それでもこの世は悪くなかった (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611164

作品紹介・あらすじ

人から見たら悲劇かもしれない人生。しかし、正々堂々、力いっぱい生きた私はいま、満足だ――こんな佐藤愛子は、どうしてできた? ワガママ盛りの6歳で聞いた乳母の言葉は、思えば初めての人生の教訓だった。以来、父・佐藤紅緑、母、先輩や友の影響を受けて出来上がったのは、「他人から理解されないばかりでなく、自分でも何かわけのわからない、ヘンな佐藤愛子」。そして二度の結婚に失敗、夫の借金に巻き込まれ、それでも人は幸福に生きられる! 93歳、初の語り下ろし人生論。佐藤愛子を作った言葉「なんぼお嬢ちゃんやかて、大きゅうなったらどうしてもせんならんということが、世の中にはおますのやで」(乳母)「豆腐屋のオッサンかて校長先生かて、おんなじ人間ですがな」(母)「カネカネという奴にろくな奴はいない」(父・佐藤紅緑)「女に小説は書けないよ。女はいつも自分を正しいと思っている」(師・吉田一穂)「君はね、平林たい子さんのような作家になりなさい」(師・北原武夫)「苦しいことが来た時にそこから逃げようと思うと、もっと苦しくなる」(師・臼井栄子)「君は男運が悪いんやない。男の運を悪くするんや」(友・遠藤周作)

感想・レビュー・書評

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  • しみじみと読める本でした。
    書いてある事は今まで読んだ本や自伝の「血脈」で見た事がほとんど。
    だけど、さりげないエピソードに「ああ、そうだなぁ・・・」としみじみ思ったり、静かに共感や感動ができました。

    主に、佐藤愛子さんの生い立ち、今までいろんな本で書かれている夫の借金を返済してきた半生、作家仲間の事について書かれており、この本で新たに書かれていると感じたのは作家仲間について、今までの本よりも詳しく書かれているという事でした。

    それらに対する私見には、共感できるところもあれば「それはどうかなぁ・・・」というのもあり。
    だけど、自分と違う意見でも「なるほどね」と思えてしまう。
    それは多分、この本を書かれた時の作者の年齢というのも関係しているとは思います。

    私がこの本で一番印象に残ったのは幸せについて書かれた話です。
    電車で乗り合わせた女子高生たちの姿を見て、試験勉強をしている彼女たちは今自分が幸せなのだと感じていないだろう。
    だけど、幸せなのだというのをポッキーで表現されているのが印象的でした。
    今の世の中、こんな繊細な感性をもった人がどれだけいるだろう・・・と思います。
    また、歳をとらないと分からないという事は本当にあるよな・・・としみじみと思います。

    他には今の世の中に対する思いにも共感できたし、引用したいなと思う箇所もいくつもありました。

  • 作家を「先生」と呼ぶのはヘンだと思う。それでもやはりそう呼びたくなる人はいて、その筆頭が愛子先生だ。この本は語りおろしで、特に目新しいことが出てくるわけではないけれど、私は愛子先生については同じ話を何遍聞いてもまったく飽きない。全部が全部「その通り」と思うわけではないが、なにかもう根本の所で仰ぎ見てしまうものがある。それでまた、どういうわけか読んでいると目頭が熱くなってしまうのだ。

    「人生というものはね、幸福だのなんだのと言ったって、どうということはないんですよ」」「苦労したってどうということはない。反対に、幸福になったからと言って、別にどうということはない」

  • 今年は、亥年。
    佐藤愛子氏も、亥年なので、96歳を迎える事になられる。
    「90歳 何がめでたい」も読んで、結婚2度、そして、夫の借金を支払う必要もなかったのに、肩代りした話。
    そして、作家友達の遠藤周作氏・川上宗薫氏などの逸話。
    断固たる猪突猛進型。
    裕福な時代も、戦争時代も知っているからこそ、苦労も乗り越え、そして、武士の子としての威厳をも持ち、生き抜いてきた様を、表している。
    人から見た目と、自分が過ごしてきた人生も、正々堂々と、生きている事に、満足されている事に感銘。
    そして、面白可笑しく、苦労を笑いへと、執筆されている事で、読者数が、増えるのだと思う。

  • 2018/4/11

  • 一言ひとことが血の通った言葉。

    大きな不幸も必死に乗り越え
    後に幸福の素晴らしさを知る。

    そんな豪放磊落な人だと感じた。

  • ぶっ飛んだ婆さんだと思いましたが、すごく肝が座っている。
    私のような我慢が足りない人間には、お灸をすえる一冊です。

  • 著者の本を読んだのは、「九十歳。何がめでたい」についで2作目。そもそもこの人の本は、エッセイ以外の小説を読んだことはないので作家としての実力は知らないが、90歳を過ぎてこれだけ世の中に対してハッキリとした認識があるのは、素直にすごいと思う。いろいろな苦労を経験されたようで、その中から紡ぎ出される言葉は一つ一つに含蓄があり、説得力がある。また、遠藤周作や北杜夫など超有名作家との変人エピソードも満載で、おおらかな、古き良き時代の一旦を知ることができる。

