日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年 (文春新書 1205)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612055

作品紹介・あらすじ

独裁、ゴマスリ、権力闘争……強欲と収奪の内幕を克明に描くノンフィクション!「日産・ルノー提携」の特ダネを1999年にスクープして以来、カルロス・ゴーンを見つめてきたジャーナリストが、その栄光と墜落の軌跡、そして日産社内の権力闘争の実態をあますところなく描いた経済ノンフィクション。 倒産寸前まで追い込まれた日産にルノーから送り込まれたゴーンは、トップ就任からわずか1年半後、過去最高益を叩き出す。 だが、ゴーンには別の顔があった。寵愛する「チルドレン」で配下を固め、意見する者は容赦なく飛ばす。部下に責任を押しつけて更迭し、自分は地位にとどまった。そして、私物化。ゴーンは私的に購入した金融商品がリーマンショックで18億円もの損失を出した際、一時的にそれを日産に付け替えた。約20億円もの報酬のうちの約半分を退任後に受け取ることにし、有価証券報告書には10億円分しか記載してこなかった。会社のカネで購入した豪華邸宅を私的に利用するなど、公私混同は枚挙に暇がない。いったいなぜ、ゴーンは道を誤ってしまったのか?ヒントは「歴史」にある。日産は創業以来、ほぼ20年周期で大きな内紛を起こしてきた。そのつど、「独裁者」と呼ばれる権力者があらわれ、制御不能のモンスターと化した。その独裁者を排除するために新たな権力者を必要とし、新たな権力者がまたモンスターと化していった。そうした構図が繰り返される背景には、日産が抱えるガバナンスの問題点、そして独裁者をのさばらせた側にも大きな責任があることが浮かび上がってくる。企業ドキュメントとしての魅力もさることながら、人物ドラマとしても抜群に面白い。フィクションをしのぐ驚愕の展開!

感想・レビュー・書評

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  • ゴーンについて一言で言えば、晩節を汚したな。

  • 2018年11月、日産自動車のトップ、カルロス・ゴーン逮捕。それはゴーンの部下である日産幹部たちのクーデターだった。そして、ゴーン氏による日産の私物化が明るみになる。

    当時の日産とゴーン氏の不祥事ニュースに驚いた記憶がある。が、著者の取材によれば、すでにゴーン氏は経営に興味を持たず、私腹を肥やすことに専念していたようであり、それは日産内部で周知の事実だったようだ。

    本書は、ゴーン氏の日産をV字回復させた手腕の評価よりも、彼の裏の顔を暴くことに注力。さらに、ゴーン失脚を計画した中心人物、西川廣人氏への評価はゴーン氏よりひどい。まるで彼がゴーン氏と同じように失脚することを予言しているかのよう。

    結局、どうして日産とゴーン氏がこうなってしまったのか。ゴーン氏は倒産寸前の会社に乗り込み、リストラを中心とするコストカット経営についての能力はあるが、その後の安定かつ長期的な経営をできるタイプではなかった。そんな彼が20年もトップに君臨したことが、ゴーン氏にとっても日産にとっても不幸なことだった。「日産vsゴーン」とは組織トップの交代の難しさを知るモデルケースにも当てはまる。

  • 日産とゴーンの歴史

  • 改革派のゴーンのニッサン人生
    改革と成長の違いと難しさ
    サラリーマンの怖さを感じる

  • 財務の建て直しと大規模グローバル企業の安定維持はまったく別のスキルなのだと分かった。経営というのも色々要素あるので、プロ経営者というのもまるっとさせすぎなのだなと。

  • 自動車業界に詳しい上司から借りた一冊。思ったより面白い。ほんとに長年筆者が取材してきたのがわかる。

    一言でいうと「今の日産では働きたくない」。
    創業から今まで、内部抗争を繰り返してきた会社。ゴーンはその潮流の一例でしかない。
    社内政治ばっか考えてほんとに大事なものづくりや技術をないがしろにして会社として大丈夫なのか。
    ゴーンさんはハゲタカ的リストラクションは得意でも、サスティナブルな会社づくりには向いていない。有事と平時に向いているトップの気質は違うということの最たる例。

    最後の章、「これからの自動車産業」が業界知識として面白かった。
    中国やアメリカ、列強が国を賭けた戦略で攻めつつある自動車産業において、今まさにパラダイムシフトが起こりまくり。果たして日本のお家芸はどうなっていくのでしょうか。

  • 東京中央銀行みたいな会社だな。

  • 何でも長期政権は腐敗するとのだなと。もうひとつ。金持ちはセコいから金持ちになるのだと。

  • 日産の創業者ってなかなか謎な人物だなぁ。
    しかしいい加減ゴーン捕まえろよ。

  • そもそも日産てのはこんな会社だったのかって感じ。

    権力闘争に明け暮れて、外資導入せずにいられず。
    やって来たのは短期業績回復請負のコストカッター。
    それでV字回復したのは良いけど、要は、カンフル剤を栄養剤と間違えた。
    長期安定経営は無理だった。
    んで、本人が、名誉は金で買うものだという信念のお方だった。そこの仏政権の思惑とか色々絡んで来てるわけだが。

    おんぶ抱っこで来たくせに、クーデターは良いが、自分たちで出来もせず、国家権力に頼った。
    そんな図式ですか。

    この後楽器ケースで海外逃亡したおじさんの話はまだないわけだけど、つまり、そんな道化の果てに日本が失うものは国益なのか、あるいは、「正しい」司法を手に入れるのか。

    NOTE買わなくて、本当に良かったよ。

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著者プロフィール

経済ジャーナリスト。
1964年生まれ。1988年九州大卒。NECを経て1992年朝日新聞社に入社。経済部で自動車や電機産業などを担当。2004年に独立。現在は主に企業経営や農業経営を取材し、講談社や文藝春秋、東洋経済新報社などの各種媒体で執筆するほか、講演活動も行っている。
主な著書に『自動車会社が消える日』『日産vs.ゴーン』(以上、文春新書)、『会社に頼らないで一生働き続ける技術』(プレジデント社)、『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)、『トヨタ愚直なる人づくり』(ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『サイバースパイが日本を破壊する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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