- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166613045
作品紹介・あらすじ
「依存症」といえば、アルコール、タバコ(ニコチン)、麻薬などを、普通では得られない「快楽」を求めて、身の危険を顧みずにのめり込んで消費している人のイメージが私たちにはあります。
しかし実は、依存症の落とし穴はとても身近なものです。ご飯を食べるのを止められない、オンラインゲームで部屋にとじこもる。次から次へと恋愛関係に身をやつす。こういったことも十分に依存症でありえます。
最新の国際的な定義では、これまでのアルコールや薬物といった、物質的な依存症だけでなく、ギャンブルやオンラインゲームといった「行動に関する依存症」も含まれるようになりました。
まるで脳が乗っ取られたように、止めたいと思っても、止められなくなる、そこにはもはや「快楽」はなく、ただ「脳の渇望」があるだけの世界、そうした状況に依存症の人たちは苦しんでいます。
本書では、〇アルコール、〇ニコチン、〇薬物といった古典的な依存症から、〇ギャンブル、〇オンラインという新たに依存症に含まれたもの。さらに〇糖質依存、〇性的依存といった、まだ研究途上で公的な定義には含まれてはいないものの、十分に依存症的な症状があるものまで紹介します。
最新の依存症の研究と治療について、筑波大学教授の原田隆之先生が、身近な事例を用いながら、わかりやすく紹介します。
感想・レビュー・書評
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依存症についての最新の知見と対策をエビデンスを元に紹介。勉強になった。
自分の依存症に対するイメージがいかに古く、メディアと偏見に汚染されていたのかが分かってぞっとした。
この本には主にアルコール依存症、ニコチン依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、オンラインゲーム依存症、糖質依存症、性的依存症についてページが割かれている。
専門用語も度々出てくるが、逐一説明してくれるので置いていかれる事はない。
誰でも条件さえ揃えばなりうる可能性のある依存症。
対岸の火事とのんびり眺めていてはいけない。
芸能人の薬物使用の際の謝罪会見のニュースの態度には、なんだかな、と違和感を覚えていたのだが、著者はハッキリ批判していて、溜飲が下がった。誰かのための「サディスティックでいやらしい楽しみ」でしかないのだ。 -
とても勉強になりました。強くなるより賢くなれ。
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嗜癖と習慣、依存症の違いは何か。考えると一瞬迷うが、それが欠落した時に呼吸が乱れ、思考がそれに囚われ優先順位が入れ替わる事、と言うと何やら心当たりがありそうだ。アルコールや薬物、ギャンブルでそのような経験はなくとも、恋愛や承認のアディクションは少なくないのでは。
本著曰く、脳の機能が変化してしまいコントロールが効かなくなった状態を依存症という。手がかり刺激として快楽とペアになって記憶される。これを学習心理学では条件付けと呼ぶが、関連するのが大脳辺縁系の海馬と言う領域。依存症への遺伝的要因の寄与率はおよそ40から70%とも考えられている。依存し易い人、というのがいるのか。
自らを完全にコントロールできたとして。勤勉、勤労、禁欲、節約なストイックな日々。別に一切の娯楽を断つ必要は無いかも知れないが、短絡的に得られる快楽への依存と自律的な生活が対極にあるならば、依存の対義語は自立。他者に寄りかからず、精神的に何かを頼りにせず生きること。
しかし、本著で面白いと思った一つの視点。依存、アディクションの対義語は、コネクションなのだと。つまり、孤独が薬物やアルコールの依存を促すが、人間関係はその抑止効果を果たす。この事はラットの実験では立証済み。人に寄りかかれない心の空隙を継続的に満たすのが、そうした代替物。結局、人は何かに依存して生きていきたい生き物であり、それが社会関係なら健全で、薬物なら不健全という事か。そして前者の依存から断絶されてしまう事が不安の原因。案外、人間は脆くか弱いものかも知れない。 -
自分は幸いなことに禁煙も禁酒もできている
ここで大事だったのは、何がなんでも我慢するという意思による強制ではなく、本書末尾で触れられている「recovery is fun」だったと思う。
このように依存症との戦いは辛く厳しいものというイメージをいかにして変えていくかということが大事なのだろう
また、まずは依存症に陥るメカニズムを知り、自分がそのような状況にないかということを認識することも、予防という意味では重要になってくると考える。
一方で、依存症になっているのが自分以外の場合はなかなかそれを認識させるのが難しい。
対処法として、第3章で触れられているOARSコミュニケーションは大変参考になった。 -
自律とはたくさんの依存先を増やすこと
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50235685 -
様々な依存症について記述した一冊。
病気とされてるものから、多くの方が該当しそうな糖質依存症まで、幅広く網羅されており、勉強になった。 -
誤解を呼びそうなタイトルだが、依存症に対する誤解を解くことができた。
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文章はいいのだが、直ぐにどんよりした気分になってくる。たぶん有能な人物にありがちな常識信仰にあるのだろう。著者は典型的な官僚タイプの人物と見た。
https://sessendo.blogspot.com/2022/02/blog-post_53.html -
アルコールやたばこ、麻薬的な薬物、そしてギャンブルなど、いろいろな依存症を扱っていて、そういう意味では勉強になりました。
が、「構図はすべて同じ」という扱いなので、そういう意味では単調で退屈でした。
日本では、依存症は「意志の問題」とか「刑罰の対象」と短絡的に考えがちですが、それよりも、「脳の病気」と捉え、医師などの助けを借りながら治療していく方が効果的であることが証明されつつあるようです。
もちろん、日本でも後者の動きが大きくなりつつあるようです。
また、人類が依存症になることについては、進化の過程上、逃れられなかった、という観点も重要だと思います。
依存症は、「快」を求め「不安」を避ける行為が極端になった状態といえますが、「快」を求め「不安」を避ける行為そのものは、人類が生き延びる上で大切なことなはずなので。
とはいえ、どの依存症も、同じようなパターンの説明になると、さすがにちょっと飽きてきます。
もしかしたら、この本に過度に依存しないための工夫かもしれませんが。
『ファクトフルネス』という本でいろいろ学んだつもりだったのですが、、、いけませんね。ついつい易きに流れてしまう自分がいます。...
『ファクトフルネス』という本でいろいろ学んだつもりだったのですが、、、いけませんね。ついつい易きに流れてしまう自分がいます。
調べる手間と考える手間を惜しんでいたら、あとで損するのは誰だって話ですよね。
クスリを売って生計を立てている人たちは、どこか麻痺してるんでしょうね。
にゃー
にゃー
にゃにゃ!
にゃにゃ!