働く女子の運命 ((文春新書))

著者 :
  • 文藝春秋
3.68
  • (12)
  • (31)
  • (20)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 346
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610624

作品紹介・あらすじ

女性の「活用」は叫ばれて久しいのに、日本の女性はなぜ「活躍」できないのか? 社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2015」では、日本は145カ国中101位という低い数字。その理由は雇用システムの違いにある。 ジョブ(職務)=スキル(技能)に対して賃金を払う〈ジョブ型社会〉の欧米諸国と違い、日本社会では「社員」という名のメンバーを「入社」させ、定年退職までの長期間、どんな異動にも耐え、遠方への転勤も喜んで受ける「能力」と、企業へ忠誠を尽くす「態度」の積み重ねが査定基準になりがちだ。このような〈メンバーシップ型社会〉のもとでは、仕事がいくら出来ようとも、育児や出産の「リスク」を抱える女性は重要な業務から遠ざけられてきた。なぜそんな雇用になったのか――その答えは日本型雇用の歴史にある。 本書では、豊富な史料をもとに、当時の企業側、働く女子たち双方の肉声を多数紹介。歴史の中にこそ女子の働きづらさの本質があった! 老若男女必読の一冊。〈〈目次〉〉●序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか? ――少子化ショックで慌てて“女性の活躍”が叫ばれるという皮肉●1章 女子という身分 ――基幹業務から遠ざけ、結婚退職制度などで「女の子」扱いしてきた戦後●2章 女房子供を養う賃金 ――問題の本質は賃金制度にあり。「男が家族の人数分を稼ぐ」システムとは?●3章 日本型男女平等のねじれ ――1985年、男女雇用機会均等法成立。しかし欧米型男女平等とは遠く離れていた●4章 均等世代から育休世代へ ――ワーキングマザーを苦しめる「時間無制限」「転勤無制限」の地獄●終章 日本型雇用と女子の運命 ――男女がともにワークライフバランスを望める未来はあるのか?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • http://naokis.doorblog.jp/archives/empowering_women_deception.html【書評】『働く女子の運命 (文春新書)』〜問題の本質は「女性活用」じゃないよ。

    <目次>
    はじめに
    序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?
    第1章 女子という身分
     1 会社にとって女子とは?
     2 女工の時代
     3 女事務員の登場
     4 女子挺身隊と労組婦人部
     5 ビジネス・ガールとオフィス・レディ
     6 女子は若いのに限る
    第2章 女房子供を養う賃金
     1 生活給思想と皇国勤労観
     2 生活給を世界が批判
     3 職務給シフトの試み
     4 労働組合は生活給が大好き
     5 正体不明の「知的熟練」
     6 日本独自の「同一価値労働」論
    第3章 日本型男女平等のねじれ
     1 欧米ジョブ型社会の男女平等
     2 均等法を作った女たち
     3 日本型雇用・アズ・ナンバーワン
     4 「総合職」と「一般職」の登場
    第4章 均等世代から育休世代へ
     1 女性総合職の本格化とOLビッグバン
     2 転勤と間接差別
     3 夫は「ワーク」、妻は「ライフ」の分業システム
     4 ワークライフバランスの逆説
     5 マミートラックこそノーマルトラック
    終章 日本型雇用と女子の運命
    あとがき



    2015.12.30 登録 Amazonにて
    2016.01.17 借りる
    2016.01.24 読書開始
    2016.01.27 読了

  • 難しい。どうすれば良いのか悩ましい。

  • 著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると、女性労働の問題は、必ずしも女性労働に原因があるのではなく、雇用システムの問題が女性にしわ寄せされているということがよくわかる。これは、東京医大の入試不正操作の際に起こった議論でも感じたことと相似形であった。さて、切れ味鋭い女性労働問題の解説の後、では果たして、どのような道を今後女性の労働は、また、日本の労働社会は、進んでいくべきなのか、そこに至って初めて、この問題は解きほぐしがたい、錯綜したものであると気づかされたのだった。

