天才と発達障害 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612123

作品紹介・あらすじ

アインシュタイン、モーツァルト、ヴィトゲンシュタイン、南方熊楠、芥川龍之介……「異脳の人」を殺さないための処方箋を明かす! 本書は、「創造」「才能」がいったいどのようにして生まれてくるのかを、誰もが知る天才たちを具体的に挙げながら、精神医学的見地から解き明かす作品である。 歴史上の天才たちには、精神疾患の傾向がみられることが多い。これは数々の医学的データから明らかになっている。 たとえば音楽の天才モーツァルトは、明らかに発達障害(ADHD:注意欠如多動性障害)の特徴があった。落ち着きない動作、「空気」を読まない所作などで周囲から嫌がられた。一方、創作に入ると「過剰な集中力」を示し、素晴らしい作品を瞬く間に書き上げた。 物理学の歴史を変えたアインシュタインは、ASD(自閉症スペクトラム)の症状を示していた。他者とのコミュニケーションに障害を抱え、言葉の発達も遅れていた。しかし、飛び抜けた数理的洞察力によって、古典的物理学の常識を覆す理論を打ち立てた。 発達障害の患者のなかには、映像記憶(一度見たものは、写真を撮ったように丸暗記できる能力)、共感覚(数字を見ると脳内に音楽が流れる、音楽を聴くと匂いを感じるなど)、特異な計算能力(何万桁もの暗算を瞬時におこなうなど)といった天才も多い。 著者は、発達障害には「マインド・ワンダリング」(いわゆる「心ここにあらず」の状態)、そして「過剰な集中」という2つの特性があることを指摘。そして、相反するこの2つの特性が、天才の特異な能力と密接に結びついているという仮説を提示する。 そして、「才能をもつ子供や若者をいかに殺さずに育てるか?」というテーマについて、日本社会が取り組むべき解決策を提案する。 発達障害に悩む親や本人にとっても福音となる作品だ。

感想・レビュー・書評

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  • 野口英世、南方熊楠、モーツアルト、マーク・トウェイン、ヴィトゲンシュタイン、山下清、大村益次郎、ダーウィン、アインシュタイン、ドイル、サティ、ヘミングウェイ、チャーチル、ルーズベルト、夏目漱石、芥川龍之介、サリンジャー、中原中也、エリック・クラプトン、フレディ・マーキュリー。。。

    本書で、ADHD, ASD、うつ病、統合失調症として紹介された人々のエピソードが満載でした。人類の歴史や科学、芸術の発展に寄与したこれらの人々が、平均的性格傾向から、程度の差はあれ解離していたという事実に、大きな業績を生むにはある意味、その心的風景も並外れていることが求められているのか、という印象も持ちました。

    セレンディピティというのは、拡散思考のADHDの人が感応しやすい、と書かれており、創造性と発達障害(ADHD)の相性の良さについても認識を改めました。

  • なんでもかんでも発達障害と関連して
    述べているような感じもしましたが。
    発達障害をベースに独自性をもった人たちにやさしい
    寛容性のある世間になってほしいと改めて、読んで思いました。また自分もそうでありたいと思います。

  • ■マインド・ワンダリングとは現在行っている課題や活動から注意がそれて無関係な事柄についての思考が生起する現象のこと。人間は目が覚めている時間のうち約30~50%を「心ここにあらず」の状態で過ごしているという指摘もある。
    ■マインド・ワンダリングは意識的なものと無意識的なものに大別される。その内容や広がりも、時間(未来、現在、過去)自己との関連性、モダリティ(言語、映像)などで分類され多様なものが含まれる。
    ■過去の多くの研究ではマインド・ワンダリングについてはネガティブな影響が強調され否定的にとらえられていたが最近になってポジティブな側面が注目を集めている。その代表的なものがマインド・ワンダリングと創造性との関連である。
    ・拡散的思考(発散的思考)が創造性における重要な要素
    ・拡散的思考とは新しいアイデアを多く生み出していく思考方法
    ・拡散的思考には思考の流暢性(発想の数の多さ)、柔軟性(発想の多様さや柔軟さ)、独自性(発想の非凡さや稀さ)など、創造性につながる要因が関連していることが明らかになっている
    ・拡散的思考の対極にあるのが、既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき正解に到達しようとする「収束的思考」
    ・拡散的思考は既知の情報を元にしながら様々な方向に考えを巡らせてまったく新しいアイデアを生み出そうとする。一つの正解を求める収束的思考と異なり、自由な発想によって無限にアイデアを膨らませていく想像力が必要となる
    ■ランゲ=アイヒバウムによる「天才」の本質
    ①たいていの天才は精神病者ではなくて精神病質者である。
    ⓶こうした精神病質者の天才は内面的に分裂した心を持ち、緊張した神経質かそれとも神経症的である。
    ③精神病質であると同時に何かの麻薬中毒であることが多く、たやすく一過性の精神病になった経験を持っている。
    ④精神病質の基盤の上に極端な精神的例外状態を示すものが多い。心内沈潜、放心、幸福感、創作陶酔、法悦感、霊感の横溢、回心の危機など、このような状態はしばしば誤って「狂気」と周りから思われる。
    ⑤本当に精神病が出現した場合でも精神病的障害と生産的創作との間にいつも原因的な関連が成り立っているとは限らない。時間的に一致したということさえないことがよくある。

