なんで家族を続けるの? (文春新書)

  • 文藝春秋 (2021年3月18日発売)
3.62
  • (34)
  • (67)
  • (63)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 1017
感想 : 66
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784166613038

作品紹介・あらすじ

『週刊文春WOMAN』大反響連載がついに一冊に!
私たちは“普通じゃない家族”の子だった―

樹木希林と内田裕也の娘として生まれ、家族団欒を知らずに育った内田也哉子。自身は19歳で結婚、三児の母として家族を最優先に生きてきた。一方、中野信子は巨大なブラックホールを抱えてきた。その原点は両親の不和の記憶だった。

「樹木希林の結婚生活は生物学的にはノーマル?」
「血のつながりは大事なのか」
「貞操観念はたかが150年の倫理観」
「知性は母から、情動は父から受け継ぐ」
「幸せすぎて離婚した希林がカオスな裕也にこだわった理由」
「幼くして家庭の外に飛ばされた私たちは」
「脳が子育てに適した状態になるのは40代」
「私は「おじさん」になりたかった」
「惰性で夫婦でいるのがしっくりくる」ほか

幼い頃から家族に苦しんだ二人は、なぜ、それでも家庭を築いたのか?
家族に苦しむすべての人に贈る、経験的家族論!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

家族の在り方やその影響を深く探求する本書は、著者二人の対談を通じて、家族の形が必ずしも「普通」である必要はないことを示しています。樹木希林と内田裕也の娘として育ち、家庭に苦しみながらも自らの家族を築い...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中野信子さんのお話はいつも面白い。

    〈知性は母から、情動は父から受け継ぐ〉
    〈羽生善治と藤井聡太が目をつぶって話す理由〉
    〈脳は環境でモードが変わる〉
    など。

    でも結局私には樹木希林さんという人がわかりませんでした。
    内田裕也さんはわかりやすいと思います。

    なんとしても繋がっていたかったのか?
    一緒に暮らさなくても。
    お金をもらわなくても。
    次々他の恋人ができても。

    戸籍から離れてしまえば、
    本当に全く関わらない人になってしまう。
    それが嫌だったのか?

    夫婦はこうあるべき
    家族はこうあるべき
    なんて私には言えませんが。
    樹木希林さんの本当の気持ちが知りたいと思いました。

  • 内田也哉子さんと中野信子さんの対談集
    いろんな夫婦の形、家族の形があっていいんだという多様性の話がメイン

    幸せのグラフの考えが素敵だと思った
    他人と比べず「自分の以前の状態と比べる」
    それを「微分」と表現するあたり、中野さんは理系(笑)

    •子どもを舐めてグルーミングされたラットの方がストレス耐性が高い。脳が変化する
      →遺伝だけですべて決まるわけじゃない。
       一緒に接している存在もとても大事

    •知性を司る大脳新皮質は母側。
     身体と情動は父側。

    •「貞淑」になる遺伝子と「不倫」を好む遺伝子の人数の割合はおおむね五体五。
      →一夫一妻制の結婚には向いていないタイプが人口の半数。

    •心理学と脳科学は似ている

    •孤独であるストレスと、集団に合わせるストレスのどちらを感じるかは、生後六ヶ月〜一歳半までの間に決まる。

    •脳が子育てに適した状態になるのは四十代

  • 『なんで家族を続けるの?』
          中野信子 内田也哉子

     最近一番の悩みは家族関係の事なので、題名に惹かれて読んでみました。

     お二人の対談形式で書かれています。誰もお供につけず、本当に2人だけの空間で対談を繰り返したそうです。

     内容は、やはり中野信子さんが話し手だと、家族のことから端を発し、結局あまり関係のない脳科学の話になる事が多く、期待していた内容とは違いました。が、それでも面白く最後まで読めました。

