知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612475

作品紹介・あらすじ

立花隆を要約するのは非常に困難である。まさに万夫不当にして前人未踏の仕事の山だからだ。時の最高権力者を退陣に追い込んだ74年の「田中角栄研究ーその金脈と人脈」は氏の業績の筆頭として常に語られるが、ほぼ同時進行していた『日本共産党の研究』で左翼陣営に与えた激震はそれ以上のものがある。『宇宙からの帰還』にはじまるサイエンスものでは、『サル学の現在』でサルと人間に細かく分け入り、『精神と物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』でノーベル賞科学者の利根川進に綿密な取材を施し、『脳死』では安易な脳死判定基準に鋭く切り込んだ。科学を立花ほど非科学者の下に届けてくれた書き手はいない。浩瀚な書物である『ロッキード裁判とその時代』『巨悪vs言論』『天皇と東大』『武満徹・音楽創造への旅』は余人の及ばない仕事であり、また旅を語っても、哲学、キリスト教、書物を論じても冠絶しておもしろい。立花隆はどのようにして出来上がったのか、そして何をしてきたのかーー。それに迫るべくして、彼の記憶の原初の北京時代から、悩み多き青春期、中東や地中海の旅に明け暮れた青年期、膀胱がんを罹患し、死がこわくなくなった現在までを縦横無尽に語りつくしたのが本書である。彼が成し遂げた広範な仕事の足跡をたどることは、同時代人として必須なのではないだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 立花隆の〝語り下ろし自叙伝〟である。
    編集者(?)のインタビューに答える形で、生い立ちから現在までがほぼ時系列順にたどられていく。
    面白くて400ページ超を一気読み。

    立花の旧著『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』(2007年)にも、これまでの仕事を概観するロングインタビューが収録されていた。
    それは例の「ネコビル」(立花の仕事場)内部を立花と一緒に見て回り、膨大な蔵書を眺めながらそれらの本にまつわる仕事の思い出を聞いていく……というものだった。

    このインタビューもかなり面白かったが、本書はそれを大幅に拡大した内容となっている。
    『ぼくの血となり~』のインタビューに出てくる話も多いが、その場合にも本書のほうがより詳細に語られている。

    今回は生い立ちからじっくり語られているから、立花の精神形成史が理解できるし、物書きになってからの記述は主要作品の「メイキングオブ」として読むこともできる。

    田中角栄との攻防をめぐる裏話など、驚愕のエピソードもちりばめられている。

    たとえば、豊田商事会長刺殺事件の主犯は田中角栄に心酔しており、事件のはるか前、角栄を批判した立花に恐喝まがいの電話をかけてきたそうだ。

    また、立花が『日本共産党の研究』を書いていたころ、取材スタッフの中に共産党から送り込まれたスパイが一人いた(!)ことが、あとでわかったという。

    ……そのようなエピソードを知るだけでも面白い。

    また、随所で立花がポロッと深い言葉を口にする。たとえば――。

    《人間の知的な営みについてひとこといっておくと、人間はすべて実体験というものが先なんです。これは何だろうという驚きがまずあって、それを理解したいから、本を読んだり、考えたりするんです。これは外国文化だけの話ではありません。ひとつの文化体系を本で読むことだけで勉強しようとしても、基本的には無理なんです。それはとても勉強しきれるものではない。ある文化体系を理解しようと思ったら、そこに飛び込んでその中に身を置いてしまうしかないんですね。
     理解とは、百科全書的な知識をただ自分の頭の中に移し替えて獲得できるという性格のものではないということです。自分の全存在をその中に置いたときに、はじめて見えてくるものがある。あるひとりの人が、ある具体的な人間存在として、あるときある場所で、ある具体的な世界を見ている。そういう具体的な事実関係抜きの認識なんてない》

    この言葉に象徴されるような思索的深みもあり、読ませる本である。

  • 一気に読んだ。
    世界一周旅行を終えたような読後感。
    (したことないけど.....笑)

    元気が出る。

    この世には、知らないことばかり。

  • 読み・書き・話し・きく(聞く、聴く、訊く)という日常的なインプット、アウトプットスキルの全てが強靭的なレベルであるのはよくわかる。読み切り、書き切り、話し切り、きき切るとはどういうことかが尋常ではない迫力をもって伝わる。だからこれまでずっとファンだった。これらのスキルを扱うにあたり、事実と論理で本質に迫る態度が根底にあるのも感じる。これにも今まであこがれがあった。
    だけれどもこれだけ勉強した方でも読み・書き・話し・きくを「詰め切る」レベルまでにしか押し上げられていないのだなあと感じた。21世紀以降は読み・書き・話し・きくを統合しバージョンアップさせた新たな認知の道筋があるように思うのだよなあ。サイエンスのアプローチの先にあるスピリチュアルなアプローチがあるのではないかなあと。

  • 読み応えあった。著者の思いの詰まった自伝

  • 立花隆の知識、情報量、探究心に敬服。
    自分がいかに一つ一つの事を疑問に思わず
    暮らしているか考えさせられた。

  • 圧倒的な知識量。そして戦争、安保闘争、ロッキード裁判など、激動の昭和を生き抜いてきた経験。何よりもその読書量と執筆量。理系文系というジャンル分けは本当にくだらない。政治、経済、哲学、歴史、芸術、物理、脳、生命科学、、知的好奇心をさらに刺激された。
    天皇と東大も読んでみたい。

  • 立花隆氏の自叙伝スタイルで書かれた本
    知的好奇心や物事に対する深い洞察、その姿勢は参考になる点が多い

  • 凄い人。

  • 巨人の大きさに圧倒される1冊。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/523544

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著者プロフィール

1940年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、文藝春秋入社。66年退社し、東京大学文学部哲学科に学士入学。その後ジャーナリストとして活躍。
74年、『文藝春秋』誌に「田中角栄研究 その金脈と人脈」を発表。79年『日本共産党の研究』で第1回講談社ノンフィクション賞受賞。83年、第31回菊池寛賞、98年第1回司馬遼太郎賞を受賞。
著書に『中核vs革マル』『宇宙からの帰還』『「知」のソフトウェア』『サル学の現在』『臨死体験』『ぼくはこんな本を読んできた』『天皇と東大』など多数。

「2020年 『自分史の書き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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