本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784166614332
作品紹介・あらすじ
原発を続けるということは、事故が起きる可能性を抱え続けることを意味する。2011年3月、私たちは福島第一原発事故で甚大な被害に遭い、その影響の大きさを思い知った。事故をひとたび起こせば取り返しのつかない事態を招くことを学んだはずだった――。
にもかかわらず、いま政府は再び原発に回帰する方針を掲げている。原発はなぜこうも優先されるのか。その理由を解き明かすには、歴史を俯瞰し、考えてみなければならない。
原発取材をライフワークとしてきた記者が、職業記者としてではなく、一個人として、「原発安全神話」に加担してきた、政・官・業・学、そしてマスコミの大罪を白日の下にさらす。
みんなの感想まとめ
原発の安全性とその運用に関する深い問題を掘り下げた作品は、福島第一原発事故からの教訓を踏まえ、なぜ日本が原発に依存し続けるのかを問いかけます。著者は、政治家や電力会社の不正、さらにはマスコミの役割につ...
感想・レビュー・書評
-
原子力の安全利用としての原発。
アメリカではハリケーン避けのため地下に設計されているものを地震が多い日本にそのまま持ってきて運用するなんて無理くりすぎ。
政治家たち、電力会社トップの不正オンパレード。
こういう勉強し続けたいですね、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
snsでこの本のことを知り読んでみた。福島原発事故から15年、いまだに廃炉の見通しのつかないまま、高市政権は原発推進へと舵をきっている。
この本は、被災者、科学者、政治家、識者など多方面の人にインタビューをし、著者もライフワークとして取り組んでいる労作である。執筆の背景にはなぜこれだけリスクがあり、国民に危害を及ぼし続けており、かつ核のゴミの処分方法も確立してないのに原子力発電をやるのかという疑問を著者が抱いているからだろう。評者も本当にそれが知りたい。
この本の最後の方に出てくるが、小泉元首相が「色んな産業がからんでいるからね」というのが本質だろう。
原発を推進する、多くの産業が儲かる、産業界が政治家を支える、支えられた政治家は原発を推進するというフィードバックが、自然エネルギーに比して、関係者密度が濃く働くというのが肝のようである。風力や太陽光発電でもフィードバックが働くが密度が濃くないため、ポリティカルパワーが弱いのであろう。
とりあえず、記者クラブ制度、広告費に依存する報道、政治献金の三つをやめた方が日本の未来は明るくなるんではないかと思う。 -
●ALPS処理水と名付けているが、実際のところ、原子炉等規制法上では「液体状の放射性廃棄物」である。
●トリチウムの排水は1エフ(福島第一原発)のリスクでは1番小さいリスク。これさえできないようでは何も始まらない。
●除染し終わった後の復興拠点区域でにもかかわらず、アラームが鳴る。
● 2時46分で止まったままの掛け時計
●炉心溶融を起こした大きな事故は、スリーマイル島、チェルノブイリの2件だ。
●福島の作業で被爆した影響によるガンとして労災認定されたのは、2023年までで11人だ。
● 2023年少なくとも30,000人が避難を続けている。震災関連死と認定された人は合計3800人ほど。
●福島事故前の日本は、54基の原発が稼働し、アメリカ・フランスに次ぐ世界第3位の原発大国だった。
●湯川秀樹。「正力松太郎は原子力の自主開発なんてやっている暇はない、輸入したほうが手っ取り早い。そんな話なら我々が入っている意味は無い。明日にでもやめる」
●米国方式の場合、発電機をハリケーンや竜巻から避けるため、地下に作る。これが日本の場合は津波での浸水を避けるために高いところに作るべきであった。 -
大手新聞社に所属する著者が、その肩書をこの本に書けないという事実は、メディアの原子力ムラへの忖度を感じうんざりさせられる。