     樹木希林さんの生き方、本木雅弘さんが想像してた感じの人と違うこと、羽生善治と藤井聡太が目をつぶって話す理由など、印象深かったです。

     最もインパクトがあったのは、中野信子さんが作った、幸せのグラフというもの。中野さん曰く、幸せのカタチとは微分なんだそう。微分なんてわからないよ〜と一瞬尻込みしましたが、そのグラフを見て、なるほど〜となりました。私はもれなく、幸せとは感じられない人のグラフでした。

     あと、個人的に救われたのが、「メタ認知」(自分の思考や情動を俯瞰の目で眺めることだそうです)に関する脳のDLPFCという領域は、30歳位まで成長が続き、それまでは未完成という事実です。同様に、OFCという「共感の領域」といわれる脳の部分も成長が遅く、この二つの成長が未熟なせいで、子供は、{ゆっくり考える、我慢する、こんなことをしたら嫌だろうなと察する}といったことが困難なんだそうです。私は、子供だからと子供扱いしないという考えで、なんでうちの子はこんなに思いやりに欠けるんだろうと悩み、人としてダメなんだなと諦めていたのが、自分の認識が間違っていたとわかり救われました。子供が30歳になるまでは、未完成であることを許す気持ちが試される試練の時だそうです。今まで、子供にとって鬼のような大人だったんだなと反省しました。

  • ふたりともなんとなく好きだから読んでみた
    これは脳科学の本だな
    ふたりとも頭がいいから
    そんな家族でも メンタルに異常をきたさずに
    生き延びられたのだろうなぁ
    うちの親たちも毒親に入ると思うから
    ふたりの語り口に 少し救われた

  • 日本社会から逸脱してるようでしていない二人の対談。多様性について考えさせられる。

  • めちゃくちゃ面白かったです!
    普通じゃない家庭で育った方の話と、
    脳科学を合わせた対談本。
    お二人ともクレバーなので、互いの話が噛み合って飲み込んで消化していく感じ。

  • お客様にお勧めしていただいた本。とても面白かった。以下、心に残った言葉たち。


    ・アリー効果:生物の原則で、生き物が最も生き残りやすいのは①ぽつんと1人でいる②小さい集団でいる③大きい集団でいるの中で③。人間が同調圧力で人を叩いたりしてしまうのは生物的な原則に基づくとも考えられ、ある種生存本能として仕方ない行動。 生き延びるためには集団になることが1番の武器。だから自分の意思を優先するより、みんなと同じように考えましょうとなるように仕組まれている。

    ・相手が自分の何かに反応していると言うのはものすごい喜びで、ドーパミンの快感につながる。自己効力感と言って、自分が何かに対して影響及ぼすことができた時、ドーパミンの回路が活性化する

    ・ 光なのは相手が自分にリスペクトと好意を持ってくれていると信じられることだと思う。その人がどんなに大変な人であったとしても、それさえあれば。(関係は続いていく)

    ・脳は30歳位まで未完成なので、それまで的確な判断ができないし、人に共感もしにくい。 人間は体と脳の発達のバランスがあまり良くない。体が生殖に向いているのは20代かもしれないが、脳が子育てに適した状態になるのは40代位と言うことを示すデータがある

    ・現在、フランスの60%近くの子供たちが、婚外子。

    • workmaさん
      hitomiさんの感想を読んで、自分は アリー効果のことを初めて知りました。
      最も生き残る確率が高いのが、「孤独」「孤立」的なポジ...
      hitomiさんの感想を読んで、自分は アリー効果のことを初めて知りました。
      最も生き残る確率が高いのが、「孤独」「孤立」的なポジションとは!驚いたので、本書を読んでみたくなりました(*^^*)
      ありがとうございました。
      2021/06/05
    • hitomiさん
      workma さん、コメントありがとうございます!気がつくのが遅く、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。アリー効果について、わかりに...
      workma さん、コメントありがとうございます!気がつくのが遅く、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。アリー効果について、わかりにくいメモの仕方をしてしまって申し訳ございません。。。もっとも生き残る確率が高いのは、3番目の「大きい集団でいる」です。孤独、孤立は、最も生存確率が低いとされています。ややこしい書き方をしてしまい申し訳ございません!><
      2021/06/10
    • workmaさん
      そうだったのですね、アリー効果のことなど丁寧に教えていただきありがとうございました。ちゃんと読んでみますね!
      そうだったのですね、アリー効果のことなど丁寧に教えていただきありがとうございました。ちゃんと読んでみますね!
      2021/06/11
  • 大好きなお二人の対談。
    楽しかったわーー。

