この国のかたち 三 (文春文庫 し 1-62)

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  • 文藝春秋 (1995年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167105624

作品紹介・あらすじ

革命をおこした国は倨傲(きょごう)になる。特に革命で得た物差しを他国に輸出したがるという点で、古今に例が多い。明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。(「脱亜論」より)

この国の歴史のなかから、日本人の特性を探り出し、考察することによって普遍的なものとはなにかを考える。1990~1991

目次

戦国の心
ドイツへの傾斜
社(しゃ)
室町の世
七福神

秀吉
岬と山

家康以前
洋服
「巴里の廃約」
「脱亜論」
文明の配電盤
平城京
平安遷都
東京遷都
鎌倉
大坂
宋学
小説の言語
甲冑(上)
甲冑(下)
聖(ひじり)たち
あとがき

みんなの感想まとめ

歴史を通じて日本人の特性を考察し、普遍的なテーマを探求する作品は、著者の独自の視点が光ります。武士の黎明や甲冑に関する考察など、さまざまな時代や文化についての短編が読みやすく、心地よい世界へと誘ってく...

感想・レビュー・書評

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  • 本巻も徒然なるままに、著者の日本感が綴られる。武士の黎明や甲冑に対する考察など、面白い。

  • 司馬先生のお話を聞いているようです。
    3度目の読了

  • 読了 20240808

  • 章ごとに取り上げる話題がとび、作者の頭の中を見るようだ。自由な思考、思いつくまま書いているような。実はとても難しいこと。

  • 日本における武士の成立ちと精神形成の仕組みに腹落ち感あり

  • 毎回、多岐にわたる一つのテーマについて詳しく出自などを掘り下げていかれるのだが、これが大変勉強になり、かつ面白い。個人的には、甲冑についての記述が、初めて知ることだったため余計に入り込んで読めた。

  • この国のかたち [03]

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  • 日本人のルーツに関わる話はおもしろい
    また、福沢諭吉の海外事情に疎かった(のかもしれない)という話も興味深かった

  • 「この国のかたち3」司馬遼太郎さん。
    だいたい1992年くらいに連載されたもの。

    「ふむふむ」と「へ~」が満載の第三巻。
    神社仏閣めぐりとか、そういうの好きなんで。
    個人的には全六巻を楽しみに慌てず読んでいます。
    (そもそも再読なんですが)


    以下、もう完全に個人的な備忘録。



    ●室町時代、という時期に、日本は農業生産がぐっと上がった。
    そして、現在まで続く「日本らしい文化や慣習」の多くはこの時代に出来た、という
    お話。

    ●一方で室町幕府というのは、大名にのっかっているだけの弱い政権だった。貨幣も
    自前で作れず、中国の銭を流通させていた。

    ●室町末期~戦国。官が弱く、一方で商売、流通のエネルギーは増大。それを本能的
    に分かっていて、邪魔な「中世のしきたり」を破壊して、銭、現金、合理主義を推進
    した信長、秀吉。

    ●「革命を起こした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輸出したがるという点で、古今に例が多い」

    ●奈良時代というのは、国家が仏教をあがめて、仏教の威光を借りて全国を統治し
    た。政治=仏教だった。仏教は海外からやってきた最新の素晴らしいものだったか
    ら。だから、国家が寺を作った。だから、奈良の寺は巨大である。

    ●しかし、徐々に、巨大な寺の僧が政治に介入してきて、良くない状態になった。なので、ときの政治家たちは、平安京に遷都。そして、政治=仏教のしがらみを排除。

    ●だから、京都には奈良のように巨大な寺は無い。京都の寺は、国家ではなくて貴族が作っているので、豪華でも限りがある。

    ●比叡山とかは、かなり国家が肩入れしたのだけど、奈良の轍を踏まないように京都から地理的に遠ざけた。

    ●渡来文化以前の神道=岬や山など地理的なものも神だった。三輪神社。国つ神。やがて、「天つ神」が勢いを増していく。「国つ神」の名残は出雲神社になる。徐々に中央から都落ちしていったのだ。