福島第一原発事故後、原発の再稼働を目指し施行された新規制基準でも、原発付近の住民の避難計画は規制委員会の審査対象ではないとのことだ。住民の命綱である避難計画を誰も審査しない。いつ何時、どこかの原発の直下で地震が起こるかもしれないのに、これはまずいと思う。
この本が出版されて間もなく能登半島地震が起きた。震源近くに立つ志賀原発には様々なトラブルが発生したが幸いカタストロフは免れた。だが、付近の住民たちの安心・安全が適切に守られたとは思えない。 -
地震大国日本で原発を持つ理由、私は、原爆を作る能力を保持したいから、
だと思っていた。この新書でも自民党石破さんらがそう言っている。
北朝鮮中国ロシアアメリカと、核保有国に囲まれた日本として、
下手な軍事力よりも抑止力がある、という見方には一理はある。
しかし同時に、原子力発電所にミサイルを撃ち込まれたら原爆を落とされるより
遥かに甚大な被害になることは、福島原発の事故で証明済み。
要は論理破綻しているのだ。
しかしことはそんな単純ではない。
原子力発電所利権がしっかり日本経済に組み込まれている。
もちろんその主役は電力会社。官僚。議員。
我々市民から吸い上げる電力料金が、パーティ券に化ける。
さらに官僚の天下りの報酬、退職金に化ける。
結局今の世の中の図式そのものになる。
議員、官僚、大企業。
原発であれ、武器であれ、五輪であれ、万博であれ、神宮再開発であれ、
何か大きなことをしでかして国の金、国民からの血税を動かし、
その甘い汁を吸うのは議員であり、官僚であり、大企業になってしまっている。
日本が成長しているうちはそれでもよかった。みながそれぞれ恩恵にあずかれた。
しかし、衰退国、沈みゆく国に日本がなってしまってからは、パイの奪い合い。
一般の国民はどんどん貧困化する。
・・・私は数年前、「夏休みになると痩せる子供たちがいる」という話を
地元の関係者から聞いた時には信じられなかった。
この日本でそんなことがあるのかと。
あるのだ。今や子ども食堂は当たり前。満足に食事がとれない子が、いや大人も、
大勢いるのだ。7人に一人が相対的貧困。
もちろん、スマホだなんだと、生活が快適になっている部分は多々ある。
しかし、基本的な衣食住が十分でない国民が増えてしまっているのだ。
そんな状況の中で、軍事力倍増、原発増設、万博開催などと、
国民から金を吸い上げてよいのだろうか?
メディアを3社移って、あくまで個人の活動としてこの新書を出版したこの記者に
敬意を表する。 -
とても丹念に取材され読みやすく、一つ一つの記事が生きた証言、未曾有の事故を引き起こした原発、原子力ムラの告発なっていると思います。政官業学そしてマスコミまでも。
私は司法までも加えて良いと思いますが、ここに日本の民主主義の劣化が象徴的に現れていると思います。
民主主義はたえずたたかい続けなければ後退すると言われます。今も政官業学マスコミ司法そして市民も人権を守り民主主義を実現させるためにたたかっている多くの人がいます。
多くの人に届けたい本だと思います。 -
【原子力ムラの実態とエネルギー政策の構造的問題を衝く!】政・官・業・学・メディアはいかにして「原発安全神話」を作ってきたのか? 原発取材をライフワークとしてきた記者の集大成の一冊。
-
この本を出版されたこと自体も今の日本においてはとても大切なことだと思います。
マスコミにもっと頑張ってもらいたい!この本を出版されたこと自体も今の日本においてはとても大切なことだと思います。
マスコミにもっと頑張ってもらいたい!2023/12/25
-
-
アメリカのイラン攻撃でホルムズ海峡からの原油輸入が途絶えた途端、エネルギー問題が何も進展していない事実を突きつけられた時、”やっぱり原発が必要なのか”と思考が向きがちな今、原発が抱える多くの問題を指摘した著者の「それでも原発は日本に必要なのか」が出版されました。非常に説得力のある内容でした。そしてその本の前段とも言えるのが3年ほど前に出版された本書です。
