- 文藝春秋 (2017年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784166611430
作品紹介・あらすじ
唯一の目的は「生存」、最強の武器は「頭脳」
軍事が生み出す驚異の最先端テクノロジー、超エリート選抜教育、「知」の最強国家イスラエルの真実に迫る!
イスラエルと聞くと、一般的な日本人は「パレスチナ問題」「紛争」などを想起し、明るいイメージを持っていないかもしれない。
だが、じつは私たちの周囲には「イスラエル」が溢れている。あなたが使用しているパソコンのCPUがインテル製であれば、その8割以上はイスラエルで開発されたものである。スマホでグーグル検索をすると、文字をいくつか入力しただけで、候補がプルダウンのように表示される。これはイスラエルにあるグーグルの研究所で開発された「グーグル・サジェスト」という機能である。同じくグーグルの「ページ分析」、ユーチューブの「ライブリザルツ」なども、イスラエルで開発されたものである。そのパソコンを外部侵入者から守ってくれる「ファイアーウォール」を開発したのもイスラエルのハイテクベンチャーである。
このほかにも、ドローン、監視カメラが不審人物を自動的に検出する人工知能フィルター、小型胃カメラ、チョコレートの「マックスブレナー」、死海のミネラルを使用した化粧品やアンチエイジング技術、ダイヤモンドの研磨技術、砂漠の灌漑技術など、イスラエルから生まれたものは非常に多い。
イスラエルは国民1人あたりでみると、ノーベル賞受賞者数、博士号保有者数、教育費、特許数、ベンチャー起業数、研究開発費(対GDP比)などで、世界トップクラスである。
冷戦後の経済成長率(1991年~2015年までの実質成長率)では、イスラエル(174%)は日本(20・5%)を大きく凌駕している。しかも、イスラエルは第2次産業のGDP比が日本よりも高い。イスラエルは「ものつくり」を含めた実体経済で急成長を遂げているのだ。
なぜイスラエルはこれほどの急成長を遂げたのか? その背景には、ロシアや東欧から高学歴移民を受け入れたことや、イスラエル軍が数理系の才能をもつ若者を選抜する超エリートプログラム「タルピオット」「8200部隊」の存在がある。また、イスラエル社会には「失敗を恐れない精神」、ユダヤ人の伝統である「どんな権威にも遠慮せず、自由な議論を尽くす慣習」、そして世界各国からの移民がもたらす「パイオニア精神」がある。
著者は総合商社時代から、ビジネスを通じて多くのイスラエル人と親交を深めてきた。徹底的な現地リポートから、イスラエルの強さの秘密を探る。
感想・レビュー・書評
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新しい切り口でイスラエルの輝かしい面を紹介する本。経済・ビジネス系の雑学も豊富で楽しい。
経営者マインドも持つ憂国読者なら、日本にも現状のディスアドバンテージを覆すための策をこの本に探れるかも……と夢を見れるかもしれない。もちろん種々の制度の移入がうまく行くかは別問題なうえ、日本はイスラエルとの類似点の方が少ない。
ちなみに著者は三井物産のエリートで、さすがのリサーチ力。
しかし「知立」をタイトルに掲げるには難が。ところどころ踏み込みが足りないとも言えます(新書だから網羅的なものを求めても仕方ない)。
具体的には、記述を避けた部分が大き過ぎるのが、明確に本書の弱点でしょう。
①エリート層に限定するのはテーマ選択のレベルだから善悪は無いが、各制度やエリート選抜の〈いいところ〉ばかりにフォーカスするのでは、イスラエルの社会を理解するうえで片面的。問題点や課題にもツッコミをほしい。
②国内の右派の台頭やら、人種・宗教政策は実はこれほど綺麗にまとまってない。
③イスラエルは国内の貧困率が世界有数で(貧困層の割合でも子供の貧困率でも)、いわゆる格差社会だが、本書で紹介されるメリットだけでは、イスラエルの経済社会を手本とする主張はとても受け入れられない。
それでも私の観測範囲で、これまでの新書・一般向け書籍だとイスラエルの外交問題と宗教と民族についての本ばかりが多かったので、イスラエル経済の導入としてこの本は悪くないと思います。
