幕末 (文春文庫 し-1-23)

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  • 文藝春秋 (1977年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167105235

みんなの感想まとめ

幕末期を舞台にした短編集は、桜田門外ノ変から始まる暗殺事件を通じて、歴史の渦に翻弄された人々の姿を描いています。作品は、現代の視点から見れば理解しがたい行動を取る人々を取り上げつつ、彼らに潜む人間らし...

感想・レビュー・書評

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  • 再読。幕末の「暗殺」にまつわる短編集。

    「桜田門外の変」井伊直弼暗殺に、水戸浪士たちに混ざってただ一人薩摩藩士として参加した有村治左衛門が主人公。安政の大獄で殺された薩摩藩士・日下部伊三治の娘(のち治左衛門の兄・有村俊斎と結婚)との恋をまじえて描かれる。

    「奇妙なり八郎」新選組結成のきっかけを作った幕末最大のペテン師・清河八郎と、彼を暗殺することになる佐々木只三郎の確執。

    「花屋町の襲撃」坂本竜馬暗殺を新選組の仕業、黒幕は紀州藩の三浦久太郎と睨んだ海援隊士・陸奥宗光らが、新選組に護衛された三浦を襲撃するいわゆる「天満屋事件」。斎藤一もちらりと登場。

    「猿ケ辻の血闘」守護職を拝命した会津藩が不定浪士たちを調べるため間者として潜入させた藩士・大庭恭平。真面目で仕事熱心であるがゆえに、バレないよう過激な浪士たちと論調を合わせているうちに、率先して足利三代木像梟首事件などに関わり、ついに姉小路公知暗殺事件を引き起こす。実際には姉小路暗殺犯は犯人と目された薩摩藩の田中新兵衛の自刃により真相不明。大庭恭平は明治35年まで生きてます。

    「冷泉斬り」尊攘派の情報漏洩を疑われる絵師・冷泉為恭の暗殺を持ちかけられた長州藩士・間崎馬之助。冷泉の美しい妻・綾子をめぐり、護衛についた新選組隊士・米田鎌次郎らと睨み合うことに。冷泉暗殺自体は史実だけれど、間崎馬之助も米田鎌次郎も架空の人物で、フィクション色が濃い。

    「祇園囃子」十津川郷士の浦啓輔は剣の腕を買われ、水戸の住谷寅之介暗殺に加わることになるが…。志士とはいえ己の信念より、惚れてもないのに勢いで抱いてしまった女が「できちゃった。嫁にして」と追いかけてくることのほうが怖いものらしい(苦笑)もちろん浦啓輔は架空の人物。

    「土佐の夜雨」土佐の参政・吉田東洋と、郷士・那須信吾の確執。やがて武市半平太の勤王党に加盟した那須が吉田東洋を暗殺するまで。

    「逃げの小五郎」禁門の変の後、新選組らの追捕を逃れて但馬出石で潜伏することになった桂小五郎。あまりにも機敏かつ器用すぎて、すっかり商人になりすまして嫁まで貰い、逃げ延びたのは良いが志士としての本質を見失っていくあたりがシュール。女癖の悪いのはいただけないが、それでも彼を一途に探す幾松さんが健気。

    「死んでも死なぬ」長州のお神酒徳利と呼ばれる伊藤俊輔(博文)と井上聞多(馨)英国大使館焼討など過激な攘夷派だった彼らが、英国秘密留学後すっかり宗旨変えしたためかつての仲間に狙われるように。瀕死の重傷からもカムバックする井上聞多の生命力の強さ、司馬さんはどうも彼がかなりお気に入りですよね。

    「彰義隊胸算用」江戸っ子からは大人気だった彰義隊、しかし内実は結成早々から天野八郎一派と渋沢成一郎(渋沢栄一の従兄)派に分かれて分裂・対立しており、暗殺合戦を繰り広げていた(そりゃ負けるわ)主人公は天野派の隊士・寺沢新太郎。

    「浪華城焼打」本書で最多登場(「花屋町の襲撃」「土佐の夜雨」「最後の攘夷志士」)の土佐の田中顕助(光顕)は、第一次長州征伐後、大阪城に入っている将軍・家茂の暗殺計画を立てる。彼等の潜伏に気づいた町道場主・谷万太郎(新選組の谷三十郎の兄)はそれを阻止しようとし…。いわゆる「ぜんざい屋事件」田中顕助は運よく逃げ延び昭和14年95歳まで生きる。

    「最後の攘夷志士」家茂暗殺失敗後、紆余曲折を経て田中顕助は中岡慎太郎亡きあとの陸援隊残党らと挙兵するが、軍師として招いた天誅組の生き残り三枝蓊(しげる)はあくまで「攘夷」にこだわり、すでに攘夷を幕府討伐の方便としか思っていない薩長に不満を持つ。堺事件の処罰に憤激した彼とその仲間は英国大使暗殺を企て…。最後まで「攘夷」を貫いたがゆえに時代に取り残されてしまった男の哀愁。

  • 幕末期の短編集。
    桜田門外ノ変から始まった幕末期の暗殺事件を見なおしたという司馬遼太郎の連作小説。
    不思議な事がある。現代の常識から見れば、テロリストであり、理屈の通用しない、どこから頭の中の糸が一本切れた近寄ってはいけない人たちの話である。
    時代が変わったといえばそれまでだが、同じ日本人とは、到底思えない。
    時代の大きな渦、流れというものが、人を凶器にさせるのだろう。小説を読むと、どこか人間味あるところに、ホッとしてしまう。
    本当は暗殺事件など、誰も望んではいないのだと。

  • 桜田門外ノ変から幕末までの暗殺史だった。

    後半に進むにつれて幕末期に近づいていく。薩長土が攘夷をとなえながら、実は外夷と繋がっており、明治新政府では当然のように西洋化が進んでいく。

    そもそもの攘夷運動がただ討幕ありき、結果オーライ的な感じに気持ち悪さも感じるが、時流とはなんと残酷なものか。信念の攘夷志士が浮かばれない。

    薩長軍、幕府軍とも信念のために戦い、殉じ、明治から昭和にかけては戦争、大戦で多くの血が流れて今の日本があるんだな。

  • 2019.5.2(木)¥180(-20%)+税。
    2019.6.17(月)。

  • 読み易い文体。有名無名の幕末暗殺事件12件。

  • 攘夷からの転心が分かる。

  • 4167105233 478p 1996・12.・5 44刷

  • 『風雲児たち』の最新刊が桜田門外に近付いてきたので読み直しました。司馬先生は短編にも良いのがあります。これを読んだらまた司馬ワールドにはまり込みそう。

  • 幕末の「暗殺事件」を取り上げた短編集。
    歴史の教科書で必ず出てくる「桜田門外の変」や、「天満屋事件」「吉田東洋暗殺」など、12作が収録されています。
    知っている登場人物・事件もあれば、まったく知らなかったこともあり、いろんな意味で楽しめました。
    歴史の転換期である、激動の幕末の一端を垣間見たような気がしました。

  • イタリアのお供

  • 暗殺を集めたお話。主に勤皇派、になるのかな。新撰組は結構悪役。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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