北条氏の時代 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2021年11月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784166613373

作品紹介・あらすじ

鎌倉幕府150年の歴史をつくった謎の一族、北条氏。
名もなき一介の一族はなぜ、日本の歴史を変えることができたのか――。


北条氏の時代を象徴する「七人の得宗(当主)」を中心に読み解く。


第一章 北条時政 敵をつくらない陰謀術  

         ・鎌倉幕府の誕生  
         ・曾我兄弟の仇討ち事件
         ・13人の合議制
         ・ライバル梶原氏、比企氏を次々と滅ぼす

第二章 北条義時 「世論」を味方に朝廷を破る

         ・幕府きっての武人、和田氏の滅亡
         ・将軍実朝暗殺事件 
         ・後鳥羽上皇との直接対決、承久の乱

第三章 北条泰時 「先進」京都に学んだ式目制定

         ・明恵との出会い
         ・御成敗式目の制定
         ・天皇の即位に介入

第四章 北条時頼 民を視野に入れた統治力

         ・「撫民」とは何か
         ・仏教を政治に生かす
         ・三浦氏の滅亡
         ・将軍を次々と取り換える

第五章 北条時宗、貞時 強すぎた世襲権力の弊害

         ・二度の元寇のもたらしたもの
         ・改革者、安達泰盛の登場
         ・霜月騒動で安達氏が滅亡
         ・御内人、平頼綱の専制


第六章 北条高時 得宗一人勝ち体制が滅びた理由

         ・高時は本当に「暗愚」だったのか
         ・後醍醐天皇はなぜ倒幕を考えたのか
         ・幕府にもっとも近かった足利尊氏の裏切り
         ・全国で根絶やしにされた北条一族

みんなの感想まとめ

北条氏の歴史を通じて、彼らがどのように鎌倉幕府の中枢に登り詰め、権力を掌握し、最終的に滅びるに至ったのかが鮮明に描かれています。各章では、北条氏のリーダーたちの実力や人脈、世論を味方につけた戦略が詳述...

感想・レビュー・書評

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  • 如何にして北条氏は鎌倉幕府の中枢と成り、統治し、滅びたのか。
    北条家のリーダーたちの実力、人脈力、「世論」力で、
    鎌倉時代の姿を読み解き、歴史の流れを語ってゆく。
    中世の鎌倉の地図 現在の都道府県と旧国名
    北条氏系図/天皇家家系
    第一章 北条時政―敵をつくらない陰謀術
    第二章 北条義時―「世論」を味方に朝廷を破る
    第三章 北条泰時―「先進」京都に学んだ式目制定
    第四章 北条時頼―民を視野に入れた統治力
    第五章 北条時宗、北条貞時―強すぎた世襲権力の弊害
    第六章 北条高時―得宗一人勝ち体制が滅びた理由
    北条氏との時代関連年表

    地方の小さな一族が政治の表舞台に登場し、権力を掌握、
    鎌倉時代を牽引し、滅びるまでの通史を、
    核となる人物中心に分かり易く解き明かす。
    それは、北条氏リーダーシップの歴史。
    時代変革の波を乗り熟した、時政。
    承久の乱をも乗り越える御家人中心主義の、義時。
    最も優秀、あらゆることを吸収し行動するリーダー、泰時。
    混乱の政局の末、連署の極楽寺重時と安定体制を整えた、時頼。
    元寇と貨幣経済の浸透の中で揺れ動いた、時宗。
    御内人の存在と得宗の権力による空虚な政権の、貞時。
    御家人たちに見捨てられた鎌倉幕府と最後の得宗、高時。
    そして、呆気ないほどの北条氏の滅亡。
    知りたかった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のその後の歴史。
    別に読んだ本は研究書で、人物関係が複雑で難解でしたが、
    この本では親族関係とか、さり気なく補完しています。
    「鎌倉殿の13人」の登場人物の子孫が多くいるのも面白い。
    トリックスター三浦義村の子孫のその後や、
    北条氏一族内での諍い、将軍や朝廷と幕府の対峙も、分かる。
    陰謀、暗殺、実行犯の口封じ、一族殲滅、等々、血腥いこと。
    ある意味、欲望の深さって果てしないんだなぁ。