    ●江戸時代の海運。江戸初期は全て、京大阪の商品が優れていた。酒もしかり。「下る」「下らない」の語源。
    醤油は徐々に関東が濃口醤油を開発して盛り返した。

    ●江戸時代、商品経済、流通の発達。観念ではなくモノをモノとして考えるリアリズムの発達。

    ●「尊王攘夷」というイデオロギー。中国の宋、南宋時代につくられた。そもそも単純に日本に輸入するのは無理があった。

    ●日本の左翼思想が、日本独自の歴史の特性を考えずに、マルクス主義の概念に無理やり日本史を当てはめようとした誤謬。

    ●近代日本文学、明治の文学は「東京出身者、東京弁が母語である人々の文学だった」。

    ●言文一致体のベースに江戸落語がある。漱石も二葉亭四迷も。

    ●地方出身者は、どうしても仕方なく美文に走る。坪内逍遥は自分でその限界を知っていた。

    ●漱石の文章は、式亭三馬などの落語の影響から始まった。「坊ちゃん」。その口語的表現力に世間は喝采した。(今でも力がある)。

    ●漱石の文体はその後試行錯誤を繰り返し(「虞美人草」では口語を離れ美文に傾いてみた)、「三四郎」で安定し、「明暗」で完成を見た。この分析、漱石ファンにはとても納得のいく解釈。脱帽。

    ●七福神、布袋様の由来考察も面白かった。

  • 2016年9月20日読了

  • 自分の思考の根っこを探るように読んでいる。

    国民性はそんじょそこらじゃ変わっていかないというけれど、これからどうなっていくのか、この本を読んで探っていきたい。

  • こういう不思議な例は、はるか千数百年くだって明治四年(一八七一年)の廃藩置県にもみられる。両方とも〝いまからはじまる世が、世界の普遍的な文明なのだ〟という国民的気分があって、みなやむなく従ったのかとおもえる。島国だけに、普遍性へのあこがれがつよいのである。

  • 司馬遼太郎の歴史に対する見方が
    少し明瞭になりかけた感じがする。

    この国のかたち(一)をよんで、
    朱子学とは日本にとって どんな意味を持っていたのかを
    知りたいと思って 『朱子学と陽明学』を読んだが、
    どうも、まだまだ知りたいことに対して距離があるようだった。

    世に棲む日々を 全4巻読んで、
    吉田松陰と高杉晋作を対比する中で
    思想家と現実家との 姿を浮き彫りにされて、
    なるほど 思想というものを そうやってとらえているのか
    が 理解できた感じがした。

    この国のかたち(三)をよみながら
    室町時代が180年も続き、そこで日本の生活の原型ができた。
    書院造、華道、茶道、行儀作法、婚礼の作法。
    信長が 流通、経済に対して注目して、秀吉らにサラリーを与えていたこと。
    秀吉がなぜ 朝鮮に出兵したのか。豊臣から徳川に移行する原因となった。
    七福神。日本のすらりとした弥勒菩薩は、中国では布袋で、太っている。
    そういえば、沖縄の弥勒も 太っていた。
    七福神は、日本産ではなく、インド、中国などからやってきた。
    福沢諭吉の脱亜論は アジアを抜け出すことではなく 
    儒教と封建を抜け出すことを意味していた。
    洋服を明治時代に どのように普及したのか?

    など、現在の日本につながる 兆しを 
    掘り出している作業をしているのだな
    と思った次第です。

  • 文藝春秋連載エッセーを集めた第3巻。1990~1991。

  • 第3巻は、農民から貴族、貴族から武士、そして貴族、戦国を経て武士という「世の人々」の移り変わりと国のかたちの移り変わりを軸に展開。そこに例えば鎧兜の意味や宗教の存在感を交えて司馬節が繰り広げられる。本人も書いているが本書を元に、読み手がどう考えるかが重要。

  • 最後の6巻まで読んでから書こうと思ったけど我慢できず。
    『船の船尾を艫(とも)という。船の船尾にむかってまっすぐに背後から吹いてくる風のことを”真艫(まとも)というのである。』
    シーカヤックという小舟と言えど、船乗りなので、こういう言葉の成り立ちは気になりますね。
    ちなみに小舟だと真艫=追い風への対処が一番難しい。
    なるほど、「マトモに漕げない」。
    綺麗にまとまりました!

  • どんどん面白くなっている。とまらない!もっともっとと読みたくなる。
    多分、司馬さんの文章を読み慣れてきたせいだとは思う。しかし、それにしてもわたしはものを知らない。特に字を識らない…とは言いながらもズンズン読んでいこう!

    昔の偉い人がたくさん出てくる。偉い人ってほんっとすごい!例えば東京帝国大学の土木工学の初代日本人教授だった古市公威という方なんかはとんでもない勢いで勉強されたみたいである。留学先のフランスでそのあまりの勉強ぶりに下宿の女主人があきれて、“公威、体をこわしますよ”と忠告すると、「わたしが一日休めば、日本は一日遅れるのです。」と言ったそうである。全開フルスロットルで生きていたのだろうなぁ~もちろん日本の近代化にさぞや貢献されたことだろう。

