性と欲望の中国 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2019年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784166612178

作品紹介・あらすじ

驚きの現地ルポ!

爆買いから「爆セックス」へ

14億人民の爛熟(らんじゅく)と頽廃(たいはい)



かつて中華人民共和国は「セックス不毛地帯」であった。共産党は売春を撲滅。性愛そのものが「ブルジョア的」とされ、恋愛小説さえ発禁だった。ところが今、改革開放政策による高度経済成長も限界に達し、セックス文化が爛熟を迎えつつある。

微信(WeChat)などSNSを利用した売春や不倫が横行し、エロ系オタク文化やAV発のサブカルチャーも大流行。AIやロボット開発に携わる若き理工系の頭脳が、精巧なラブドール(ダッチワイフ)開発にしのぎを削る。日本に押し寄せる中国人観光客向けに、ソープランド巡りなどを目的とした「日本買春ツアー」さえ売り出されている。

百花繚乱の中国の性事情には、「いびつな人口動態」「拝金主義」、そして「権力闘争」が影を落としている。

一人っ子政策によって男女比が均衡せず、「結婚できない男性」が3000万人を超える。そのため、一部の性産業にとって中国市場は「ブルーオーシャン」なのだ。

また、工業地帯の周辺には、性産業で手っ取り早くカネを稼ごうと若い女性達が大量に流入し、風俗産業が乱立する「性都」がいくつも生まれた。

一方で、いきなり当局の手入れが入って壊滅したり、有力者の不貞行為が突然暴露されて失脚することも多い。これらの背景には中国共産党内部の権力闘争が密接に絡んでいる。

LGBTへの迫害や生きづらさ、共産党による監視の不気味さなど、深いテーマにも鋭く斬り込む。

まさに「性事」から「政治」を読み解いた作品である。

みんなの感想まとめ

性に関する多様な現象を通じて、中国社会の裏側を深く掘り下げた作品は、かつての「セックス不毛地帯」から一変した現状を描いています。改革開放政策以降、急速に発展する性文化や、SNSを利用した新たな売春形態...

感想・レビュー・書評

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  • ●中国と言えば安田さん!大学が同じだから何故か親近感を感じてる!
    ●さすが14億の民、そりゃ色々ありますわね。煮えたぎる性の欲望か…ずっと締め付けなイメージがあるけど、習近平台頭までは緩みっぱなしだったなんて意外だね〜
    ●ラブドールの回がやたら細かくて苦笑
    ●未婚で終わる男子が3000万とかやばいやろ…少子高齢化はアジアでどこもだよね〜、そりゃ他に楽しいこと知ったり、あれだけ教育コストかかったら産まんわな
    ●多種多様なエロの形が溢れ出てきてすごい本でした…

  • 参考になりました

  • 2026.2.14 読了。

    えげつない。

  • はじめに 真の中国は「性」から見える/第1章 拝金の性都・東莞の興亡/第2章 人民解放軍に翻弄された「世界最大の売春島」/第3章 AIとエロの奇妙な融合/第4章 貴州ラブドール仙人/第5章 LGBTの葛藤と受難/第6章 日本人AV女優ブームの光と影/おわりに 根源的な営みさえも共産党が支配するのか?

  • 中国という大国を“性”という視点から紐解いた本書。
    切った張ったをしている外交のイメージとは別の側面を見られて興味深かった。とても刺激的な一冊。

  • 子作りの法的制限、果てはウイグルに対する強制不妊治療。性に対して国家が介入するのは中国だけではなく、日本でも、肉体の一部を映像上はボカしたり、管理売春は禁じられている。禁じなければ、元来、獣として備える本能的な部分、人間は更にそこに発達した頭脳による複雑な性表現が絡み、秩序が保たれなくなるからだ。法の抜け穴から、複雑な性が放たれる。金のため、欲望のため。

    中国とは、案外、素直な国だ。権力や金には、平伏し、欲望はきちんと商品化される。経済的に均質化された国は、道徳観も均質化されるため、生きるために性を商品化したり、淫猥な権力にコントロールされる事に、嫌悪感をもつ人が多い。しかし、経済的に均質化されていない場合、生きるために、そうした手段を選ぶ事が正当化される。気持ち悪い成金も、その醜い欲望に身体を預ける商売婦も、許容されたリアリティだ。それが中国の価値観だろうか。この点では、日本のもつ道徳こそファンタジーなのかも知れない。

