安楽死で死なせて下さい (文春新書 1134)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611348

作品紹介・あらすじ

92歳「渡る世間は鬼ばかり」の人気脚本家が語る究極の往生論衝撃の問題提起で2016年「文藝春秋読者賞」受賞!著者が「終活」を始めたのは89歳の時でした。きっかけは著者のことをママと呼んで親しくしている女優の泉ピン子さんから「ママはもう90なんだから、じゅうぶん歳を取ってるんだよ」と言われたことでした。夫に先立たれ、子供もなく、親しい友人もいない天涯孤独。仕事もやり尽くし、世界中の行きたい所へも行きました。やり残したことも、会いたい人もいない、もう十分に生きたと思いました。遺言は80歳の時に作っておいたので、まずは物の整理から始め、今までのドラマの原稿、ビデオテープ、手紙類などを大量に処分しました。あとは人に知られずにひっそりといなくなり、死んだことも公表せず、葬式や偲ぶ会もしないと決めたのです。ただ、唯一気がかりなことは、病気になったり、認知症になったりして、人さまに迷惑をかけることです。それは著者の尊厳の問題でした。死ぬ時に痛いのや苦しいのも勘弁してほしい。いつどうやって死ぬのかはやはり自分で決めたいと思った時に考えたのが「安楽死」です。しかし、現在の日本の医療現場で安楽死は許されていません。ヨーロッパの国やアメリカの州のいくつかで合法化されていますが、日本人が安楽死を希望する場合はスイスのNPOを頼ることになります。そのため著者は、日本でも法を整備し、自らの死に方を選択する自由を与えてほしいと主張します。もちろん、あくまで本人が希望し、周りの人の理解が得られた場合です。著者が2016年12月号の「文藝春秋」に寄稿した「私は安楽死で逝きたい」は大きな反響を呼び、第78回文藝春秋読者賞を受賞しました。読者の方からは「私も賛成です」「法制化の旗振り役になってください」など多くの賛同の声が寄せられました。本書には、病気で苦しむ妻に悩む男性や、進行性の難病を抱える男性と著者との手紙の対話も収録しています。

感想・レビュー・書評

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  • 橋田壽賀子さんは「不倫」を書かなかった 「殺人」も、その理由とは: J-CAST テレビウォッチ【全文表示】
    https://www.j-cast.com/tv/2021/04/06408862.html?p=all

    「終活」にも取り組んでいた橋田寿賀子さん 遺産は財団で活用 自身の墓もすでに冨士霊園にあるという:中日スポーツ・東京中日スポーツ
    「15年に文化功労者、20年には文化勲章を受けた。新進脚本家らを育成する「橋田文化財団」の運営にも力を注いだ。近年は「終活」にも取り組み、遺産は財団で活用することを決め、自身の墓もすでに静岡県小山町の冨士霊園にあるという。」
    https://www.chunichi.co.jp/article/231133

    《追悼》橋田壽賀子さん「安楽死で死なせて下さい」と語った理由 「そろそろ、おさらばさせて下さい」という権利があってもいい | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/articles/-/44607

    文春新書『安楽死で死なせて下さい』橋田壽賀子 | 新書 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611348

    • yuukichimaruさん
      時代とともにいろんなことを吸収しながら、できる限り、視聴者が求めることを発信し続けたそんなイメージがあります。根底は変わらない作家さんと言う...
      時代とともにいろんなことを吸収しながら、できる限り、視聴者が求めることを発信し続けたそんなイメージがあります。根底は変わらない作家さんと言うイメージです。以前、発売された頃に、家族に読んだことあると聞かれたことがあったなと思い出しました。久しぶりに読んでみようかなと思いました。ありがとうございます。
      2021/04/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      yuukichimaruさん
      ドラマを見るのは難しいけど、書かれたモノを読みたくなってきました。

      私は二流でいい 泉ピン子さんに語っ...
      yuukichimaruさん
      ドラマを見るのは難しいけど、書かれたモノを読みたくなってきました。

      私は二流でいい 泉ピン子さんに語った橋田さんの真意:朝日新聞デジタル
      https://www.asahi.com/articles/ASP46640XP46ULZU00Y.html

      寂聴さんと橋田寿賀子さん 手を取り合って語ったこと:朝日新聞デジタル
      https://www.asahi.com/articles/ASP476367P47PTFC018.html
      2021/04/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      上野千鶴子「人間、役に立たなきゃ、生きてちゃ、いかんか」(1/2)〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      https://d...
      上野千鶴子「人間、役に立たなきゃ、生きてちゃ、いかんか」(1/2)〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      https://dot.asahi.com/wa/2021113000056.html?page=1
      2021/12/16
  • 橋田壽賀子さんの著作、ブクログ登録は2冊目になります。