    じっくりと一語一語しっかりと読ませていただきました。

    ご馳走様でした。

  • 中野先生の本は相変わらず面白い。そして也哉子さんも幼少期から普通の家族って何なんだろうをかかえながら生きてきた人なのだろうということを伺わせる本だった。なぜ家族を続けるのかに対して明確な答えを提示しているわけではないが(それこそ~だからだ!という答えを提示したら、結局いわゆる家族像の押し付けにもなりかねないし)、こんな家族があってもいいんじゃない?とかこういう背景にはこういう理由があって、という知見を広げてくれる一冊ではあるように思う。

    以下読書メモ
    ーーーー
    ・ただ、私たちは社会通念というものをそれなりの年月をかけて学んできてしまうので、マジョリティとされている考え方を「これが正しいんじゃないかな」と蓋然性を持って学習してしまうと、それに照らし合わせて、どれだけ外れているか・外れていないかで、「自分は間違っている気がする」という感覚を持ってしまう

    ・アホウドリのカップルは三分の一がレズビアン

    ・科学というのは、統計的な有意差でもって明らかにしていくものなので、それ以外の個性のようなものは、実はまだ科学では扱えていないことがあるんです。つまり、まだ、科学のほうが経験知より遅れているところもある。

    ・もう一つは「科学でわからないことは、まだわかっていないだけであって、あるともないともいえないですよね」という人。論理的には後者が正しい。私は後者の考え方をしたいと思っています。

    ・世の中というのは物理的にできてはいるけれども、その上に人間の認知が乗っかっている。つまり、みんながそういうふうに思っていれば、ほぼ存在するのと同じことだといってよいでしょう。人気とか景気とか、いわゆる「気」が付くものはだいたいそんな性質があります。みんなが存在すると思っているから存在する。

    ・接している時間、育ててもらったという経験によって、脳そのものが変化したわけです。別に遺伝だけですべて決まるわけじゃない。一緒に接している存在もとても大事ですよ、ということを示す実験です。

    ・知性を司る大脳新皮質、知性は母、内臓などの他の体の部分は父

    ・AVPR(アルギニン・バソプレッシン・レセプター)というホルモンの受容体に、俗に「不倫遺伝子」といわれるものがあるんですよ。たったひとつ、DNAレベルでいうとたった一文字違うだけで振る舞いが変わっちゃうという。

    ・ 実は、広く浅くタイプのAVPRは、男性が持っている場合は「離婚遺伝子」といわれ、女性が持っている場合は「不倫遺伝子」といわれます。何となく違いはわかります?男性の場合は浮気が露呈しちゃうとすぐ別れることになっちゃうけど、女性の場合はうまくやっていろいろと得をするということのよ

    ・ 貞淑になる遺伝子と、不倫を好む遺伝子がある。
    しかし実は、貞淑型と不倫型の人数の割合はおおむね五対五と推測されています、ということは、もともと一夫一婦制の結婚には向いていないタイプが人口の半数ほどいるということなんですよ。

    ・これは母の教えというか、母を見て知ったことなんですけど、とにかく結婚したら相手に何一つ求めないということ。例えば家事でも何でも、「自分がしたいからすると思えば楽だよ」と母に言われました。というのも、父は稼ぎも家に入れないし、いわゆる父親の役割も果たしてなかったのですが、母はよくそれに耐えたなというより、「そもそも求めてないから平気なんだ」って言っていたんです。

    ・人間なんてその最たるもので、外側が柔らかいから他の動物に食べられやすいし、足も遅いし、筋肉もほ乳類の他種と比べると少ない。生き延びていくには集団になることがいちばんの武器だから、自分の意思を優先するよりみんなと同じように考えましょう、となるように仕組まれている。

