世界最強の女帝 メルケルの謎 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610679

作品紹介・あらすじ

東独育ちの「EU大統領」は何を企んでいるのか?一見冴えない理系女子が独首相となり、ヨーロッパを牛耳るに至ったのはなぜか? 東独仕込みの驚異の政治力の源泉に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 西独生まれの東独育ち。科学者。彼女の政治姿勢がどこから来ているのか興味は尽きない。

  • 2016年刊。
    著者は追手門学院大学経済学部教授(元時事通信社ハンブルグ・ベルリン・ウィーン支局勤務記者)。

     ドイツ第三帝国のヒトラーの次、第四帝国とも目される現代のドイツ宰相メルケル評伝に、というのは半分嘘だが、多くないドイツ関連情報の補完ということで読破。

     本書の特徴は、メルケルの単なる来歴だけでなく、10年代の米独、中独、独ロ、EU内での独の立脚点(英独、仏独)を簡潔にではあるが叙述する点。
     その中で人間的に嫌いでも手を結ぶ外交の様、即ち、ニコニコしながら握手することに何の意味もない実情が印象的だ。

     挿話としては面白いのは(しかし全く笑えない)、犬嫌いのメルケルとの交渉に際して、犬を連れてきた露プーチンの底意地悪さ。
     KGB出身でメルケルが若年期を過ごした東独に赴任していたプーチンを信用できない存在と喝破したメルケルの心理的弱点を突く様。そしてKGB保有情報の中から、メルケルのヌード(北欧の夏季トップレスバカンスはさほど特異でも異様でもない)を公開した点である。

     もう一つは、様々な意味で女性としてのガラスの天井を打ち破ってきた様の一方、メルケルのおやじキラー振りにしてやられたコールら独政治家の哀れさ。所々で効果を発揮する、特にフェミニズムに彩られる米国大統領に効果を発揮したリケジョの涙の意味である。

     最後に、中国の「一帯一路」との関係で、ビジネスライクという観点で蜜月時代(というより大口取引先にひざまずくとも)にある中独関係。

     こういう現実を見せられると、正直に言えば、バブル期、日本に未だ余裕があった時(当然更なる増税が考慮されても良かった)、戦略的に東西統一で経済的に苦境に瀕していたドイツを援助していたら、というイフをどうにも想起してしまう。

  • メルケルの凄さがわかる一冊。ドイツの中国寄りの姿勢は中々衝撃だった。

  • 女性グローバルリーダーのトップに君臨するメルケルさんですが、詳細全く知らなかったので読んで見たら逆に謎が深まってしまった。。。
    シュタージによる徹底監視の東ドイツで育ったことで、安易に人を信じず人を見る力を養い、自分のことも謎に包む姿勢は性格と環境がいかに大きいものかと知った。ドイツでは珍しくないというが別れた夫の姓をここまで世界中に示すのも現在の夫とのプライベートを隠すためなのだろうか。

    語学や記憶力、探究心が高いだけでなく、タイミングを待ち、ドイツ国民のためにブレない姿勢がたくましいので、やはりリーダーとしてはついていきたくなる人なのだろう。歴史的な罪の意識を抱えつつ、折れない所を見極める力は、すごい。幼少期のプール飛び込みを考え抜いて、最終的に飛び込むエピソードは分かりやすかった。

    ドイツ国民がメルケルのことをどう見てるのかが気になった。

    ドイツと中国、ロシアとの親和性は、ますます日本を疎遠にさせるものだと感じた。フランスがドイツを経済的に追い込むためにユーロ圏を作ったにも関わらずその中で独り勝ちしたドイツ。倹約家がなせたものだったのだろうか。物理学者出身として、長期ビジョンよりも処方箋を好むとあったが、本当に長期ビジョンはないのたろうか。内に秘めてるものがありそうな気がする。

    またプーチン、サルコジ、ベルルスコーニなど各代表と馬が合わなかったようだが、ビジネスライクなのか演じているかも不思議だった。

  • 「メルケルさんと一緒にどこかお店に行って、もっと気の利いた洋服を
    買って着せなさい」

    東ドイツの副報道官に就任した時、東ドイツ最後の首相デメジエール
    にこんな言葉を言わせた女性が、ドイツ初の女性宰相になるとは誰
    も想像しなかったのではないだろうか。

    だぶだぶのスカートにサンダル履き、無造作な髪形。外見を気にしな
    さ過ぎる女性が、自分の副報道官だと知った時、デメジエールはさぞ
    驚いたことだろう。

    元々は物理学者だったアンゲラ・メルケルが何故、ドイツ首相になり、
    EUのみならず世界の指導者のなかでも無視できない存在にまで
    登り詰めたのかを読み解くのが本書。

    なのだけれど、読んでもやぱり分からないことが多いんだよね。
    政治家にしてはその道に入ったのが35歳という遅咲き。それまでも
    目立った活動はしていない。

    ただ、政治家として登場した時期が時代の変化に合致しているのは
    確かなのだろう。自分を引き立ててくれた男性政治家たちがスキャン
    ダルに見舞われるごとに彼女の地位は確実に上の段階に進んで
    いるのだもの。