  • 女性労働問題の本質は総合職正社員の実質残業無制限と転勤無制限制にあるということ。 だからこれに対応しにくくなる子持ち女性は疎外される。 女性の権利保護よりも労働時間規制が大事 組合が派遣社員の権利保護に消極的なように歴史的には女性労働者の権利保護にも消極的だったということも知りえた。 雇用問題の議論にも流行り廃りがあり、自分がどのような制度的文脈のもとで仕事をしてきたのか改めて認識できた。女子社員に対する自分の考え方もこの文脈の影響を無自覚的に受けてきたのだということに気付けたのも良かった。(人は皆、過去の理論の奴隷) 関連法案の紹介。過去の判例など無味乾燥にならぬように引用されていて参考になる

  • 労働問題の専門家による、女性の労働環境を中心に日本の雇用システムについて論じた本。精緻な調査に基づく学術的な内容となっている。特に、女性の雇用のあり方について、明治から現代に到るまでの経緯についての記述が興味深かった。
    「(女工の出発点 富岡製糸場)当時の女工たちは誇り高い士族の子女で、十台半ばの若さながら、その賃金は校長並みで、食事や住居など福利厚生も手厚く、まさにエリート女工でした」p32
    「1870年代末には女工の出身は主として農村や都市の貧しい平民層に移行し、生家の家計を助けるために口減らしとして労働力を売る出稼ぎ女工が主になりました」p33
    「(1932年 社会局監督課)男子労働者の賃金は自己及び家族の生活を支持すべきものでありますが、婦人労働者の賃金は家計を補助するにすぎないものと一般世間が考え、婦人労働者自身もそんなものと考えて居る事が婦人労働者低賃金の最大の理由であります」p43
    「(市川房枝、山高しげり)大政翼賛会で、「むしろ女子を徴用せよ、躊躇はご無用、未婚女子は待っている」と、女子労務動員を積極的に求めました」p47
    「(上坂冬子 BG論)女子社員は職場の花といわれるのが常識でした。花は枯れたら生けかえるべし。女子社員は25歳をすぎると、はっきり冷遇されたものです。たとえば入社3年目くらいまでは給料も順調に上がります。が、25~29歳の女性の給料は少しも上がらなくなり、35歳をすぎると若い頃より減ってしまうのです」p56
    「業務計画立案等の高度の判断力を必要とする業務は逐次昇進して幹部従業員となる男子職員のみに行わせ、結婚までの腰掛とみなされた女子職員には高度の判断力を必要としない補助的業務のみを行わせるという男女差別的労務管理を前提とします」p66
    「20世紀初頭の日本では年功的な賃金制度など存在せず、基本的に技能評価に基づく職種別賃金でした。しかし第一次大戦後、大企業に子飼い職工を中心とする雇用システムが確立するとともに、長期勤続を前提に定期昇給制が導入され、これが年功賃金制の出発点になります」p72
    「(小池理論)守勢に回らざるを得なかった年功制を、欧米の職務給と同じように合理性のあるものとして、いやむしろ産業資本主義段階にとどまっている古臭い職務給に比べて独占資本主義段階にふさわしい新しい仕組みとして打ち出すことを可能にした」p128
    「終身雇用的原理のもとでは、長期勤続を期待できる男子労働者と比べて、結婚、家庭責任等のために短期に退職する可能性及び確率の高い婦人労働者は、企業にとっては不安定な労働力とみなされる。日本ではこのことは致命的なハンディキャップとなる。そこで経営者は、彼女等に男子と同じ訓練費用を投資することや責任あるポストに登用することをためらう。一方、女子側は、本格的な仕事を与えられない挫折感から、結婚や出産を好機として未練なく退職することになる。こうして悪循環が繰り返される」p139
    「(女子の長期勤続は歓迎されない)女子の従事する仕事の内容と賃金額との乖離が年とともに大きくなるからである。経営者は、女子にいつまでもいすわられてはソロバンに合わないと計算するし、同僚の男子労働者は、女子はワリが良すぎると嫉妬し、白眼視する。そこから、わが国特有の、女子の若年定年制、なるものも生まれる(労組は支持)」p140
    「(女子の再就職)資格やかつての就業実績は活かされないまま、パートという名の臨時的労働者としての生活に甘んじなくてはならないのが実態である」p142
    「もともと欧米は男女平等で日本は差別的だったなどということは全くありません」p144
    「女性は、男性並みに働くことを条件に総合職、基幹職として活躍していきますが、それができない多くの女性は、一般職という安住の地から非正規労働という下界に追いやられていきます」p246

