- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105624
作品紹介・あらすじ
革命をおこした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輪出したがるという点で、古今に例が多い。明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。-この国の歴史のなかから、日本人の特性を探り出し、考察することによって普遍的なものとはなにかを考える。
感想・レビュー・書評
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本巻も徒然なるままに、著者の日本感が綴られる。武士の黎明や甲冑に対する考察など、面白い。
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司馬先生のお話を聞いているようです。
3度目の読了 -
日本における武士の成立ちと精神形成の仕組みに腹落ち感あり
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幕府フランス式陸軍。明治政府プロイセン式陸軍 ※普仏戦争で仏が敗北1871したので明治からはドイツ。ヨーロッパにもあんな田舎くさい、市民精神の未成熟な、国があったのかと驚きと共感。
※中央集権の中韓と異なり封建制の日本。とくに応仁以後は無数の豪族による割拠。日本は百千の破片になった。
※李成桂は王位につき、明に使いを送り国号を明に選んでもらった。案に和寧と朝鮮があり、朝鮮が選ばれた。朝鮮は明の年号をもちいた。
※扇子は日本の発明品。恵比寿天は七福神の中で唯一日本の神。
※浪華はべつに帝都にならなくても、依然本邦の大市である。江戸は帝都にならねければ、百万市民四散して、一寒市になりはてる。
※所領への私的執着という泥くさいものを、潔さという気体のような倫理に転換させた。さらにその潔さを、甲冑の華やさという造形的表現にも転換している。執着をおさえこんでの名誉希求(潔さ)が、さらに変化して、甲冑でもっておのれの優美さを表現。華麗な甲冑は、自分の死を飾るものでもあった。 -
毎回、多岐にわたる一つのテーマについて詳しく出自などを掘り下げていかれるのだが、これが大変勉強になり、かつ面白い。個人的には、甲冑についての記述が、初めて知ることだったため余計に入り込んで読めた。
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この国のかたち [03]
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日本人のルーツに関わる話はおもしろい
また、福沢諭吉の海外事情に疎かった(のかもしれない)という話も興味深かった -
「この国のかたち3」司馬遼太郎さん。
だいたい1992年くらいに連載されたもの。
「ふむふむ」と「へ~」が満載の第三巻。
神社仏閣めぐりとか、そういうの好きなんで。
個人的には全六巻を楽しみに慌てず読んでいます。
(そもそも再読なんですが)
以下、もう完全に個人的な備忘録。
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●室町時代、という時期に、日本は農業生産がぐっと上がった。
そして、現在まで続く「日本らしい文化や慣習」の多くはこの時代に出来た、という
お話。
●一方で室町幕府というのは、大名にのっかっているだけの弱い政権だった。貨幣も
自前で作れず、中国の銭を流通させていた。
●室町末期~戦国。官が弱く、一方で商売、流通のエネルギーは増大。それを本能的
に分かっていて、邪魔な「中世のしきたり」を破壊して、銭、現金、合理主義を推進
した信長、秀吉。
●「革命を起こした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輸出したがるという点で、古今に例が多い」
●奈良時代というのは、国家が仏教をあがめて、仏教の威光を借りて全国を統治し
た。政治=仏教だった。仏教は海外からやってきた最新の素晴らしいものだったか
ら。だから、国家が寺を作った。だから、奈良の寺は巨大である。
●しかし、徐々に、巨大な寺の僧が政治に介入してきて、良くない状態になった。なので、ときの政治家たちは、平安京に遷都。そして、政治=仏教のしがらみを排除。
●だから、京都には奈良のように巨大な寺は無い。京都の寺は、国家ではなくて貴族が作っているので、豪華でも限りがある。
●比叡山とかは、かなり国家が肩入れしたのだけど、奈良の轍を踏まないように京都から地理的に遠ざけた。
●渡来文化以前の神道=岬や山など地理的なものも神だった。三輪神社。国つ神。やがて、「天つ神」が勢いを増していく。「国つ神」の名残は出雲神社になる。徐々に中央から都落ちしていったのだ。
●江戸時代の海運。江戸初期は全て、京大阪の商品が優れていた。酒もしかり。「下る」「下らない」の語源。
醤油は徐々に関東が濃口醤油を開発して盛り返した。
●江戸時代、商品経済、流通の発達。観念ではなくモノをモノとして考えるリアリズムの発達。
●「尊王攘夷」というイデオロギー。中国の宋、南宋時代につくられた。そもそも単純に日本に輸入するのは無理があった。
●日本の左翼思想が、日本独自の歴史の特性を考えずに、マルクス主義の概念に無理やり日本史を当てはめようとした誤謬。
●近代日本文学、明治の文学は「東京出身者、東京弁が母語である人々の文学だった」。
●言文一致体のベースに江戸落語がある。漱石も二葉亭四迷も。
●地方出身者は、どうしても仕方なく美文に走る。坪内逍遥は自分でその限界を知っていた。
●漱石の文章は、式亭三馬などの落語の影響から始まった。「坊ちゃん」。その口語的表現力に世間は喝采した。(今でも力がある)。
●漱石の文体はその後試行錯誤を繰り返し(「虞美人草」では口語を離れ美文に傾いてみた)、「三四郎」で安定し、「明暗」で完成を見た。この分析、漱石ファンにはとても納得のいく解釈。脱帽。
●七福神、布袋様の由来考察も面白かった。