  • 注!
    内容に触れていますが、触れても読む興味は失せないと思うのでネタバレ設定にはしていません。


    大河ドラマなんて、最近は見たいとも思わないけど(^^ゞ
    とはいえ、大河ドラマが始まると関連本がいっぱい発売されて。
    多くの人がそれを買って古本として売っちゃうことで、翌年になるとそれらが安く買えるのは、とってもありがたいことだ(爆)

    ということで、『北条氏の時代』だ。
    これは、(いわゆる)鎌倉時代を、関東武士団による政権の始まり(時政→義時)、北条氏権力集中の時代(泰時→時頼)、つまづきの時代(時宗→貞時)、その終わり(高時)に分けて、わかりやすく説明している良書だ(^^ゞ

    ただ、(大河ドラマ便乗本のせいか)前半に寄りすぎかな?
    高時なんか、“高時は暗愚な得宗なのか?”と見出しを掲げたわりに、高時そのものの評価は書かれていない。
    もっとも、歴代北条氏を300ページ弱で語るのは無理があるのか?


    意外に重宝したのが、第二章(P125)に書かれていた、義時から派生した北条一族(分家)の紹介。
    (大河ドラマの)「太平記」や「時宗」を見ていた時(昔は見ていたのだw)、わからなかったのが赤橋や金沢といった北条氏の分家だったので、あの時これがあったらなぁーとつくづく思った。
    ていうか、それを言ったら、得宗と一族、御内人と内管領といった北条政権の仕組みが、もうちょっとわかりやすくなってたら…、という話ではある。


    著者は学者なので。
    資料から読み解く限り、あの出来事はこういうこと(だと想像される)。
    その時、この人物は(資料によれば)こういう行動を取った。
    そのことから想像するに、この人物はこういう人だったのではないか?
    この本は、そういう風に書かれている。

    今の世の中はアカデミズムこそが正しいだから、それはそれでいいんだろうけど、個人的には個々の人物の人となりがつかめないのがツマラナイところだ。
    いや、この著者はそれでも人物の人となりを「こうなんではないか?」という風に想像して紹介してくれているように思う。
    ただ、あくまで学者だから。
    例えば、泰時の賢さというのは、京都に長くいたことで明恵という当時の一流の学僧と交流を重ねたことにある(と想像される)。
    また、時頼の政治の「撫民志向(民を慈しむ)」は極楽寺重時(義時の子)の影響で、重時は京都にいた時に内大臣徳大寺実基と親しくしていた。
    二人は浄土宗を厚く信仰していて、その信仰から徳政(借金棒引きの徳政ではなく、文字通り徳の政治)をするに至った。
    さらに時頼は南宋から来た二人の禅僧に教えを受けた等、「撫民志向(民を慈しむ)」にはそういう背景があったんだろうと想像できる、という具合にわかりやすく説明してくれている。

    でも、頼朝ってどういう人だったの?となると途端によくわからない。
    その人となりが全くイメージできないのだ。
    義時にいたってはなおさらだ。

    もっとも、頼朝なんて日本人なら知らない人の方が少ないくらいの人物なのに、外見をよく伝えているとされるものは木像一つだし。
    義時にいたっては、それが一つもないらしいから。
    その人となりをイメージするというのは著者のような学者はもちろん、司馬遼太郎のような歴史作家ですら困難なのかもしれないけどね。

    そういえば、『竜馬がゆく』だったか『翔ぶが如く』だったか忘れたけど、司馬遼太郎が「西郷のことなら何時間でも語れる。でも、(それらのことを踏まえても)西郷という人は結局わからない」みたいなことを書いていたが。
    もしかしたら、頼朝や義時も西郷隆盛と同じように、今の世に住む常人にはわかりようのない人物なのかもしれない。


    最近は本の帯というと、過大に煽ったり、読者の気持ちにベタベタすり寄ってきたり、あるいは、もはや中身と全然違う、みたいに全然信じられなくなったという印象があるが(爆)
    この本の帯にある日本型リーダーシップの原型がここにある」というのは、読み終わった後、なかなか秀逸なコピーだなぁーと思った。

    鎌倉の権力のありかというのは、源氏の嫡流である頼朝→御家人13人の合議制→執権である北条氏→得宗→御内人/内管領と、時代が進むにつれて地位が下のものに移っていくわけだが。
    それが、「空気」によって移り変わっているように見えるのだ。

