- 文藝春秋 (2016年7月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166610914
作品紹介・あらすじ
「人工知能によって経済は、社会は、政治はどこに向かうのか? 未来を知るための必読書」――飯田泰之氏絶賛!
人工知能(AI)が目覚しい発展を遂げています。小説を書いたり、囲碁をしたり、日々ニュースを賑わせています。
また、AIを搭載したロボットも活躍しています。pepperは感情を読み取れますし、ダヴィンチは外科手術をこなしますし、iPhoneに搭載されているSiriは道案内もしてくれます。
このまま技術開発が進んでいくとどうなるのか……? 2045年に起こると噂される「シンギュラリティ」より前、2030年には、AIが人間の頭脳に追いついてしまう可能性があるのです。
ホワイトカラー事務職は真っ先に職を奪われます。医者も弁護士も失業の危機に瀕しています。最大で人口の9割が失業する可能性もあると筆者は推計しています。一部の資本家以外の労働者は飢えて死ぬしかないのでしょうか?
AIによって奪われた労働は、BIで補完しよう! マクロ経済学者である筆者はそう訴えます。BIとはベーシックインカムのこと。社会保障をBIに一元化して、子供から大人まで一律の生活保障を支給するという仕組みです。
AIの未来、資本主義の未来、労働の未来、社会保障の未来まで、気鋭の経済学者が語りつくします!
感想・レビュー・書評
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本書を読みながら、人工知能(AI)について一つの整理を行いたい。
特に、2016年当時のAIに対する考え方を振り返ることは、その背景を理解する上で重要である。本書の副題「2030年雇用大崩壊」が示すように、その頃はAIによる大失業の可能性が多く議論されていた。当時のAIの進展状況を見ると、チェスや囲碁、将棋においてAIが勝利を収める時期であった。チェスに関しては1997年にDeep Blueが勝利し、囲碁と将棋に関しては2017年にAIが人間に勝った。
ここで重要な概念の一つは「技術的失業」である。この概念について、著者は特に興味深く述べている。イノベーションは省力化を促進し、その結果として人員削減が生じる傾向がある。
歴史的には、イギリスにおいてラッダイト運動という労働者の抗議運動が起こった。ケインズは1930年のエッセイ『孫の世代に可能性を』の中で、「技術的失業」という言葉を初めて用い、省力化に伴う失業のリスクを指摘した。
また、カーツワイルはシンギュラリティの到来を予見しており、遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学のGNA革命が引き起こすとした。カーツワイルは人間の意識のアップロード、すなわちマインドアップローディングが2030年代には実現する可能性を示唆している。カーツワイルによればに、肉体の死後も精神がコンピュータ上で生き続けることになる。
著者は、2045年のシンギュラリティよりも前倒しされた2030年頃に、AIが人間の知能に追いつき、ホワイトカラーの事務職や医師、弁護士などの専門職も失業の危機に瀕するという。その結果、人口の最大9割が仕事を失う可能性が示されている。労働の種類別に見れば、最初に影響を受けるのは肉体労働と事務労働、その次に頭脳労働であるとされる。この時点ではディープラーニングが始まっているものの、生成型AIは当時未だ実装されていなかった。
著者は、AIは人間の知能に追いつくものの、「すべて」ではなく、「大部分」の知能を獲得すると述べている。シンギュラリティの到来の特徴を次の四つに整理している。
① AIが人間の知性を超えること。
② AIが自己増殖を可能にし、「知能爆発」が起きること。
③ AIが人類に代わり世界の覇権を握ること。
④ 人間とコンピュータの融合により、ポストヒューマンの実現。
これらを実現するためのアプローチとして、「特徴表現獲得の壁」や「言語の壁」を超えるために、「全能アーキテクチャ」が提唱されている。これは、以下のような構造を持つ。
① 脳はモジュールに分割可能である。
② 各モジュールは機械学習器で構成されている。
③ それらが組み合わさることで、機能と知性が創発的に現れる。
しかし、「生命の壁」が依然として克服の難しい課題として存在している。AIは創造的な仕事を成し得るのか、意識を持つことは可能か、また、AIに責任を負わせるべきかといった問いも投げかけられている。
