王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷 (文春新書 1180)

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  • 文藝春秋 (2018年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784166611805

作品紹介・あらすじ

「微笑みの国」のダークサイドに迫る!



「親日国」で日本人にも人気のタイ。日本企業が多数進出し、温暖な気候と穏やかな国民性に惹かれてリタイヤ後に移住する日本人も多い。

だが、そんな明るいイメージの裏に、想像を絶するタブーがある。

それは「王室」だ。

ごく一般の人が、SNSに投稿した何気ないひと言によって「不敬罪」に問われる。なかには30年近い懲役を科せられている人もいるほどだ。

現在のタイの発展の最大の功労者は、2016年10月に死去したプミポン国王である。プミポン国王は第二次大戦後、王制の下での民主主義(タイ式民主主義)を推し進め、数々の政治危機から国を救った。インドシナ半島における反・共産主義の砦となったタイは、急速な経済発展を実現すした。タイを繁栄と安定に導いた王室は、次第に絶対的な存在と目されるようになった。

だが、1990年代以降、そんな王室に“対抗”する勢力が台頭してきた。タクシン・チナワット元首相である。タクシンは地方農村への援助や公共投資によって貧しい人々の心を掴んだ。王室周辺は、そんなタクシンに警戒感を強めてゆく。結局、2006年にクーデターによってタクシンは国を追われた。

しかしタクシン追放後、王室の権威はますます権力闘争に利用されるようになった。

政治家、軍部、司法の重鎮たちが、政敵を追い落とすために「反王室」のレッテル貼り争いに興じる。経済格差が進行し、国民たちも分断の度合いを深めている。

だが、不敬罪は海外メディアにも適用されるため、そんなタイの情勢は抑制的にしか伝えられてこなかった。タイに関する報道は常に核心に触れられず、読者に理解しづらいものだった。

本書は、不敬罪で投獄された人の肉声やクーデターを実行した軍部関係者のインタビューなど、深い取材によって得られた貴重な情報が豊富に盛り込まれている。これまで描かれなかった構図や背景を深く、分かりやすく描いている。

タイにおける王室とは何なのか、「タイ式民主主義」とは何だったのか……このテーマは、皇室を戴く日本人にとっても無関心ではありえない。

みんなの感想まとめ

タイの王室とその影響力、そして不敬罪というタブーに迫る本書は、現代タイの政治闘争を理解するための貴重な資料です。著者は、プミポン国王の治世とその後の政治的混迷を詳細に描き出し、特に王室がどのように権力...

感想・レビュー・書評

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  • タイ駐在2年目にして遅ればせながら本書をたまたま発見。タイトルに惹かれ購入。1000円弱で、これだけの知識量を獲得できるのは非常にコスパが良い。同著者の他作品を探したものの、当該書籍以外はなさそう。タイの大まかな歴史・王室にまつわる話を体系的に学ぶには最適の一冊。

  • 東2法経図・6F開架:312.23A/I96o//K

  • タイ王国では王室に対する不敬罪が存在する。
    ほほえみの国の裏側にある、タイ王国のアンタッチャブルというべき王室。

    タイ王室が直面する社会経済の変化、国民意識の変化、農村部VS.都市部(エスタブリッシュメント)という構造。日本人が知らないタイを取り巻く状況を教えてくれる作品。

  • タイの政治闘争と、それに深く関わっていったブミポン元国王の、タイ現代史。
    日本の場合、天皇が政治的発言や政治判断を行うと、必ず存在する反対派と天皇の絶対的存在とが両立できなくなるため、天皇に政治的判断を仰ぐこと自体がタブーとされてきた。
    タイでは、クーデターで政権を取った軍政が、国王の存在を利用して政治的対立を積極的に煽っている。日本人からすると、国王を政治闘争に利用すること自体が不敬罪にあたるのでは、と思ってしまいます。
    日本のように、対立のもっと上位概念として、国をまとめあげる象徴に国王を担ぎ上げられたら良いですね。

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