    橋田壽賀子さん、どのような方か、ウィキペディアで確認しておきます。

    橋田 壽賀子(はしだ すがこ、1925年〈大正14年〉5月10日 - 2021年〈令和3年〉4月4日)は、日本の脚本家、劇作家、タレントである。本名:岩崎 壽賀子(いわさき すがこ)(旧姓:橋田)。位階は従三位。静岡県熱海市名誉市民。

    本作の刊行は2017年なので、書かれた時の著者の年齢は92歳位になります。

    少し前に、橋田壽賀子さんは、安楽死に賛成の立場をとられていることを知り、衝撃を受けたものです。
    が、今は、私も賛成です。
    本作を読むと、著者が、生前、安楽死について深く考えていた姿が浮かんできます。

    本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    92歳「渡る世間は鬼ばかり」の人気脚本家が語る究極の往生論衝撃の問題提起で2016年「文藝春秋読者賞」受賞!著者が「終活」を始めたのは89歳の時でした。きっかけは著者のことをママと呼んで親しくしている女優の泉ピン子さんから「ママはもう90なんだから、じゅうぶん歳を取ってるんだよ」と言われたことでした。夫に先立たれ、子供もなく、親しい友人もいない天涯孤独。仕事もやり尽くし、世界中の行きたい所へも行きました。やり残したことも、会いたい人もいない、もう十分に生きたと思いました。遺言は80歳の時に作っておいたので、まずは物の整理から始め、今までのドラマの原稿、ビデオテープ、手紙類などを大量に処分しました。あとは人に知られずにひっそりといなくなり、死んだことも公表せず、葬式や偲ぶ会もしないと決めたのです。ただ、唯一気がかりなことは、病気になったり、認知症になったりして、人さまに迷惑をかけることです。それは著者の尊厳の問題でした。死ぬ時に痛いのや苦しいのも勘弁してほしい。いつどうやって死ぬのかはやはり自分で決めたいと思った時に考えたのが「安楽死」です。しかし、現在の日本の医療現場で安楽死は許されていません。ヨーロッパの国やアメリカの州のいくつかで合法化されていますが、日本人が安楽死を希望する場合はスイスのNPOを頼ることになります。そのため著者は、日本でも法を整備し、自らの死に方を選択する自由を与えてほしいと主張します。もちろん、あくまで本人が希望し、周りの人の理解が得られた場合です。著者が2016年12月号の「文藝春秋」に寄稿した「私は安楽死で逝きたい」は大きな反響を呼び、第78回文藝春秋読者賞を受賞しました。読者の方からは「私も賛成です」「法制化の旗振り役になってください」など多くの賛同の声が寄せられました。本書には、病気で苦しむ妻に悩む男性や、進行性の難病を抱える男性と著者との手紙の対話も収録しています。

    ●2022年10月8日、追記。

    本日の聖教新聞の記事に、「T4作戦」のことが書かれていた。
    T4作戦とは、「ナチス・ドイツによる強制的な安楽死政策。優生思想に基づき、障がい者や病気の回復が見込めない人など、約20万人が犠牲になったとされる。」

    こういう時代を生きた方々は、安楽死の賛否には慎重になりそうです。

    ●2023年9月4日、追記。

    読売新聞によると、ヨーロッパでは、安楽死を認める国が急増しているとか。
    以下、記事の引用です。

    ---引用開始

    近年、安楽死を認める国が西ヨーロッパを中心に急増しています。ドイツは第2次世界大戦中、ナチスによる障害者(多くは精神障害者)の大量殺人が「安楽死」として行われた歴史から、安楽死はタブーとされてきましたが、2020年、憲法裁判所が安楽死を認めました。

     2022年にはイタリアでも「合法的自殺幇助(ほうじょ)」が初めて実施されました。

    ---引用終了

    • seiyan36さん
      猫丸(nyancomaru)さん

      再度のコメント、ありがとうございます。
      「だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私た...
      猫丸(nyancomaru)さん

      再度のコメント、ありがとうございます。
      「だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語」、地元の図書館にもあるようです。
      私も、読んでみようと思います。
      2022/07/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      seiyan36さん
      今日読んだ記事、、、

      安楽死が認められている国はどこ? - SWI swissinfo.ch
      https:/...
      seiyan36さん
      今日読んだ記事、、、

      安楽死が認められている国はどこ? - SWI swissinfo.ch
      https://bit.ly/3OvJi7V

      スミマセンしつこくて。。。
      2022/07/25
    • seiyan36さん
      猫丸(nyancomaru)さん

      関連記事の紹介、ありがとうございます。
      安楽死が認められているのは、北米、オーストラリア、ヨーロッ...
      猫丸(nyancomaru)さん