全脳エミュレーションは個人の脳の「コピー」を作成し、意識の再現を試みるものであり、これに対して全脳アーキテクチャは人間のような汎用知能を持つAIの構築を目指すものである。双方の違いは明確である。
AIは、バッハと同じような曲や模倣された曲も作ることができる。特に、既存の音楽理論の枠を超え、複雑な対位法や無限の変奏、高速に生成される新たな構造を持つ音楽を創出できる可能性がある。大量の音楽データから、人間が気付かないパターンや組み合わせを発見し、新しい音楽ジャンルや概念を超えた「新たな響き」を生み出すことも現実的となるだろう。バッハの音楽の精神性や時代を超えた感動、人間が持つ「深み」をAIが超えることができるかについては、今後の課題である。
感覚の「通用性」がAIにとって得られるかも重要なポイントだ。AIはあくまで「作曲を支援する強力なツール」かつ、「人間が気付いていない音楽の可能性を探るアシスタント」としての役割を果たすと考えられる。しかし、意味のある飛躍的なアイデアや心地よくて革新的なメロディは、AIにとっては生み出しにくい部分である。そこをいかにブレークスルーできるかが重要な課題である。
また、イノベーションと経済成長に関して、蒸気機関による第一次産業革命、内燃機関と電気モータによる第二次産業革命、パソコンやインターネットによる第三次産業革命を経て、2030年代の汎用AI・全脳アーキテクチャによる第四次革命が予見される。そして、「生命の壁」をどう克服するかが大きなテーマとなる。
AIは生産効率を飛躍的に向上させ、人間の労働の大部分を代替し、経済構造を根本から変革する。経済学の立場からは、技術進歩は持続的な経済成長をもたらすとされるが、その一方で、AIによる技術的失業も懸念される。労働移動には時間がかかり、移動先の仕事が見つからないことが原因で失業が生じると考えられる。これに対処するためには、金融政策としてマネーストックを増やし、失業の緩和を図る必要がある。
労働の中でも、クリエイティブ系(C)、マネジメント系(M)、ホスピタリティ系(H)の仕事はAI時代に残存しやすいとされる。これらは他者との感覚的な交流や感性の通用性を必要とし、それが生き残るポイントとなる。2015年の就業者は約6400万人であるが、その中でCMHに従事する人は約2000万人であった。そして、AI時代においては、この代わりに必要とされる人員は半分の1000万人程度に激減すると予測される。これにより、「純粋機械化経済」へと移行し、最終的には人間の労働が不要となる脱労働化社会へと進むことになる。
ポール・クルーグマンは、「長い目で見れば、人間のすることを機械がすべてこなせるようになる。しかし、その頃には、この問題を考えるのも機械になっている」という。
これに対し、著者は、AIによる大量の雇用喪失に対処し、社会の持続を図るために、社会保障をベーシックインカムに一本化し、すべての人に年齢に関わらず一律の生活保障を支給すべきだと提案している。これは、失業や所得格差といった社会問題の解決策としても一つのアプローチといえる。
以上のように、本書はAIと経済の未来について、多角的かつ深い考察を行っており、今後の技術革新と社会の在り方を考える上で重要な示唆を与えている。著者がいう2030年雇用大崩壊は、あと5年だ。日本政府は、時給を上げるというが、失業者が増大する可能性もある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう10年もするとどうせリタイアするからなあ。前倒しで雇用崩壊してくれないかしら。なんでもロボットがやってくれる世界が来るとは思っていなかったけれど、ちょっと期待してはいた。それがどうやらあと2~30年ほどでやって来そうな気配がある。私たちがやって来た仕事のほとんどをキカイ(AI)がやってくれる。そうすると我々は失業する。そうなったとき、どうやって生きていけばよいのか。そこに登場するのがベーシックインカム(BI)。生活保護とは違うという。すべての人に(子どもから大人・老人まで)月額7万円なら7万円が支給される。財源は増税だという。たくさんもうけている人にはたくさん税金を納めてもらって、均等に配分する。審査など必要としないので、事務処理がずいぶん削減できる。マイナンバーと銀行口座を紐付けすればすぐにできそうな施策だ。そんなことすると、皆働かなくなって税金を納める人間がいなくなるのではないか。けれど、まず働く必要がなくなるのだ。そして、1割くらいのそれでもお金儲けをしたい人たちが大量に儲けて税金を払う。この社会の格差が最大限にまで広がってしまうのか。そのとき、テロはなくなっているのか。私の読み方が甘いのかも知れないが、結構本書を読んでいると楽観的に感じてしまう。「手段より目的を高く評価し、効用よりも善を選ぶ。物事のなかに直接のよろこびを見出すことのできる人、汗して働くことも紡ぐこともしない野の百合のような人」ケインズの言うこういう人に私もなりたい。