    中国の性に関する、最新事情。安田峰俊の取材はいつもながら、面白い。

  • とっくの昔に読み終わっていたが本棚登録を忘れていたやつ。とても面白い。

  • 経済成長著しい中国、それをエロという視点から見ようとするのは面白い。人間の欲望は抑えられないからだ。しかし、思ったよりも中国は禁欲的であった。というより、エロを抑え込もうとする習近平政権の徹底ぶりは恐るべきものだった。中国では、エロもまた利権を絡めた政権闘争なのだ。果たしてこれからどうなるのか、興味は尽きない。

  • 読破。
    先に読んだ富坂氏の欲望大国と比べると”性”に特化し、過去から現在にかけて中国でどのように同”トピック”が変遷を経てきたかがわかる。その手の”おもちゃ”が、一人っ子政策の傍ら黙認されてきたという背景も興味深い。確かに北京の街を普通に自転車等で走っていると専門店を時々見かけた気がする。個人が特定されることが明白にも関わらず、うっかりチャット等で履歴を残して暴露されてしまうのも中国人らしい・・・。同性愛者の行為が明朝・清朝において法律で禁止されていた一方で、15−17世紀にキリスト教布教活動をしていたポルトガル人が日常的にそのような行為が行われていたであろうことを忌み嫌うべきものとして残しているというのも何だか興味深い。そして文革後は刑罰そのものは軽くなったものの、病気として認識され、2015年までその治療院が存在していたらしい。人々と話す限りでは何となく寛容な感じがするので何だか不思議な感じがする。結局、同性愛者の幸福度は金次第・・となるのはとても中国らしい。。

    P.157
    中国の場合、欧米圏や中東の保守派のように同性愛を宗教的にタブー視する価値観は存在しないが、いっぽうで欧米先進国と比較してポリティカル・コレクトネスに配慮する考えが根付いていない(そもそも人権概念それ自体が弱い)。そのため、同性愛者差別の他にも黒人差別や少数民族(とくにウイグル人)差別など、さまざまな差別発言に対してかなり無自覚な傾向があるのだ。

    P.173
    伝統的な中国の思想では、人間は男親から「骨」を、女親から「肉」を継承し、人間を活かす霊的なエネルギーである「気」は「骨」のみを通じて先祖から伝わってくるとされている。すなわち、男性は子(とくに男児)を残さないと、何千年も昔から伝えられる「気}のバトンを後世に渡すことができず、祖先への「忠}を欠くことになるのである。漢民族には、自分たちを神話時代の帝王である炎帝・黄帝の子孫(炎黄子孫)、もしくは龍の子孫(龍的伝人)であると考える自己認識がある。「気」はこういう祖先たちから延々と続いているとみなされるのだ。

  • 冒頭にあるように、人口が多ければそれだけ欲望も大きなる。極端なところの切り出しではあるだろうけれど、スケールが違う。そのパワーは、AIとの融合やラブドール仙人みたいにプラスの方向に作用することもある。

  • <目次>
    はじめに 真の中国は性から見える
    第1章拝金の性都・東ガンの興亡
    第2章人民解放軍に翻弄された世界最大の売春島
    第3章AIとエロの奇妙な融合
    第4章貴州ラブドール仙人
    第5章LGBTの葛藤と受難
    第6章日本人AV女優ブームの光と影
    おわりに 根源的な営みさえも共産党が支配するのか

    題名ほど刺激的な内容ではない。
    目次通り。

    ただ、中国に出入りしている自分にとっての肌感では、もっと
    違う表現をする。
    この30年で中国人の性に対する考え方、行動は大きく変わっ
    と思う。
    例えば、性交渉は結婚前提であった、または結婚後に行わるものであったが、いまはかなり自由な自己責任のもとにある。
    勿論、誰とでもするわけではなく、各自の倫理観のもとである。
    また、中国人の女性から求めるパターンも多いと思いう。
    以下、実際に会った知人たちの話である。
    中国人女性①
     キスをしたら彼氏、チューならば友人
    中国人女性②
     一緒に泊ったら、エッチなくとも彼氏
    中国人女性③
     彼女いなかったら、したくなったら困るでしょう。
     (するための彼氏、彼女の契約のようなもの)
    中国人女性④
     若い男の子としたいから、bfは何人かいる

