人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書)

著者 :
制作 : 井上智洋 
  • 文藝春秋
3.59
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  • (21)
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本棚登録 : 866
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610914

作品紹介・あらすじ

【AIが発達すると人口の9割の失業状態に!? そのとき経済はどうなる?】人工知能(AI)が目覚しい発展を遂げています。小説を書いたり、囲碁をしたり、ツイッターでヒトラーを肯定する発言をして、日々ニュースを賑わせています。また、AIを搭載したロボットも活躍しています。pepperは感情を読み取ることが出来ますし、ダヴィンチは外科手術をこなしますし、iPhoneに搭載されているSiriは道案内もしてくれます。このまま技術開発が進んでいくとどうなるのか……? 著者は、2030年には、人間並みの知性を持ったAIが登場する可能性があると指摘します。ホワイトカラー事務職は真っ先に職を奪われます。医者も弁護士も失業の危機に瀕しています。最大で人口の9割が失業する可能性もあると筆者は推計しています。一部の資本家以外の労働者は飢えて死ぬしかないのでしょうか?AIによって奪われた労働は、BIで補完しよう!それが筆者の提言です。BIとはベーシックインカムのこと。社会保障をBIに一元化して、子供から大人まで一律で約7万円/月を支給するという仕組みにしようというのです。AIの未来、資本主義の未来、労働の未来、社会保障の未来まで、気鋭の経済学者が語りつくします!

感想・レビュー・書評

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  • もう10年もするとどうせリタイアするからなあ。前倒しで雇用崩壊してくれないかしら。なんでもロボットがやってくれる世界が来るとは思っていなかったけれど、ちょっと期待してはいた。それがどうやらあと2~30年ほどでやって来そうな気配がある。私たちがやって来た仕事のほとんどをキカイ(AI)がやってくれる。そうすると我々は失業する。そうなったとき、どうやって生きていけばよいのか。そこに登場するのがベーシックインカム(BI)。生活保護とは違うという。すべての人に(子どもから大人・老人まで)月額7万円なら7万円が支給される。財源は増税だという。たくさんもうけている人にはたくさん税金を納めてもらって、均等に配分する。審査など必要としないので、事務処理がずいぶん削減できる。マイナンバーと銀行口座を紐付けすればすぐにできそうな施策だ。そんなことすると、皆働かなくなって税金を納める人間がいなくなるのではないか。けれど、まず働く必要がなくなるのだ。そして、1割くらいのそれでもお金儲けをしたい人たちが大量に儲けて税金を払う。この社会の格差が最大限にまで広がってしまうのか。そのとき、テロはなくなっているのか。私の読み方が甘いのかも知れないが、結構本書を読んでいると楽観的に感じてしまう。「手段より目的を高く評価し、効用よりも善を選ぶ。物事のなかに直接のよろこびを見出すことのできる人、汗して働くことも紡ぐこともしない野の百合のような人」ケインズの言うこういう人に私もなりたい。

  • 人工知能の現状と発達の可能性・限界,発達が経済に与える影響を論じた上で,人工知能によって代替され失業する労働者の生活を保障する仕組みとして,ベーシック・インカムの導入を提唱する.人工知能にはヒトの脳の個々の機能をモジュールとして捉えてその再現を目指す「全脳アーキテクチャ」方式と,ヒトの脳の神経構造そのもの(コネクトーム)の転写・再現を目指す「全脳エミュレーション」方式があり,いち早く実現するとされるのは前者というのは勉強になった.本書とは関係ないが,以前NHKの番組で,ロボット研究の第一人者である石黒浩氏が,「遠い将来人間は自身の身体を機械で置き換え,有機物でできた身体を捨てて無機物からなる存在に進化する」という見通しを出していたのを思い出した.一方本書はそのように,人工知能をヒトが自身の脳機能に組み入れ・置き換えるという段階に達するには,まだ100年以上かかるという見通しで,そうした事態までは想定していない.人工知能に辛うじて勝てる上位の人間になれるとは思えないし,かと言って失業者の生活を保障する仕組みが,何かとレスポンスの遅い日本で整うのかという疑問もあり,数十年後の将来に対してやや暗澹たる思いを抱く.

  • 著者は経済学者であって、人工知能を専門とする科学者ではない。ということがすべて。

    冒頭に「私が特に注力したいのは、汎用人工知能が2030年頃に出現するならば、それ以降、経済システムの構造がどのように変化し、それによって経済成長や雇用がいかなる影響をこうむるかといった議論です。」とあるが、まさにその「出現するならば」という仮定の部分に関して実際には「出現しない」というのがその道の専門家の意見なので、もはや読む価値はない。

    あくまで「経済学本」として読めばまだ面白いが、人工知能について知りたいと思って手に取ってしまったのが間違いだった。

    33
    アメリカでは2000年以降、所得の中央値は下落しているにもかかわらず、一人当たりのGDPは上昇しています。(一般的な労働者は貧しくなっているが、金持ちは更に豊かになっている)

    86
    全脳エミュレーションと全脳アーキテクチャ

    98
    様々な欲望をおのずと獲得できるようなAIが開発できたら、そのようなAIは生命的であるといえます。

    158
    バクスターは作業ごとのプログラムを必要とせず、人間がその腕を動かすことで、作業のやり方を覚え混ませることができます。日本でもファナック車が、ディープラーニングの美術を用いて、人間に教えられることなく様々なものをつかんで運ぶロボットの開発に成功しています

    174
    19世紀の第一次産業革命の頃に、蒸気機関などによる機械的生産を導入した欧米諸国と導入しなかったアジア・アフリカ諸国との間に経済成長に関する最初の「大分岐」が生じました