    著者はこれをメルケルによる「父親殺し」と表現しているのだけれど、
    私は「たまたま」って気がしないでもないんだよな。メルケル首相自身、
    自分のことをほとんど語らない人だから真相は謎だけど。

    興味深かったのはドイツと中国の関係。技術大国・輸出大国である
    ドイツは巨大市場として中国との関係を重んじているということ。え?
    日本?「無視」ですって。

    これはメルケル首相の段違いの中国訪問回数の多さが明確に表れて
    いるものな。日本に来たのは3回だっけ。

    日本って結構、ドイツに親近感を持っていると思うんだけれど、これって
    日本の片思いってことなのかしら。反日どころか、相手にもされてない
    なんて悲しい…。

    イギリス・フランスというかつてのヨーロッパの覇権国の集落が著しい
    昨今、ドイツは益々存在感を大きくしている。そこには見た目の安心感
    とは裏腹のメルケル首相の「すべてはドイツの為に」という熟慮した
    戦略があるんじゃないかな。

    私は好きなんだけどな、メルケル首相。各国首相の会議などで彼女の
    姿があるとほっこりするもの。「鉄の女」と言われたイギリス・サッチャー
    首相のような洗練さはないけれど、安定感は抜群だもの。

    しかも、ロシア・プーチン閣下にすばっと物を言えるのもメルケル首相く
    らいじゃないか。閣下が絶賛するくらいロシア語に堪能なのだそうだ。

    尚、先日、日本の外交委員会での自民党・松島”うちわ”みどりセンセイ
    の態度の悪さが話題になった。答弁している外務大臣・副大臣の隣の
    席で大あくびをしたり、携帯電話をいじったり、居眠りをしたり、本を読ん
    だり。

    その時、松島センセイが読んでいたのが本書なのだそうだ。確かに
    答弁を聞いているより面白いかもしれないけれど、本書を読んでも
    メルケル首相のようにはなれませんよ、松島センセイ。器と頭脳が
    違い過ぎます。

  • 4選しそうな状況で一気に読み終えた。
    マルケルの謎というよりも、
    なぜメルケルの本がこれほどまでに少ないのかも謎だったが、
    これを読むことでその理由も理解できた。

    ドイツ統一も「そういやこうだったな」も思い出せてよかった。
    今ってなんかバラ色すぎるでしょ、
    壁が崩れた瞬間だけピックアップして、
    その後の困難ほとんどないよね。
    何年かぶりにトラバントという単語を思い出した。
    (本にはトラバントは出てこないけど)

    ドイツと中国は歴史的に見ても親密だが、
    なぜか日本ではその認識がないことは大きな問題。
    きちんとした歴史認識が必要という著者の主張もよくわかる。

    でも結局メルケルってなんなの、というのはよくわかんらなった。
    理系女子のマキャベリストという結論も納得はしたけど。
    謎すぎんだろメルケル。

  • 東独シュタージ協力者最大2,00万人東ドイツの人口1600万人人の12.5%、スパイ網を使って個人の情報言動文書化し保管していたその紙の量は積み上げると110キロメートルとも言われる47ページ

    第二次世界大戦ベルリン開放時ソ連軍がレイプや殺害等の戦争犯罪を繰り広げた、そのソ連軍を解放軍と言う事はドイツの国民感情的に許せなかったがメルケルはそうした垣根を漁り乗り越える赤軍を解放軍とする新次元の歴史認識に突き進んだ200ページから101ページ

    ドイツ人はワイマール時代の天文学的なインフレの恐怖を遺伝子レベルで刷り込まれているそのためドイツ人は何よりも安定した通過を欲する、強い通貨はほとんど宗教的信仰の域に達する、よって中央銀行は政治に左右されない通貨の番人である必要があると考える210ページ

  • [読めぬ思惑,曲げぬ思念]第8代ドイツ連邦共和国首相として,2005年からその座を守り続けるアンゲラ・メルケル。謎に包まれた彼女の生い立ちと思考に迫りながら,外政を中心とした近年のドイツ政治を概観した作品です。著者は,ベルリンやハンブルク支局で時事通信社の記者として働いた経験を持つ佐藤伸行。

    その影響力に比してあまり日本では伝えられないメルケル首相の横顔が簡潔にまとめられているだけでも大満足。そして,「メルケルとは◯◯である。」と竹を割ったような解説をしておらず,多面的な評価を与えている点にも好感が持てました。タイトルからはなんとなくゴシップ感が漂ってきますが,内容はしっかりとしたものですので念のため。

    〜誰かが言っていたが,「メルケルには誰もたどりつけない島がある」。〜

    今年に選挙が控えているということもあり☆5つ

  • これはよい本だった。
    日本人は漠然としたドイツへの親近感を持っているものの、その実、ドイツのことはよく知らない。いわんや、メルケルという政治家をや。

    メルケルという政治家を通じて、ドイツとEU、ドイツと中国、ドイツと日本というものを理解する助けになった本だと思う。

    無邪気にドイツに親近感を感じていたことを恥ずかしく思うばかりだ。

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