蛇足。「△△国の教育システムは優秀」なら議論の題材になりえますが、「○○民族は優秀だ」という言葉は議論に値しません。カジュアルに褒めていると同時に、手垢まみれの人種論議に頭から飛び込む言葉でもありますので、読者賢君はお気をつけください。もし、本書の感想が後者のタイプになっていた場合は、再読が必要です。
【簡易目次】
はじめに イスラエル急成長の秘密を探る
第1章 爆発するイノベーション
第2章 移民がもたらす「頭脳」と「多様性」
第3章 世界最強 イスラエル軍の超エリート教育
第4章 「失敗を恐れない」教育と知的執着
第5章 イスラエル・エコシステムと日本の協働詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フロイト、メンデルスゾーン、フォン・ノイマン、、人口に比し異常に高いノーベル賞受賞者率、ハイテク産業での存在感、起業率、、、イスラエルすごい!!その秘密は、同じ移民国家であるアメリカとの深いつながり、アメリカンドリームを目指した移民たちとは違ってそもそもの国家の生存をかけているということ、開拓者魂で失敗を恐れない、既存のルールやユダヤ教の教えの解釈まで疑問を持ち議論をしまくる、軍のスーパーエリート教育、、
もうすごすぎて読んでるとモチベーション上がる。私も、、今の環境に甘んじず、自分を求めて動いてもいいのだろうか。もっと既存のルールに疑問を持ったり、既存の価値観に縛られない問題解決能力を身につけようか。
そしてほんの最後にはイスラエルの欠点もちゃんと書いてある。激しい人柄、企業が大きくなる前にアメリカなどに売却してしまうこと、、、
とにかくわくわくしたし面白かった! -
イスラエルの強みと日本の現状を比較し、日本はイスラエルに学ぶところがたくさんあると。
内容は繰り返しが多く、半分のボリュームで十分である。
共通点は資源がないこと。昔、小学校か中学校で、加工貿易という言葉をならった。資源を輸入し、付加価値をつけて輸出する。イスラエルは、加工することがない(メーカーが少ない)ので、知識(頭脳)で付加価値をつけて輸出しているといえる。
しかし、この本には書いていないが、国民のすべてが「知」で仕事ができる脳力を持っていることはないだろうし、国を維持していくには肉体労働をする人も必要になる。その点にもう少し踏み込んでくれるとよいと感じた。
イスラエルは、回りすべてが敵である。ユダヤとイスラムの宗教の違いだ。
宗教の問題は私が理解できるものではない。特に肉親宗教と言えるユダヤ、キリスト、イスラムの戦いである。
そんなイスラエルが生き残るには、他の国がイスラエルを必要とすることだ。
台湾の半導体がまさにそれである。
日本も、世界の中でどうやって生き残っていくかを考えると「知立」はそのキーワードになる。
シンガポールも小さな国であるが、独自の生き方をしている。
以上はこの本を読んで感じたことだ。 -
得意な部分と苦手な部分が理解できた。あとはどうコラボするか。
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【イスラエル国内はもとより,世界中のユダヤ人がネットワークで繋がり,助け合う。目標はただ1つ,「生存」。そのために,イスラエルは「知」を結集してきたのである】(文中より引用)
紛争や宗教といった側面から捉えられることの多いイスラエル。そんな同国が有するハイテクや先端科学といった優れた知の側面に光を当てた作品です。著者は、三井物産のワシントンDC事務局長等を歴任した米山伸郎。
イスラエルが有する様々な知的優位性を的確かつ端的に記しています。基本的に褒め一辺倒の作品なので少し割引く必要もあるかと思いますが、それにしても同国の持つポテンシャルの大きさを考える上で大変参考になる一冊でした。
本書でも紹介される『Start-up Nation』と合わせて読みたい☆5つ -
イスラエルの成功例を用いての日本人への提言。
何となく米国というフィルターを通っていたり、米国との関係の中での成功例というバイアスがある様に感じてしまうが、確かに学ぶべき点は多くあると思う。
