サバイバル組織術 (文春新書 1223)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612239

作品紹介・あらすじ

組織には個人を潰す力がある。生き延びるにはどうしたらいいか?現場で使える思考&ノウハウの詰まった一冊。外交の現場、国家権力との対決といった数々の修羅場をくぐり抜けてきた著者が、自らの切実な体験と該博な知識をもとに、日本の組織の正体を暴く。テキストとなるのは、夏目漱石『坊っちゃん』、城山三郎『官僚たちの夏』、『忠臣蔵』、『逃げるは恥だが役に立つ』など小説やドラマなど。物語に隠された「組織の内在論理」が鮮やかに分析される。さらには昭和史を「失敗と成功の教訓の宝庫」として読み解く一章も。「上司と戦ってはいけない」、「人事は最も危険な仕事」、「人脈はABCに分類せよ」など、怖いほどリアルな、目からウロコのアドバイスも満載。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年の10月11月に佐藤優さんが文藝春秋夜間授業を担当、「組織で生き残るにはどうすればよいか」という問題意識に従って行われた講義に基づいてつくられたのがこの本。
    この場合の「組織」とは、「アソシエーション」、つまり共通の目的や利害、関心を持つ人々が自発的に形成する組織をさします。(血縁、地縁などに結びついた組織である「コミュニティ」については、改めて書いてくださるようなので、楽しみにしています)

    ここでは組織論と文学を結び付けています。
    佐藤さんはこれに関して、宇野弘蔵さんから学んだそうです。

    いろいろな小説が例にあげられていますが、私が読んでもたぶん、佐藤さんのような解釈はできません。
    だからこれからもそれらの小説を読むことはたぶんなく、佐藤さんの本で学んでいきます。

    今回とくにためになったのは、『忠臣蔵』のところです。
    私の言葉で語るより、まず佐藤さんの文を引用します。

    〈人を動かすとき、最も力を発揮するのは、命令や強制でもなく、利益誘導でもありません。実はこの感化の力です。人の振る舞いをみて、影響を受け、自分も何かやらなくてはと思う。それは自発的な行為だけに強いのです。
    人は、自己犠牲的な行動を取る人から感化され、動かされる。人を率いるためには、自己犠牲を厭わないこと。少なくとも自己犠牲を演ずること。これこそ人心掌握の要です。
    このことを裏返して考えてみましょう。もしもあなたの周りに、自己犠牲的に仕事に打ち込み、周りに気配りも欠かさない人間がいたら、その引力圏に引きずり込まれないように注意すべきです。その彼ないし彼女は、もしかすると大変に恐ろしい人間で、大石内藏助のように、あなたを吉良邸に導き、気がついたら並んで切腹させられてしまうかもしれないからです。
    この自己犠牲の構図は、実はブラック企業においても観察されます。ブラック企業は、従業員を脅しあげてブラック化するだけではありません。一生懸命に自分の仕事をこなし、睡眠時間も削り、チームや部下のために誠心誠意働いている上司がいると、「この人についていきたい」と感化を受け、自らブラックな働き方に突入していくのです。
    あるいは、自己犠牲の究極の形のひとつに、自爆テロがあります。いま世界中でさまざまなテロが起きていますが、その担い手に大きな変化が起きています。かつてのように過激なテロ組織だけではなく、組織的に何の背景もなく、協力者すらいないローンウルフ(一匹狼)型が急速に増えている。これはまさに感化によるものです。メディアで自爆テロなどが報じられるのを見て、自分も一身をかけて何かしなくては、と思う、自己犠牲による感化は、それだけの力を秘めているのです〉

    自分はめっちゃそういうタイプで
    これは女限定で考えると300人に一人ぐらいの逸材なんですね、自分。
    それって褒めていいのか何なのか。
    だから佐藤さんのクールなお言葉がためになるのです。
    これからも読みます、佐藤さんの本を。