    ・まず、私たちは大きな集団のほうが生き延びやすい。では大きな集団の中でみんな平等に生きているかというと、そんなことはなくてヒエラルキーが作られ、"オピニオンを出す側"と"それに従う側"ができる。だいたいは従ったほうが気分がよくなるように仕組まれている。

    ・脳も楽できるから心地よく感じるんだよね。でも、"オピニオンに従う側"は実入りが少なくなるということに気付くヤツがたまに現れる。そして裁量権がある側に行こうとする。その場合、その上昇志向のヤツは「みんなの意見に従いやがって、お前は汚い」みたいなことを声を大にして言うと、"オピニオンを出す側"に回れる。こういう共同体構造をつくる仕組みも、同時に私たちは持っているの。

    ・「人類は平和がいいとわかっているのに、どうしてその方向に進まないのか」ということを経済学分野の先生とディスカッションしたことがあるんだけれど、そのときに、平和な状態って文明の終わりじゃないのかって思った。戦争が多いときのほうが文明が発展したということ?賛否あるけれど、現実の歴史としては、軍事技術がそうよね。

    ・ 安定しているのに、わざわざ波風を立てるんですよね。そのほうが、生のやり取りをしている感じがする、というか⋯⋯。
    →ドーパミンの快感が欲しいからじゃないかな。相手が自分の何かに反応しているというのは、すごい喜びなの。自己効力感といって、自分が何かに対して影響を及ぼすことができたとき、ドーパミンの回路が活性化するんだよね。それが「自分が存在する理由だ」と思い込んでしまうほどには、そうだと思う。安定して何もしない、何にもコミットできないというのは、実はストレスなの。

    ・ 私、惰性というのは大事だと思っているの。「惰性で続いている」というのは収まるべきかたちに収まった、という意味でしょう。水を流すと溜まるべきところに溜まるでしょ。そういう生き方を目指すべきなのではないか

    ・自分の意思で水を止めたり、無理のあるところに溜めようとしたりしても、あまりいいことが起きないような気がする。これがブラックホールの原因なんだと思う。押しとどめたいと思っても、押しとどめようと無理をした結果、ブラックホールができたり気づいたりしてしまうのなら、無理するのはやめようと思った。

    ・ 大切なのは、相手が自分にリスペクトと好意を持っていてくれると信じられることだと思う。その人がどんなに大変な人であったとしても、それさえあれば。

    ・例えば「私の夫はイケメンである」と言ったとしましょう。これは真か偽か。「写真を見せろ」とか、「会わせろ」とか、第三者から見てイケメンであるかどうかとか、判定できる何らかの材料をよこせということになりますよね。これが提供できて第三者から見てわかる材料がある状態を「反証可能性がある」という。つまり、反証というのは、「イケメンではないじゃないか」と反論できる材料。これがないと、「反証可能性がない」。で、自然科学である脳科学では、反証可能性がないといけない。

    ・ひとりの空間を確保したい。けれど、でも孤独は嫌だというダブルバインドは不安定な感じがして不快かもしれませんが、実はヒトの特徴でもあります。

    ・キレそうな自分を抑えるのに必要なのは「メタ認知」です。自分の思考や行動を俯瞰の目で眺めることです。メタ認知ができれば行動を制御できます。私はカーッとなりそうなとき、その「ロックですねえ」を思い出します。すると、ああ、切れてはいけない場面だ、とブレーキをかけられるようになりました。時々失敗しますが、ぜひ、カーッとなると思い出す何かを、感情に紐づけておくことをお勧めします。

    ・ また、脳の0FC(眼窩前頭皮質)という部分は「共感の領域」といわれ、相手の持っている感情に寄り添うところです。ここも同様に成長が遅いので、お母さんがこう思っているだろうな、こんなことをしたら嫌だろうなと察することは、子どもにとってはかなり困難です。

    ・ 何か嫌だなと思うことがあった日は、じくじく考えるのが嫌なのでデスノートにつけているんです。そこに書いてしまったら、もうそれきり考えない。そして後でお焚き上げをする

