会社員が消える 働き方の未来図 (文春新書 1207)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612079

作品紹介・あらすじ

第4次産業革命で長期雇用が激減。大企業も姿を消す?自分で自分の仕事を守る時代に!●社会が変われば、会社も変わる。現実空間の情報がサイバー空間に集積され、そのビッグデータをAIが分析。その結果が現実空間にフィードバックされ、フィンテックや自動運転といった革新的な製品・サービスが生まれる。これが第4次産業革命である。●会社が変わると、仕事も変わる。技術革新はビジネスモデルを変えるとともに、仕事も変える。会社員の「たな卸し」が始まり、定型作業はAIにとって代わられる。人間に残された仕事は創造的で独創的なものとなり、そうしたスキルを持つ人材が求められる。●大打撃を受ける日本型雇用長期の雇用を前提とした「日本型雇用」では、目まぐるしく変わるビジネスモデルに対応できなくなり、日本企業も、そのとき必要なスキルをもつスペシャリストを雇う欧米型に変化していく。●雇用型から独立型へ企業が雇用を減らす上に、スペシャリスト型のニーズが増えることによって、企業に所属せず、専門的スキルを提供するフリー型の働き方が主流になってくる。デジタル技術の発展により、企業と働き手のマッチングも簡単になることも、その流れを支える。●働く環境が変わるデジタル技術の発展は職場も大きく変える。ICTの発達で、会社に集まる必要性が薄くなり、勤務地や勤務時間帯にしばられない働き方が可能になる。これもフリー型の増加を促す。雇用が減り、フリー型が増加する未来は悪夢なのか? それとも企業の拘束から解放される望ましい社会なのか?未来の社会で自分らしく生きるために身につけるべきスキルとはなにか。自助を支えるセーフティネットはどうあるべきか。労働法の第一人者が描き出す、未来の働き方と私たちの課題。

感想・レビュー・書評

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  • この本では、タイトルにあるように、会社員が消える(より厳密には、「会社員が減る」だとは思いますが)、という主張をしているわけですが、その根拠は、ざっくりいうと次のような感じです。
     ・AIの進歩・拡大により、人に求められる仕事の能力・スキルが変わる。
     ・企業からは、即戦力を求められるケースが増えている。
      (新卒採用した社員を育成するケースは減っていく。)
     ・企業のあり方が変化している(上記の原因でもあり、結果でもある)
    自分が勤めている会社でも、上記のような動きを感じています。

    そんな企業の動きに対し、法令などの社会の制度や仕組みはまだまだ整っていないわけですが、制度等に関する具体的な問題点の指摘や、解決に関する提案についても、丁寧に書かれています。

    そういう意味では、この本は、これからの社会・会社のあり方を予想しているわけで、その予想について、どれくらいの確度があるのかはわかりませんが、今の社会の動きを知ること、その動きから、こういう予想ができることを知るには、なかなかよい本だと思います。

  • タイトルのとおり、会社員が消えるとは思えなかった。

  • 人間に残される業務は次の二つのタイプ。
    1、創造性、独創性、協調性、非定型性といった要素をもつ、機械によって代替されにくい業務。
    2、AIやロボットなどの先端技術に直接携わる業務。

  • 東2法経図・6F開架:366A/O91k//K

  • AI等の技術の発展で、今後予想されるのは人間の定型業務が衰退することだ。これには創造性が大切で、今までホワイトカラーとしてら働いていた人でさえも代替される可能性が高い。そうなると1つの企業に忠誠心をもって長く働き属するということは稀になる。一人一人が専門性をもったプロ人材、個人自営業者が増えるだろう。そのような時代を生き抜いていくには私たちがどうすればいいのか、また今の制度に足りないものは何かということが学べる1冊である。
    本の中でのブルーカラーよりホワイトカラーが危ない、今まで優等生として扱われていたタイプ(暗記が得意で学歴高く、人の言うことも聞けて忠誠心も高い)が今後大変となるだろうなと感じたこと、できる人や頭のいい人というようないわば暗黙の共通認識が近いうちに覆るだろうと思った。

  • 私が会社員になったのは平成元年なので30年以上前になります、父も祖父も皆、会社員でしたので、私も学校を卒業して迷いもなく会社員になりました。

    私が会社に入ったころは、仕事の仕方はまだ「昭和」のやり方でした、平成の世においては10年を過ぎたころから、会社というものは、それまでの従業員よりも株主を大切にすることが社会的に容認されてきたことを感じました。

    転職を経て、令和の世に至りますが、ITが発達したのが大きな要因と思われますが、個人間の差が以前よりも大きくなり始めたと思います。私の理解では、会社は「軍隊」と似たような組織と思いますが、会社の組織やそれを構成する人に求めらえているものが変わってきているようです。その結果として、いま私たちが思っている「会社員」が消えるように、後から振り返るとそうなっているのだと思います。

    この30年間で「働き方」は少しずづですが変わってきました、IT技術が進む中、今後30年間で、今では想像もできない変化が起きていることでしょう。私はそこにいないにしても、私の二人の娘達には、そこで元気で幸せに過ごしてほしいなと、思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・Society 5.0 では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積され、それをAIが解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされるようになる、仮想空間と現実空間が融合し、これまでなかった新たな価値が産業や社会にもたらされる、その代表が、フィンテックと無人自動運転である(p19、24)

    ・人間に残される業務は、1)創造性、独創性、協調性、非定型型といった要素をもつ、機械によって代替えされにくい業務、2)AIやロボットなどの先端技術に直接携わる業務(p42)

    ・2035年の企業は、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となり、多くの人はプロジェクト期間内はその企業に所属するが、終了すると別の企業に所属する形になる。(p48)

