働く女子の運命 ((文春新書))

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610624

作品紹介・あらすじ

女性の「活用」は叫ばれて久しいのに、日本の女性はなぜ「活躍」できないのか? 社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2015」では、日本は145カ国中101位という低い数字。その理由は雇用システムの違いにある。 ジョブ(職務)=スキル(技能)に対して賃金を払う〈ジョブ型社会〉の欧米諸国と違い、日本社会では「社員」という名のメンバーを「入社」させ、定年退職までの長期間、どんな異動にも耐え、遠方への転勤も喜んで受ける「能力」と、企業へ忠誠を尽くす「態度」の積み重ねが査定基準になりがちだ。このような〈メンバーシップ型社会〉のもとでは、仕事がいくら出来ようとも、育児や出産の「リスク」を抱える女性は重要な業務から遠ざけられてきた。なぜそんな雇用になったのか――その答えは日本型雇用の歴史にある。 本書では、豊富な史料をもとに、当時の企業側、働く女子たち双方の肉声を多数紹介。歴史の中にこそ女子の働きづらさの本質があった! 老若男女必読の一冊。〈〈目次〉〉●序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか? ――少子化ショックで慌てて“女性の活躍”が叫ばれるという皮肉●1章 女子という身分 ――基幹業務から遠ざけ、結婚退職制度などで「女の子」扱いしてきた戦後●2章 女房子供を養う賃金 ――問題の本質は賃金制度にあり。「男が家族の人数分を稼ぐ」システムとは?●3章 日本型男女平等のねじれ ――1985年、男女雇用機会均等法成立。しかし欧米型男女平等とは遠く離れていた●4章 均等世代から育休世代へ ――ワーキングマザーを苦しめる「時間無制限」「転勤無制限」の地獄●終章 日本型雇用と女子の運命 ――男女がともにワークライフバランスを望める未来はあるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 本書は女性・職場・社会との連関を、近現代史、特に法令・政策の観点でまとめられている。自分自身は均等法施行後に就職したことと業界の関係もあり、日々の仕事の中でジェンダーギャップをこれまで感じる機会はほとんどなかった。しかしそれは、社会一般から見ればかなりレアな例だということが一読してわかった。そうした背景もあり、女性と労働のレリバンスは課題意識になかった。本書では女性にまつわる現行の制度が先人たち(特に女性)の労苦の上に成立していることが、史的に説明されている。まだまだ問題が山積している現代社会に、こうした諸問題に取り組める人材が、各所で求められる。とすれば大学教育が果たせる役割はまだまだ大きい。

    本書の題名がやや本文と距離感がある。やはり編集部側の意向なのだろう。

  •  ①女性の労働史・日本型雇用の生成史に関する歴史的記述、②日本型雇用がいかに女性の活躍を難しくしているかという現状の分析、の両点につき興味深い分析がなされている本だと思います。
     ①まず、第一点について。日本のメンバーシップ型の雇用が、戦時中の皇国勤労観を基礎として、戦後の労働運動の成果として受け継がれたという記述など、さまざまな面白い歴史的記述がなされていました。
     ②第二点について。日本のメンバーシップ型雇用は、銃後の女性によって支えられた男性をモデルに組み立てられたものであるがゆえに、男女平等も、女性がそうした男性のように働くことができる平等とされており、育児や家事などの負担を負う女性の活躍を難しくしていることが指摘されています。
     育介法での労働時間規制(17・18条)への言及などを通して、無限定な労働義務を課す日本型メンバーシップ雇用の異常性が炙り出されていく過程が非常に面白い記述となっていました。あとがきで「本書の特徴」として、女性労働を「徹頭徹尾日本型雇用という補助線を引いて、そこから論じたところにある」としていますが(250頁)、むしろ、女性労働を補助線にして日本型雇用を論じた本といった印象があります。
     本書で指摘されているとおり、ジョブ型雇用にはスキルのない若者の雇用問題もあるので、問題は簡単ではないと思います。