  • サバイバル組織術 2019
    2019年7月20日発行
    佐藤優氏による著作。

    2022/02/06日曜日記述

    組織で生き抜く為にはどう心がけるべきなのかを示した本。
    佐藤優氏の類似本に「組織の掟」という本がある。
    上の本は著者のロシアでの経験を元に教訓を導き出した本である。
    このサバイバル組織術は、文学作品から組織というものを考察した本だ。
    本作と上に上げた本以外でも佐藤優氏の組織における指摘は一貫しており、
    それは一言で言えば「組織に逆らうな」である。
    ただ盲目的に組織に従うだけだと万が一がある。
    うまく冷静になって組織と向き合い生き抜いていく為のヒントが見つかるだろう。

    印象に残った点

    自分は今こういう所にいるんだということを知ること、それがインテリになるということだというわけです。

    人間は組織から離れて生きていくことはできない。
    なぜなら、人間は群れを作る社会的動物だからである。

    合理的な実力主義と、メンバーのそれぞれを肯定し負の感情を抑制するシステムをバランス良く備えた組織が、これから生き残っていくでしょう。

    上司は嫉妬している方の部下に声をかけなくてはなりません。
    それも「嫉妬するのはやめろ」と言っても逆効果です。
    「君のこういう部分を評価している」とか「総合的には君のほうが力がある」とか
    嘘でもいいから、さんざん話して、嫉妬のエネルギーを別の方向に向かわせればよいのです。

    それぞれが主観的に一番だと信じることができるような場所を作ることです。
    つまり、部下を「世界に一つだけの花」だと言い聞かせ、嫉妬のマネジメントを行うことが
    良い上司の重要な条件になっているわけです。

    負の感情をコントロールするのは非常に難しい。
    なぜなら、感情は本来制御できないものだからです。

    代理経験・・悲惨な体験を描いたノンフィクションや小説、映画などに接することも有効でしょう。
    さらにはことばの使い方を磨くことです。
    負の感情の引き金となるのは、往々にして相手のことばです。
    すると、最終的には、いかに言葉を制御するかという問題になってくる。

    部下の叱り方は、はっきり言って、その部下によります。
    同じように叱っても、その反応は人によってまるで違う。
    患者を診て薬を処方する医師のマインドが必要です。

    (今どきのエリートは)叱られた経験に乏しいのです。
    叱るのも、叱られるのも経験と技術が必要です。
    エリートであるほど、叱られる能力は低いのです。

    上司とは戦ってはなりません。なぜなら上司は組織を体現するものだからです。
    上司と戦ったとして、たとえ局地戦で勝利したとしても、次の上司が出てくるだけでしょう。そして3人目の上司が送り込まれるころには、組織に反抗した人間として必ず潰されます。上司と戦っていい目をみている人間が本当にいるかどうかをよく観察してみてください。その戦いにエネルギーを割くことになってしまえば、2つや3つは何か都合の良くない事実が出てきます。その気になれば、でっち上げや歪曲も可能です。

    そもそも「上司と戦う」という発想を持つこと自体、組織の本質を理解していません。
    個人としての上司を追い出すことはできるかもしれません。しかし、組織の一員としての
    上司には絶対に勝てない。いかなる上司もー部下から見てどんな駄目な上司でもー人事という組織の判断の結果、そのポジションに置かれています。だから上司に逆らうことは、組織に逆らうことに他なりません。個人はいつも一人、組織はいくらでも人を入れ替えることができる。組織の数的優位は明らかで、戦力の大きいほうが最終的に勝つのは軍事の初歩中の初歩です。
    上司との戦い方があるとすれば、たったひとつ、それは仕事で成果をあげることです。

    このように人脈とは、漫然と多くの人と付き合うことではありません。
    自分の仕事の必要度に応じて、いつでも適切に使えるようになっていなければ人脈とはいえないのです。A,B,Cどのボックスに振り分けて、どの程度の深さで付き合うか、そして、どこで見切りをつけるか。そこをきちんと整理しておくことが、人脈づくりの要諦といえるでしょう。

    トラブルのほとんどは、言葉から生じるからです。
    経験則上、秘密というものは99%、自分の口から漏れる。
    相手に対して持っている好ましからざる感情も、自分でしゃべっていることが多い。
    何を喋ったかを意識的に覚えておくことは、不用意な発言を抑制することにつながります。
    記憶はリスクマネジメントの基本です。

