高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2025年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166614905

作品紹介・あらすじ

高学歴、高偏差値なのに……
使えない・空気を読めない・ミスを連発
するのはなぜなのか?

難関校に合格するも休みがちに、大学で周囲から孤立、職場ではまったく評価されない。
将来を約束されたエリートたちは、なぜ〝転落〟してしまったのか――。

精神科教授として発達障害の患者に長年向き合ってきた岩波明氏によると、ここ10年あまり、これまでとは違うタイプの患者が目立って増えてきたという。
高学歴で知的レベルが高く、有名校や一流企業に所属している。
ところが些細なことがきっかけとなって、それまでの「人生経路」からドロップアウトしてしまう。
彼らに共通しているのは、発達障害を抱えているということ。
20世紀末から社会の「管理化」「デジタル化」が強力に進行し、規格からはずれた個人が簡単にあぶり出されるようになったのだ。

数々の症例に接してきた精神科医である著者が、高学歴発達障害の人々の現状を浮き彫りにし、いかにして回復して社会復帰するか、〝再生〟に至るまでの道のりを提示する。

●目次

序 章 発達障害の誤解を解く
第1章 中高生――受験エリートたちのコースアウト
第2章 大学生――「自由」が諸刃の刃に
第3章 社会人――学生時代のような「先送り」が利かない
第4章 起業家とフリーランス――天才たちに潜む発達障害
第5章 長く続く不適応――自分の考えに固執しすぎる人々
第6章 治療困難な例――患者の「思い込み」が治療を阻害する
終 章 発達障害をいかに治療するか?

みんなの感想まとめ

高学歴でありながら、社会での適応に苦しむエリートたちの実情を描いた一冊。著者は、発達障害の特性がどのように彼らの人生に影響を与えるのかを深く掘り下げ、具体的な事例を通じてその背景を明らかにしています。...

感想・レビュー・書評

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  • 世の中人の数は減っているのに、発達障害と診断される人は増加の一途をたどっている。本書はそんな診断がくだり、自分と向き合い、周囲の力や制度を生かしながら自立していく人々の物語である。
    自分にも重なる部分があると多くの人が感じ取れると思う。
    それは対人関係は一生つきまとう問題だからだ。自分自身を省みても足りない部分をうまく補ったり、痛い目をみたりしながら身につけてきたことが思い出される。
    天上の時があればどん底の時の自分もある。いまなら天上にあったとしてもおごることなく過ごせると思う。また、どん底でダメな自分だって握手してあげられる気がする。浮き沈みの幅をどう小さくするかが肝心だ。
    社会生活は人間関係の積み重ねなので、やはり引きこもったり不登校になったりするのはもったいない。フレキシブルな世の中になってほしいとねがう。

    一点気になったのは、岩波先生の治療に度々大きな効果が記されているのが薬物である。人の心に効く薬ってあるのだろうか。あるとすればどうなのだろうか。一歩間違えたら麻薬みたいに依存してしまうのではないだろうか。結局のところ大なるものはその人自身がどれだけ自分を客観的にみられるようになるかだと思う。薬はあくまで補助。そうしてそんな自分もあるんだよって、自分で抱きしめてあげられるようになったなら、一つ壁を乗り越えられたということなのだと思う。

  • 【書名と著者】
    高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生
    岩波明

    【目的】
    わたし自身ADHDっぽい。エリートでもなんでもないが、コースアウト気味の人生においてどう、自分の気質とつきあうべきかヒントにするべく手に取った一冊。

    【印象に残ったポイント】
    ・発達障害とは
    先天的な脳機能の偏りであり、本書執筆時点でメカニズムが明らかになっていない。
    ・ADHDとASDの見分け方
    4つ(不注意、衝動性、コミュ障、こだわり)の観点で見分け方があるにはあるが、異なる特徴から類似する症状を見せることがあるそう。
    本書では具体的な見分け方が示されていないが、専門家の著書であることからすると表面的な症状だけでは判断しかねるものと解釈した。

    ・本書の事例から年代ごとの再生ポイントは以下。

    ASD
    中高生の事例→特性の自覚、特性に合った環境設計
    大学生の事例→デイケアと就労移行支援
    社会人の事例→集団精神療法、自由度の高い職場

    ADHD
    中高生の事例→特性の自覚、専門外来の受診、束縛の少ない環境、正しい投薬
    大学生の事例→過剰集中を生かした仕事をする、正しい診断と親離れ、適材適所
    社会人の事例→適切な投薬、職業選択、ADHDを自認したうえでのセルフコントロール、服薬と生活リズムを整える

    まずADHDなのか、ASDなのか判別したうえで自分の症状にあった投薬と環境設計につきる。
    ただ、そもそも専門外来の門戸を訪ねる以前に、専門外来の存在そのものがあまり知られてないのではないか?
    (わたしは知らなかった)

    自分がASDまたはADHDであることに、気づかず自然体で社会と関わると不都合が生じてしまうが、
    そもそも気づくことのハードルが高いと感じた。
    学生であれば親や教師が運よく気づいてくれたらいいが、ここをすり抜けると自覚するのがとても難しい。
    また、専門性の低い外来に行ってしまうと誤診されて誤った服薬を支持されるリスクもある。

    もし、受信する場合には専門性の高そうな外来を受信するのが必要と感じた。
    (だがしかし、まともで自分に合った石を探すのも一苦労)

  • 転落例が少なすぎる。失敗例のほうが世の役に立つことが多いので、残念。
    発達障害者はいじめられている事例が多いように書かれているが、いじめる側に問題がないのかの検証がされていない点も気になった。