  • ふーん。
    という感じだった。

  • 習さんの締め付けですっかり下火と思っていた中国の性産業。前半はすっかり廃れたかつての性産業の記憶。そして、後半は今の性。一人っ子政策の影響でアダルトグッズが社会で認められていると思っていたけど、解放された今でもしっかりニーズがあるんですね。そりゃ、それなりの道路の路面に店が出ているはずだわ。
    昔話の小ネタ程度にと手にした本でしたが、しっかり勉強させていただきました。澳門首家線上賭場上線啦が何のことか分かったし。
    安田さんって名前聞いたことあるなと思ったら、色んな雑誌にいろいろ寄稿しているんですね。それでだ。

  • この著者の作品は毎回買う。今回も面白かった。終わった東莞などよりも、現在進行形のレポートをしてほしい。ラブドールは面白かった。次に出そうな香港ネタが楽しみ。

  • 「エロ」という根源的欲動をテーマを、中国に身を投げ出して取材するような著者だからこそできる取材スタイルで掘り下げた一作。

    テーマ自体は中国人すべてにかかわるといってもいいテーマ。だからこそ、テーマを追えば追うほど「中国人のエロ」というより、エロよりも「中国人各人のもつフェチズム」が見えるようなところがあり。読めば読むほど「中国」そのものはわかるような、わからないような、そんな気分になる一冊だった。

    個人的に気になったのは、東莞の性風俗事情について書いたくだり。接待向けにも使われる中国式の風俗サウナが中華圏の人に向けて特殊化し「莞式服務」とか「東莞式ISO」などと呼ばれある種のブランド化していた一方(p.45)、「恋人がおらずカネもない出稼ぎ労働者の男性が、自分のポケットマネーで出せる金額で遊ぶ場所にいる女性は、やはり彼らと似たような階層の人たち(p.46)」という現実。

    そんな性産業も2014年に行われた大摘発により、東莞含む広東省全域で壊滅的になった、という結末含め、「格差の固定化」には見て見ぬふりをしつつ、経済成長の勢いに任せて体裁だけは身ぎれいにしておきたい、という中国政府の方向性はわかってくる。

    一方で、ラブドール産業が既存産業やAIと融合し投資資金を集めたり、そんなラブドールにそれなりの社会的な立場を持った人がはまりそれを周囲も容認している、など、日本とは違った感覚で”エロ産業”が見られていることも興味深い。
    いい悪いはともかく、日本では”水商売”は他の産業とは分けて考えれているようなところがある。まだまだ経済的に伸びしろのある中国の各産業と”エロ産業”が重なり合えば、結構恐ろしい展開もあるんだろうな、とも思う。

    社会的格差を放置したまま、性風俗産業を政治的な意図も持ちながら摘発しつつ、摘発対象でなければ投資資金を集めて発展する。
    歪んでいる、といえば歪んでいる状態が、将来どう変わっていくのか。興味深い着眼点をもって、中国を取り上げた一作でした。

  • 習近平による締付け強化と,経済やテクノロジー発展によるエロへの関心の高まりが,なんとも言えないバランスにある。
    周永康ヤバすぎ…

  • ノンフィクション関連で大きな受賞をした後の第1作がこれ、、というのがいかにも著者らしいが、統治への考察と庶民の生活をうまくミックスして論ずるという彼の特徴は充分に活かされている。

    驚きなのはラブドールが大陸では独自の発展を遂げると共に、テクノロジーを活用したものになっているということ。かつて一人っ子政策という壮大な実験を行った大陸では、何事も大がかりになるのだなぁと思わずにはいられない。

  •  「14億人の熱く煮えたぎるエロの最前線」(前書き)とあるが、どぎついエロ一色ではない。ラブドール仙人は趣味人という感だし、LGBTはどちらかというと人権・差別の問題だ。エロに関しても、役人のチャット流出あたりは苦笑すればいいが、「夜の世界も格差社会」が感じられる箇所は切なくもある。
     また本書全体を通じて分かるのが、東莞や下川島の摘発に代表される統制の強化だ。一方でITとカネによる性生活の自由拡大。社会の「自由化」と政治の「統制化」との綱引き、という表現が興味深い。

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著者プロフィール

ルポライター

「2023年 『2ちゃん化する世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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