- 文藝春秋 (2024年6月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166614547
作品紹介・あらすじ
人間のリズムを解明する概日時計の研究、睡眠の研究で世界的に注目を集め、『情熱大陸』(2009)、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』(2010)など20代の若さで研究チームを率いる”天才”としてメディアにも取り上げられた上田泰己さんだが、「生命の謎の解明に1秒でも時間を投入したい」と日夜研究に励む道を選んだという。
それから十数年――。
ひとはなぜ眠り、覚醒するのか? 睡眠中に脳内では何が起きているのか?
生命の根幹でもある睡眠覚醒のメカニズムを解明する数々のブレイクスルーが、著者が率いる研究チームによってもたらされている。生命科学の研究手法の刷新とともに、「今なら科学的なボキャブラリーによって、その謎を語ることができる」。
・ヒトは睡眠で、日々「新しい自分」に生まれ変わっている
・睡眠は覚醒よりもアクティブである
・覚醒の意義は「探索」にこそある
・睡眠と覚醒の機構はメモ帳と鉛筆で説明できる
・私たちの体の中には眠気を数える機構がある
・「脳は第二の心臓」かもしれない
・睡眠の解明は知性の解明にもつながる
「生命を作って理解する」システム生物学の時代を牽引する著者が、
睡眠研究の全貌と解の道筋を明らかにする。睡眠と覚醒の新事実!
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◎目次
第1章 私たちの体にひそむ時計の機能と睡眠
第2章 生命科学のパラダイムシフトと新世代の研究
第3章 細胞から個体へ 睡眠研究前夜の技術開発
第4章 難攻不落の睡眠研究に立ち向かう
第5章 睡眠の謎を解明していく
第6章 試験管の中に見えた睡眠中の「脳の大進化」
第7章 「健康な睡眠」の提案
第8章 人間をミクロに掴んでマクロに考える
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◎著者プロフィール
上田泰己(うえだ・ひろき)
1975年、福岡県生まれ。生命科学者。東京大学大学院医学系研究科教授。理化学研究所生命機能科学研究センター合成生物学研究チームリーダー。専門はシステム生物学で、概日時計の研究、睡眠・覚醒の研究から生命の時間・情報の謎の解明に取り組む。著書に『「体内時計」はいま何時? システム生物学』(太田光・田中裕二との共著、講談社)、『時計遺伝子の正体』(NHK「サイエンスZERO」取材班、上田泰己・共編著、NHK出版)。本書が初の単著となる。
みんなの感想まとめ
睡眠のメカニズムや重要性について深く探求する本書は、脳の進化とその機能を新たな視点から解明します。著者は、睡眠中に脳がどのように記憶を整理し、不要な情報を排除するのかを科学的に説明し、私たちの健康や知...
感想・レビュー・書評
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脳は眠りを必要としている。
これは経験的によく分かる。お酒を飲んで眠りの質が悪かったり、睡眠時間が短いときは、身体の疲労が抜けていないだけではなく、頭の回転も鈍くなる。最近ではこの睡眠もデータログで管理しているので、その因果関係は感覚的によく分かる。
眠りが必要だという事は分かるが、寝ている時に何が行われているのかはよく分からない。また、大進化というと大げさだが、一体これは何を意味するのか。
脳は睡眠中に記憶の整理をする。私はこれをパソコンのデフラグみたいなモノだと理解している。脳のゴミを排出する事、使わないシナプスを刈り取る事。これらは同じことのようで異なる作用だ。脳のゴミとはもっと物質的な老廃物、疲労物質のようなものだ。
たとえばアミロイドβ(アルツハイマー病との関係が有名)、タウタンパク質、それ以外にも細胞の活動で出る代謝のゴミが、脳の活動により自然に溜まっていく。これを睡眠中に洗い流すシステムが働く。
シナプスの方は、神経回路レベルで「要らない」と判断されるものを削除する。要らないものとは、使われなかったもの、活動頻度が低かったもの。スマホに入っている不要なアプリの整理みたいなものだ。
脳は毎日、新しい経験をしたり、新しい知識を得たりそのたびに、大量の新しいシナプス(神経のつながり)を作っている。これらは全て必要という事ではなく、全部を保存していたら、脳はパンクしてしまう。脳にとって意味があった経験が残り、どうでもよかった情報は消されるという仕組みがある。
ただ、これは果たして大進化なのだろうか。日々の脳のケア、メンテナンスという気がしたが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
難しかった!
研究者って、こんな難しいことを考えているんだ!
おまけに、マウスを使った研究方法とか…クラクラする。
巻末で筆者は「課題解決に資するような研究は、普通のことをやっていては突破できません。(中略)そうでなければ我々の存在意義はない。」と言っている。研究者って大変だ! -
睡眠を多角的に学べた。花時計のたとえが印象的でした。睡眠の内外の視点や、カルシウムの重要性、他の生物との違いにも触れ、睡眠の本質に迫る内容となっています。睡眠の理解を深めたい。
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東京大学医学部卒の先生が書かれた本。さぞ難しいことが書かれていると思いきや、いざ読んでみると興味深く読み進めることができる。ところどころ専門性の高い記載もあるが、そこはさらり読みすすめる。また、随所に絵画に関する挿話があったりして著者の専門分野以外の知的レベルの高さが伺える。
結局、睡眠とは「人間の成長、特に脳の神経細胞の成長に必要不可欠な、極めて大切な時間である」ということにいき着く。自分は今年還暦を迎える初老の読書人であるが、人間の成長ときくともう自分には関係ないと思ってしまうが、「年老いても日々、進化的な成長を続けている。すべての人にとって睡眠は健康のために、何より人間の知的活動のために、極めて重要な時間」との記載に救われる。
この結論を導くために様々な実験結果が紹介されている。いづれも興味深い。
睡眠と体内時計(時間遺伝子)の関係
臓器の透明化
レム睡眠とノンレム睡眠
覚醒物質としてのカルシウム
脳は眠って覚え、起きてわすれる? 脳は眠って覚え、起きて「探す」?
