対論 「炎上」日本のメカニズム (文春新書 1128)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611287

作品紹介・あらすじ

2000年代に入ってすっかりおなじみになった「炎上」という言葉。ネットで不用意な発言や写真をアップした人に対して、集中豪雨的に批判、非難が殺到するさまを、炎が燃え広がることにたとえたものだが、これはネットの専売特許ではない。 たとえば、小泉劇場と呼ばれた、小泉純一郎元総理の政治手法そのものが、社会を炎上させるものだった。そして今、小池百合子都知事やドナルド・トランプ米大統領が巻き起こす小池劇場、トランプ劇場も、社会の炎上の一形態に他ならない。「人々の中にたまった情念が、何らかの大義名分を媒介として『天下公認の正義』のごとく認定されることにより、爆発的な形で発散され、その発散が社会的にどんどん広がってゆく現象」を炎上の定義とするならば、炎上はどこにでも生じる。 本書は、佐藤健志さんと藤井聡さんがそれぞれの炎上論を論じ、最終章で、対談によって炎上をコントロールする方法を探るという「対論」のスタイルを採用。 佐藤さんは、ジャン・アヌイの演劇論を軸に、炎上のメカニズムを論じ、藤井さんは、自身が炎上に巻き込まれた豊洲移転問題や「大阪都構想」問題を中心に、炎上が公益を毀損する危うさを論じる。 対談では、そんな厄介な炎上をいかにしてコントロールし、封じ込めるかについて、大胆な提案を行う。炎上形態のひとつとして論じられるヒットアニメ『進撃の巨人』『魔法少女まどか☆マギカ』についての考察は秀逸。「人々の中にたまった情念」が増大していくこんにち、炎上はどこにでも起こりうる事象になっている。これと付き合わないで生きていく手段はない。ならば、本書を読んで、高らかにこう叫ぼうではないか。 炎よ、われと共に歩め!

感想・レビュー・書評

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  • 【小池都知事の豊洲騒動も「炎上」のひとつなのだ】炎上はネットの中だけの現象ではない。トランプ現象だって社会の大炎上だ。保守の論客2人が対論形式で探る、そのメカニズムと対策。

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著者プロフィール

1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。著書に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ) 、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。訳書に『新訳 フランス革命の省察 』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『新訳 フランス革命の省察』は2020年、リニューアルのうえPHP文庫に収められた。

「2021年 『感染の令和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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