植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611195

作品紹介・あらすじ

ゲノム科学の進展で、今、薬用植物の世界が熱い!ポリフェノール、カテキン、フラボノイドなど、今や日常用語として使われている植物由来の成分です。モルヒネやキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物の作る薬を使ってきました。しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていなかったのです。その根源的なメカニズムがわかってきたのは、2000年代に入って植物のゲノム配列が決定されてからのこと。「動かない」選択をした植物が「生き残り」戦略として、動物などの捕食者から身を守るため、いかに巧妙なシステムで「毒」のある成分を作るのか。しかも、その「毒」から自らを守るためにどのような方法を採っているのか。その「毒」には抗がん薬の元となる成分も含まれます。そうした巧緻なしくみが、ゲノム科学の発展により遺伝子レベルで突き止められるようになってきました。中国からの輸入が困難になりつつあるカンゾウ(甘草)の成分も人工的に作ることが可能になるなど、最先端のバイオテクノロジーにも触れつつ、驚くべき植物の戦略を明らかにします。

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    第1章  植物から作る薬
    第2章  薬になった植物成分
    第3章  植物はなぜ薬を作るのか?
    第4章  植物はどのように薬になる物質を作るのか?
    第5章  植物の二次代謝と進化のしくみ
    第6章  バイオテクノロジーと植物成分
    第7章  人類は植物とどのように相互共存してくべきか?

    <内容>
    植物の生合成のしくみからさまざまな化学成分の抽出(これがいわゆる漢方)、さらには化学的に生成、さらに遺伝子配列の分析からいわゆるバイオテクノロジーと研究を進めてきた著者の、こうした分野での解説書。わかりやすい書き方で、高校程度の生物・化学の知識があれば読める内容である。そして、逆に薬や味、匂い(これは食べ物として)、たばこや麻薬などの嗜好品(麻薬を嗜好品というのは…)、これらの多くは植物由来であり、さらに言えば彼ら植物が光合成をしてくれているからこそ、我々がこの地球上に生かされていられる訳だし、太古の植物の死骸などが石炭、石油となっていることを考えると、もっと植物のことを考えねばならない。
    また、バイオテクノロジーに関しても、「怖い」イメージがあったが、こうした啓蒙を受けると今やなくてはならない技術であり、もう身近に恩恵を受けている。こうした研究者の方の働きかけも弱いと感じたが、反対派のヒステリックな反応もどうかと感じた。

  • 薬品や健康に良い成分は植物由来のものが多い。それらは植物がよりよく生きるために作ったもので、決して人のために作ったものではない。人はあくまで、地球の同居人の生産物を使っているに過ぎない。
    そう思えば、人々は自然にとても支えられていて、感謝の気持ちが湧いてきた。

  • 最近漢方薬に興味をもっている。漢方のことを勉強していると、実は薬というのは漢方に限らず、どんな薬もわりと植物の成分を元にしていることがわかり、そしてこの本のことが気になって読むことにした。割と専門的な内容が多くて、あまり娯楽性が強い本ではなかった。そこは筆者があとがきでも書いていたこと。

  • 生薬の発見と発展の歴史

  • みどりの日 植物に関係ある本を読みましょう!

    メタボロミクスは、生命活動により生じる様々な代謝物を網羅的に検出・解析し、生体内の生命現象を包括的に調べる手法です。
    医用分野でもメタボロミクスの利用が広がっています。


    植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

    内容 :
    ゲノム科学の進展で、今、薬用植物の世界が熱い!
    ポリフェノール、カテキン、フラボノイドなど、今や日常用語として使われている植物由来の成分です。モルヒネやキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物の作る薬を使ってきました。しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていなかったのです。
    その根源的なメカニズムがわかってきたのは、2000年代に入って植物のゲノム配列が決定されてからのこと。「動かない」選択をした植物が「生き残り」戦略として、動物などの捕食者から身を守るため、いかに巧妙なシステムで「毒」のある成分を作るのか。しかも、その「毒」から自らを守るためにどのような方法を採っているのか。その「毒」には抗がん薬の元となる成分も含まれます。
    そうした巧緻なしくみが、ゲノム科学の発展により遺伝子レベルで突き止められるようになってきました。中国からの輸入が困難になりつつあるカンゾウ(甘草)の成分も人工的に作ることが可能になるなど、最先端のバイオテクノロジーにも触れつつ、驚くべき植物の戦略を明らかにします。

    著者 : 斉藤 和季
    理化学研究所 環境資源科学研究センター 統合メタボロミクス研究グループ
    植物メタボロミクスの第一人者。

    2018/5/4 読み始める。 読み終わる。
     

  • 生命の定義
    ①自らの生存と成長の為に物質代謝、エネルギー代謝が出来ること。
    ②自己を複製して次世代に受け継ぐこと
    この2つの属性を有し、生命として成り立つために動かないことを選択した植物は独自の生存戦略を発達させた。それが結果的に多くの薬をもたらす事に繋がった。

