが「歴史」です。世界各地の動きをそれぞれ着実に捉えるには、もっと長いスパンの歴史を参照しながら、中長期でどう動いてきたか、その動因は何かを見極める必要があります。 激動の世界を歴史から読み解く方法、ビジネスにも役立つ世界史の活用術を、インテリジェンスのプロである二人が惜しみなく伝授します。■目次なぜ、いま、大世界史か中東こそ大転換の震源地オスマン帝国の逆襲習近平の中国は明王朝ドイツ帝国の復活が問題だ「アメリカvs.ロシア」の地政学「右」も「左」も沖縄を知らない「イスラム国」が核をもつ日ウェストファリア条約から始まるビリギャルの世界史的意義最強の世界史勉強法

感想・レビュー・書評

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  • とてもわかりやすく説明してくださる人気のお二方の対談。
    どんなところがわかりやすいかというと、わからない語句の意味を「それはつまりこういうことです」と説明してくれたり、「では〇〇についておさらいしておきましょう」と解説をいれてくれる。

    それに知識が豊富なので、いろいろなことがわかって、本当に、とても面白いのです。
    「へー、そうだったんだ」と思うことが満載!

    ひとつ嬉しかったことを書いておきます。
    池上「日本人にとっては意外なのですが、実は韓国の人たちには、北朝鮮の核開発はそんなに無理やりやめさせなくてもいい、という意識がありますね。
    韓国が独自に核開発をしようとすると、アメリカからいろいろうるさく言われるけれど、いずれ南北が統一されれば、北朝鮮の核が我々のものになる、と。」

    私は北朝鮮と韓国が統一してくれたらいいなあと、ずっと思っていました。
    そうしたら横田めぐみさんがお父さんお母さんと再会できるのではないでしょうか。
    韓国の人たちにそういう希望があるなら、がんばってほしいです。

    それと、もうひとつ大事なことを書かなければ。
    佐藤「(トランプのことを)しかし、民主党候補に勝ち、大統領になれるかと言えば、その可能性はほぼゼロでしょう」

    この本は一年前に発行されたものです。
    佐藤さんのその後の御意見をぜひ伺いたいものです。

  • さすが池上さん、歴史を学ぶ重要さがわかる本だ。しかも本書には現在の世界政治の源流が楽しく理解できるというポイントまで付いている。
    対談の相手は「外務省のラスプーチン」佐藤優氏。東京拘置所では勉学に没頭していたという知性の塊り、この二人は意外とケミストリーが合うのではないか。いつも冷静な池上さんが本書では普段よりも政治的にやや突っ込んでいる。
    また、オスマン帝国やペルシャ帝国の歴史を聞くと、自分がいかに無知だったのかがよくわかる。現在の国際政治は過去の経過の上に成立していることが思い知らされた。本書をまさに「最強の教科書」と高く評価したい。

    2017年7月読了。

  • 本書でイスラム世界の動きで注目すべきはトルコと記載されているなか、軍部によるクーデタ未遂。まさに慧眼としかいいようがない。それにしても、プロの分析者の目というものは一般人とここまで違うのか、と思い知らされた。まさに歴史を学んでいないことを思い知らされる一冊だと思う。

  • 純粋に勉強になる。
    「いま起きているニュースはどのような理由から来ているのか」人や「世界史勉強しなおしたいけど、忙しくてなかなかできない」人、「今世界情勢はどんななってるのか気になる」人は、とても勉強になる本。ざっくりだけども、世界全体を概観できるつくりになっている。ただ、世界の動きと日本の動きを連動させてみるには、やはり自分の頭でしっかりと考えなければならないので、この本はその助けになるだけと思っていたほうが良い。

    読後感は、「そっかー」で終わりがちなのが、こういった教養本であるが、そう終わらせないためにも自分の頭で考える必要がある。以下、自分なりに整理。

    ①中東の動き(イスラム国だけではなく、トルコ、サウジも含めて)は、宗教、民族の視点でみないと読み解くことができない。例えば、シーア派とスンニ派、イスラム穏健派、イスラム過激派、クルド人、などなど。こういった知識は前提として持っていないと中東の動きは何がなんだかわからない。

