- 文藝春秋 (1975年1月1日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167105082
みんなの感想まとめ
歴史と人間ドラマが織りなす魅力的な物語が展開され、登場人物たちの息遣いや感情が生き生きと描かれています。著者の緻密な調査と資料の読み込みが、作品にリアリティを与え、読者はまるでその時代に生きているかの...
感想・レビュー・書評
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再読。幕末の人物の中でもお殿様(藩主)を中心に描いた短編集。表題作の中編「酔って候」は土佐藩主・山内容堂が主人公。『竜馬がゆく』連載と同時期に書かれているのでスピンオフ的な感じだったのかも。ただ山内容堂は、この土佐で最も活躍した家臣の坂本竜馬に生涯一度も会っていない。土佐藩は薩長と違い関ヶ原で徳川に組して土佐を賜った藩であり、土佐はもともと長宗我部が支配していた場所、長宗我部の家臣たちは山内の支配下では郷士という低い身分におとされ、土佐はとにかく上下の身分差が厳しい。郷士の竜馬は、殿さまにお目見えする資格がなかった。
さて山内容堂、大酒のみで破天荒で自らを英雄視する大変自尊心の強い豪傑タイプ、傍迷惑だけどどこかしら憎めないところがあってとても好き。勤王佐幕ゆえ完全に倒幕派の薩長と違い色々迷走、武市半平太ら土佐勤王党を弾圧したりもしているけれど、容堂目線で物語を読むと、武市半平太やっぱ結構いやなやつなんだよなあ。それぞれの立場によって考え方が違って当然。そこが幕末の人物たちの面白いところ。
「きつね馬」は薩摩の島津久光が主人公。久光の立場の微妙なところは、あくまで藩主ではなく、藩主の父=藩父という立場でしかなかったのに、息子無視して藩を牛耳っていたところ。最近だと大河ドラマ『西郷どん』でもさんざんやっていたけれど、まず彼の母親で藩主・斉興の愛妾おゆらによる「おゆら騒動」があり、それでも他藩の仲裁でなんとか正妻の嫡男で賢君の誉れ高い斉彬が藩主となるが、斉彬はほとんどの子供をおゆらに殺されているため、久光の子を養子にし、自分の後継者とする。そんなわけで斉彬亡きあと藩主となった自分の息子の後見人として久光は力をふるうわけだけど、藩主になれなかった未練がどこかに残っていたのだろう。
無邪気なところもあり根っからの悪人ではないが、愚かな人物。大久保に操られて世間的にはうまく立ち回っているが、西郷を憎み、維新政府成立後に自分が騙されていたことを知る。なんやかんや破天荒でも、松平春嶽や伊達宗城とはマブダチだった山内容堂と違い、久光は友達いなさそうな感じで、哀愁を誘う。
「伊達の黒船」は伊予宇和島藩主の伊達宗城に命じられて蒸気船を作らされた提灯職人の嘉蔵の話。この嘉蔵、大村益次郎=村田蔵六の『花神』にも登場したが、この短編は『花神』よりも先に書かれている。どんな重要な仕事を任されていても身分の低さゆえないがしろにされる嘉蔵が可哀想で辛くなる。その低い身分から抜擢されたという意味では一種のシンデレラストーリーでもあるのだけど、シンデレラだけに色んな人から理不尽な意地悪をされるので、そこは辛い。
「肥前の妖怪」は肥前佐賀藩主・鍋島閑叟。幕末日本で最強最新の西洋軍備を備えながら、ぎりぎりまで歴史の表舞台には登場しなかったミステリアスな佐賀藩。閑叟の独自の生き方はとても興味深い。ある意味「宝の持ち腐れ」とも言え、自身の趣味に邁進しすぎるあまり、実際には政治的に時勢から撮り残されてしまうという不思議な現象。
※収録
酔って候/きつね馬/伊達の黒船/肥前の妖怪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
司馬遼太郎さんの本は、青年期にかなりの作品を読みました。久しぶりに読みました。いつも思うことは作者の作品は、完全なノンフィクションではないかとということです。綿密な資料の読み込み、調査がそのように感じさせるのでしょう。文章から、登場人物たちの息遣いや汗の匂い、血の匂い、体温を感じ取れます。司馬さんに、まだ生きていていただいて、戦後の世界を描いていただけていればと感じます。