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コロナ禍前の2016年に、気鋭の経済学者によって発表された本。当然ながらChat GPTのような生成AIが社会に出回る兆しも見られない頃の著書。
だからこそ、「便乗して書かれたのではない」古典的な説得力がある。
普通、最先端技術と経済に関する書は、少しでも古くなると記述内容の価値も激減してしまうことが多いように思われるが(もちろん記述の質や正確性によっても左右されるが)、
本書は、経済学者である著者の理念が前面に出ているとは言え、結果的にその予測通りに社会基盤の変化が加速している今、古典的に参照する書として大いに参考になると感じた。
新型コロナウイルスやAIについては、流言や都市伝説の類いも飛び交っていて、
それらの言説全体が怪しく見えてしまうような奇妙な状況になっている。
その話題に直接的には触れていないとしても、この2〜3年の間に刊行された書物に対しては(誠実かつ真摯に著述されているかたに対しては大変失礼で申し訳ない話だけれども)少なからず流言性や都市伝説性を疑いながら読み進めざるを得ない印象が拭えない。
著者の経済学者としての業績などはまったく知らずに私見を述べてしまっているが、
少なくとも記述内容は2024年時点での社会状況をそれなりに正確に捉えたものであり、
かつ上記のような「疑わしさ」に煩わされることなく読み進めることができる点は非常に評価に値すると思う。
星5にしても良かったけれども、綿密な分析を提示しないまま一部の仮説のみを頼りに大雑把な予測のみを提示した書である点を(わかりやすさを重視して意図的にそのように著述したのかもしれないが)一応、割り引いて星4つとした。
「大雑把」と言っても、説明自体は身近な例を挙げながら具体的で分かり易かった。
一般人向けに書かれているのだから当然と言えば当然だとも思う。良書。
個人的には、
全脳エミュレーション方式のものを含めてAIと捉えるのが自然だと感じるので、
その部分に妙に線引きしている点に関しては違和感が残った。
そもそも何をもってAIあるいは人格あるいは主体と呼ぶのか、ということ自体、
これから再定義したり哲学的に見直して議論を深める必要があるように感じられるので、
単純に「全脳エミュレーション方式のものを除外」する姿勢は短絡的過ぎる感は否めなかった。
最後に。
現在、なぜベーシックインカム制度の導入が進む気配がないのか。
・・・それは世相を観察すれば、自ずと見えてくることのようにも思われる。
そもそも人は合理的に動く生き物ではないし、目先の環境の維持も安定に固執する傾向が強い、
ということも少なからず影響しているだろうことは、想像に難くない。 -
S図書館
2030年近未来の予想
教科書
注釈は編集部で作成(本人ではない)
難しい言葉を使ってなく読みやすいが、面白味がなかった
新鮮さは欠けていたがこれは仕方がない
2016年に出版してから僅か7年で、人工知能がマスコミにも多く取り上げられ広く浅く浸透したからだろう
コロナで一気に時代のスピードが加速されたと感じる
コロナ禍であらゆるものが前倒しして行われ、結果的に変遷をもたらしたように思う
AIもメタバースもその中の1つだろう
余談だが、脱成長VS資本主義と題して、斉藤幸平氏と討論していた
お話はわかりやすかった -
人工知能の進化の先にどんな未来が待っているのか。肉体労働や事務系の仕事は今後ますますAIによって代替され、残るのは資本家かマネジメントの仕事のみ。新しい産業が生まれるから大丈夫かと言われると、誰もが労働移動できるわけではないし、これまで技術進化が進まなかったサービス産業にも人はいらなくなる。1割ほどの職を除いて、働く必要のない社会を大胆に予測している。著者が提唱するベーシックインカムの導入には懐疑的だけど、今の仕事に安住するのは危険。人生100年時代、自分の市場価値を上げて、変化に対応できるように勉強し続けないとダメですね。
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2030年に考慮すること
1.特化型→汎用型AIの台頭
2.希少性→過剰性経済へ
3.有用性→至高性価値へ
