本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784166613229
作品紹介・あらすじ
欧米で「東のスターリングラード」と称される死闘――
「白骨街道」「無謀な作戦」「日本型組織の最大の失敗例」としていまだに語り継がれる太平洋戦争時に行われたインパール作戦。指揮官の無理な命令、補給の軽視など、ともすれば、日本軍の自滅としてのみとらえられがちである。本書ではこの視点を踏まえつつ、イギリス、インドの資料や現地取材を駆使し再検証する。
香港、シンガポール、ビルマと各戦線で連戦連敗のイギリス軍と、圧倒的な兵力と勇猛果敢さで、無敵を誇った日本軍。両者の明暗はどこで別れたのか――
みんなの感想まとめ
戦争の意義や影響を深く考察する本書では、インパール作戦を通じて日本とイギリスの戦争の実態が描かれています。一般的には日本軍の無謀な作戦として知られるこの戦いですが、著者はイギリス側の視点やインドの独立...
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
日本の戦争は何のためだったのか? 戦後インドやビルマが独立できたのはなぜか? 虜溝橋事件から日中戦争、太平洋戦争へ向かったのか?
インパールの戦いはインド独立のためなのか?
日本+インド国民義勇軍VS英国+インド植民地軍。
戦争を始めた日本に感謝する東南アジアの国や人々はいるのか?
戦争は二度とやってはいけない事だけど
あのまま欧米に占領されていたら、アフリカや北南米大陸のように(インカ帝国は消滅した)欧米の言葉をしゃべり暮らしているのだろうか
なお、インドは英国の植民地だったから英語に慣れていたことが今の経済大国に向けた地ならしが出来ていたかもしれない -
日本では兵站を無視した無謀な「愚戦」として語られることが多いインパール作戦(ウ号作戦)。しかしイギリスでは「東のスターリングラード」とも呼ばれ、苦難の末に栄光の勝利を収めた「最大の戦い」と目されているという。著者はこのギャップを埋めるべく、一度は潰走しながら態勢を立て直し反攻を企図する英印軍、インド独立を悲願とし日本軍に協力したINA(インド国民軍)、日英の工作対象となった現地諸部族をも視野に入れ、インパール作戦の全体像を俯瞰しようとする。こうして明らかになるのは、日英ともに死力を尽くして戦い、最後には「準備」と「情報」において優った英印軍が日本軍に競り勝ったという事実である。特にインパール北方のコヒマ攻撃は英印軍の裏をかき、英印軍は一時危機的状況に陥った。戦後この事実を知った牟田口司令官は俄然作戦の正当性を主張するようになるが、彼には日本軍を迎撃した第14軍スリム中将の言葉が相応しいだろう。
「日本軍の強さは上級指導部にあるのではなく、個々の日本兵の精神にあるのだ。彼らは死の直前まで戦い、進軍を続けた。(略)このような兵士がいてくれれば、どの国の軍でも手強い存在になることだろう」 -
面白かった。著者の豊富な知識と多くの参考資料により内容の濃い書籍だった。一つの物事を表面的に見るのではなく、多角的な側面から見てみると非常に理解が深まり、面白い。
-
インパールの戦いは英国にとって「東のスターリングラード」だった。情報収集や分析、短期長期だけでなく中期の目標も設定し周到な準備をいかにしていくか、という組織の課題に最適な事例だと感じた。
-
インパール作戦=愚策という印象ばかりで、この本ももしや思想的に偏った視点で評価するものなのか…?と疑いつつ読んだのだが、疑ったことが間違いだった。
なぜ、インパール作戦が計画され、実行されたのかを援蔣ルートとの関係や、ボースのインド自由仮政府のねらい、イギリスにおけるインパール作戦の評価等を総合的かつ大局的にあげつつ、解明していく、という本だった。
戦場において、相手の出方が本当にわからない中で、一つの判断がどう影響するかというところが本当に予測できないものなのだなということを強く感じた。その制限されたなかで、手を打たなければならないのは、実に難しいことと思われる。無謀な作戦という評価で片づけてしまうのではなく、どこが無謀だったのかということを丹念に検証することが必要なのではないか。
個人的にこの作戦から学ぶことは、相手や環境を自分に都合のよいものとして解釈するのではなく、常に最悪を想定して立案するということの重要性ではないかと思われる。なんとかなるだろう、気持ちで、勢いでというのが通じないのが現実なのだなと感じる。 -
歴史の見方は立場で違うが、戦争の場合は双方の立場で比較しながらみると真相が理解しやすい。あまり知られていない戦史なので知識が増えた
-
昔、父の本棚に、高木俊明氏が書いた「インパール」と言う本があった。
父に聞いたら、ひどい戦いだった、
母に聞いたら、昔ベストセラーだったから読んだのでは、ミーハーだからね。
と言われた。
連勝連敗だったイギリスが唯一日本に勝った戦い。
日本軍は、香港、マレー半島、ビルマと連勝、イギリスの植民地を奪取していた。
インドを手に入れるため、インパールを足掛かりにしようと、1944年3月、天長節まで、昭和天皇の誕生日4月29日までにはインパールを奪取する予定だったが。
戦後、インパール作戦は、愚戦とか、無謀と、無能な指揮官だと牟田口廉也中将は言われたが、
イギリス側の見方は違うようだ。
2013年に、国立陸軍博物館の調査では、
1945年ノルマンディー上陸作戦を抜いて1位。
BBCも「意外だ」と評した。
と、おおよそこの本の序文に書いているが、
待てよ、イギリスの陸軍博物館か?
日本の陸軍博物館か?
それとも、インドの陸軍博物館か?
イギリスならば、王立陸軍博物館のはずだが?
まぁ、どうでも良いことではない、どこの国のか、も分からない。
どちらなんだろう? -
牟田口の責任や「白骨街道」の凄惨さは本書でも通説どおりだが、本書では英印軍側にも目を向け、問題を矮小化しない。曰く、英印軍には徹底した準備と十分な情報収集・提供態勢があったというのだ。英は長年の植民地統治で十分な情報があったことは想像に難くない。
著者は光機関に至るまでの日本軍インド工作機関にも一定の評価はしているが、いかんせん活動に着手するのが遅すぎたという。確かに、ビルマやインドは従来の日本軍にとって遠い存在だったのだろう。また、対英戦序盤のシンガポール陥落の成功体験に引きずられ英印軍を侮っていたとの点も挙げる。
また、本書ではインド国民軍とチャンドラ・ボースにも触れる。インド独立という目標は同じでも、INA、国民会議派、など選んだ道は様々だったと分かる。
著者プロフィール
笠井亮平の作品
本棚登録 :
感想 :