    地球上で1番多いタンパク質はルビスコ。空気中の二酸化炭素を最終的ブドウ糖などに至る有機化合物に固定できる。温暖化防止に役立つ。
    現在では医師の9割が漢方を使っている。
    ミトコンドリアのゲノムが母親にしか由来しないのは人間も植物も同じ。
    アレロパシー、他感作用。
    薬用成分は植物の二次代謝によってできる。
    一次代謝は生命維持の活動。
    地球上にある種子植物あるいは顕花植物の総数は22万から26万種あると考えられている。その内ゲノム配列が解明されたのは100種程度。

  • アスピリンは、ヤナギの樹皮に含まれる鎮痛作用のあるサリシンをアセチル化したもの。爪楊枝にはヤナギの枝が使われる。植物体が病原菌の攻撃を受けると、サリチル酸は揮発性の高いサリチル酸メチルに変換され、植物の体全体にすばやく伝える。サリチル酸メチルはよい香りで、サロメチールとして使われている。

    タバコの葉が捕食者にかじられると、ジャスモン酸メチルという信号伝達物質が産生され、根のニコチン生合成をつかさどる遺伝子が活発に活動する。

    他の植物の生長を抑えたり、微生物や昆虫、動物から身を守ったり、引き寄せたりすることをアレロパシー(多感作用)という。セイタカアワダチソウは、シスデヒドロマトリカリアエステルを放出して、ススキなどを駆逐して繁殖した。マリーゴールドは、土壌中の線虫の発生を抑える。

    漢方処方の7割に配合されている甘草の主成分はグリチルリチンで、砂糖の30〜150倍甘い。スナック菓子、佃煮、漬物、飲料などに多く用いられている。

    ポリフェノールとは、ベンゼン環などの芳香環に水酸基(OH)がついた化合物群で、水酸基が活性酸素分子を捕捉する抗酸化作用を持つ。柿の渋みはタンニンで、種子が成熟するまで食べられないようにする働きを持つ。
    フラボノイド:フラボノール、フラボン、カテキン類、アントシアニン、イソフラボン
    スチルベノイド
    フェニルプロパノイド
    タンニン

    代謝経路には、どの生物種にも共通して存在する一次代謝経路と、特定の種やグループに存在する二次代謝経路がある。二次代謝経路によって作られる物質は主に5つある。
    ポリケチド:大黄、アロエ
    フラボノイド:ソバ、ブルーベリー
    フェニルプロパノイド:シナモン、アニス
    テルペノイド:柑橘類、ハッカ、甘草
    アルカロイド:ケシ、タバコ

    新薬の6割は、天然から得られた成分、主要部分が天然物由来、天然物の生合成経路を真似て合成されたものなど。

  • 植物の素晴らしいことが理解できた。
    薬の発見される仕組みも

  • またしても、良い入門本に出会えた。本草学って感じだ。
    タイトルで興味を持ったが、内容はそれに答えるものというより、バイオテクノロジーへの導入本のような感じだ。

    身近にある薬が植物由来であることから始まり、その植物の生態系、なぜそのような薬効が得られているかの説明があり、最後に植物研究の話も簡単にお披露目がある。

    学びはいくつもあったが、、これどっかで質問できるところとかないのかな。。笑

    アレロパシーの話は印象深い。大好きなコーヒー、そしてカフェイン。そんな目的があったなんて。。。

    少し調べて見たが、例えばデカフェは遺伝子組み換えの応用でできるようだ。しかし実用化されてないと書かれてるが2004年時点。今どうなったんだろう。さすがにできてそうだが。。。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7

  • 植物学、薬学の基礎解説本。ぎりぎり啓蒙書レベルであるが、高校生物学程度の知識が必要で、どちらかというと難易度は高い。

    現在、ほとんどの穀物が遺伝子組み換えになっている事実。遺伝子組み換えよりも気候による変化などの方が大きいこと。薬は植物由来が6割、化学由来が4割であること。抗がん剤、抗生物質などの作用機序。毒である物質になぜ生物自身は侵されないか=無毒化の仕組み。など。

    タイトルはあまり深く掘り下げられていない。

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著者プロフィール

千葉大学大学院教授、理化学研究所環境資源科学研究センター副センター長、薬学博士。1977年 東京大学薬学部卒業。東京大学大学院薬学系研究科に進学。慶應義塾大学助手、千葉大学助手・講師・助教授などを経て現職。2018年 紫綬褒章受章。主な著書に『植物はなぜ薬を作るのか』(文春新書)、『天然医薬資源学[第6版]』(共編、廣川書店)、『植物の代謝コミュニケーション』(共編、共立出版)などがある。

「2019年 『植物メタボロミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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