    194
    所得は「資本の取り分である利子・配当所得」と「労働の取り分である賃金所得」に分けられ、資本分配率は前者の割合を意味します。この資本分配率が上昇しているがために、所得格差が拡大しているとピケティは指摘しています。
    (純粋機械化経済に至ると)労働者階級は賃金が得られなくなることにより消滅し、資本家階級が全てを手にすることで資本主義は終焉します。

    226
    一国の経済にとって実質的なコストと言うのは、お金を使うことではなく労力を費やすことなのです。
    (使ったお金は別の国民の手元に移るだけ)

  • 人工知能と経済、特に雇用の関係について考えたい人には必読の書だろう。人工知能の基礎知識についても大まかにではあるが書かれているし、それが雇用に与える影響についてもよくまとめられている。ただ、それらはあくまで著者の仮説であり、予想に過ぎない。一つの仮説が崩れれば、すべてが狂ってくるたぐいのものであり、本書に書かれていることがそのまま現実になるとは思わない方がよい。

    ただ、こういったことが起こるかもしれず、その際に社会を維持するためにはベーシックインカムというシステムという選択肢があることを知っておくことは意味のあることだろう。ちなみに本書の最重要ポイントは人工知能ではなく、ベーシックインカムにある。その点は買う前に知っておいたほうがいいかもしれない。

  • これまでのAIに関する情報を整理し、ベーシックインカムが解決策であると論じている。帯の広告が訴えるほど新しい示唆は得られなかった。

  • 何かおかしい気がする論考だけれども、何がおかしいのかは、よく分からない。
    でも、トンデモ本の匂いがする

  •  将来、AIによって現在ある仕事の多数は消滅するという脅しのような言葉を一度は聞いたことある人も多いだろう。本書はまさにその問題の真偽と、筆者なりに将来の対策を述べている。読み進めていくと、技術の進歩に驚かされること間違いないだろう。例えば、遺伝子工学発達により「人造肉」が可能になりつつある。生きた動物ではなく、タンやレバーといった部位だけ工場で生産し、食肉として供給する。既に、2013年にシャーレで培養した人造肉を使ったハンバーガーの試食会がロンドンで行われている。味は、本物ほどジューシーではないらしいが、実用化される日も遠くないだろう。
     人工知能の発達によって私たちの生活も大きく変化していくが、自分で正しい情報を手に入れ、自分のこととして考えていくことが大切だ。

  •  この手の本の著者には当然AI(人工知能)研究者が多いわけだが、本書の著者はマクロ経済学者だ。ただし、大学時代に計算機科学を専攻し、AI関連のゼミに入っていたという。
     つまり、“AIにも造詣の深い経済学者”なわけで、本書にはその立ち位置が十二分に活かされている。今後AIの進歩が加速していった果てに、経済と雇用のありようがどう激変するかに焦点が当てられた内容なのだ。

     先月読んだ『人工知能が変える仕事の未来』(野村直之)が楽観的で希望に満ちた内容だったのとは対照的に、著者の描く未来像は、「2030年雇用大崩壊」という副題どおりの悲観的なもの。

    〝2030年頃に汎用AIが登場するならば、その後は急速にあらゆる雇用が失われていくことになります。〟

    〝今から30年後の2045年くらいには、全人口の1割ほどしか労働していない社会になっているかもしれません。〟
     
     「汎用AI」とは特化型(専用)AIの対義語で、「人間に可能な知的な振る舞いを一通りこなすことのできるAI」を指す。この汎用AIの開発の目処が立つのが2030年頃だと言われており、それこそがAIによる雇用破壊の本格的な始まりだと著者は捉えているのだ。
     逆に言えば、AIが特化型にとどまるうちは、雇用破壊はそれほど心配する必要はない、と見る立場なのである。

    〝汎用AIが出現してしばらくした後に、労働者の多くが雇用されず、汎用AI・ロボットが生産活動に全面的に導入されるような経済が到来する可能性があります。そのような経済を「純粋機械化経済」と呼ぶことにしましょう。〟

     ただし、9割の人間の仕事が汎用AIに奪われる未来を、著者は必ずしもディストピアとしては描いていない。それは、“労働はAIにまかせ、人間は働かずに暮らせるユートピア”になる可能性もある、というのだ。

     「純粋機械化経済」をユートピアにするための条件として、著者はベーシックインカム導入を挙げる。
     最後の第5章は丸ごと、労働はАIとロボットにまかせ、9割の人々がベーシックインカムで暮らす未来を展望する思考実験に充てられている。

     SF的ではあるが、「AIが人類を支配する未来」などという与太話よりは、まだしも現実味がある気がする。 

  • AIがもたらす未来の姿を経済学的、哲学的視点から解説した著作。近代合理主義によって到来した資本主義社会は、汎用AIの普及によって終焉し、新しい経済=機械化経済が到来するとの実は構想は壮大な著作。もっと深掘りして読んでみたい印象で、新書ではなくハードカバーの大著として構成し直すべき著作。そういう意味でもったいない本です。ぜひ次作期待です。ただしベーシックインカム導入という方向性については「はてな」マーク。付加価値生産活動がもたらす「承認欲求充足」という根元的な効用=著者いうところの「至高性」についてもっと深掘りするとベーシックインカムとは別の世界観を展開できるのではと思います。

  • 2045年のシンギュラリティにかんして懐疑的、ベーシックインカムBIに関して最後は述べられています。流石経済学者。

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著者プロフィール

駒澤大学経済学部准教授。AIが未来の経済に与える影響についての研究で注目される。著書に『人工知能と経済の未来:2030年雇用大崩壊』(文春新書)など。

「2018年 『全脳エミュレーションの時代・下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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