      関連記事の紹介、ありがとうございます。
      安楽死が認められているのは、北米、オーストラリア、ヨーロッパの一部などですか。
      アジアでは、まだ認められていないようですね。
      2022/07/26
  • ドキッとするようなタイトルだが、誰もが絶対に避けることが出来ない「死」だからこそちゃんと考えない内容。

    「死ぬ権利」について正解不正解があるというよりは個人の意見をどこまで尊重するかという点が重要であると思う。

    個人的には橋田さんの意見はとても共感できる。

    「生きる」って何だろう。

    心臓が動いていれば、脳が活動していれば生きているのだろうか。

    自殺者が多い日本だからこそ、死をタブーにするのではなく安楽死や尊厳死について真剣に法整備してもらいたいなと思います。

  • 長生きすることが、珍しくもめでたいことでもなくなった現代。
    高齢化社会においては、生き方と同じ様に死に方についても
    もっともっと考えなくてならないと思う。
    人が死ななくなった現代、これからの医者には
    病気の治し方より上手な死なせ方も学んでほしいという橋田さんの意見に賛成だ。
    もう充分に生きたと本人が思ったときに
    人生の幕を自分でひけるという選択肢があるなら、
    人は今よりずっと安心して老いていけるだろう。

    橋田さんは、『自分はもうなんの役にも立たない』というけれど、まだまだ楽しいドラマや面白いエッセーを書いてほしいと心から思います。

  • 共感することばかり
    著者のように経済的に余裕がないけれど
    天涯孤独ではないけれど
    私も安楽死を望みます
    死ぬ権利 認めてほしい
    寝たきりの高齢者
    ご本人も家族も決して望んでいない状態
    行政も医療関係者も恐ろしくて言えないことを
    きちんと発信してくれました

    ≪ 持ってたら 生きる安心 死ぬ薬 ≫

  • 死と向き合うのはとても勇気がいることで、死ぬことは忘れながら生きている。でもこの超高齢化社会で、生きることが辛かったり周りを苦しめてしまう(無理心中とか)ことを考えると選択肢のひとつとして選べることには価値があると思う。

  • 2021年4月 橋田先生がお亡くなりになったとの報道があったが
    結局 先生の思い描いた通りの終焉をお迎えになられたのだろうか?

    作中で何度も「私には心配してくれる人がいない。生きていることを望んでくれる人が誰もいない。」と何度も書かれてありましたが、本当にそうだったのでしょうか?

    ボケてしまう前に安楽死 周囲に迷惑をかける前に安楽死
    理想的だけど、私もそうして欲しいと思うけど、他の人に当てはめて考えようとすると そんな簡単にはいかないわよって酷い思いが湧いてくる。

    今 私は50代を迎えたばかりだが、30年後もう一度読み返してどんな思いを抱くのか確認したい本だと思う。

  • ・現在、制度としての尊厳死はあるけど、安楽死の制度化について提言している。

  • 橋田壽賀子さんが亡くなられたとのニュースを見て、ふと著書を読んでみたくなった。
    安楽死の是非は職業柄、学生の頃からよく見かける話題。でも正解がないので私はどうにも安楽死の合法化については諸手を挙げて賛成できない。尊厳死については現行のガイドライン通り、もしくは法制化しても全然良いと思う。
    私もエンディングノートを持っているので、橋田さんの言う通り若い頃から自身の死について考えることは大切だなと思う。

  • 僕も、最後は安楽死で死にたいです。出来れば、母も安楽死で死なせて上げたいです。

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著者プロフィール

1925(大正14)年、京城(現在のソウル)生まれ。日本女子大学校卒、早稲田大学中退。1949(昭和24)年、松竹脚本部に勤務。1959年、フリーの脚本家に。1966年、TBSプロデューサーの岩崎嘉一氏と結婚。1989(平成元)年、死別。TBS東芝日曜劇場「愛と死をみつめて」、NHK朝ドラ「あしたこそ」、大河ドラマ「おんな太閤記」、移民をテーマにしたNHK「ハルとナツ」やTBS「99年の愛」など多数の脚本を手掛ける。中でも、1983年のNHK朝ドラ「おしん」は大反響を呼び、広くアジアでも放送される。また、1990(平成2)年からスタートしたTBS「渡る世間は鬼ばかり」は国民的ドラマとなっている。NHK放送文化賞、菊池寛賞、勲三等瑞宝章などを受賞・受勲。2015年、脚本家として初の文化功労者に選出される。主な著書に、『ひとりが、いちばん!』『夫婦の覚悟』(共にだいわ文庫)、『私の人生に老後はない。』(海竜社)、『安楽死で死なせて下さい』(文春新書)、『恨みっこなしの老後』(新潮社)などがある。

「2021年 『渡る世間にやじ馬ばあさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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