「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2020年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784166612574

作品紹介・あらすじ

平安京と京都は違う。

「不思議に思われるかもしれないが、
次のようにいえば納得して頂けると思う。
京都で訪れた観光地の数々を思い出して頂きたい。
神社仏閣なら、清水寺・金閣寺・銀閣寺・上賀茂神社・下鴨神社・知恩院・三十三間堂・北野天満宮・平等院鳳凰堂、風情のある繁華街なら、祇園、先斗町、鴨川の河川敷、嵐山なども観光名所だろう」
「京都は、平安京の外に広がる、新しい開発地を含めた都市だ。それが今や主客転倒して、
平安京の外の方が〈我々こそ伝統的な「都」です〉という顔をしている」

「平安京らしさといえば、誰もが歴史の授業で習った“碁盤の目”の
土地区画(同じ大きさの正方形の集まり)だが、
思い出して頂きたい。右に挙げた観光地を歩いた時、
道路や土地の区画がちっとも“碁盤の目”状でなかったことを。
“京都らしい”観光地は、全く平安京らしくないのだ」


――はじめにより抜粋


平安京が「京都」に転生するために武士の力が必要だった!?

「京都」を舞台に行われた権力闘争と土地開発の歴史を
気鋭の歴史学者が、大胆に描く。


主な内容

・川を拠点にした強盗集団に狙われ続けた平安京
・平安京には寺を作ってはいけないルールがあった
・廷臣の家を次々よ移り住む天皇
・貴族も庶民も楽しんだ「晒し首」パレード
・鳥羽離宮造営の衝撃
・勝手に戦争をして顰蹙を買った源氏
・武装した宗教団体が南北から都に迫る
・都のど真ん中で起こった殺し合い「保元の乱と平治の乱」
・京都駅周辺を開発したのは平家だった
・平清盛の出世が「京都」に新しい街を造らせた 他


各地域の歴史地図を多数収録。

みんなの感想まとめ

歴史に隠された「京都」の誕生の物語を描いた本書は、平安京から武士の時代へと移り変わる過程を鮮やかに解説しています。特に、白河上皇の院政や平氏の清盛の登場が、どのようにして現在の京都を形成したのかを探る...

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから想像した内容とはかなり違ったが,面白かった.平安末期の白河上皇による院政の時代から,源氏と平氏が政治に入り込み,特に平家(平氏宗家)に清盛という特異な人物(なぜ特異かは伏せます)の登場するという過程を経て,従来の平安京が鴨川の東(現在の岡崎から三十三間堂や京女のあたりまで)と八条(西は梅野小路車庫のあたりまで)に拡張され「京都」が形成された歴史を説く.「武士が中央(=京)政治において地位を確立する過程」を描いた,とでも言おうか.

  • 「武士の起源を解きあかす」や「平安京はいらなかった」を読んでいなかったら本書にはついていけなかったぐらい独特の視点でご自身の説を言い切るので「小気味よい」けど「本当かなぁ」と一抹の不安を覚える(失礼)
    平治の乱で崇徳上皇がクーデターを企んだのではなく、後白河上皇が軍勢を集めたが故の不安から対抗して軍勢を集め、当時近衛天皇呪詛を疑われていた最悪の頼長と合流したために日本最大の悪霊になってしまった
    白河院の時代から強訴=嗷訴への対抗として武力を天皇(上皇)が指揮して比叡山等を相手に武力排除する習慣が政治に寄らない武士を使った政争という背景も理解した
    「京都の誕生」とは律令を楯に見えと虚構で張りぼてした都(四分の三は未使用)を使い勝手良くする為と京中仏閣禁止令の為に寺を建立する時「平安京」をはみ出した所へ、最初は道長の法勝寺に習い重要な建物が建てられる
    ①白川院の法勝寺周辺の仏教空間開発
    ②白河天皇時代からの鳥羽開発は遷都の様な大移動
    ③平正盛~清盛による白河仏閣へ近接する六波羅開発
    と鴨川の東に飛び出た新興エリアを含めた『京都』はまさに武士が造った戦乱の都である