    頼朝こそ、そのカリスマ性や武家の棟梁としての資質(と言っても、それらがどうだったのか具体的にはわからないわけだが)によって、御家人という坂東武士たちの上に(宗教のように?)君臨していたものの。
    頼朝の子である頼家は、御家人同士の権力闘争で取り除かれ。
    源氏の三代目実朝は、京都に寄りすぎて関東の意向にそぐわないからと御家人総意で取り除かれる(著者による説)。

    後鳥羽上皇が義時追討の院宣を出すと、頼朝の妻である政子が「頼朝様の御恩に背くなんて恩知らずなヤツ、まさかアンタたちの中にはいないよね?」と頼朝教的な空気をつくって、御家人をまとめる(著者の説ではそれは義時プロデュースであるとしている)。

    その後、泰時が御成敗式目や政治機構を整えたり、時頼は徳の政治を志したりするものの、一方で北条氏に権力を集中させるために有力御家人を粛清していくから。
    御家人たちの中に、「鎌倉殿への御恩=北条得宗家への御恩」という空気が生まれていく。

    一方で時宗の時代、北条得宗家への御恩が絶対的な空気になった頃、その得宗家の中で、御家人たちのポピュリズムによって生まれた「御家人ファースト」という空気と、御家人のワガママだけ聞いて、朝廷や寺社、他の武士、領民や商人を冷遇していたら政治が立ち行かなくなると考える「鎌倉による統治の継続こそが大事」という空気が生まれる。

    その2つの空気は時宗の死後、元寇で戦っても恩賞がなかったことによる西国の御家人の不満(という空気)も重なり、御家人ファースト派の御内人(御家人ポピュリズムに寄り添うことで、得宗家の家来である自分たちの権力が守られると考えた)と、統治派の御家人安達氏がぶつかることとなる。

    安達氏本家は御家人ファースト派の首魁である内管領平頼綱に滅ぼされ、地方の安達氏は御家人たちのポピュリズムという空気を盾にした内管領の指示によって粛清されていく。
    そんな空気の果てに生まれたのが、特にこれといった官職でもない得宗家の御内人(得宗家の家来)による権力の専横。

    そんな御内人の平頼綱も、執権貞時が長ずると滅ぼされるのだが。
    貞時が安達氏も復権、頼綱系も復権させちゃうのは、やっぱりそういう空気があったからなのか?
    それとも、どっちつかずが貞時という人物の特徴だったのか?
    いずれにしても御内人の権力専横は、高時時代に頼綱の親戚筋とされる長崎円喜、高資へと引き継がれていく。

    そんな中、朝廷ではいよいよ後醍醐天皇が即位。
    鎌倉打倒に立ち上がった後醍醐天皇は、いったんは隠岐に流されるも、そこを脱出。
    反鎌倉の狼煙を上げていた楠木正成追討に向かっていた足利高氏も途中で反旗を翻す。
    鎌倉を攻め寄せてきた新田義貞によって、鎌倉とともに北条氏は滅亡していく(高時の子、北条時行は後に中先代の乱を起こす)。


    この本の最後、著者はこう書いている。
    “北条氏は、ライバルを倒し、その領地を奪って肥大化していきました。
    滅亡時点で日本のほぼ半分の守護職を持っていたとされます。
    つまり北条一族を族滅させれば、その土地が恩賞として配られることを誰もがわかっていたのです。”

    「鎌倉殿への御恩」というと、鎌倉(政権)と御家人は忠義の関係で結ばれているようだが。
    御家人たちにとって「御恩」というのは、鎌倉(政権)が個々の御家人の利益を守ってくれるからこそ「御恩」であり、「御恩」を果たすことで新たな領地(御恩)が授けられるという暗黙の了解があるからこそ「御恩」を介した忠義の関係を維持できるわけだ。

    ただ、御家人たちが「御恩」を果たすことによって授けられる土地には限りがある。
    つまり、御家人たちの欲望を叶え続けること(御恩に対する恩賞としての土地を授けること)で、得宗家の家来である御内人が自分たちの権力を維持し続けることは限りがあるということだ。

    人々のわがまま(ポピュリズム)を利用する政権は、人々のわがままを正しいこととすることで支持を集めて絶大な権力を得る。
    でも、人々の欲望には際限がない。
    一つ欲望が叶えば、新たな欲望を求める。それが人間だ。
    わがままを叶えてもらえないとわかった途端、人々はその政権をバッサリ切り捨てる。
    それは鎌倉時代も今も同じだ。