    ・人間は身体と脳の発達のバランスもあまりよくないですよね。身体が生殖に向いているのは二十代かもしれないけれど、脳が子育てに適した状態になるのは四十代ぐらいだということを示すデータがあります。

    ・いやいや。考え過ぎると子どもって作れないようになっているから。恋愛をするときは理性が働かなくなるでしよ。「この人好きだな。この人の子どもが欲しいな」と思うのは、理性と違うメカニズムが働くんですよ。人間は理性を働かなくさせるという有性生殖の仕組みを何万年も保っているのにもかかわらず、それでも理性も大事という。

    ・ ずっと先のことを考えられるのは人間だけの特徴なので、その理由での自殺というのは人間だけなのでしょう。

    ・ショックでした。死ぬ理由なんてどこにもない。何もかも順風満帆に見えたのに。今生きていらしたら、すごく活躍していたと思う。彼女の死を思いながら、私は死んではいけないと思った。生きていくのがしんどくて、今日生きているのもやっとだ、でも、取りあえず石にかじりついてでも生き延びて、やり過ごして、風がやんだらまた進もうと彼女のことを思ってがんばったことがあったんです。どんな人でも人間のつながりがあって生きている。人が命を絶つということは、想像を絶するダメージを周りにも与えているわけよね。どうしたらそういうことを止められるのだろう。あまりにももったいない。もったいないことをみすみす見過ごすのは本当に切ないです。

    ・ すごく真面目な人というのは、一増えるハッピーよりも一増える苦しさのほうをずっと大きく感じるの。九十九人が絶賛しても、一人が攻撃してきたとか、ちょっと皮肉を言ったとか、それだけですごく大きく感じてしまう。そういうこともあるんですよ。

    ・神田橋條治という精神科の先生が考えた、一回死んでみるという方法があるんです。自分の身体の緊張を解きほぐしていくために、「左手がだんだん重くなります。力が抜けてきました。左手が温かい」とかいって行う自律訓練法というのがあるの。その先生は、うつの人が死ぬことを決意するといったん元気になるという現象に着目したんですよ。

    ・死ぬことを決意している人がいたら、「じゃあ一回、一緒に死んでみようか」と横たわるのね。で、「あなたはもう死にました。今からあなたの肉体の肉がどんどん溶けていきます。腐って、溶けて、土に還っていきます。今、だんだんあなたの体は骨になってきました。骨になって、日光にさらされて、どんどん白くなっていきます。白くなって、残った肉もどんどん干からびて落ちていきます。体をゆすって残った肉を全部落としましょう。あなたはきれいに白い骨になりました。好きなだけ死んでいていいですよ」。そしてまた、「そろそろ生き返りたくなりましたか?」というところから始めて、「だんだん溶けた肉があなたの骨のところに集まってきます。肉がだんだんかたちになって、ほら、指が動くようになりました。気力がみなぎってきたのがわかるでしょう。さあ、起きてください。あなたは生まれ変わりました。」とやっていくんです。

    ・ 人間は生物の中で唯一、将来を憂えて命を絶つということがあるけれども、逆に想像力で死を体験することだってできる生き物な
    わけじゃない?

    ・ 私たちは誰もが複数の側面を内包しながら、これらを使い分けて生きている。あなたが私だと思っているものは私ではない。一時的に、そういう側面を見ているだけ

    ・そのとおりで、私たちはいろんなペルソナをバラバラに持っていて、そのバラバラな自分がモザイクのように融合して一つの形になっている。ただ、そのペルソナは学習して獲得しているんだよね。例えば、「名誉男性」と呼ばれるのがしっくりくるような女性たちは、男性原理社会の中で認めてもらえるよう、成功した男性を見ながら、男性社会で生きるためのペルソナを必死に手に入れた

    ・ 視覚には説得力があるようで、実は上書きされやすく、すぐに忘れてしまう。だからテレビよりラジオのほうが人を説得できるという研究もあるんです。例えば流行りの歌のフレーズが何回も頭の中でループすることがあるでしよう。音は記憶の中刷り込まれやすいの。私たちの先祖は夜行性のほ乳類で、暗闇では聴覚が頼りだったことの名残なのかもしれない。