  • 20171228
    1章読みづらすぎ問題。結局小難しい議論をこねくり回してこの辺やばいよねー、っていう指摘で終わってるので、あまり学びにはならなかったなぁ。というかこういう社会問題について背景知識が足りなすぎる問題。社会問題全般そうだけどもうちょっと年取ってそういうことを考える当事者にならない限り限界あるかな。

  • (後で書きます。良書。本文中に参考文献紹介あるが、巻末参考文献一覧が無いのが残念)

  • 歴史がよくまとめられているが、働く女子当事者としては、特に得られたものはなかった。

  • 本書は女性・職場・社会との連関を、近現代史、特に法令・政策の観点でまとめられている。自分自身は均等法施行後に就職したことと業界の関係もあり、日々の仕事の中でジェンダーギャップをこれまで感じる機会はほとんどなかった。しかしそれは、社会一般から見ればかなりレアな例だということが一読してわかった。そうした背景もあり、女性と労働のレリバンスは課題意識になかった。本書では女性にまつわる現行の制度が先人たち(特に女性)の労苦の上に成立していることが、史的に説明されている。まだまだ問題が山積している現代社会に、こうした諸問題に取り組める人材が、各所で求められる。とすれば大学教育が果たせる役割はまだまだ大きい。

    本書の題名がやや本文と距離感がある。やはり編集部側の意向なのだろう。

  • この本は日本の女性の明治以降の労働史をていねいに紹介している。「女子」は結婚したり子供を産むので、長く雇ったところで荷物になるだけ。だから企業社会は若くて社会勉強をさせてあげられる軽い労働をするための女子しかいらない。それ以上の仕事をしたいという女子には分厚い壁だ。というようなことが書かれていた。

      結婚したり子供産んだりしてると働けない。働いて生活費を稼ぐことができないということは自分以外が稼いだ生活費で食べて服着て屋根で雨風をしのぐことしかできない。私は何よりそれが自分としては嫌なんだ。シンプルに生活を自分の手で全うしたければ妊娠はできない。もう年齢的に妊娠はお役御免になりそうなことは少し安心だ。私は蜂社会だったら働き蜂だ。巣の壁ををひたすら塗り上げる。そんなに重要な仕事なんて望まない。会社でしたいことなんてそんなにないんだ。若くて社会勉強という働き方ではない場所は実際はあり、私はそこにいる。だがそういう生き方ができるのも先達たちの努力のたまものなのかな。たぶん50年前だったら日陰の座敷牢だろうし。おてんとうさまの下の道に寄れば時々あったかいし感謝しよう。
     そういや私は30過ぎたとたん独身だと母親のリカちゃんハウスごっこの台本(20代で結婚し孫を産む役柄である)に合わないとして非難されて、で東京に出てきたとこもあるから、働く女子の運命は家庭内にもある。独身でボーナス貰ってる存在は母親が許さないのである。むしろ、単身で飛び出すことにより自由になった。子供はあまり生まれない世の中。人口が減る、若い人材は数が少なくなり、経験を積むチャンスもなかなかない中、私の世代以上の人材が搾取の使い捨てではあれ中心になっている。私はそれで現在は何とかなるが、個人を離れて全体を見れば危ういがだれがどうしたらよいのか?って感じだ。

全31件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

*2008.11.17現在労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門

「2013年 『福祉と労働・雇用』 で使われていた紹介文から引用しています。」

働く女子の運命 ((文春新書))のその他の作品

働く女子の運命 (文春新書) Kindle版 働く女子の運命 (文春新書) 濱口桂一郎

濱口桂一郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
みうら じゅん
三谷 宏治
有効な右矢印 無効な右矢印

働く女子の運命 ((文春新書))を本棚に登録しているひと

ツイートする