「価値あるものが価値を無くしていく。
物事のなかに喜びを見出していくこと。
至高性が見直される時代へ。」
読みづらそうを裏切る簡易な文言での展開です。
業務、大きくいえば事業領域を再考する機会となる書籍です。
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人工知能の現状と発達の可能性・限界,発達が経済に与える影響を論じた上で,人工知能によって代替され失業する労働者の生活を保障する仕組みとして,ベーシック・インカムの導入を提唱する.人工知能にはヒトの脳の個々の機能をモジュールとして捉えてその再現を目指す「全脳アーキテクチャ」方式と,ヒトの脳の神経構造そのもの(コネクトーム)の転写・再現を目指す「全脳エミュレーション」方式があり,いち早く実現するとされるのは前者というのは勉強になった.本書とは関係ないが,以前NHKの番組で,ロボット研究の第一人者である石黒浩氏が,「遠い将来人間は自身の身体を機械で置き換え,有機物でできた身体を捨てて無機物からなる存在に進化する」という見通しを出していたのを思い出した.一方本書はそのように,人工知能をヒトが自身の脳機能に組み入れ・置き換えるという段階に達するには,まだ100年以上かかるという見通しで,そうした事態までは想定していない.人工知能に辛うじて勝てる上位の人間になれるとは思えないし,かと言って失業者の生活を保障する仕組みが,何かとレスポンスの遅い日本で整うのかという疑問もあり,数十年後の将来に対してやや暗澹たる思いを抱く.
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著者は経済学者であって、人工知能を専門とする科学者ではない。ということがすべて。
冒頭に「私が特に注力したいのは、汎用人工知能が2030年頃に出現するならば、それ以降、経済システムの構造がどのように変化し、それによって経済成長や雇用がいかなる影響をこうむるかといった議論です。」とあるが、まさにその「出現するならば」という仮定の部分に関して実際には「出現しない」というのがその道の専門家の意見なので、もはや読む価値はない。
あくまで「経済学本」として読めばまだ面白いが、人工知能について知りたいと思って手に取ってしまったのが間違いだった。
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アメリカでは2000年以降、所得の中央値は下落しているにもかかわらず、一人当たりのGDPは上昇しています。(一般的な労働者は貧しくなっているが、金持ちは更に豊かになっている)
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全脳エミュレーションと全脳アーキテクチャ
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様々な欲望をおのずと獲得できるようなAIが開発できたら、そのようなAIは生命的であるといえます。
158
バクスターは作業ごとのプログラムを必要とせず、人間がその腕を動かすことで、作業のやり方を覚え混ませることができます。日本でもファナック車が、ディープラーニングの美術を用いて、人間に教えられることなく様々なものをつかんで運ぶロボットの開発に成功しています
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19世紀の第一次産業革命の頃に、蒸気機関などによる機械的生産を導入した欧米諸国と導入しなかったアジア・アフリカ諸国との間に経済成長に関する最初の「大分岐」が生じました
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所得は「資本の取り分である利子・配当所得」と「労働の取り分である賃金所得」に分けられ、資本分配率は前者の割合を意味します。この資本分配率が上昇しているがために、所得格差が拡大しているとピケティは指摘しています。
(純粋機械化経済に至ると)労働者階級は賃金が得られなくなることにより消滅し、資本家階級が全てを手にすることで資本主義は終焉します。
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一国の経済にとって実質的なコストと言うのは、お金を使うことではなく労力を費やすことなのです。
(使ったお金は別の国民の手元に移るだけ) -