    こういう良い話がたくさん出てくる。こういう話しは読んでいて感動し元気が出てくる。何しろ彼らは身体を張っているのである。その当時の世界という舞台でとんでもないダンスを踊っていたのが司馬さんの文章から伝わってくるのである。これは村上さんの文章を読みんで得られる快楽とは、また、異なる快楽である。

    Mahalo

  • symbol(象徴)はギリシャ語のsymbolon(割符)から来ている。司馬先生は我々に文章によって知識の割符を与えてくれている。
     読者はその割符の対を自ら用意しなければ、その知識を得たことにはならない。そう先生は後語っている。
     まさにこの本はそんな感じ。非常に興味深い内容なのに、もう半分足りていない。読者の向学心を刺激してくれる。
     
    ________
    p26  ドイツも後進国だった
     明治新政府がお手本にした外国が、蘭・米・英・仏でなくドイツだったのはなぜなのか。それは日本とドイツが似た境遇だったから。ドイツはヨーロッパの中では後進的で、明治新政府ができたくらいの普仏戦争(1870)に勝利し、ドイツ帝国として近代化した。この後進的な国が自由の国フランスに勝利した衝撃は日本にとって魅力的だったのだろう。ドイツ式の軍隊は日露戦争に生きたが、第二次大戦のドイツとの枢軸同盟は、、、

    p39  society=社会 と訳したのは福地桜痴
     「社」という言葉は、中国の周代の村落における祭礼の場を表す。つまり、人が集まる場である。
     この社という言葉があったから、外来語の訳語が助かった。社という字は、社会にも会社にも神社にもなる。

    p42  日本人は室町の子
     今の純日本文化というのは、室町時代が基礎になっているものが多い。日本建築の書院造や華道や茶道もこの時代から始まったものである。
     農業技術が飛躍的に発展したこの時代は、余暇の発現という文化のターニングポイントになったのである。

    p63  船の規制
     江戸幕府は大名の強大化を恐れて、船の造りにも制限をかけた。それは商船にもかけられ、帆を一つしかつけられないとか、致命的な規制だった。それでも江戸時代は北前船の活躍だとか、海運業が発達して富を築いた。江戸の発展は多数の沈没船の犠牲の上に成り立っていたのだろう。

    p87  肥料の争い
     山が神聖視されるのは、山は養分の宝庫だからである。平野の田んぼには山から集めた腐葉土を撒いたりして養分補給をした。山のない平野では、そこいらに生える雑草すらも、肥料の材料として争奪戦になった。例えば佐賀平野には「佐賀者の歩いた後は草も生えぬ」という言葉が残っているが、人々の性格というよりは、その土地の性格を表している言葉である。
     このように山から腐葉土を持ち出すことが多くなった弥生時代以降、肥料用の山では乾燥した山が多くなり、環境に適した赤松などが多く生えるようになった。日本の山に赤松が多いのはその名残である。

    p161  律令=ニガリ
     律令導入以前の日本は諸豪族のゆるいつながりでできていた。そこに律令という法律が導入され、日本は天皇のもとで一つの国に固められた。異国文明である律令は国を作るニガリになったのである。
     これと同様なことが明治維新でも起きた。近代化という新しいニガリ、いや、ラクトースかな?

    p186  前島密が東京を首都にした!?
     新政府がなぜ幕府の都を首都に引き継ごうと思ったのか。先に占領した京都や大阪ではなくなぜ。
     当初は大阪首都計画があったが、手狭であるということや陰謀などいろいろ面倒だった。しかし、大久保に前島来助から東京遷都の構想を受け取り、それに感服して決定された。その前島こそ郵便制度の親、前島密である。

    p199  くだらない話
     江戸時代、天下の台所擁する上方の食べ物は江戸よりも優れていた。酒も同様、技術と水の差で上方の酒が喜ばれた。
     上方から江戸へ下ってくる酒は喜ばれ、江戸で作られた下りものでない酒はないがしろにされた。

    p200  まともな話
     船の船尾のことを艫という。帆船がまっすぐ進むには船尾からまっすぐ風が吹いてくれなくてはならない。真っ直ぐ艫に風が吹いてくれることが「まとも」なのである。

    p211  宋学はイデオロギー
     中国の宋という国は、北方騎馬民族に北中国を占領されて、漢民族のアイデンティティの最大の危機の時代だった。そんな中で生まれた宋学は、蛮族の侵略に対抗するための思想であり、学問というよりは正義体系(イデオロギー)である。例えば大義名分論とかね。

    p237  甲冑の縅
     平安後期の甲冑は、小札を紐で綴って作られていた。緒通しという意味でこの紐を通すことを縅というが、鮮やかな色の紐を用いた美しい縅は、敵を脅すという意味がある。このほうが平安時代っぽいよね。
    _______

     この巻もよかったです。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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