  • 鎌倉幕府の勃興から滅亡まで、北条氏の執権たちを主軸に鎌倉時代を通史として概観する。ポイントを押さえ込み入った人間関係もわかりやすかった(読み終わると頭から抜けてしまいましたが) 今まで永井路子さんのをおもに読んだが勃興期のものが多かった。こうして滅亡までを通史的に読んで印象に残ったのは、滅亡期だった。

    鎌倉幕府、北条氏の滅亡は1333年5月22日、14代執権、高時は討幕軍に囲まれ菩提寺の東勝寺にこもり自害する。ともに散ったのは「太平記」には283人とあり、北条一門か御内人(得宗本家に仕える人)ばかりで、一般の御家人はほとんどいないという。

    北条氏はライバルをたおし、その領地を奪って肥大化してゆき、滅亡時点では日本のほぼ半分の国の守護職を持っていたとされるが、滅亡時には御家人たちには見捨てられていた。御家人ファーストで始まった鎌倉幕府だが、しだいに「得宗ファースト」「御内人ファースト」になっていて御家人たちの不満が高まっていた。

    足利尊氏は御家人であり北条守時(16代最後の執権)の妹が正室でありながら、北条家を裏切り討幕軍となったが、本郷氏は、後醍醐天皇に共鳴したのでもなく、「北条氏中心の幕府を終わらせて、自分が中心となった新しい武士の政権を作ろう」とひらめいただけのことだったとする。その「裏切り」の決心を促したのは御家人たちの「世論」だとする。

    時政、義時、泰時の3代は新しいものを作る草創期。人間にたとえるなら青年期だ。5代時頼は壮年期か。元寇にあたった時宗、その次の貞時は、「強すぎた世襲の弊害」との見出し。それまでの執権は実力で執権を勝ち取ったのに対し、時宗は得宗家の嫡男に生まれた、生まれながらにして執権を約束されていた世襲のリーダーだ、というのだ。それが滅亡への序章となる。

    北条時政~敵を作らない陰謀術
    北条義時~「世論」を見方に朝廷を破る
    北条泰時~「先進」京都に学んだ式目制定
    北条時頼~民を視野に入れた統治力
    北条時宗、北条貞時~強すぎた世襲権力の弊害
    北条高時~得宗1人勝ち体制が滅びた理由


    高時の子、時行は陥落の中逃れる。諏訪に逃れ2年を過ごす。この間に建武の新政が始まり、1335年、高時は挙兵。北条残党や新政に疑問を持つ者達が合流。7月25日に鎌倉に入る(中先代の乱)。が尊氏軍の前に敗走。その後も諦めることなく戦い続け、決起と敗北を繰り返し1353年に足利軍に捕らえられて鎌倉龍ノ口で処刑。これが漫画「逃げ上手の若君」になっており本郷氏が解説を担当。


    2021.11.20第1刷 図書館

  • 歴史学者の本郷和人が説く、北条氏とそれを取り巻く鎌倉幕府について。

    武家政権の台頭や公家との関係などがよくわかった。

  • 分かりやすく、面白かった。
    学校で教わった程度しか、知識が無かったが「なるほど〜」と感じる部分がたくさんあった。
    ただ著者も書いているが、北条さんがたくさん出てくる上に、名前が似ていて(時がつく人がいっぱい!)私は少し混乱してしまいました…。

  • NHK大河ドラマ〝鎌倉殿の13人〟では、<北条義時(小栗旬)>が鎌倉幕府の執権を司り「承久の乱」の戦後処理に注力するなかでの病死、続いて頼朝の妻<北条政子(小池栄子)>が亡くなるまでのドラマ化が予想されるが、鎌倉時代を中心に日本中世史が専門とする著者が、血生臭さと人間臭さのただよう陰謀の時代の通史として、鎌倉幕府滅亡までを分かりやすく解説されている。〝北条一族を滅ぼせば、北条のもつ土地が恩賞として与えられる〟あまたの戦いの歴史は、人間の悪の論理に塗り込められた不条理の証しとして、今も何ら変わっていない。

