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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166614141
作品紹介・あらすじ
家政婦と女中はどう違う?
家政婦は歴史上、いつから家政婦と呼ばれるようになったのか?
2022年9月、ある家政婦の過労死裁判をめぐって、日本の労働法制の根本に潜む大きな矛盾に気づいた労働政策研究者の著者は、その要因の一端を、市原悦子演じるドラマ『家政婦は見た!』に見出し、家政婦をめぐる歴史をひも解くことを決意した。
戦後80年近くにわたって、労働法学者や労働関係者からまともに議論されることなく放置されてきた彼女たちのねじれた歴史を、戦前に遡って描き出す驚くべき歴史の旅程。
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濱口佳一郎(はまぐち・けいいちろう)
1958年、大阪府生まれ。東京大学法学部卒業後、労働省、欧州連合日本政府代表部一等書記官、衆議院調査局厚生労働調査室事績調員、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て、現在、労働政策研究・研修機構の首席統括研究員。日本型雇用システムの問題点を中心に、労働問題について幅広く論じている。著書に『新しい労働社会――雇用システムの再構築へ』(岩波新書)、『若者と労働――「入社」の仕組みから解きほぐす』(中公新書ラクレ)、『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)、『働く女子の運命』(文春新書)、『ジョブ型雇用社会とは何か――正社員体制の矛盾と転機』(岩波新書)など。
みんなの感想まとめ
家政婦の歴史を掘り下げることで、労働の実態とその背後にある社会の構造を明らかにしています。著者は、家政婦と女中の違いや、戦前から続く家政婦労働の複雑な歴史を描き出し、これまで議論されることのなかった彼...
感想・レビュー・書評
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ムチャクチャ面白かった。話は大きく逸れるが、韓国語にも「派出婦」という単語があるのを思い出し、旧植民地でも戦前は同様の制度がありそうな気がして、どういう歴史を辿ったのだろうというのも気になっているところ。
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濱口桂一郎著『家政婦の歴史(文春新書 ; 1414)』(文藝春秋)
2023.7発行
2024.10.30読了
家事使用人とは、個人家庭に雇用されて家事に従事する労働者のことで、労基法第116条第2項に「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」とあるので、本来は労基法も最賃法も労災保険法も適用されないはずである。ところが、制定当時(1947年9月1日施行)の労基法第8条第17号には、この法律の適用事業として、「その他命令で定める事業又は事業所」というものがあり、同条を受けて設けられた労基法施行規則第1条には「派出婦会・・・その他派出の事業」が適用事業として明記されていた。労基法が適用される派出婦会の派出婦と労基法が適用されない家事使用人の間にはどのような異同があり、どのような歴史的経過があったのか。それを解き明かそうというのが本書の役割である。
まず、派出婦会とは、1918年(大正7年)に大和俊子が東京市四谷区で初めたニュービジネスを起源にしている。ビジネスモデルとしては労働者供給事業と同じであり、供給元である派出婦会が個人家庭の申込に応じて適当な女性会員を派出することを業とする事業であった。とはいえ、港湾や土木で見られるヤクザまがいの人夫供給事業とは違い、派出婦会のそれは中産階級の有閑主婦のアルバイト的就労だった。当時、派出婦会のようなビジネスモデルを規制する国レベルの法律はなく、東京府の派出婦会取締規則(1935年(大正14年))、愛知県の家政婦会及家政婦取締規則(1933年(昭和8年))などが地域レベルであるに過ぎなかった。
ところが、1938年(昭和13年)に職業紹介法が全面改正されて「労務供給事業」が許可制となり、その中に派出婦会も組み込まれることになった。派出婦会は、ヤクザまがいの人夫供給事業と同じ労働者供給事業の仲間として一括りにされてしまったのである。
それでも、改正職業安定法に基づいて許可を得て営業する限りは合法的な事業として存続することができた。
しかし、戦後、GHQのスターリング・コレットの強い信念によって、職業安定法が改正され、労働者供給事業が、労働組合が許可を受けて無料で行うものを除いて、全面的に禁止になってしまう。改正職業安定法は1947年(昭和22年)11月30日に公布されると、同年12月1日に施行された。経過措置はわずか3箇月で、1948年(昭和23年)2月末をもって労働者供給事業は(労働組合以外は)全て廃止されてしまった。
当時の労働省職業安定局の幹部は派出婦会を労働組合に移行させることでその存続を図ろうと模索するが、労政局や労働委員会とうまく連携がとれず、派出婦会が労働組合資格審査を申請しても否認されるという事件が続出した。
考えあぐねた結果、公共職業安定所が派出婦会よろしく「紹介」と称して派出事業を行うという禁断の手に出るがうまくいかず、結局は派出婦会を有料職業紹介事業として認めていくという判断が下されることになった。早くも1948年(昭和23年)2月7日に、職業安定法施行規則の有料職業紹介事業が認められる各号列記の中に「看護婦、助産婦」が追加され、1951年