    ・例えば、脳は私たちの睡眠中、記憶を整理し、それを固定させたり消去したりしている。脳に蓄積したゴミのウォッシュアウトもしている。眠っている間も脳は働いているんです。

    ・ 人がなぜひとりぼっちだと心細く感じ、ほかの人と一緒にいるとなぜ安心なのか。人といると生存確率が上がるからなのね。敵が現れたらどちらかが戦えばいい。つまり二分の一の労力で済むわけ。一緒にいる時間が長くなればなるほど、それはその人と生き延びられたという実績になるので、もっと長くいさせようとする。そのために、脳ではオキシトシンが働いてその相手との間に「絆」を感じたさせ、できるだけその人と一緒にいて生存確率を高めようとする。場所についても同じことがいえるのであって、その場所に長くいたというととは、つまりそこで生き延びられたという実績として、いわば脳に刻まれるわけです。十六代といったら戦国時代から続くお家であるわけでしょう。

    ・ いろいろなパートナーを求めることは別に人間として不自然だとは思わないけれど、ルールがある以上、ルールを犯さないように振る舞うといらのも人間の知性だから、それはその人の裁量、ということになっちゃうよね。

    ・家族という機構はたしかに、ごく客観的に、機能面からだけで見ても、実に多くの役割を持っています。性、生殖、扶養、経済的生産、保護、教育、宗教、娯楽、社会的地位の付与等⋯⋯。けれど裏を返してみれば、こういった機能は社会の変化に沿って、大きく変容し続けていくものである、ということも言えるのです。家族のあり方というのは、一意に定まるようなものではなく、歴史的、民俗学的に見れば多彩な様式が存在しました。

    ・ 「一家の大黒柱」として収入を得て、その収入によって家族が運営され、妻は家庭内の切り盛りをし、分業的に子を養育していくという形です。その形をとると次世代を残すために効率的な分業が可能になるのと同時に、社会的にはもう一つのメリットもありました。何が便利だったかというと、会社組織ないしはコミュニティが、男性を働かせ続けるために妻子をいわば人質にとることができるわけです。人質というのは聞こえが悪いかもしれませんが、扶養家族を持っていることで、男は簡単に離職することができなくなるわけです。そこに、女が働くことはあまりよしとされないという通念も主として経営側の論理として生まれてきます。組織体にとって、婚姻関係によって妻子を持たせるというシステムは、労働力の確保という点では極めて理にかなった構造であったのです。


  • 元々テレビで見て好きだった中野信子先生。
    中野先生の本読んでみたいなーと思っていたところ、内田也哉子さんとの本が!ということで読んだ。
    おもしろい。

    なるほど、そういう考え方もあるのか。
    自分の育った家族の在り方も、私が選んだ家族の在り方も、いろんな家族があっていいんだ。

  • かなり個性的なお二人なので、書店で見つけた時は、買うのを躊躇しました。

    先日、内田也哉子さんの本を読み、これも読んでみたくなり、図書館にリクエスト。

    お二人の特殊な家庭環境を振り返り、家族の多様性について書かれた本かな?

    内田也哉子さんは、結婚して2か月で、妊娠して、夫の内田裕也さんを追い出した樹木希林さん。しかし、離婚はせずに、長年夫婦として別居婚を続けた。

    中野信子さんは、会話のない仲の悪い夫婦に育てられ、なぜ離婚しないか疑問に思っていたと。

    お互いの結婚感なども…。
    なるほど、そんな考え方もあるのか〜と、思いました。

  • 破天荒な父親をもち、これまた普通じゃない家庭生活を続けた母親。内田裕也と樹木希林の娘なんて、辛かっただろうなと想像に固い。アイドルもっくんとの結婚は、さぞかし素晴らしいとおもいきや、普通だなと思う。人間、どんな環境でも、対応するものだと、納得。対談する内田也哉子と中野信子のやりとりが、非常に面白かった。脳科学をもっと知りたいと思った。