    組織は必ず位が上の者に味方しますから、上司とは絶対に喧嘩をしてはいけません。

    組織にも、それを構成する人間にも限界があり、合理的な面とそうでない面が交じり合っています。自らが所属する組織の限界を十分認識した上で、最大限、自由に行動することがビジネスパーソンとして成功する秘訣だと思います。

    プロテスタント神学者のカール・バルトは、人間の自由は「制約における自由」であると強調しました。真に自由な個人とは、自分の能力、適性、感情制御力がどの程度であるかという限界を見極め、その上で行動できる人間なのです。

    私は時々、虎ノ門や新橋の立ち飲み屋に一人で行って、耳に入ってくる客の会話を聞いています。話のパターンはだいたい2つです。1つ目は「俺は能力が高いのに、会社から正当に評価されてない」。2つ目は「こんな会社、辞めてやる。俺たちで起業しようぜ」。
    どちらもダメな人間が好む話題です。同僚と酒を飲みながら、自分がいかに不当な扱いを受けているかと管を巻いている人間が、肯定的な評価をされることは今後もありえないでしょう。

    東京タラレバ娘
    このドラマのメッセージはさらに直裁で、容赦のないものです。
    まず、会社は絶対に辞めてはいけない。どんなにブラックな会社だと思っても、
    フリーランスになって生きていけるほど、世の中は甘くない。
    次に、不倫は時間の無駄。特に30代になってからの不倫は犯罪だから、絶対しない。
    セカンドもダメ。本命に次ぐ二番目の彼女だと思っていても、サードだったりフォースの
    場合もあるから、それも不毛。
    つまり、結婚につながらない恋愛はまったく意味がないというわけです。
    結婚には時期が3回ある、という話も出てきます。
    1回目は22、23歳で、相手は高校か大学の同級生。
    結婚式に、女友達は美容院でセットをし、新調したドレスでやって来る。
    2回目は30直前くらいで、相手は会社の同僚。
    男のほうが見劣りするけれども、この辺で駆け込んでおかなければ、という焦りで結婚する。
    女友達は、髪の毛は自分でセットして、有り合わせのドレスでやって来る。
    3回目は35歳。原作の漫画によれば、結婚相手の条件は3つしかない。
    人間で、生きていて、死んでいないこと。
    こうしたユーモラスな表現から立ち上がってくるのは、女性がシングルで生きていくことがいかに大変かという、ヒリヒリするような切実さです。
    ここでは、家族や結婚は、恋愛至上主義に対するアンチテーゼであり、自己実現ではなく、
    生活の安全保障に他なりません。まさに現代の生活保守主義を、極めて巧みに表現しています。

    だから昭和の歴史は一筋縄ではいきません。失敗の中に成功の萌芽を見出せるかと思うと、
    成功の原因がそのまま次の失敗の原因と重なり合うといったように、複雑な構造をなしています。極端から極端に振れる中で、日本は2つの大きな失敗をしました。一度は高度国防国家を目指して挫折した「敗戦」で、もう一度は経済大国を目指しながら挫折した「バブル崩壊」です。昭和の歴史を学ぶことは、この大きな失敗から成功のための種子を見つけることでもあります。そして同時に、成功のさなかに失敗の兆候を見出し、それを未然に防ぐことでもあります。それが、歴史を武器に変えるということなのです。

    そうした兵站軽視とセクショナリズムが端的にあらわれたのが、昭和17年(1942年)以降、陸軍が一生懸命に航空母艦を造ったことです。ミッドウェー海戦のあと、海軍が輸送船の護衛をしてくれないから、陸軍は「あきつ丸」を初めとする四隻の揚陸艦を航空母艦に改装。海軍が分けてくれないから艦載機まで自力開発しています。
    世界の陸軍で空母まで造ったのは日本だけではないでしょうか。
    その時海軍は何をしていたのか。回章を回して「陸軍が造った船であって敵艦ではないので、沈めないように」と知らせただけです。実際に調べてみると海軍は、陸軍艦と敵を勘違いして、けっこう沈めている。まさに絵に描いたような縦割り組織の自滅です。

    また組織にはコアなエリートばかりでなく、異質な人材も必要です。というのは、どんな不測の事態が起こるかわからないからです。状況が激変したとき、似たタイプのエリートばかりでは全滅する危険性がある。普段はさほど役に立たないように見えたり、癖が強いような人材でも、いざという時のためにプールしておくことが、組織としては重要なのです。