  • メンバーシップ・長時間労働・終身雇用と「男性」という要素は切り離せないものなのだと強く感じさせられた。

  • ■BGとOL
     ・BGは1950年代末から60年代にかけて短期勤続の女子事務員を指す言葉として流行
    ■戦前と戦後を貫く女性労働の特色は短期勤続
    ■会社側から結婚退職制の採用とその理由が示された「住友セメント事件」
     ・結婚前の女子は既婚女子に比して家事等に煩わされない
     ・結婚後において家庭本位となり欠勤が増え,適格性を欠き,労働能率が低下
     ・男女職員の実質的平等を実現するには女子職員の賃金体系を男子のそれと均衡のとれるよう低下させるか,高賃金で結婚までの短期間に限り特定の職種につき雇う
    ■20世紀初頭の日本では年功的な賃金制度など存在せず基本的に技能評価に基づく職種別賃金であった
    ■日本において賃金が労働者の生活を保障すべきものであるという生活給思想を最初にまとまった形で提唱したのは,呉海軍工廠の伍堂卓雄氏が1922年に発表した「職工給与標準制定の要」
    ■終身雇用を強制された全員の画一年齢給の形を取った家族扶養的生活賃金の確立
    ■従業者雇入制限令(1939年)+従業者移動防止令(1940年)→労務調整令(1941年)~終身雇用の徹底
    ■人種差別主義者が作った男女平等法
     ・人種差別を禁止する法案を廃案に追い込むため,「人種,皮膚の色,宗教,出身国」に「性別」を加える
    ■第一次ワークライフバランスの空洞化
     ・労働時間の規制
    ■第二次ワークライフバランスだけが充実
     ・労働時間の柔軟性
     ・育休世代が深刻なジレンマに陥るのは,基盤となるはずの第一次ワークワイフバランスが空洞化しているため

  • 【ジェンダーギャップ指数は一四二か国中一〇四位】女子が活躍できない理由は日本型雇用にあった! 男子のみ年功序列・終身雇用というシステムと女子の境遇を、歴史と資料から解明。

  • 性別による差別以前に、日本では法律で労働時間の上限が定められてないことを知って驚いた。てっきり、週40時間と決められてると思っていたけれど、筆者の言う通り、それ以上は残業になる、と線引きする区切りのことで、それ以上働けない、という時間ではない。

    女性がまともに働ける状況になるには、まず、そもそもの仕事に対する考え方が今とは別のものにならなきゃいけない。
    職務を遂行する技能のある労働者として、欧米の会社で働いてみたいと思った。

  • ●日本のメンバーシップ型社会では、ジョブをこなせるスキルがあるから採用したり昇進させたりするわけではありません。新卒採用から定年退職までの長期間にわたり、企業が求める様々な仕事をときには無理をしながらでもこなしていってくれるだけの人材であるかどうかと言う判断がなされます。女性は目の前のこの仕事をどれだけきちんとこなせるかなどと言う些細なことではなく、数十年にわたって企業に忠誠心を持って働き続けられるかと言う「能力」を査定され、それができなければ男性並みに扱われないのです。
    ●マルクス経済学で言う賃金とは「労働力の価値」。労働者がずっと労働者として働き続けられる程度の生活ができるギリギリのお金が労働力の価値と言うことになります。
    ●技能が高まるから賃金が上がるのではなく、ともかく年齢に連れて賃金を上げてやらなければならないからこそ、その賃金に見合う機能をつけさせようとするのだ。ただしその労働者が男であると言う条件付きで。

  • 東2法経図・6F開架:366.38A/H23h//K

  • 10 学ぶことと働くことはどのような関係にあるのか[上原慎一先生] 1

    【ブックガイドのコメント】
    「濱口氏の著作には参考文献に挙げたもののほかに、属性毎に特化したものがある。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』183ページ)

  • 働く女子の運命 濱口桂一郎 文春新書

    女性活躍推進法と言う
    愚かな管理法が作られた

    自主的な選択を無視した
    見かけ上だけの女の地位を
    上げる行政指導

    こんな無駄して嘘に苦しみ
    格差社会に逃げ込まなくても
    無条件のベーシックインカムで
    有り余った余剰生産物を再分配すれば
    全ての生命に行き渡り
    対等な関係の中で
    それぞれの創造を膨らませる
    冒険に集中できる

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著者プロフィール

*2008.11.17現在労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門

「2013年 『福祉と労働・雇用』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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