本書で指摘されている事実を何点か紹介します。
1)日本に原発を導入する際、湯川秀樹氏ら物理学者は「まず日本で基礎研究をするべき」と主張したが、当時の政府、電力会社らによる推進派がアメリカからの輸入という方針を押し切った。結果としてアメリカの設計を変更しない契約となり、非常用発電機が竜巻対策重視のアメリカの方針から地下に設置され、これが津波による電源喪失の遠因となった
2)宮城県沖を震源とする地震による津波の危険性について、地震調査研究推進本部は巨大津波を伴う地震の発生リスクを指摘した内容の報告書を2011年3月10日に発表予定だったに、電力会社や関連企業からの圧力で発表を延期せざるを得なくなった。奇しくも東日本大震災の前日に、津波による原発事故のリスクを公表できるチャンスを逃してしまう結果となった
3)東日本大震災で事故を起こした福島第一原発で、原子炉にダメージを負わなかった4号機では、1500本以上の使用済み核燃料が原子炉の外にある燃料プールに保管されていた。燃料プールの水は蒸発して無くなっていたのだが、工事の遅れで残されていたプールに隣接するエリアの水が偶然流れ込み、使用済み核燃料の冷却が維持された。偶然が重なった結果、最悪の事態が避けられた
4)原子炉を構成する部材が中性子を長年照射され続けることで割れに対する抵抗力が低下する”中性子照射脆化”という現象が知られており、建設から40年以上経過している原発ではこのリスクはかなり大きい
上記1)~3)つの事実を知るだけでも、どこかできちんと対応していたら、福島第一原発事故は防げたのではないか、と思えてきます。さらに4)のような警鐘も鳴らされているにも拘らず、本当にこのまま老巧化した原発を再稼働して良いのかどうか、なし崩し的に進んで行くことの恐ろしさを再認識しました。 -
長年地道に取材されてきた結果をとてもわかりやすくまとめて書籍にしてくださった。
「なぜ日本は原発を止められないのか?」
本当にどうして?
その疑問に答えるべく、政官学業マスコミの実態が描かれている。
あれほどの事故を起こし、多くの人の故郷を奪い、仕事を奪い、人間関係を奪い、その後の処理も全くうまくいっていない。いつ終わるかもわからない。見当もつかない。自然豊かな国の土を、海を汚染し続けている。どう考えても原発の存続、ましてや増設などあり得ない。普通に考えれば。
この非常に真摯で誠実な本でさえ、出版を邪魔する新聞社ってなんなんだろう。
特別に勇気のある人だからできたことだと思う。陰ながらいつも応援している。 -
原発事故から十余年。痛みを知る国がなぜ原発を手放せぬのか。問いは重く答えは深い。経済の論理、電力の安定供給、そして復活する安全神話。個人の不安や怒りは官産学の厚い壁に遮られる。
被災地の声は届かず現実は置き去りのまま。青木美希氏の筆は声なき声に耳を澄ませ「なぜ」を問い続ける。
命と引き換えに得るべきものとは何か。未来に何を残すのか私たちは試されている。
声なき所に民意あり。
-
既知のこともあるが、それも含め、原発をめぐる最新の状況を俯瞰することができた。
それにしても朝日新聞社は大丈夫か。もう終わってるかもしれない。 -
分かりやすくて読み応えあった
-
被災自治体の避難者と与野党の政治家。原子力安全委員に差し止め訴訟原告の住職。危険を警告した地震学者。脱検発に舵を切ったドイツの倫理委員。取材先は多岐にわたる。…何故原発は止められないのか。止めようとしたその瞬間、多くの難題に行き当たる。上場している電力会社の経営、補助金で潤った立地自治体での生活。溜まってしまった放射性廃棄物の処理。なるに任せればよい。核燃料サイクルも可能なことにしておけばよい。「今だけ、金だけ、自分だけ」。…高騰する電気代。再稼働容認が増えている。それが仕組まれていることだと気付かずに。
著者プロフィール
青木美希の作品
本棚登録 :
感想 :