  • 非常に読みやすい。学術書ではないので、細かい説明はないが、ポイントを絞り、全体の流れを優先していおり、理解しやすい。歴史を学校の勉強のように「点」では学んでいくのではなく、複数の「線」が絡み合った結果、こうなったと説明されると分かりやすいのだなと感心する
    この著書は平安後期を主軸にしており、白河院政から平家の台頭が範囲となっている。ただ、そこに至るまでの経緯やポイントを説明してくれている。平安京の治安悪化とその背景から武士の台頭、藤原摂関家の頽廃、源氏の没落。また、当時の寺や神社。特に「平安京内に寺をつくってはならない」という決まりや比叡山の荒れくれ模様など、「へー」と頷くだった。

  • 図書館長 井上 敏先生 推薦コメント
    『京都=平安京ではない。平安京は桓武天皇の妄想? それを解き明かしたのが本書。』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/642165

  • 平安京は今の京都ではない。今の京都は平家以降、武家によって作られた街、武家が作り、天皇・公家に壊された街。後白河・清盛時代に、六波羅、八条院、西八条院迄拡張された京都が現在に残る京都の原型と言える。京都=(平安京+武士)X院政と言う公式は興味深い。21年以来、再読したが、改めて武士が作り、武士と運命を共にした都市である「京都」を教えられた。

  • 平安京のことや子供と中世への変化を考えていく上で、疑問に思ったり、「なんだか荒いな」と思っていたことが全て書いてあって面白かった。
    平安京=京都ではない、武士の論理、古代から中世へと変化していく上での産みの苦しみ。
    天皇と院政、平清盛の太政大臣就任と、激動の時代について面白おかしく読める。
    終わりかたがすごく気になる。一読して、損はないと思う。

  • 京都というと平安貴族によって作られたようなイメージがある。
    しかし実際の京都の街をみると、所謂我々が京都のイメージの街並は平安京の外側であり、むしろ平清盛をはじめとする、武士が頭角を現してきてから、現在に繋がる京都になってきたという話だが、それはそのまま平安後期の政治史である。
    改めて貴族と武士の成り立ちから関係について知ることで、京都の成り立ちも知ることができる。

  • 東夷(アズマエビス)の末裔には京都は遠い存在である。平安京=京都ではない!と帯にあっても、今一つピンと来なかったが、院政から平家政権にかけての土地開発、寺院造営の歴史を、政治史を交えて、ダイナミックに論じていく筆致に引き込まれてしまった。

  • <目次>
    はじめに  平安京が「京都」に転生する時
    第1章   武士に依存する平安京と朝廷の治安~「獄門」と凱旋パレード
    第2章   「京都」誕生と「天下」の謎~秩序の平安京+君臨の鳥羽+極楽往生の白河
    第3章   武士代表となる平氏~京都と院政に融合した新種の実像と虚像
    第4章   京都と天皇を呪う嗷訴、守る武士~院政が生んだ反逆者と守護者
    第5章   破局する京都と保元・平治の乱~武士が都を蹂躙する「武者の世」
    第6章   六波羅と法住寺殿の大規模開発~後白河院・平家の二人三脚と京都拡充
    第7章   平家の新都市域「八条」の開発~京都が最初の完成を迎える時
    第8章   ”殿下の乗合”事件~京都の生活を支配する武士の論理
    おわりに  平家が完成させ平家が破滅させた都

    <内容>
    一般書ということで論理は若干荒いか?「京都」の話というよりも、「武士」の院政期発展史。源氏から平氏へと武士の中心が変わっていく過程と白河・鳥羽の院政のカラクリ。平安時代後期の歴史ととらえてもよい。

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著者プロフィール

桃崎 有一郎(ももさき・ゆういちろう):1978年、東京都生まれ。2001年、慶應義塾大学文学部卒業。2007年、慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(史学)。現在、武蔵大学文学部教授。専門は、古代・中世の礼制と法制・政治の関係史。著書に『平安京はいらなかった――古代の夢を喰らう中世』(吉川弘文館)『室町の覇者 足利義満――朝廷と幕府はいかに統一されたか』『武士の起源を解きあかす――混血する古代、創発される中世』(ちくま新書)』『「京都」の誕生―― 武士が造った戦乱の都』『平治の乱の謎を解く――頼朝が暴いた「完全犯罪」』(文春新書)などがある。


「2024年 『平安王朝と源平武士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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