  • 専門分野だけに流石に面白い。が、だんだんどうでも良くなるのが気になる。

  • 歴史の面白さを再認識させてくれた本郷先生のご専門である鎌倉時代を、特に北条氏を軸に読み解く一冊。
    大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」時代から続く、政治システムとして機能した北条氏の解説書。
    さまざまな文献、歴史書を基に、詳に解説される鎌倉時代はとてもリアル。
    ぼんやりと認識していた、将軍頼朝と北条の関係をとてもクリアに学ぶことができる。
    新書ではあるが、情報量が多すぎて、何度も読み返す必要がありそう。
    読んでから買う本認定。

  • 大河ドラマをもっと深く知りたくて読んだ。鎌倉幕府とは、北条氏とは、が分かり易く解説されていて、一層興味がわいた。

  • 文藝春秋社の「本の話 メールマガジン」に応募したら、この本が当たりました。
    日本中世史(鎌倉時代)を専門とする本郷教授の執筆なので、応募したのですが、たまたま今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とぶつかりラッキーでした。NHKとしてこの時代をテーマにした大河ドラマは2012年の「平清盛」以来です。この時は低視聴率にNHKも悩まされたようですが、今回は汚名返上すべく豪華キャストで臨むようです。

    本書は、当時辺境であった伊豆の田方郡を拠点とする平氏の在地豪族であった北条氏が、如何にして鎌倉幕府の中心的な地位まで登り、その後百年以上に渡り日本を動かす政治集団のリーダーに成り得たのか、かつ滅亡する原因は何であったのか等をリーダーシップのあり方を通じて論じたものです。
    この本を読んで興味を引いたのは、以下の3点です。

    1.北条氏の幕府内での地位
    頼朝を支えた御家人を分類すると、
    ① もっとも重んじられたのが、頼朝の親族にあたる「下野の足利氏」「信濃の平賀氏」。 この一族は将軍になれる可能性があります。後の室町幕府を作った足利尊氏は、この一員です。
    ② 次に「家の子」と呼ばれる頼朝の親衛隊。北条義時や結城朝光等
    ③ 最後は「侍」。これは普通の御家人だが、この中でも大きな意味を持っていたのは、伊豆、駿河、相模、武蔵の南関東四か国の御家人で、ここの出身者であれば、幕府の中枢に入ることができた。北条氏、安達氏、三浦氏、和田氏、梶原氏、畠山氏、比企氏がこれに当たります。
    北条氏もこの有力メンバーの一員ではあるが、飛びぬけて大きな存在ではなく、むしろ頼朝の伊豆時代を経済的に支えた比企氏の方が優勢で、頼朝は二代将軍となる頼家の妻をこの一族から迎えています。
    そしてこの御家人の中から如何にして北条氏が抜けだしてくるか・・・は、省略します。

    2.元寇の時の北条時宗は「救国の英雄なのか」
    結論を言ってしまえば、著者の見解は、「外交能力の欠如した幕府崩壊の遠因となった無力なリーダー」というものです。詳細は本書に譲ります。

    3.幕府の変遷という視点
    ① 鎌倉幕府1.0:頼朝の開いた幕府
    ② 鎌倉幕府2.0:承久の乱で朝廷を打ち破り西国進出
    ③ 鎌倉幕府3.0:元寇以降・・・幕府は、元寇による外からの脅威に対応した挙国一致体制を目指す「(オールジャパン)統治派」と「御家人ファースト派」との争いが続く。この争いは「御家人ファースト派」が勝利するのですが、その後の変遷を経て、執権職を誰かに譲ったのちに、北条本家の当主が権力を掌握し続けるという「得宗家ファースト」というべき偏狭な幕府に変わってゆきます。
    しかも時代の流れでもある貨幣経済に上手く対応できないこともあり、御家人の離反を招き、その中から新しいリーダーとして足利尊氏が登場し、幕府の滅亡へと繋がってゆきます。

    著者は「北条家の成長と安定、それに衰退の歴史を知ることは実に興味深い。足利氏も徳川氏も、家の歴史として見たときに、ここまでのダイナミズムはありません・・(略)・・私たちの視点からすると、なんだか不思議な一族。北条氏の足跡を追いながら、日本という国がもつ特質に思いを馳せて下されれば、書き手としてはこれに過ぎる喜びはありません」と結んでいる。

