この国のかたち (2) (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1993年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167105617

作品紹介・あらすじ

私は、かりそめのことながら、別の惑星からきたとして、日本国を旅している。この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な型というものを大小となく煮詰め、エキスのようなものがとりだせるとすればと思い、「かたち」をとりだしては大釜(おおがま)に入れているのである(あとがきより)。

日本史に深い造詣を持つ著者が、さまざまな歴史の情景から夾雑物を洗いながして、その核となっているものに迫り、日本人の本質は何かを問いかける。確かな史観に裏打ちされた卓抜した評論。1988~1989

目次


天領と藩領
婚姻雑話
土佐の場合
肥後の場合
華厳
ポンペの神社
金(きん)
カッテンディーケ
江戸景色
十三世紀の文章語
典型
無題
汚職
職人
聖(ひじり)
会社的"公”
一風景
師承の国
ザヴィエル城の息子
GとF
市場(しじょう)
越と倭
スギ・ヒノキ
あとがき

みんなの感想まとめ

日本の歴史や文化を深く掘り下げ、その本質を問いかけるエッセイ集。著者は、日本人の習俗や慣習、思考の型を探求し、さまざまな歴史的背景からその核を抽出しています。特に江戸時代の旅の心得「国に入ってはまず法...

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎氏のあとがきがいい。
    あとがきで紹介された
    「国に入(い)ってはまず法を聞く」
    江戸時代の旅の心得であり、その土地土地の風習慣習を聞くこと。

    この聞く、という謙虚さ、相手に対する尊敬がその土地、国での旅の安全、危険の回避にもなる。昨今の押し付けがましい多様性(ダイバーシティ)の推進、多様な価値観、という言葉よりこの江戸時代の心得が響きました。

  • 『この国のかたち ニ』(司馬遼太郎)

    司馬遼太郎さんの晩年のエッセイ集ですが、30年ほど前に書かれたとは思えない新鮮さがあります。最初、家紋の話しから始まります。今では私は自分の家の家紋が何かを意識する事はありません。50年ほど前の子供の頃までは、どこの家でも冠婚葬祭の時の礼装には家紋付きの羽織が使われていたと思います。あと書で司馬さんは、「この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な形というものを大小となく煮詰めては大釜に入れている」と書かれていますが、今の時代に生きておられたら、どの様な事を言われるのか聞いてみたいです。
    先日の選挙も終わって、日本の国の形も時代に合わせてどんどん変わっていくのかも知れませんが、そこから本質的なものが何かを私も考えていけたらと思います。

  • 1990年の作品。今から30年以上前。エッセイを読んでいると5年くらい前でも「古さ」を感じるものもある。この作品は違う。なんでだろう。状況が変わっているのはもちろんなのに。

  • 本巻もとりとめなく筆者の趣くままに日本人の歴史の断片が述べられる。中国や朝鮮との比較が面白い。職人に対する考え方など。
    また呉越同舟の越が日本での稲作文化の祖先ではないかとの考えは興味深い。

  • 再々読ではあるが、詩的表現力には感服です。
    湯聖「ゆひじり」重源の話は印象的。

  • 読了 20240610

  • 加藤清正は難治の肥後に適した男らしさである
    天領はのんびりしている
    神道は尊ぶという精神そのもの。仏教は信じるもの
    阿弥陀仏はシルクロードから。大乗仏教、日本の救済を求める仏教へ。本来は解脱のはずが、救済へ。華厳が、体系的。奈良東大寺は華厳。
    日本に金が尊ばれたのは仏像から。国内で大仏ができた。その後は世界の産金国に。江戸にとり尽くす。が、金のおかげで貿易で豊かな文化に。
    仏教は師承主義ばかり。空海の完璧さ。最澄のオープンさ。結局、ほとんど改革なしで現在に。

  • 国に入ってはまずその法を聞く。

    あとがきに司馬遼太郎さんも書いておられるが、古くからの日本の習俗、慣習あるいは行動の基本的な型をその大小なく書き連ねてあり、読むごとに日本の輪郭が浮かび上がってくるように思う。

  • この国のかたち [02]

  • 縲?3縲?蟶ォ謇ソ縺ョ蝗ス縲阪?貂?イ「貅?荵九→縲?6縲?蟶ょ?エ縲阪?豬キ菫晞搨髯オ縺檎音縺ォ蜊ー雎。逧??よゥ滉シ壹r隕九▽縺、闡嶺ス懊↑縺ゥ繧定ェュ繧薙〒縺ソ縺溘>縲

  • 歴史的な事項だけでなく、身近な題材も歴史的なトピックから語られる、司馬氏の珠玉の評論集。最も印象に残ったのは、「華厳」。

  • 考え方の多様性が認められ、かつ守られることが、昭和二十二年に施行された日本国憲法によって保障されているのである。明治憲法が上からの欽定憲法であり、また戦後憲法が敗戦によってえた憲法であるなどといういきさつ論は、憲法というものの重さを考える上で、さほどの意味をもたない。
    (本文より)



    「この国のかたち 二」。司馬遼太郎さん。

    司馬エッセイの金字塔、第2巻。

    家紋の雑学、江戸時代の「天領」の功罪、近親婚の国際比較、宗教の日本独自色、金の採掘の日本史、「公」の意識、「汚職」について、フランシスコ・ザヴィエル、日本の風呂文化と仏教の聖人の関係、杉と檜の木材としての歴史...