(昭和26年)10月17日になると「家政婦」も追加された。
しかしながらそれは、求人者と求職者という当事者間の斡旋を第三者として行う職業紹介事業と、自らに所属する労働者を注文に応じて派遣する労働者供給事業というビジネスモデルの違いを無視することでもあった。
つまり、職業安定法が労働者供給事業を禁止して派出婦を個人家庭の直接雇用にしてしまったがために、派出婦が労基法上の家事使用人(女中)と同じカテゴリーに放り込まれることになったのである。その結果、派出婦は「雇用労働者」でありながら労基法が適用除外されることになったが、他方、労基法施行規則第1条には、依然として「派出婦会・・・その他派出の事業」は労基法の適用事業となっており、ここに矛盾が露呈するに至ったのである。この「派出婦会・・・その他派出の事業」という文言が消えたのは1999年(平成11年)4月1日施行の改正労基法からであり、それまでは日本国の実定法上は確かに労基法の適用事業として派出婦会が存続していたのである。
しかしながら、形だけ有料職業紹介事業(家政婦紹介所)にしたところで、実態は労働者供給事業であり、派出婦の賃金から紹介手数料を(日々の紹介行為という理屈で)ピンハネしていることに変わりはない。本来は労働者派遣事業に移行すべきところだが、労働者派遣事業に移行すると人件費が高くなってしまうため、全く進展していない。
なお、現行の労災保険法では、家政婦の特別加入が認められているが、他の第二種特別加入者のように、家事使用人が団体を作って、そこを通じて家事使用人本人が保険料を支払うという仕組みにはなっていない。どういう仕組みになっているかというと、個人家庭が手数料の上乗せとして負担し、それを家政婦紹介所が一種のみなし使用者として納入するという仕組みになっている。特別加入するかしないかの意思決定は家政婦が行うことになっているが、当然、家政婦紹介所としては、特別加入を求めてくるような家政婦には仕事を紹介しないという形で排除する意思が働く。矛盾が矛盾を生む悪循環に陥っているのだ。
やはり筆者が提案するように家政婦紹介所を労働者派遣事業の形態に移行するのが本筋だろう。それを後押しするためには、「日々の紹介行為」を違法化してしまう方法が挙げられるだろう。本文には「日々の紹介行為」の違法性についての言及はないが、これは職業安定法の趣旨を没却しかねないものだ。だとすれば、この部分を本来あるべき姿に改正して労働者派遣事業への移行をアシストしていくべきではないだろうか。
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I032910930 -
内容は濃いもので勉強にはなったんだが、いかんせん、くどくて私には文章がくどくて読みづらく、頭に入ってこなかった。
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家政婦労働に関するねじくれた歴史が暑く語られています。
女中と家政婦は違う。
女中は家族の一員なので規制をしない。いまだに労基法の範囲外。そして昔からずっと悲惨な状況。
家政婦はもともと派出婦というニュービジネスで派遣業だった。
しかし日雇い労務者(住居もない人々に前借させて閉じ込めて実質奴隷扱い)の労働者供給業と同じ枠で扱われて、GHQに違法扱い。派遣業ではやっていけないので紹介業の形態をまとって再出発。実態と建前がねじくれているのでとてもややこしい状況。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000067235
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ふむ
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流石の濱ちゃん!
伝家の宝刀が冴えわたり、歴史の隙間に埋もれていた家政婦の歴史を時ほぐしてます。 -
366-H
閲覧新書 -
家政婦が労働基準法の枠外に置かれるまでの歴史的経緯を解説。
題材が狭い割に非常に詳細かつ難解にみえて、途中で断念してしまった。
収穫は、そもそも枠外ということを知らなかったこと。 -
とっても興味深いことが書かれているのだけれど、法律の文章もたくさん出てて、そういう脳みそのない私には読み辛かった・・・
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著者は、労働制度の専門家でこれまでも何冊か読んだことがありました。家政婦と労働制度がどうつながるのかがよくわからず、興味を持って読んでみました。
家政婦が、実際は労働者派遣のような形で始まり、戦後の制度の中で形を変えてしまったことが最近の判例での悲劇につながってしまったことは残念でした。労働法制が、世の中の仕組みや変化の影響を受けて変わっていくことを知ることができました。 -
家政婦の過労死に関する裁判をきっかけに,家政婦の労働問題を歴史を振り返りながら明らかにした本。
読むまでは家事使用人と家政婦との違いを気にも留めていなかったから,興味深く読み進めることができた。
資料・史料を駆使して丁寧に説明されていて,家事使用人(女中)や家政婦の労働の実態だけではなく,両者に関わる労働基準法,職業紹介法,職業安定法などの法規の歴史も学べた。
また,「正義の刃」が印象的。法令を変更するときは,影響の範囲やそれまでの経緯を調べ直すくらい慎重な方がいいのかもしれないと思った。 -
【家政婦の歴史をたどり直す比類なき社会ミステリーの誕生!】家政婦は女中ではなかったのに……。ある家政婦の過労死裁判を機に労働政策研究者の著者が掘り起こした、前代未聞の家政婦の歴史。
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