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鯨海酔侯、薩摩の国父、宇和島の狐、肥前の妖怪。幕末の動乱に巻き込まれ「喜劇」を演じさせられた「賢侯」たち。
しかし、その喜劇が維新への大きなうねりを呼び込んだのは、紛れもない事実だ。 -
幕末4人の短編
四賢候、薩摩の島津斉彬、
土佐藩の山内容堂、宇和島藩の伊達宗城最後は松平春嶽かと思いきや、肥前佐賀の鍋島氏。(幕府が落ちた後に薩長土肥と肥を入れた本人せっせと金を貯め、軍事力をつけつつも二重鎖国で外部には秘密裏にしていた)
再読。やはり司馬氏の時代小説は面白いと再認識。幕末に生きる人物が生き生き描かれており、この頃はまだそれぞれの県(藩)に大分特色が有ったのだなぁと改めて思う。現代においても旅行にいった際に、時代から受け継ぐ際を見つけるのも楽しみだと思う。 -
2019.5.2(木)¥180(20%引き)+税。
2019.5.6(月)。 -
1985年の短編集、本棚から出てきて、30年数年振りに再読。酔って候、を読みつつ、昨年訪問した高知市山内神社にあった容堂公の像を思い浮かべる。(この場所は、`酔って候`の冒頭部分に出てくる南屋敷)また`伊達の黒船`では宇和島城から眺めた宇和島の海が思い出されます。`街道を行く`ではないですが、旅と歴史と司馬遼太郎の本のコラボ等は、シニアの旅の楽しみの一つかと。次は、鍋島閑叟、島津久光の残影を探して九州へ。
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土佐山内容堂
薩摩島津久光
宇和島
佐賀鍋島直正
殿様の物語 -
さすが司馬遼太郎です。歴史を面白く学べる。
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この中に収録されている「伊達の黒船」が大好きです。今の私が入るのは、この話があるから!と言っても過言ではありません。「自分の限界」とか考えている人がいたら、とにかく読んで欲しい!
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幕末の賢侯と言われた大名たちの狂言回しの役回り。山内容堂、島津久光、伊達宗城、鍋島閑叟。いずれも天才と言われ、地元で期待を担ったが、結局時代は彼らではなく彼らの部下たちが動かし、彼らは廃藩によりただの人に。皮肉を感じると共に、戦国期からの始祖時代から比較し、官僚化していた体制の問題として感じました。唯一、宇和島藩の黒船機関を造った堤燈張り職人のみが部下としては重要な登場人物として印象に残ります。
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土佐の山内容堂を主人公とする「酔って候」薩摩の島津久光を描く「きつね馬」宇和島の伊達宗城は「伊達の黒船」備前の鍋島閑叟は「備前の妖怪」と四人の幕末大名を材料に歴史の断片を明快に截る
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幕末期の大名4人の短編。大体把握した!ぐらいの情報量なので、まあ、取っ掛かりに読むのが良い感じかなー、っていう本です。
土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟で、うーん、容堂か閑叟かな!(笑)(趣味の話) っていうか、宗城の話、ほとんど宗城じゃなくね? 町のしがない提灯屋嘉蔵が蒸気船作りました!っていう話じゃね?(しーっ!)
読みづらい、とか、つまんない、とか散々言いながら読みましたけど、まあ、総評的には面白かったです。っていうか、閑叟で持ち直した。(……)
ただ、久光とか読んでてすごく……いたたまれないんだが……。(うああああ) -
080817(n 080902)
091014(m 091122) -
1995.10.14
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品