    相変わらず自由奔放な雑学と考察が一篇一篇、打上げ花火のように炸裂します。
    そしてそれらの「へえ~」や「ふむふむ」が、冒頭の引用のように、時折急降下爆撃機のように強烈な一撃を放ってきます。


    以下、本文よりの引用。



    世界で家紋を持つ文化圏はヨーロッパの貴族社会と日本以外にない。

    日本はいわば南方社会で、いとこ結婚制度を多目に見ねば、大混乱してしまう。

    持統天皇(女帝)の配偶者(天武天皇)は、いとこどころか叔父にあたる。

    仏教が受容され、造寺造仏がはじまった。仏たちにはメッキが施される。それには、金が要るのである。金の有用性は、仏と共に誕生した。

    江戸期、オランダ人が、幕府による屈辱的な待遇に耐えつつも万里の波濤をしのいで長崎に来たのも、日本が決裁する金の魅力だったことは、よく知られている。

    江戸中期以後は黄金の産出が激減し、元禄文化の華やぎを最後に、江戸文化も地味なものになった。

    江戸二百七十年の安泰をもたらした理由の一つは、天領の税金が安かったということである。

    こどものころは、たれもが時代と地域をマユのようにして育つ。

    美濃部が(天皇)機関説で追われた時も、天皇は侍従武官張をよび、「美濃部説のとおりではないか」といわれたという。

    十八、十九世紀の近代国家の設備としての条件は、大学と鉄道と郵便制度だろう。あるいはこれに病院を入れてもいい。

    明治政府は維新後わずか四年で、手品のようにあざやかに郵便制度を展開した。手品のたねは、全国の村々の名主(庄屋)のしかるべき者に特定郵便局をやらせたことによる。

    日本の建築史は、スギとヒノキの壮麗な歴史でもある。

    飛鳥・奈良朝の巨大建築の主材は、ヒノキであった。硬すぎるということがないのである。粘りがあり、狂いにくく、耐久性が高く、しかも加工しやすい。

    容器は、経済と深く関わるものらしいが、大桶と大樽を可能にしたのは、スギのおかげだった。スギは軽くてやわらかくて加工しやすいのである。

    政治家・官吏、あるいは教育者たちの汚職ほど社会に元気をうしなわせるものはないのである。

    公職者の汚職をみれば、国民自身が、わが身にはねかえって、自己を嗤い、自分を卑しめざるをえない。

  • 新書文庫

  •  日本に、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを重んじる文化が根付いていてよかった。
     精神的に豊かな人が金持ちになるわけではないのがこの世の現実だし、精神的な豊かさと物質的な豊かさが比例する社会が平等だとも思えない。
     人間に様々な個性がある以上、社会はどうあっても不平等であり、また、等しく不平等に晒されているという意味で平等ともいえる。 だから、平等を叫び別の不平等を生み出すよりも、平等不平等とは別の次元で精神的な豊かさを追求する人間でありたい。
     そんな価値観を持たせてくれるこの国の土壌が好きだ。 この国では、自己鍛錬は空しくない。

  • ザヴィエル城の息子にあった、「律令農民に出会ったとすれば…」のくだりがつらくて、なんだか涙が滲んだ。

    自立心がなく、自分でものを考えようとせず、武器も持たない。能力もない。

    ただ、権利はあると思っている、っていうのが今の日本人かしら…。

  • 紋;たしかに 墓には 紋が彫ってある。
    『さがり藤』

    調べてみたら。
    本で多く使用されている家紋のひとつに、藤紋がある。藤は長寿で、繁殖力の強いめでたい植物。この藤をデザイン化したものが「藤紋」。藤紋は日本でもっとも栄えた藤原氏がもちいた紋。藤原氏はもと中臣氏で、中臣(藤原)鎌足が大和に藤原の里を下賜されてからおこり、のとのちまで栄えた氏だ。人々はこの藤原氏にあやかって藤紋を使用するようになったようだ。(丸に下り藤)

    へぇ。驚いた。

    天領と藩領
    税金が違う。四公六民が 天領。紀州藩は 八公二民。
    それは、すごいなぁ。

    金と銀。
    日本が ジパングと言われるには
    金の精製技術にあった。

    13世紀の文章語。
    この考察は おもしろいな。
    日本語らしくなっていくために どうなるのか。

    汚職 があるとは、
    西郷隆盛は なぜ 鹿児島にもどったのか?
    官僚たちの腐敗、汚職にあった。
    『人間虎狼の群』より、逃げ出した。
    汚職は 社会に元気を失わせる。
    そして、物質的にも損害が与えられる。

    職人。
    日本では 重職主義とさえ言われる。

    師承 という 固陋な考え方。
    必要であり、同時に 限界がある。

    市場を 重視したのが 信長、そして秀吉。
    どこから、お金を巻き上げるかと言う思考力。

    GとF
    G  は、ゴッド。
    F は、神学の系統を引き継いだ絶対虚構。
    ドストエフスキーの『罪と罰』カフカ『変身』
    少なくとも、日本の小説は GもFもない。

    このエッセイは なぜか 日本にいらだっている司馬遼太郎が
    透き通って、見える。

  • 著者の文藝春秋連載エッセーの第二集。1988ー1989。

  • 神道、仏教、言語、職人について、司馬流の豊富な取材に基づいたタテヨコの関連が詳しく説明されている。知っているつもりでほとんどうろ覚えだったようなこと、本書で明らかになる様々な事実を、読み手がどう解釈して知識とするかがポイントかと。

  • やはり、読後に中身が思い出せないが読んでいる時は大変興味深い。どこかに残っているといいな。
    あっ!フランシスコ・ザビエルがバスク人だったというのを今思い出した。そんなことも書いてある本。
    そういう意味では縦横無尽が鍛えられる本でしょう。達人は融通無碍か?凡人には縋る縁が捉えられず記憶に留められない。係留できる私の脳内の体系が狭すぎるため。

    Mahalo

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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