    ②アメリカ、中国、EU(ドイツ)、ロシアという帝国の動きは世界史を見る上で、欠かせない。とくに、アメリカの動きはすべての国際情勢に影響を与えるだけに、ホワイトハウスは何をしているのかをしっかりとみるべきである。また、中国に関しても、ロシアと中国、アメリカと中国、EUと中国の関係性は押さえておかないといけない。

    ③①と②の動きの連立方程式で物事をみていく必要性がある。

    現在帝国が、今後国際社会でどのような役割になっていくのか、どのような思惑、世界戦略があるのか、をしっかりと見据えたうえで、現在を動きを注視していかないといけないだろう。そのことを考える上で、重要になるのが「世界史」なのだと両者は言っている。たしかにそのとおりだろう。

    これに加えて、国際情勢を経済面から分析している論考も合わせて読むと世界を立体的に見れると思う。

  • いま世界で起きている事の理解が深まります。

    SNSなどの世界で徹底的に他人を叩く様な出来事があるのは、反知性主義の現出の一種なんでしょう。この本を読んで、ストンと落ちました。こう言う事は、品質劣化の激しい今時のテレビでは放送され無いので、広く知る機会が無かったですね。こう言う本が出て本当に良かったと思います。

    歴史や世界を学ばなければ、日本の将来に暗雲が立ち込めて来る気がします。(既に時遅しかもしれませんが)

  • 面白かった。でもちょっと難しかった。
    地図を見ながら読んだら、ほんとに面白かった。

    中身は対談形式。
    うろ覚えでいいので、高校の世界史の知識がないと、ついていけない本。
    世界史を紹介した普通の本ではなく、歴史を踏まえて今起きていることをどのように捉えるか、大局的な一つの見方を述べている。

    あーこんなことあったなー、なるぼどこういう風に繋がると解釈できるんだ、と発見が多かった。
    だから、歴史は面白い!
    こういう本は楽しい。


    本の中で、反知性主義という言葉が出てくる。
    反知性主義とは「客観性、実証性を軽視もしくは無視せて、自らが欲するように世界を理解する態度」(抜粋)をいう。

    今、私の周りにも、反知性主義がはびこっている。本人たちが意識的か無意識か、また程度のレベルは別として、そういう人たちは多い。

    都合が良いところだけ切りとり、都合が悪いことは無視するので、見ていてなんとも気持ち悪い。たまに人間性を疑いそうになる。
    この本が多くの人に読まれ、そうした変な状況が少しでも減るといいな、と祈りたい気分になった。



    追記: 著者の池上さん、佐藤さん、本書は知識層にはいいけど、そもそも反知性主義的な人には難しいのでは?と感じます。もうちょっと易しい本を出すと良いのでは、と思ったりしました。
    …易しいのを出しても、読まないか、読んでも無視するから意味ないかも^_^;

  • ドイツは移民に寛大
    →2年で100万人のイスラム教徒移民が入ってくる
    →シリア難民

    イギリスも難民の受け入れ態勢がしっかりしている
    ・難民として認められれば、定住できる


    中東
    ・イラク情勢の変化
    ・アラブの春以降の社会構造の変化
    ・過激なイスラム主義急速な拡大
    ・イスラム国やアルカイダとは異なるテロ組織の急増

    4勢力
    ・サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダン
    →アラビア語、スンニ派、アラブ諸国
    →欧米と協調
    ・イラン
    →ペルシャ語、シーア派
    ・アラブ人、イラク?
    →アラビア語、シーア派
    ・トルコ
    →トルコ語、スンニ派

    イラン対サウジアラビアがイエメンで起きている
    スンニ派とシーア派の対立が激化
    →中東全体を揺るがしている

    アラブ人
    →アラビア語を話す人

    トロツキー
    →世界革命路線
    スターリン
    →一国社会主義

    イスラム国
    →スンニ派

    イラクの現政権を実行支配してる
    →シーア派のアラブ人

    シャリーア(イスラム法)
    →ムハンマドの死後整備された
    →コーランとハディースが元
    ・コーラン
    →ムハンマドが神から授かった言葉
    ・ハディース
    →ムハンマドの現行に関する伝承