  • 創造性、独創性が高い天才たちの多くには発達障害と思わられる性質があった。
    ADHDや自閉症。鬱病や統合失調症らしき人もいた。
    しかし世間では、特に日本では常人から逸脱した人は排除されがち。
    この世界は才能ある人たちにとって生きずら過ぎるかも。

    天才たちのエピソードが単純に面白いので楽しく読める。
    個人的に島倉伊之助さんのエピソード好き。

  • 冒頭「型にはまった状況を打ち破って、これまでとまったく異なったアイデアを実行したり、あるいは異色の「作品」を創造したりすることは、天才と呼ばれる人においてもたいへんな突破力が必要となる」
    末尾「このような日本人の持つ能力を考えれば、教育や企業におけるシステムのイノベーションは必ず達成することが可能となるであろう」

    天才と発達障害。タイトルが気になって購入。野口英世、南方熊楠、山下清、大村益次郎、フレディー・マーキュリーにアインシュタイン。
    天才と変人は紙一重というか、いかに傑出した人たちにそういう傾向の強いかということがよくわかった。
    考えてみればそりゃそうか。人よりこだわりが強いから一つのことを極められたり、思考が拡散するから常人が考え付かないような創造ができたりするということか。

    最終章は、いかに天才・異能を生かすかということに論点が移っていく。本当に、日本は画一さを求めすぎる。社会全体に寛容さが必要だし、自分としても気をつけていきたい。

  • 天才は一種の症状というのは腑に落ちる。画一的教育を是とする日本の学校では、特異な才能を育てにくいという主張は、今更感があった。本書では古今東西の著名人(天才)の事例を小出しに挙げているが、全般に恣意的な観が否めず、話のネタ程度に読むのが適当。

  • 天才と呼ばれる多くの人たちは大抵発達障害を持っていた。逆に発達障害は傑出した才能開花の可能性を秘めているとも言える。
    世の価値観を変革するトリックスターは常人では担えない なり得ない。既存の価値観を無視・破壊し新たな価値を創造する発達障害者が時代を塗り替えていった。


    文学や芸術には発達障害が原因となる鬱や不安障害による幻覚や幻聴が現す世界が投影されることが多い。常人の到底考え及ばぬものや作者独自の世界観として最高峰と評される作品は様々な精神病の苦悶の末に生み出されたものと作者の苦しみも含めて読むことができたらなお味わえるのではないだろうか。


    天才が生み出した結果は注目されるけど、その過程や環境を辿ると大抵精神に何かしらの異常があり身辺処理や人間関係に欠陥を抱えてる。
    世を変える・絶賛されるモノを生み出して一気に花開いたあと そのまま自ら抱える欠陥によって自滅の道を辿っていくのも変革者の共通点でもあるんだよね。

  • 天才になりてぇなーとおもいながらも、天才にはなれねぇなーとおもう、そんな感じ。

  • 発達障害ADHDについて詳しく書かれていたのは冒頭のみ紹介で、あとは偉人や歴史上の人物が発達障害だったのでは?という考察やその人物の行動を追った本。
    生命科学の本だと期待していたからか、自分にはあんまりの本でした。歴史上の人物を読み解くならオススメ?

  • このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
    とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。

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著者プロフィール

昭和大学医学部精神医学講座主任教授(医学博士)。1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学准教授などを経て、2012年より現職。2015年より昭和大学附属烏山病院長を兼任、ADHD専門外来を担当。精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。著書に『他人を非難してばかりいる人たち』(幻冬舎新書)、『精神鑑定はなぜ間違えるのか?』(光文社新書)等がある。

「2020年 『医者も親も気づかない 女子の発達障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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