    会社でも役所でも、組織が危なくなると曖昧な指示が増えます。
    「うまくやれ」とか「工夫しろ」と言われたら危ない。
    9割方、下が責任を被せられると考えたほうがいいでしょう。

    イエス・キリストはなぜあれだけのカリスマ性があって、未だにキリスト教が続いているのかと考えると、「自己犠牲の精神」に行きつきます。十字架の上で抵抗せずに死ぬことで、人類の罪を贖った。その自らを犠牲にする行為によって、人は感化を受けたのです。
    人を動かすとき、最も力を発揮するのは、命令や強制でもなく、利益誘導でもありません。
    実はこの感化の力です。人の振る舞いをみて、影響を受け、自分も何かやらなくてはと思う。それは自発的な行為だけに強いのです。
    人は、自己犠牲的な行動を取る人から感化され、動かされる。人を率いるためには、自己犠牲を厭わないこと。少なくとも自己犠牲を演ずること。これこそ人心掌握の要です。

    実は、集団を動かすとき、ぎりぎりの局面では、大義名分は非常に重要な要素になります。本当に大事な決断をするとき、人は意外に利害では動きません。たとえば、役員会で社長に造反すると決めるときに「成功したらポストを用意する」と言ったのではなかなか人は動かない。その会社の名前を出して「○○の社員としてそれでいいのか?」という言い方のほうが、相手は乗ってきやすいという面がある。
    理屈の力、大義名分の力を決して軽視してはいけません。

    こうした絶体絶命の危機に追い込まれた時、本当に頼りになるのは誰でしょうか?
    どんなに親しくしていても、会社の上司や同僚をあてにしてはいけません。
    彼等は会社という組織の論理に拘束されているからです。
    私の経験から言えば、最も頼りになるのは大学などの同級生、学生時代の友人です。
    大学が同じといっても、社内の学閥には何の意味もありません。
    そもそも会社における学閥は、弱者連合に過ぎません。
    本当の勝ち組は実力主義によって選抜され、結束しているからです。
    学生時代の友人がなぜ頼りになるかと言えば、まだ人間関係が利害と無縁だったころのつながりだからです。損得のない状態で、さまざまな経験を共有し、互いの人物の見極めもついている。不条理な嫌疑がかけられたとき、こいつがそんなことをするはずがない、という確信を持って支えてくれるのは、組織の外で培われた関係性なのです。

    組織には人を潰す力もありますが、人を生かす力もあるのです。
    組織によって役割を与えられ、その結果が評価され、さらなる目標が示されることで、
    個人の能力は確実に引き出されます。

    組織の及ぼす力は、ある種のスペクトラム(連続体)になっています。
    虹をイメージして下さい。赤からオレンジ、黄色、緑、青、藍色、紫と変化していきますが、実は色と色との間に境界はなく、連続してつながっています。
    それでいて、両端をみると全く違う色になっている。組織も同様です。
    人を生かす力と潰す力は連続していて、組織によって生かされていたはずが、
    ある所でポンと逆転して、個人を潰す力となって襲いかかってくる。
    この逆転のポイントのみきわめが難しい。だから、部下としては、冷淡な上司もやりにくいのですが、過度に目をかけてくれる上司も危険なのです。

    霞が関において政治家が「わかった」と言う場合は、「あなたが何を言っているかは理解した」という意味に過ぎず、「了承した」「賛同する」という意味では必ずしもないからです。