    ・副業解禁論の真の狙いは、大企業の正社員が他社で雇用されるという形よりも、大企業が抱えている優秀なプロ人材が中小企業で活用される余地を広げることにある(木)51)

    ・人々の働き方が、企業というものを中心に展開しなくなる、プロ人材がときには個人で、時には起業して、新たなプロジェクトを企画、参画して価値を生み出していく(p55)

    ・20年を超えて勤続した場合の退職金の所得税を優遇数る制度をとっていて、転職抑制に一役買っている(p65)

    ・賃金は潜在的能力に着目し、年功的に運用される(継続年数に応じて上昇)職能給ではなく、職務の専門性を考慮したものとなるだろう(p81)

    ・経団連が2021年春以降から、自主的ルール(会社説明会は3月1日以降、選考活動は6月1日以降、内定は10月以降)を廃止するというのは新しい動きである(p88)

    ・2018年の法改正では、高度プロフェッショナル制度により、労働時間規制の適用を外す制度が導入された。(p97)

    ・Aiが自分に下した結果について、納得いく説明を受けることはできない、つまりAIには、アカウンタビリティ(説明可能性)や、トランスペアレンシー(透明性)がない、人間から見ると、理由はわからないけれど、当たっている、という得体のしれないもの(p124)

    ・自動車が登場したとき、イギリスでは「赤旗法」という法律により、車の前方で赤旗を持って歩く人を置くことを義務付けた。これによりイギリスは自動車産業の発達が遅れた(p128)

    ・日本で工場で働く人を保護する法律として、工場法が1911年(施行は1916年)に制定され、これが労働法の第一号である。ここでブルーカラー、ホワイトカラーの区別なくすべてに適用された(p151)

    ・今日成功した企業は、デジタライゼーションの波にのり、ビックデータを収集、AIに分析、そこから新たな価値を創造することができた企業(p152)

    ・労働組合は日本では一部の大企業に集中しているだけで、全体的には存在感が薄い、今後大企業が減少していくと組合の存在意義はますます小さくなる(p180)

    ・フランス革命は、王様と結びついて特権階級化していたギルドを打破することも目的としていた(p187)

    ・2025年度には、高年齢者雇用安定法により、希望すれば誰でも65歳まで働くことができるようになる(p196)

    ・本業と副業というのではなく、どちらも本業というものが、複業である(p205)

    ・今まで日本は、すでにある「正解」に早くたどり着けるのが成功の秘訣であった、これからの人間に必要なのは、機械をどう使うかを「考える」ことになる。その仕事をなぜしなければならないのかに疑問を持つことが必要、それに必要なのは、1)原点に返る、2)違うものと比較して新たな視点を持つ(p211、215)

    ・哲学的思考をするための基礎となるリベラルアーツ(自由の術)とは、「言語」に関する、文法・修辞学・論理学、「数学」に関する、算術・幾何・天文学・音楽、である。これと対置されるのが、職業活動に直結する、メカニカルアーツ(機械的な術)であった。前者は、精神・知性、後者は、身体的な動きに関するアートである(p222)

    ・デジタライゼーションの時代には、さまざまな形で序列が変わる時代である。企業の序列、国家の経済力の序列など、こうした逆転現象は、労働者の間にも起こりそうである。ホワイトカラーの仕事がAIによりなくなるという話は、高い学歴、高い収入を持つ人に当てはまる。創造性をもったプロ人材に転換する必要がある(p231)

    2019年9月8日作成

  • 参考になった。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  大企業がなくなる~モデルチェンジする企業
    第2章  日本型雇用システムの限界~これまでの働き方の常識は通用しない
    第3章  働き方の未来予想~技術を味方につけて自立的に働く
    第4章  新しいセーフティネット~企業に帰属しない働き方へのサポート
    第5章  「時間主権」を取り戻せ~人生100年時代に必要なスキルとは

    <内容>
    2013年にアメリカの研究者が、「2020年代にはアメリカの雇用の約47%がAIに取って代わられる」と発表してから、こうした本が多く出ているが、この本では「ではどうすればいいか?」がかなり具体的に書かれている。第3章以降である。技術を持った人間が自営業的な立場となり、企業から請負をすることで、仕事をしていく。そこでの最低限の生活を成り立たせるため、第4章で具体的な「セーフティネット」が書かれ、第5章では、そうした時代を生きていくための「仕事」探し、「生き方」などが語られる。若い世代はある意味必読かもしれない。

  • 19年22冊目。3.5/10点

    酷いなこれ…。ほとんどの内容がどっかの本にだいたい書かれていることであり、寄せ集め本みたいになっている。しかも寄せ集めている内容も質は高くない。

    2周くらい遅れてないかな?これ教授が書く内容なの?
    特別悪いことを言っているわけではなく、単に「つまらない」。そしてこのジャンルでつまらないというのは、時間泥棒と同義。なので厳しめの評価とした。

  • 真の働き方改革❣️

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著者プロフィール

1963年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(博士[法学])。神戸大学法学部助教授を経て,現在,神戸大学大学院法学研究科教授。主な著書に,『君は雇用社会を生き延びられるか』(明石書店),『人事労働法』『AI時代の働き方と法』『雇用社会の25の疑問』(以上,弘文堂),『デジタル変革後の「労働」と「法」』(日本法令),『労働時間制度改革』『非正社員改革』(以上,中央経済社),『労働法で人事に新風を』(商事法務),『経営者のための労働組合法教室』(経団連出版会),『会社員が消える』(文藝春秋),『君の働き方に未来はあるか』(光文社)等。

「2021年 『誰のためのテレワーク?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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