    アラブの春以降、アラブ諸国は分裂、弱体化している
    →非アラブのトルコとイランが帝国として拡張主義的政策をとっている
    ・トルコ
    →オスマン帝国
    ・イラン
    →ペルシャ帝国

    エルドアン大統領
    →イスラム化政策をすすめている
    →独裁のような形

    エルドアン・モスク
    →ミナレットが6本→恐れ多いこと
    →メッカのカーバ神殿が元は6本
    →→ブルーモスクを建てる時、間違えて6本にしてしまい、カーバ神殿に一本寄贈したことがある

    カリフ
    →預言者ムハンマドを代理するもの

    ・クルド人
    →独自の国家を持たない世界最大の民族
    →2500-3000万人
    →イスラム教、スンニ派
    →トルコ、イラク北部、イラン北西部、シリア北東部
    →→第一次世界大戦でオスマン帝国が崩壊する前は、この地域は、クルディスタン(クルド人の土地)と呼ばれてた
    →→英仏のサイクスピコ秘密協定で、今の国に分割された

    為替ダンピングとは、輸出を伸ばす目的で輸出品の価格を安くするために為、自国の為替レートの切下げを行うことを指します。

    為替ダンピングができる国
    ・アメリカ、EU、イギリス、日本だけ

  • 現在の世界の動きを、歴史の流れから紐解く。特に中東の捉え方は学びになった。
    大きな捉え方として、膨張志向と収縮志向というものがある。
    オスマン帝国(トルコ)とペルシャ帝国(イラン)は膨張志向。スンニ派とシーア派の宗教の問題、また民族の問題が絡まり、中東のパワーバランスを形成している。
    アメリカは収縮志向。中国は膨張志向。膨張志向と膨張志向が衝突するところで紛争が起きる。今後は中央アジアも危険な状態になることが想定される。その他、ドイツ・ギリシャ・ロシアの地政学的立ち位置。世界の人口バランスは大きく変化することは明らかで、そうなるとパワーバランスも変わる。いかに世界の中でプレゼンスをとることができるのか?そういう観点で日本の外交を見ていくと面白いのかも、というかこれは自分にとっては死活問題でもある。

  • 世界史と日本史を広く鳥瞰し、さらに、歴史にとどまらず、政治、文化、軍事、宗教等を含む体系的な「知」の重要性を説く。
    現代日本に蔓延る「反知性主義」(実証性や客観性を軽視して、自分が欲するように世界を理解する態度のこと)への警鐘を鳴らしている。

    昨今のニュースを理解し、今の世界情勢を把握するのに有益。
    例えば「よく分からない」中東情勢(日本では、マスコミすらよく分かっていない)も、ポイントを把握して、過去の歴史に遡って学べば、全体像が見えてきて、理解が進む。

    イスラムではシャリーア(イスラム法)が絶対視されており、これが、頻発するテロの1つのバックボーンとなっていること、トルコとイランという「帝国」の復活を目指す2国の対立軸、ギリシャ=人造国家、過去の帝国の存在が世界各地で現代にも大きな影響を与えていることなどは、目から鱗であった。

  • 池上さんの解説は、やはりわかりやすい。

    高校時代、世界史から逃げ続けた自分にも非常にわかりやすかった。一から解説しているのではなく、現代日本との比較において必要なところをかいつまんでくれているのが、助かる。

    反知性主義なんて言葉すら知らなかった。

    対談形式なので、軽く読めるのも良い。

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ あきら)
1950年、長野県生まれのジャーナリスト。東京工業大学特命教授、京都造形芸術大学客員教授、名城大学教授、信州大学・愛知学院大学特任教授、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会理事を兼任する。
慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年から2005年までNHKで記者として勤める。以降、フリーランスのジャーナリストとして活動。ニュース番組で人気になった。2012年から2016年までは東京工業大学リベラルアーツセンター専任教授を勤め、定年退職後も学生教育に関わっている。

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