  • 武士の世を築いたのは源頼朝だけではなかった。その陰で実権を握り続けた北条氏の姿を描き出す。将軍を支えながら、ときに抑え、ときに動かし、鎌倉幕府という不安定な政権を百年以上支え続けた。華やかな英雄ではなく、現実を見据え、秩序を守ろうとした統治者たちである。だが権力は安定を求めるほど硬直し、やがて時代の変化に追いつけなくなる。歴史を動かすのは、名を残す英雄だけではない。表に立たずとも時代を支えた者たちの決断の積み重ねが、日本の形をつくってきたのである。

  • 鎌倉幕府と北条氏の歴史を総括。「北条氏の歴史は日本史です。」と言う著者の言葉通り、中流から天下取りへ上り詰めた日本的家族主義の有り様が語らている、興味深い一冊。分断と統合か?、御家人第一主義か国家的統一主義か?現在国際社会にも通じるグローバルな世界観がある。時政、義時、泰時、時宗、高時等の15代に亘る将軍の歴史的評価と各時代を紐解く。

  • 本郷氏の本は14冊目。鎌倉時代を専門とする著者に言わせれば鎌倉時代こそ、歴史の転換点であるらしい。2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を全話見ていたが、本書の北条氏の3代まで(時政、義時、泰時)のパートで結構重なっているところがあり、畠山重忠や和田義盛、梶原景時、比企能員、牧の方など、登場人物が脳裏に浮かんできたので理解に役立った。しかし泰時以後の北条氏はあまりピンとこない。時宗くらいは元寇で有名なので知っていたけど。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou28114.html

  • 鎌倉殿の十三人を思い出しながら楽しめた
    頼朝から足利尊氏の時代まで通した流れが学べるいい本だった

  • ふむ

  • 大まかに理解していると思っていたが、経済の変化 御家人との関係の変化なども含めて概観するとかなり興味深い時代だということがわかります。
    自社巡りが好きなので、改めて鎌倉周辺を回ってみようと思っています。

  • 北条一族の歴史がよく分かる本。

  • 読み応え満載で面白い。働いている人がイメージしやすいような表現の工夫がされている。「御家人の、御家人による、御家人のための政治」としてスタートした反平家軍だったが、晩期は北条氏が全国の半分の土地をもつ一強体制になっていた。本来のビジョンを貫けなくなっていたことに対する御家人の反発が幕府崩壊の原因だろう。要約しだすと膨大なのでここには載せません。

  •  北条氏については、大雑把な理解しかしていなかったので、参考になった

  • 2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に先立って、その予習需要を狙って2021年の秋に出版された本書ですが、「鎌倉殿~」を全話視聴した後で復習の意味で読んでみました。本書は北条氏が執権を務めた時政(初代)から高時(14代目)まで、鎌倉時代をざっと通して北条氏がどのように権力を握って行ったのかを描いています。ですので、「鎌倉殿~」のキャストやシーンだけではなく、この時代を採り上げた大河ドラマ「太平記(1991年)」での北条高時(演:片岡鶴太郎氏)、赤橋守時(演:勝野洋氏)などのシーンも思い出しながら読みました。
    鎌倉時代というのは日本史を高校できちんと勉強していないと、イマイチ理解が浅く、歴史上の位置づけがあいまいになりがちです。そのせいもあって「鎌倉殿~」を視聴しているときも理解に苦しむ場面が結構ありました。そういう人にとっても本書は各人物の言動や判断を分かりやすく追っているので、時代の流れをつかむ程度であれば丁度良い内容です。著者は「平清盛(2012年)」の時代考証を担当しているだけに情報量も新書1冊にしてはボリュームもあってお勧めの1冊だと感じました。

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著者プロフィール

本郷 和人
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。専門は日本中世政治史。1960年、東京都生まれ。東京大学文学部国史学科を卒業後、同史料編纂所に入所し『大日本史料』第5編の編纂にあたる。同大学院情報学環准教授を経て、現職。『東大生に教える日本史』(文藝春秋)、『戦国史のミカタ』(祥伝社)、『NHK高校講座 日本史』(NHK Eテレ)、『謎解き! 伝説のミステリー』(テレビ朝日系)など、著書・テレビ出演多数。NHK大河ドラマ『平清盛』をはじめ、ドラマ、漫画、ゲームの時代考証にも携わるなど、歴史の魅力・面白さを積極的に発信し続けている。

「2025年 『図解 豊臣秀長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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