提言からもう一歩進んだ具体策にまで踏み込んでもらうと、一段と面白いものとなったのではとも思う。 -
イスラエルは見習いたい
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東2法経図・6F開架:302.27A/Y84c//K
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さくっと今のイスラエルを知ることができる一冊。
かなりのギャップがうまった。
日本にも学びがあるという提案も。 -
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イスラエルの主にポジティブな面に焦点を当てた本。
ある程度イスラエルのことは知っているつもりだったが、初めて聞く制度や団体もあって勉強になった。 -
イスラエルは個人的に今一番注目している国。中東は紛争のイメージが強いが、イスラエルは別格だ。1948年、人口60万人で建国されたイスラエルは、各国に離散していたユダヤ人を受け入れ、現在の人口は860万人を超す。彼らはパイオニア精神とフロンティア精神が強く、迫害された歴史から人一倍「生存」意識も強い。男女共に兵役があり、起業家に対する国の支援が手厚く、世界中のユダヤ人とのネットワークがあるのも強みだ。主張好き、議論好きで、多様な文化を持つ彼ら。互いの長所を引き出し短所を補えば、日本人の良きビジネスパートナーになるだろうなと思った。
p33
あまり知られていないことだが、現在の自動車は、すでにITのかたまりである。歩行に関する機能のほとんどをソフトウェアが制御しており、最先端のプロセッサーが組み込まれている。近い将来、人工知能(AI)が組み込まれた自動運転システムや、電気自動車(EV)、クルマとクルマが双方向で情報共有するネットワーク型制御システムが広まり、クルマという新たなプラットフォームが新たなイノベーションの舞台となることが予測されている。
p41
イスラエルは廃水の再利用技術において、世界最先端を行っている。水の再利用の割合は70%に達し、世界ダントツのトップで、2位のスペインの3倍の割合に達している。
p43
…イスラエルの国土は60%をネゲヴ砂漠が占め、降水量も乏しい。
(中略)農作物の根や地下茎にピンポイントに給水し、余計なところに散布しない「点滴灌漑技術」や、塩分を含む土地を改良する技術など、農業ハイテクがイスラエルの農業を支えている。
p49
輸出も伸びている。とくにハイテク産業は、製造品の約80%を輸出している。そのためGDPへの貢献度が高く、その伸びも91年の30億ドルの輸出高が2000年には123億ドル、06年には290億ドルへと急速に伸びている。このハイテク産業の半分以上を占めるのがIT分野であり、09年の輸出高は190億ドルを記録している。
p51
…イスラエル企業はアメリカから資本を得るためのデューデリジェンス(会社の実態調査)を想定し、社内書類はもとよりイスラエル国内の契約書ですら英語で作成する。さらには法務、経理もアメリカンスタンダードで行おうとしている。
p52
アメリカにはユダヤ系アメリカ人が約600万人いる。その多くがニューヨーク州とカリフォルニア州のという米国の政治・経済の中心地域に居住し、メディアや金融業、芸能など発言力のある職種についている。また、ユダヤ系アメリカ人を中心としたらロビー団体「AIPAC」「J STREET」を通じ、安保、外交、経済の各分野で、イスラエルへの支援を取りつけようと動いている。
p73
米国は、移民で成立した国家である。しかしながら、過去には人種差別的な移民選別が行われていた時代があった。第2次大戦開戦時には、ユダヤ人の移民は拒絶されていた。また、大戦終了後でもヨーロッパやカナダはユダヤ移民を認めず、1948年にイスラエルが建国されるまで、ユダヤ人は移民として向かう場所が英国委任統治下のパレスチナ以外ほとんど無かった。
そのため、イスラエルは建国以来人口が14倍にまで膨らんだ今日でも、すべてのユダヤ人は、犯罪歴や特殊な病歴がある例を除き、イスラエルに移住する権利を有することを宣言している。