  • 御年93歳、戦争や、高度経済成長、バブル崩壊と不況の時期、3種の神器誕生など、幾多の時代背景と様々な人生経験をしてきた著者の人生観などを語る姿、経験から学んだこと、世の中から見えるものを切り出す言葉は、辛口であり、温かみがあり、爽快感があり、一つ一つが重みのあるものだと感じる。人生は苦しみがあってこそ幸せがあるだろう、自身のこと、まわりのこと、昭和、平成の時代に起こったことなどから見えてくる自身の揺るぎない思いと、辛くとも困難と思わずに自分の方法で切り抜く姿が、今の笑いあり、感動ありの人生だと感じる。

  • 著者が人生・幸福・死について語る。幸福は苦労の上に在るもの、だとか、損があればあとに得がくるという考え方が面白い。とくに印象的だったのは、最後5ページ、死後の世界のこと。物質主義の現代で精神的な事柄を語る点が興味深かった。佐藤愛子さんの他の本も読みたくなった。

  • 【最終レビュー】

    予約著書・約、4ヶ月半弱待ち。図書館貸出。

    愛子さんの著書・4冊目。

    *前作:人間の煩悩ー既読レビューー

    〈17.5.25既読〉

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4344984285

    前作から1ヶ月半後、やや間が空いている分、上手く貸出の順番が回りタイミングもちょうど良かったです。

    ー目次ー

    *はじめに

    *第一章:私をつくった言葉

    *第二章:幸福とは何か

    *第三章:死とは何か

    *あとがき

    佐藤家の世界でどう、愛子さんご自身が、自分の家族、その周りの人達を通して吸収していった

    『教育法・信条・心得・生き方の欠片のヒントとなる土台の数々』

    今でもしっかりと『柱の一部分』として、愛子さんご自身の中で刻んでいること。

    今作は、これらがベースになっている内容。

    至って、ありふれているメッセージながら、今の時代でも適応できる

    [ズッシリと腰を据えるように込められている『深みある言葉』]

    様々な現代の風潮に関しての

    [一歩引いた『客観的視点での捉え方』だからこその『あらゆる場面での『違和感・不思議・疑問視・怒り・文句に込められた「真の意味合い…」』]等

    なるほどなるほどと…確かに大いに腑に落ちる所が多々あった点、明瞭に伝わるものを感じていたのは事実。

    それは、作家の顔として、ひとりの人間として

    『あらゆる場数の数々』を、真正面から受け止め、『己の心身で』踏みしめながら

    ささやかながらも、一つ一つの小さな出来事を通して

    [培ってきたもの]という

    〈愛子さんの心底からの魂・生き方そのもの〉

    今まで既読した著書以上に

    『鮮明かつ生身の姿』更に表沙汰に伝わっているのが印象深かったです。

    〈同人誌を通して出会った、個性派揃いの作家の方々との交友の裏話〉

    〈北海道での別宅においての、年一・期間限定ライフスタイルの裏話の数々・別宅を建てたことに対する『ありふれた心境』〉

    〈人間の真実とは〉

    〈奥行きのある日本語・故事を散りばめながら〉

    〈著名人の方々がズラリ…正岡子規・高浜虚子・遠藤周作さん・斉藤茂吉・北杜夫さん・瀬戸内寂聴さん〉

    〈先へ進む人と、先へ進まない人の対比~自らの経験談があるからこそ〉

    〈敬愛する哲学者:アラン氏の好きなメッセージを通しての、愛子さんの『根っことして置いていた姿勢』〉

    これ以上は、ネタバレになりそうなので、このあたりで。

    瀬戸内寂聴さん同様、愛子さんも

    〈愛子さん流:振り幅の広い視野・冴え渡る『斬新な想いの数々』〉

    再度、つくづく身に染みた著書。

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著者プロフィール

大正12年、大阪生まれ。甲南高等女学校卒業。昭和44年、『戦いすんで日が暮れて』で第六十一回直木賞を受賞。昭和54年、『幸福の絵』で第十八回女流文学賞を受賞。平成12年、『血脈』の完成により第四十八回菊池寛賞、平成27年、『晩鐘』で第二十五回紫式部文学賞を受賞。平成29年4月、旭日小綬章を授章。近著に、『こんな老い方もある』『こんな生き方もある』(角川新書)、『破れかぶれの幸福』(青志社)、『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)などがある。

「2018年 『新版 加納大尉夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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