  • 中野信子の、家族関係や夫婦に対する考察に共感する部分があった。
    人には孤独によるストレスAと、集団に合わせるストレスBがあり、ストレスAを強く感じる不安型と、ストレスBを強く感じる回避型がある。母親から引き離しても泣かず再開しても無関心なのが回避型で、私は回避型だと思った。生後6か月〜1歳半までの間に決まる脳の機構が影響しているらしい。オキシトシンの受容体の密度が、この時期に決まる。

  • うーん…。
    興味深い2人の対談だから、期待して読んだんだけど…、ちょっと表現が専門的過ぎてあまりピンとこなかった…。
    でも、時代の変化、社会の変化に沿って、家族のあり方は大きく変容し続けていくもの、また家族のかたちに正解もないなと思った。いろんな家族のかたちがあっていい。

  • 世間が“良きもの”として捉えてる家族像は、案外強固なものじゃない。
    出産や育児をアウトソースする時代が、もしかしたらすぐそこにくるかもしれない。


  • 「家族」「イエ」をテーマに数回にわたって繰り広げられたおふたりの対談。
    也哉子さんの家族観を中野さんにぶつける、という質問形式でどんどん内容が広がっていって、止まらない対話が面白かったなぁ。

    ・どんな親でも脳科学的にはアリということ。
    ・Be Here Nowに比べたらだいぶ長い時間感覚がある人間は、【無駄】と【効果的】な選択肢がある場合、一定の割合で【無駄】を選ぶ。それは多様性の保持に結びつき、種の存続に極めて重要なファクターだから。
    →ココにだいぶ救われた気がした。

    あと面白かったのは、不安の存在意義。
    →人間というのは総体的に、存続するためにいろんなタスクを乗り越えていくけど、そうやって安心したい、セキュアしたいという欲求を満たそうとしている。でも、それを探させるためにはモチベーションとして「不安」が必要で、それがドライブして、安心な存在とか安心な場所を探させるんだと思う。

    従来の家族観に囚われないおふたりではあるけれども、それでもパートナーと生きていく選択をした、その理由が中野さんのあとがき最後に綴られていて、それがとっても素敵だった。

  • 樹木希林さん関連の写真はいつもかっこいいなぁと思います。樹木希林さん自体が風変わりでかっこいいなぁと。そしてそれを支えた家族のあり方も羨ましくはないけれど、興味深い。変だけど、どこの家族も人間もみんな変だと思う今日この頃です。
    「中野信子と本木雅弘は自己否定から始める」
    コントロールされたくない、価値観を押し付けられたくないに同感。
    マイノリティな家族にもっと寄り添ってもらえるような内容なのかと思ったけど、いわゆる毒親を肯定するかのような内容になってしまっていたのは少し期待と違ってましたが、樹木希林さんご家族と脳科学に興味があったのでサラリと読めました。
    これからどんなカタチの家族でも認められるべきだけど、社会通念上結婚した内田さんと中野さんという感じの閉めかたでした。
    とにかく大切なことは、子どもが不安な気持ちで置いてきぼりにならないような家族を目指すべきで、その点で理性は大事です(生殖は理性的ではないが)。無駄に傷つきたくなかったけど、傷によって気付きや思考を重ねる訓練になることもあるんでしょうか。人間に深みが増すのかもしれない??
    いや、ひねくれるだけかもしれない。。

  • 本当は普通の家族なんてものはどこにも存在しない。けれど、その普通の家族に縛られて憧れて、そうじゃない我が身を振り返ってはいたたまれなくなる。だからこそ家族とは業のようなものなのか。
    欲を言えば、同世代のお二人の実際の対談を聞いてみたい。

  • 【私たちは”普通じゃない家族”の子だった】樹木希林と内田裕也の一人娘が、気鋭の脳科学者を相手に語り尽くす、“実録・一切なりゆき“。家族はしんどいけれど、愛おしい。

全57件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野信子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×