日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105365

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎さんの知識の深さと先見性。
    本当に感動します。
    現代社会を読むための新しい古典やと思います。

  • 梅棹忠夫、犬養道子、梅原猛、向坊隆、高坂正堯、辻悟、陳舜臣、
    富士正晴、桑原武夫、貝塚茂樹、山口瞳、今西錦司、各氏との対談。1978年の第1刷ながら、現在の予言となったような部分も多々。わかりあっている部分、全くわかりあえていない部分、全て含めて面白かったです。

  • 司馬遼太郎の知識人との対話集。
    自分の性質のルーツという問題となると、どうしてもナショナリズムの追求は避けられない。

    ●日本は無思想時代の先兵
    今までの日本では、国民の帰属意識が社会を安定化させてきた。
    しかしそこが変ってきてる。
    もはや企業への忠誠心を根底にした目的合理性による規制ではきつくなった。
    なぜなら日本には明確な階層、思想がないから。
    成果主義によって年功序列の意味合いも変ったから、価値を自分自身に持たなきゃやっていけない。

    『大学と言うところはバカが利口になるという装置じゃないけど、知的訓練に耐える体質を学生に与えることができる。そういう体質でないとやれないような仕事がいまやどんどん増えている』

    ●あっけらかん民族の力
    日本はどこまでも相対的思考の国。
    一面で見れば、非常に強くなく、頑固でなく、体系的にしなくても済むのでお人よしだといえる。
    しかし、頑固さがないゆえの欠点も。
    西欧人のものすごい執念は、日本には真似できない巨大なものを生み出す。
    日本人は核がないから、ある程度で満足してしまう。
    自分としては、体系化や軸は大事だと思う。つまりヨーロッパ的な思考が好き。
    考えて生み出した人生観がないから、日本人には不毛な人が多いんだ。
    新書とかハウツー本とかはやるのもここが原因だろう。
    宗教を持てとは言わないけど、選択することは必要だろうなぁ。

    『日本人には彼の意見と我の意見のバランスをとって、初めて安定するようなところがある。』
    『日本は無神教にはなっても反神教にならない』
    『ヨーロッパでは一つの絶対神が常にぶつかっ再生されるが、日本の場合はよそから借りてきてちょっと使っては、また新しいものをよそから求める』
    『電気器具的な、牢固としたものを持たないことが、日本人をお人よしとしている。感心するかは別として』
    『なにかにつけて理屈や建前で押してくるのがヨーロッパ』

    『日本が単一民族と思われているのはひとえにまわりが海だから。もしヨーロッパにおいて、県民性による違いがあったら、別の国民として扱う』

    ●若者が集団脱走する時代
    今の時代は自分から求めないければ人生を豊かにできない。
    そこで、弊害になるのは自分の価値観。
    その価値観をいかに相対的なものとしてとらえ、自分を感化してくれる人、団体にコミットできるか。
    そこが結局大事なんだと思う。

    『不満と言うか、出来上がったものに対する批判というか、これは若者に与えられた特権。若者の立場からすれば、社会は若者たちが参加しないうちから社会が存在してる。自分が作ったものでないのに、出来上がった規則に従うことを要求される一方性ゆえに、反発を感じる。その反発を受け入れない社会は動脈硬化した社会であることは間違いない』
    『仲間を支えているのは同質性。この真理に左右されるのが差別の出発点』
    『人間の精神が健全であるためには、同質性を相対的なものとしてとらえ、また同質性を守ろうとする姿勢が持っている閉鎖性を自分から乗り超える心がけが必要』
    『家庭内で精神的な影響を父親が与えている家庭では、子どもや母親の話のなかに父親が出てくる』
    『封建社会を考えると、人生は田んぼを継ぐだけでいい。しかし今は一種の無階層社会になった。個々に目標を設定しなくては生きていけない』

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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