p74
これらの移民は移民統合省がいったん受け入れ、数千人を一度に収容できるセンターで一定期間面倒を見ます。そこでは、住居や仕事の斡旋、無料の職業訓練、無料ヘブライ語教育がなされます。それに加えてNGOなども移民の順化を支援しています
p75
一方、アメリカで市民権を得ようとする場合は、永住権取得後5年を経過しており、通算してその半分以上アメリカに居住していなければならない。その後、英語力をはかる面接テスト
、歴史や政治の一般常識を問う市民テストを受ける必要がある。
p78
米国スタンフォード大学のジェームズ・ファーロン教授(政治学)は2003年、世界各国の多様性(ダイバーシティ度)を測る指標をリスト化した論文を発表した。ある国の中において、母語や伝統文化を異にする民族の居住割合を指数化したものであり、上位に行くほど多様性が高い社会である。このリストでは、イスラエルは74位、アメリカは85位、ニュージーランドは102位、日本は157位となっていた。ちなみに、日本より下位の国は、ドイツ(158位)、韓国(159位)、北朝鮮(160位)しかない。日本は北朝鮮と韓国、ドイツに次いで世界で4番目に多様性がない国ということになる。
p86
移民は、リスクテイカーです。しかも、出身母国との生きたネットワークを持っていることも彼らの強みです。それがビジネス上も役に立つのです
p104
移民の国であるアメリカでは、合法永住移民の数は毎年100万人を超えている。2014年の合法永住移民の出身国のトップ5は、メキシコ、インド、中国、フィリピン、キューバとなっている。
p112
超正統派ユダヤ教信徒(ハレディム)やムスリムなどの例外を除くイスラエル人は、18歳になると男女共にイスラエル国防軍に徴兵され、男性3年、女性21〜22ヵ月の兵役に就く。
p117
タルピオットで具体的にどのような研究開発がおこなわれているのかは、あまり明らかにはされていない。だが専門家の間では、ドローン、自動運転技術、顔や指紋認証システム、弾道ミサイル迎撃システム、さまざまな通信・傍受技術など、近年の軍事のパラダイムを変えた多くの発明が、ここから生まれたとみられている。
p125
オーナーシップは『責任』とも言い換えられます。本来の任務、目的、自分の目標に向け、責任感をもって何をすべきか自ら考え、モチベーションを高め、事に当たります。オーナーシップな、自分がやらずしてだれがやるという当事者意識という点で、リーダーシップにもつながります。この感覚を身に着けると、それを持続できる職場を見つけようとします。そうした職場が見つからなければ、自分で会社を起業しようという発想になるのです
p152
マス(数学)・アンド・サイエンス・バイ・メールクラブ:4〜6年生の子供を対象に、Eメールで数学・科学全般に関する質問を受け付ける。ここでは純粋に科学を教えるのではなく、科学者がいかにして科学者になったのか、みずからの生い立ちを子供たちに語り聞かせることもする。
ネットでの情報発信:右の「マス・アンド・サイエンス・バイ・メールクラブ」を、英語、ヘブライ語、アラビア語など各国の言葉でネットを通じ世界中に展開。
p166
離散したユダヤ人は各地で迫害に遭い、常に生存の危機にさらされてきました。そのため、危機を察知し、安全な場所に移動し、新たな職を求めることを繰り返してきました。結果として、生粋の土着の人々よりも革新的で失敗を恐れない特性を身に着けてきました。この感覚・感性はイノベーションを起こす重要な原動力です。危機に応じて、世界中どこにでも行って生き延びてやろうという精神、どんな場所でも生きていけるさという決意は、世界中のユダヤ人に共通のものであると思います。
p176
過半数の若者は除隊後まず短期就職かアルバイトでお金を貯め、それを元手に半年から1年の海外放浪の旅に出る。平均的なイスラエル人の男子は除隊後、1年前後アルバイトをして海外放浪の旅の軍資金をためる。たとえば8200部隊出身者の多くは、その軍資金をIT系ベンチャーで稼ぐという。
p177