    人事に携わる人間には「自分は権力を握っているのではなく、組織のひとつの駒に過ぎない」という認識が求められます。そして、機構的には合議制を取ることです。その際に留意しなくてはならないのは、合議の内容を決して外に漏らさないこと、そしてコメントしないことです。人事で冷や飯を食った上に、否定的な評価まで下されたのでは、社員のやる気はガタガタになりますから。人事を、個人の判断のレベルではなく、抽象的な組織の判断であるかのように擬装することが必要なのです。
    人事が成功するのは、徹底した能力主義に立ったときだけです。しかし、それが容易ではありません。人事の際に問われる能力とは、売上を伸ばしたなどの数値化が可能な能力だけではないからです。そこには常に不透明さが伴います。
    「この交渉で、これだけの成果を上げたから」という目に見える評価ならいいのですが、よく使う料亭の女将が耳打ちする「あの人、気が利いているわね」という一言や「この前、酔って局長の悪口を言っていたわよ」という告げ口なども、意外と評価に影響を与えかねない。極端な抜擢人事など、イレギュラーな人事をひとつ行うと、だいたい3、4人から恨まれる結果になります。10回やれば、30人から40人の恨みを買います。
    人事は組織の要であり、適材適所が必須であると同時に、上がる人がいればこぼれる人も出てくることが避けられません。その人達のインセンティブを、どうやって維持するか。ここが特に大切なのです。
    従って企業のトップになる人間は、人事に直接触らないことが肝要です。「良きに計らえ」と担当者に任せたふりをしながら後ろで操る、という方針に徹して、絶対に姿をさらさないことです。直接人事を行うことを禁欲した場合、100%思い通りの人事が出来るわけではありません。しかし自分の思いを9割5分通すことで100人の敵を作るより、自分の思いは7割しか通らないけれども敵は1人もいないほうが、絶対にいい。人事においては、その程度の歩留まりを目指すべきです。

    人事を担当する者が必ずわきまえておかなければならない鉄則があります。
    それは「抜擢された人は感謝しないが、外された人は必ず恨む」ということです。
    人間には認知バイアスがあり、自分の能力、自分の成果を必ず実際以上に大きく評価するものです。日の当たるポストに登用された人は、「自分の能力が正当に評価された」と感じるだけで、人事担当者に感謝などしないが、感謝しても短期間に過ぎません。
    他方、コースから外された人は「能力のある自分が左遷されたのは、人事担当者の恣意によるものだ」と反発するのです。
    これは人間の本姓といってもよく、いくら謙虚な人でも、このバイアスから完全に逃れることはできません。ただ「人間には自分を過大評価する傾向がある」ということを知っておいて、折に触れて、軌道修正を試みる必要はあるでしょう。

    「組織にとって、いかなる個人も入れ替え可能である」

  • ネトウヨはじめ保守を気取る連中は口を揃えて「戦後は個人主義が蔓延した」と嘆くが、なんのことはない。日本は未だ、全体主義どころか封建制なのだ。これを読むとよく分かるぞ。そして、そんな現代的封建制を生き抜くアドバイスもしっかり用意されているぞ。みんなも負けるなよ。

  • なんか自分の気持ちを代弁しててもらったような一冊。自分も組織に馴染まなかったというイメージがあったので、あ、そういうことかと思えたというか。
    佐藤さんの著作はあまり読んでこなかったけど、これから読みたくなる一冊。

  • 自分の所属する組織に嫌気がさした時に手に取った本。色んな小説の一節をテキストとして取り上げて、組織の論理について説明してくれる。
    複合アイデンティティについての章、もう少し知りたかった。でもこの本のコンセプトとして、そこに取り上げられた小説を読んで、自身で考えを深めていくべきなんだろうなーと。
    そして昭和史に学ぶの章…身に積まされた。うちの組織はまだ昭和から抜け出せていないのか。
    組織で生き残るには、がテーマの本ではあるけどちょっとしたブックガイドにもなっていて、読書熱が高まる。あとがきも良かった。もっと本を読もう。

    ★…4.5


  • うまくいっている時の自戒として。
    大きなものから細かいものまで参考になる。

  • 身近なテキストを使って具体的に説いてくれるのでとてもわかりやすい。テキストとして使われた作品を読んでみたくなる。

  • 最近、新書とノンフィクションしか読んでなかったけど小説も読みます。

  • 夏目漱石の坊ちゃんや門から真空地帯、忠臣蔵、軍の組織から昭和史、TVドラマの逃げ恥まで、各種テキストを引用しながら個人と組織の問題を解説している。自分の立ち位置や行動パタンと照らし合わせると納得できることが多い。

  • 小説から組織におけるサバイバル術を学び取るというコンセプトが面白かった。佐藤優著作全般に言えるが、引用元を読みたくなる。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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