「人間の頭の中では毎晩、脳の回路を構成するシナプスが大きく生まれ変わって脳が大進化しているとすると、これはヒトの知性にきわめて重要な働きをしている可能性があります。ヒトだけがなぜ、長らく続いた野生の状態から、家を作り、社会を作り、集団を作り、安全に眠れるよになったのかを考えていくと、そこにはやはり睡眠中のシナプスの進化が大きな意味を持って作用しているのかもしれない、と私は考えます」
「おわりに」に著者の研究者としての心構えが書かれている。感銘を受けたので抜粋を記載する。
「自分のあたまで考えることが大事であることは言うまでもありません。しかし、研究は独りよがりになってもいけない。そこで文献に当たって、歴史の中に自分の発見したことが位置づけられるように大きな文脈の中で捉え直すこともまた、科学においてとても大事な作業なのです。」 -
専門的、難解な部分もある。一読、速読では理解に限界あるが、非常に興味深いテーマへの研究の現状を知り得た。
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睡眠は精神状態が高まった後に起きるというのが今最新の研究結果。今までと真逆。
細胞を透明にする技術。
時計の要素は分子レベルからあるので、時計分子、時計遺伝子を含む時計細胞は私たち人にもちろん存在している。体内時計は体内のどこの臓器にもあるが、臓器のすべての細胞に体内時計があるわけではないというのが面白い。
視交叉上核の神経細胞(中枢時計)の刻むリズムは時間がたってもバラバラにならず揃ったままである。そこでは細胞がお互いにコミュニケーションを取りながら時刻合わせをしている。末梢時計(視交叉上核以外の時計)はバラバラで不正確。
中枢時計が大きく崩れるのは真夜中に強い光を続けて2回浴びてしまう時。これを戻すにはもう一度強い光で刺激する必要がある。
決まって朝に出てくる物質、昼に出てくる物質があるのでそれを測定する事で今体が何時だと感じているかが分かる。
脳のないクラゲも寝起きしている、睡眠とは脳が眠る状態だが、睡眠に脳は必要あるのか?
睡眠について重要な2つの疑問
①「私たちはなぜねむるのか?」
②「私たちはどのような仕組みで眠っているのか」
①について
動物はわざわざ危険な状態を作ってまで睡眠をとっているが、進化の過程でも保存されているので何か重要な役割をしていることだけは分かる。
カルシウムが脳神経細胞のアクセル。カルシウムが細胞内に入ると、神経細胞が興奮する。制御機構はリン酸化。カムカイネースIIという酵素。
医学では、体の構造の理解に重きを置いている学問が「解剖学」。機能の理解に重きを置いているのが、「生理学」その機能や構造の制御に重きを置いているのが「薬理学」になる。
理解することと制御する事は、本来全く違うものだが、実際に1部の分子が特権的な働きをする機構っているとするなら、その制御が体の全体の制御にもつながることになる。
ホットミルクは睡眠に重要かどうかは肯定も否定もできない。なぜなら、経口摂取された栄養素が細胞内でカルシウムイオンの働きをするまでの仕組みが短絡的に結びつくものではない。
長期の覚醒で疲れたシナプスが千切れ、流入するカルシウムが低濃度になる。低濃度のカルシウムの持続状態が眠りのスイッチを作動させ、脳全体に広まって深まっていく。
ノンレム睡眠時に新しいつながりが生まれ、レム睡眠時にはその新しく生まれたつながりが選択されていくことが、毎晩脳の中で4・5回繰り返されている。 -
寝ている間に、活発に脳は動くことで再配線しており、逆に起きているときの脳から見た活動は探索がメインである。
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https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/iwjs0027opc/BB04056294||霞・開架||491.37/U-32
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0817朝日新聞
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50364121 -
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睡眠の研究は奥が深い。
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選書番号:474
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2月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003721378 -
他の睡眠の本と比較すると学術的。
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読み易く とても面白い
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中盤やや難しかったかな。
実験の様子が描かれているんだけど、物質の専門用語がチラチラ出てきてそれが覚えられなくて、えぇとこれは何とかの時に出てくる〇〇で、、こっちは、えぇっと何だっけ??みたいな感じに迷子になるシーンもちらほらあったよ。小説とかでも中々登場人物覚えられない私には少し歯ごたえあったよw
序盤と終盤は凄く読みやすいです -
Caイオンが肝 Caが細胞内に流入するとカムカイネースがリン酸化されて眠くなる(脱リン酸でリセット?)
ノンレム睡眠がシナップス強化、レム睡眠はシナップス刈り込みに最適
ウェアラブルデバイス アクセルスターズ社 ACCEL -
一般向けの医療本かと思って読み始めたが、ずいぶんと違っていた。研究のフロンティアをできるだけ平明な言葉で伝えようとしている姿勢は感じるのだが、いかんせん、こちらの知識と想像力が足りず、消化不良となってしまった。
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◎目次
第1章 私たちの体にひそむ時計の機能と睡眠
第2章 生命科学のパラダイムシフトと新世代の研究
第3章 細胞から個体へ 睡眠研究前夜の技術開発
第4章 難攻不落の睡眠研究に立ち向かう
第5章 睡眠の謎を解明していく
第6章 試験管の中に見えた睡眠中の「脳の大進化」
第7章 「健康な睡眠」の提案
第8章 人間をミクロに掴んでマクロに考える
著者プロフィール
上田泰己の作品