  • ■ADHDの特徴としてマインドワンダリングが挙げられる。これは現在行っている課題や外的な環境の出来事から注意が逸れて、全く別のことを考えてしまう現象を指すが、「創造性」との関連が大きいことも報告されている。思考の飛躍。
    ■ASDの人は一般の人があまり意識をしないで周囲の様子を見て、自然と身につけている社会的な常識や対人関係のルールに無自覚であることが多い。彼らは意識的に「無礼」に振る舞っているわけではないものの、常識的な「マナー」や「手順」を理解していないため周囲から誤解されやすいし、本人も混乱し不安に陥りやすい。

  • 高学歴と発達障害。
    この二つの言葉は 私の中ではなかなか結びつかなかった。しかし“イーロン・マスク”や“エジソン” “スティーブ・ジョブズ”を引き合いに出されると納得。

    学校に行っている間は なんとか成績も上位を保ち 他の目に余る行動は目をつぶってもらえた。
    しかし社会に出ると世の中そんな甘いものではなく 綻びがあちこちに。挫折を経験し、そこから何とか立ち上がれる人と 長く抜け出せない人が。こんなに高学歴の人たちの例があるとは。

    しかしADHD(注意欠如多動性障害)の特性を持つ起業家の一部には 新奇なアイデアと途方もない突破力で華々しい成功を収めている人たちも存在している

  • 表紙に書いてある字面に興味を惹かれて手に取って見ましたが、環境とそこにいる自分自身の在り方についてよく考えさせられました。躓きながらも努力して社会に復帰している人達は不都合なことを自分の病気のせいにするのではなく、そこに向き合い対処する自責の思考が出来ている点が優秀だと感じました。勉強や仕事に関して優れていても自分の弱い部分に向き合う人間的な強さがなければ社会に再起するのは難しいのかなと感じたので、トラブルの原因を分析して次に繋げる人間性を養っていきたいなと思いました。

  • 部署の読書家の先輩からのご紹介で。
    もともと、片付けができない人、時間を守れない人は、ほとんど病気のようなもので、本人の意志が弱いとかそういう問題じゃないと思っていたが、それが、発達障害に区分されるということで腹落ちした。

    発達障害には、ASDとADHDとLDの3つがある。
    ADHD(Attention-deficit、Hyperactivity Disorder)注意欠如・多動性障害の特徴
    1不注意;忘れ物、なくしものがおおい。注意を向けることが苦手、注意を切り替えるのが苦手、ケアレスミスが多い、マルチタスクが苦手、片付けができない。注意が散漫になってしまう。
    2多動・衝動性;多動は子供のときに観察される。通常おとなになると目立たなくなる。衝動性は、一方的に話し続ける、相手の言う事を聞かないで被せてしまう。カッとなりやすい、感情的に不安定になりやすい。興味を持ったことに過剰に集中してしまう。
    3.マインドワンダリング;
    精神疾患と併存しやすい’;うつ、双極性障害、不安症状など

    ASD;Austism spectrum disorder
    1。対人関係の障害;人に対する興味関心が低い。一人でいることを好む。
    2.特定の事象に対するこだわりの強さ
    変化に対して敏感、新しい環境に強い不安感を示す。
    感覚過敏;感覚刺激に過剰に反応する。触覚、嗅覚、音など。

    見分け方;
    1.不注意;ADHDは、注意の持続に難がある。他のことに興味が移ってしまうので、一つお事に集中できない。ASDは、感覚過敏になり、一つのことに集中できない
    2.衝動性;
    3.対人関係;ADHD、他者への興味の低さと衝動性が原因。ASDは、相手の心理的理解が苦手。
    4;こだわり;ADHDは、特定の興味のあることに対しては、ドーパミンがドバドバデルのでやめられない。ASDは、慣れた環境への定着がおおもと?

    人それぞれ、このような特性が大なり小なりあるとは思うが、それが適宜、おとなになる家庭で矯正されていくものもある。
    しかし、その度合いが強い人などは、
    その特性に合わない環境にいると大変なことになるので、うまく自分にあった環境を選ぶことと、良い薬の向き合い方を理解することが重要。

    大事なのは、持って生まれたものの違いであり、それを当人の努力不足と断じないことが第一歩。





  • 高学歴や知能が高い人を中心とした事例は自分に近いし参考になることが多かった。どの例を見ても幼少期からの対人トラブルは欠かせない条件のようだ。
    社会復帰できている人は総じて他者のアドバイスを素直に受け入れている。意固地になって自分を正当化する事にメリットは何もないように感じた。
    高学歴の、大卒の人でも障害者雇用で働いているのだと知り自分をそこまで卑下する事はないのだなと、安心感に包まれた。

  • エリートの発達障害はアップ・ダウンが激しいので厄介。治療へのアクセスは容易なものの、医師と対立するケースが多いというのが印象的。
    そもそも、「治療」すべきなのは社会の側であり、「生まれつき」が原因で変化しようのない「障害者」を治療する必要があるのか?という問題はある。が、そういうことを第3者ではなく当事者が言うと、ある種の負のスパイラルに陥るのが厄介なところ。

  • ADHDには薬があるがASDにはこれといった特効薬がないのを再確認。本書に登場するのは成功した発達障害者のエピソードが多い。失敗例をもっと紹介しても学びになったかも。

  • 多くの精神疾患において、症状が回復したとしても病前のレベルまで戻らないことが多い、とは当事者として実感している。
    しかし、神経発達症者においては、適切な治療・支援及び自らの特性の理解により、以前のレベルよりも更に良い状態に達することも可能であるという。

    後者の可能性について、希望を持ち続けたい。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/581106

  • 様々な病気があるのだと理解する。しかし、薬物療法だけでなく、現代は、病名がつけられなかった症状にも細かな配慮が求められる。その負担も大きい。

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著者プロフィール

昭和大学医学部精神医学講座主任教授

「2023年 『これ一冊で大人の発達障害がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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