人工知能と経済、特に雇用の関係について考えたい人には必読の書だろう。人工知能の基礎知識についても大まかにではあるが書かれているし、それが雇用に与える影響についてもよくまとめられている。ただ、それらはあくまで著者の仮説であり、予想に過ぎない。一つの仮説が崩れれば、すべてが狂ってくるたぐいのものであり、本書に書かれていることがそのまま現実になるとは思わない方がよい。
ただ、こういったことが起こるかもしれず、その際に社会を維持するためにはベーシックインカムというシステムという選択肢があることを知っておくことは意味のあることだろう。ちなみに本書の最重要ポイントは人工知能ではなく、ベーシックインカムにある。その点は買う前に知っておいたほうがいいかもしれない。 -
これまでのAIに関する情報を整理し、ベーシックインカムが解決策であると論じている。帯の広告が訴えるほど新しい示唆は得られなかった。
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何かおかしい気がする論考だけれども、何がおかしいのかは、よく分からない。
でも、トンデモ本の匂いがする -
有用性よりも至高性
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小論文対策推薦図書 経済系
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まあまあです。
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007-I
小論文・進路コーナー -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/686300 -
経済学者がAIが発展した未来を予想した本。経済用語が多く少し難しかったが、わかりやすく説明されていた。
2030年までには人間に限りなく近い形のAIが完成し、2045年までにはそれが実用化されて社会が変わるような大変革が起きるらしい。その時には仕事の1割しか残らず、9割の仕事は消滅する。
そんな未来は人間にとってユートピアなのか?それともAIに支配されるディストピアなのか?著者によると、ベーシックインカムが実現した場合ユートピアになり得るらしい。突拍子もない意見に聞こえるが、経済理論で詳細に説明されていたので納得できた。 -
BIについては若干腑に落ちない感覚があったが、全体的に読みやすかった。
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良い本でした。
AIの可能性を過剰に見積もるのでもなく,だからといって,その可能性を全面否定するわけでもなく,AIの可能性(いつまでにどのようなことができるようになるのか)をデータから冷静に分析し,今後の経済(労働)の行き末を予測する。
「未来」の予測とはこのように行うのかと勉強になりました。
AIによって到達する未来がユートピアになるのか,ディストピアになるのかはわかりません。本書ではその両方のシナリオが冷静に提示されています。
逆に言えば,AIの発展はユートピアの到来の可能性も秘めているのであり,そうなるように活動を作っていくことが必要なのだと思います。 -
1810年代に、紡績機や織機の導入に反対するラッダイト運動が起きたが、綿布を安く供給できるようになったために消費需要は増大し、工場労働者の需要も増大した。
コンピュータの導入によって、事務労働の人手が減少したため、1980年代から中間所得層の雇用が減少した。コンピュータとインターネットが引き起こした第三次産業革命によって、1990年代からアメリカの生産性上昇率が高くなり始めた。
ディープマインド社が開発したDQNは、ゲームのルールを教わらずにプレイの仕方をマスターした。囲碁AIのアルファ碁もディープマインド社によって開発された。
今後のAI技術発展の道のりには、言語の壁と生命の壁がある。
第四次産業革命で鍵となる技術の候補は、汎用AI、IoT、3Dプリンターがあげられる。汎用ロボットの原初的なものとして、リシンク・ロボティクス社が作ったバクスターがある。バクスターは、2つの腕を持っており、人間がその腕を動かすことで作業の仕方を覚え込ませることができる。
汎用AIにも生命の壁があるため、クリエイティブ系、マネージメント系、ホスピタリティ系の管理職、研究者、教育者、医者、介護、調理、接客、給仕などの仕事はなくならないと予想される。
汎用AI・ロボットの普及によって、それを所有する資本家の所得は増大するが、労働者の所得は減少する可能性がある。
著者プロフィール
井上智洋の作品