起業家を目指す学生のひとつのパターンとしては、遊学中の見聞を通じて自分のやりたいことを整理し、問題意識や具体的構想に磨きをかける。そして、夢の実現に必要な知識や技能を得られる大学はどこなのかを判断するようである。
p178
「日本人は基本的に政府の決めた制度やルールを信頼し、守ろうとします。一方、イスラエル人は、政府は必ずしも正しいことをするとは限らないのだから、なるべく規制を緩和・撤廃させ、民間の活力を利用すべきだと考えます。これはアメリカでも同じです。スマホを使った配車アプリのウーバーや、同じくスマホを用いた民泊サービスのエアビーアンドビーなどの新たなビジネスモデルは、政府が決めた規制や業界をブレークスルーする発想から出ています」
つまり、イノベーションが生じるのは科学技術だけでなく、規制やルールのブレークスルーにあることを強調しているのだ。
p181
ベンチャーを起業しても、かなりの確率で失敗する。それを想定しつつ、たとえ失敗したとしてもその失敗体験は必ずベンチャーキャピタルの無形資産となり、成長への糧となるというのである。テクニオン・イスラエル工科大学のサミュエル・ニーマン研究所のシュロム・マイタル名誉教授は、「イスラエルでは、失敗を"恥"と感じることはなく、むしろ成功のための糧とみなします。実際、イスラエルのベンチャーの失敗率は10年間で96%にものぼり、3回連続で失敗するのが平均的です」と指摘する。
p196
地方の少子高齢化の状態を、ただ「地方消滅」といった文脈で捉えていても、何も解決しない。少子高齢化が「地方の働き手不足」をもたらすならば、それは生産性の高いビジネスのチャンスの場ともなりえる。日本は世界で少子高齢化社会の先端を行くが、いずれ世界のその他の国々にも少子高齢化がやってくる。もし日本が少子高齢化市場で何らかのイノベーションを起こし、その効力を実証できれば、世界市場においてリーディングポジションを獲得できる。逆転の発想で、ピンチをチャンスに変えてゆくことが大切だ。
p197
地元出身のビジネスマンや大学生、あるいは何らかの理由で地元を離れて外から郷里を見ている人々などを横断的に集め、起業家的マインドを刺激してみるという手もある。
p212
日本の場合、古代と現代の間で日本語はずいぶんと変容したが、変わらず続く教えや行動規範、価値観もある。今一度、日本のルーツに立ち返り、グローバル化の中で自らのアイデンティティを知ることによって、外国人に日本を語るための「根」の部分が得られるのではないだろうか。
p216
政府は近年「ジャパン・ハウス」と称する日本のショーケース的広報館をロンドン、ロサンゼルス、サンパウロに建設し、日本の政治、経済、文化から中小企業の優れた技術まで、さまざまなコンテンツを受信しようとしている。 -
イスラエルがいかにIT大国かということが分かる本。
国の成り立ちからして日本とは全く異なる。
人工的に作られた国。
1948年イスラエル建国時人口60万人。
2017年現在人口868万人。
移民が支えた急成長。 -
急成長するイスラエルの背景にはユダヤ人の歴史上長きに渡って培われた危機感がある。それが原動力の1つとなり技術革新が好循環で進んでいる。とても参考になった。
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イスラエルと言えば先端技術というのは知る人ぞ知ること。イスラエルのそういった側面が何に支えられているのかを解説しているこの本。キーワードは、移民活用、教育、徴兵制、横の連帯意識、起業精神あたり。イスラエルは人口国家だけに最初はとても少なかった人口を移民政策によってどんどん取り込んだ。とはいえ、皆ユダヤ人であり、ユダヤ教徒ではあるんだけど。ロシア移民が入ることで大分人口が増えたようだ。そして、ユダヤ教教育に依る歴史への理解と、横の連帯。徴兵制によってできる人脈と、独自の教育体系が起業精神を育んでいると。そんなユダヤ人と日本人が組めば大きなメリットになるのではと説く。とりあえずイスラエルが単なるアラブの敵ではないんだなと知るために良い本。
