表層生活 (文春文庫 お 16-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 67
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167103071

作品紹介・あらすじ

青年が人工頭脳を駆使して人間を支配しようと企てた時、何が起こったか? 現代に潜む前人未到のテーマに挑んだと評された芥川賞受賞作。「わが美しのポイズンヴィル」を収録。(西垣通)

感想・レビュー・書評

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  • タイトルである「表層生活」と「わが美しのポイズンヴィル」の2編が収録されています。
    「表層生活」の方は芥川賞作品らしく、文学の系統だった模様です。
    そうとはしらず大衆小説だと思って読み始めたので、非常に難解でした。
    「わが美しのポイズンヴィル」は生臭坊主と肌感覚でうまいことやってきたサラリーマンと密教かぶれのアメリカ人の話なんですが、結局何が言いたいのかわからず。
    「表層生活」はシミュレーション大好きな男と、経済的に成功した男の話。
    こちらも結局何を言いたかったのかなという感想でした。
    裏表紙のあらすじから「表層生活」は、コンピュータ絡みのSFかなにかだと思っていたので、気楽に読み始めてしまったわけですが、先に書いたとおり難解でよくわかりませんでした。
    作者のテーマが「平穏な日常生活の深部にひそむ毒」らしくて、全体的にくらいと言うか、エグい雰囲気の作品ではありました。

  • 1989年下半期芥川賞受賞作。作者はこの時期としてはコンピューターの本質に精通していたものと思われる。「シミュレーション」が一種のキー・コードとして小説を構成しているが、そこで問われているのは、やはり人間とは何かということになるだろう。また、副次的な素材としてサブリミナルが扱われているが、これについては消化しきれないままに小説の中に埋没した感が否めない。20年前であっただけに、選考委員たちにコンピューターという素材と、それを巧みに取り込んだこの小説の新しい可能性を実際以上に感じさせたのではないだろうか。

  • 計算機とコンピュータ。人間と感情。ハードウェアとソフトウェア。目に見えない仮想空間では幻想と現実が互いに過干渉し精神世界へあらゆる病理を犯す。ただ、便利になった人間社会であっても、決して精神領域まで便利となったわけではない。生物として、本能として、生まれ持って能力云々はコンピュータではどうすることもできないのだから、人間は人間らしく生きるのが、平凡ではあるが、健康的に生きることができる生き方なのだと実感した。芥川賞ばんざーい。

  • 10014

    ハルキ・ムラカミ風?

  • 今ひとつ。浅い..

  • サブリミナルという言葉を初めて知った。

  • 内容はともかくシーンが美しい
    全体に明記される訳でもない主人公の気持ちが
    崩れていく”計算機”の様子にかさねられ、
    淡々とした日常に毒がこぼれていく様な不安
    消化不良に終わるところも好み

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著者プロフィール

1958年生まれ、東京外大卒。「黄昏のストーム・シーディング」で三島由紀夫賞。「表層生活」で芥川賞。小説執筆の他に書評、美術評論、ワインエッセーなど幅広い分野で活躍。「本に訊け!」「男の読書術」「ワインという物語 聖書、神話、文学をワインでよむ」などの著作がある。東京経済大教授。





「2022年 『一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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