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生き延びる、生き残る、自分自身ではなくネイションとしてというなんとも憧れるネイションとして存在するイスラエルの最新情報。ビジネスに関する情報=国家戦略という、イスラエルらしい生存のための戦略がきれいにまとまった1冊。素晴らしい。
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イスラエルのアイデンティティはヘブライ語と国防。
LGBTにやさしい国。
冷戦時代、軍事大国ソ連の頭脳を支えたのはユダヤ人だった。冷戦後90年から91年の2年間で33万人のユダヤ人がソ連かrあイスラエルに移った。 -
著者の米山伸郎氏は、長年三井物産に勤務し、現在、日本の中小企業の海外展開を支援するコンサルティング会社&商社の代表を務めるビジネスマン。
本書は、近年世界のビジネス界で急激に存在感を増しているイスラエルについて、その急成長の背景を分析し、更に、日本との協働のヒントを探ったものである。
私は、1年ほど前に、エルサレムとヨルダン川西岸のパレスチナを1週間ほど一人で旅したが、そのときの自分にとってのキーワードは、3宗教の聖地エルサレム、パレスチナ問題、ホロコーストを経験したユダヤ人の3つであり、「イスラエルのビジネス・産業」は全くと言っていいほど視野に入っていなかった。ところが、最近立て続けに、仕事絡みでイスラエルのベンチャービジネスに関する集まりに招待されるなど、ビジネスにおいてイスラエルを強く意識し始めた矢先に書店で本書を目にし、早速手に取ってみた。
改めて驚くのは、イスラエルのIT・ハイテク・バイオ等の分野における存在感である。インテルのプロセッサー、グーグルの検索機能「グーグル・サジェスト」、パソコンのセキュリティ機能「ファイアウォール」、ドローン(小型無人機)。。。いずれもイスラエル発の技術なのである。
本書では、その成長の要因を多角的に分析しているが、突き詰めると、ユダヤ人が歴史上長期間に亘って迫害され、ユダヤ人そしてイスラエルが「国・民族の生存」のためにそれらを必要としているということに行き着くのだ。起業家精神とイノベーションに繋がる考え方とメンタリティ、世界中からのユダヤ人の移住がもたらす頭脳と多様性、世界最強のイスラエル軍を作り上げる超エリート教育、いずれもユダヤ人とイスラエルという、極めて特殊な歴史・環境が生み出したものとして納得がいく。
著者は、更にもう一つの特徴として、「“失敗を恐れない”教育と知的執着」を挙げるのであるが、これは「フェールセーフ」のシステム、即ち、仮に一部のサブシステムに失敗があっても、残りのサブシステムがバックアップすることにより、トータルシステムとしては確実に高い目的を果たすという設計思想であり、大きな伸び代を持つ若者に挑戦と失敗を繰り返すことを許容すれば、一時的な社会コストは高くなるかもしれないが、逆にシステム全体の成長や生存性を高めるという、我々にとっても非常に参考になる発想かもしれない。
そして最後には、イスラエルと日本の補完的協働による相互発展の可能性についても語られている。
日本とイスラエルは地理的にも歴史的にも結びつきは薄く、日頃のビジネスに関する情報も多いとは言えないが、今こそ、政治や宗教とは違った角度から知っておくべき国であることは間違いなく、それをタイムリーに取り上げた本書は一読の価値があろう。
(2017年11月了) -
イスラエルの最終目的は「生存」であり高い起業力とイノベーション力の背景には、
・「ユダヤ人特有の自由な議論を尊重する文化と教育」
・「移民」
・「軍」
・「アメリカ中枢への刺さりこみ」
がある。
資源は「人間」のため多くの移民を受け入れ、ソリューションを考え出す自主自立の精神を教育方針とする。既存の価値観をも疑問視できる知的執着によりイノベーションが生じる。
若いうちの兵役で才能と自立心を養うが、「生存」が一番なので「個」のエゴを上回る「大義」に尽くす大切さを身につける。
「0から1」を生み出すイスラエルと「1から100」を育てる日本、似ているようで異なるからこその協働もある。
総人口の増やし方より国民一人ひとりの「個」の力の向上・・・人口の少ないイスラエルから学ぶこととして少子高齢化に対する意見が感慨深い。
