西域をゆく (文春文庫)

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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105662

作品紹介・あらすじ

「四十年かけて、ここまで歩いてきたようなものだから、草臥れた」。ホータンに着いた日、二人はこんこんと眠った――。文化大革命の末期、1975年春、井上靖を団長とする司馬遼太郎、水上勉、庄野潤三、小田切進、福田宏年ら作家代表団が訪中した。帰国後、二人が語り合り尽くした西域への想い、それが結集した本書は、平山郁夫をして「今後も、西域を語る書として、最も感動的な名著として伝えられるとして信じている」と言わしめている。目次西域の山と河と砂漠 井上靖新疆ウイグル自治区を訪ねて 司馬遼太郎西域への夢 井上靖・司馬遼太郎胡蝶の美または文化の移動性西域から来た仏たちステップルートは金の道中国と朝鮮と日本の塔はるかな西域への憧れ西域をゆく 井上靖・司馬遼太郎河西回廊をゆく天山山脈をこえてウルムチの第一夜ウルムチの博物館でイリと西域の川ホータンの印象トルファンへ行く道西域の遺跡に立ってオアシスの都ウィグルの民族性西域を語る 井上靖・藤枝晃・樋口隆康・司馬遼太郎大谷探検隊の経緯西域出土品の行く方大谷光瑞という人中央アジア探検の成果于闐の都跡について崑崙の玉と漢族西域の漢城と回城中央アジアの民族日本人にとっての西域シルクロードの商人西域のイスラム化砂に埋もれた遺跡敦煌への旅 井上靖・司馬遼太郎敦煌へ行く道沙漠のなかの田園都市莫高窟を観る豊富な研究テーマ生きた歴史の宝庫あとがき 井上靖/司馬遼太郎解説 平山郁夫註

感想・レビュー・書評

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  • 井上靖さんと司馬遼太郎さんが西域を訪問したのちの対談集。この本にもあるが少し前に陳舜臣さんが訪れている。たぶんその時の本が「シルクロードの旅」。この本が漢代から唐代を主に話題にしているのに対し、陳さんは清末以降の近代を主に話題にしていたと思う。中国人の陳さんと日本人との違いか。陳さんの本は当時の「解放された中国」にについても、好意的に紙幅をさいているのに対して、この本にはあまり書かれていない。中国人の陳さんとの違いか。対談集という形式もあるのだろうが。

  • 新疆ウイグル自治区をめぐる対談集。

    シルクロードの東の果ては京都、という言い方があるが、井上靖と司馬遼太郎の両氏が西域に並々ならぬこだわりを持つ理由も、古代日本との無視できない関わりによっての事だろう。

    ・蝶はいつから美的対象とされたのか
    ・日本と朝鮮で進んだ金細工が中国で発展しなかったわけ
    ・砂漠は衛生的で暮らしやすい
    ・西域の遺跡が保存された理由は恐怖スポットゆえ?
    ・国際都市「唐」の都のバーで遣唐使が見たもの

    等々。学びの多い一冊。

  • 今から41年前に、井上靖と司馬遼太郎が共に旅した西域、今で言う新疆ウイグル自治区や甘粛省を対談形式で語っている。これを2018年の今読み直すというのは、今の中国に対する理解を一歩引いて見直す良いきっかけになる。元々両者と中国との関わりや当時の日中友好ムードの気配も感じられるし差し引いて考えるべきものも少なく無いが、それにしてもここ10年での中国の変わりようにも気付く。中国人にこそ読んでもらいたい対談でもある。

  • 1977年に、中国は新疆ウイグル自治区を旅した井上、司馬両氏の対談を中心に纏められた本。
    井上氏の西域に対する並々ならぬ情熱に圧倒される。
    小説「敦煌」では、経典を戦禍から守るために石窟に埋めたストーリーになっていたが、本書で藤枝氏は「…ちょうどあの頃、印刷技術がはじまって、一切経が新しい型の本になった。すると、いままでの手書きの巻物の処置に困るわけです。神聖なお経だから、捨てるわけにもいかず、焼くのはもったいないし、鄭重に石窟のなかに葬ったわけですね。」と、ロマンティックでない解説をしている。西夏と宋の戦乱の中で、奇しくも、タイムカプセルに入れられるようにして敦煌の石窟に保存された、というのは井上氏の創作だったのか。それともう一つ。「敦煌」は現地を見ずに執筆された、とのこと。文献をくまなく調べたのではあろうが、井上氏の想像力の逞しさは半端ないなぁ。

  •  新疆ウイグル自治区「オアシスの都」についての説明(参照P125~)山には猛獣、ばい菌がいる。オアシスには猛獣はもちろん、ばい菌も毒虫もいないらしい。作物を栽培しても害虫の心配はない。南は伝染病が発生しやすいので逆に住みずらいのだとか、発想の転換。そうすると中国圏に伝わる風水とか意味が無さそう。北東方向は鬼門、日当たり悪し水回りに菌が繁殖しやすいのでいつも清潔にするべしってオアシス都市には関係ない。

  • 井上靖と司馬遼太郎の対談。西域について。来週から旅の空なのだが、残念ながら、西域(新疆)には時間がなく、行けない。だが、甘粛には行く事になる。
    井上靖、みなさん敦煌へ行く目的は莫高窟であると思いますが、僕ももちろん莫高窟が目的ですと言った時は、井上大先生でも庶民と変わらないんだなと苦笑してしまった。
    敦煌には行く予定なのだが、莫高窟に行ったことあるので今回はいいかと思っていたが、この本を読んでやはり行ったほうがいいかと思いを新たにした。

  • 2015.8.2 読了

  • 西域というのは、何とロマンのある響きなのだろう。
    この名称は、中国北西部。現在は新橿ウイグル自治区となっている地方。タクラマカン砂漠や天山山脈という人間を圧倒する厳しい自然。シルクロードの中継地点としても栄えたこの地は独自の文化を育んできた。
    長年この地に憧れていた作家・司馬遼太郎氏と井上靖氏が夢を実現。西域を自らの足で訪れたその感動を語り尽くす。

    敦煌の古い都の情景、行き交う交易商人の足音が聞こえてくるようだ。前漢の武将、カク・キョヘイ(漢字が出てこない・・・)の事績など、歴史の勉強にもなった。

    僕はこの本を読んだ次の日に文教堂で井上靖氏の『敦煌』を買ってきた。

  • 私は、西域に対して、
    どういうわけか、興味がある。
    それは、幼い頃に、井上靖の敦煌を読んだことが、
    影響していると思う。

    井上靖が、敦煌(1951年1月から5月群像連載)
    に行かないで、敦煌の物語を書いたことには、
    その想像力のたくましさに驚く。
    1978年5月に敦煌に行く。

    日本人は、蝶々をいつから美しいと感じたのか?
    万葉集には、蝶々はない。
    万葉時代(約350年から759年)
    蝶々が文様化されるのは、
    安土桃山時代。(1573年から1600年)
    中国では、「胡蝶の夢」を見たのは、
    壮子(前369から286年)である。

    大谷探検隊 日本の浄土真宗西本願寺22代の
    宗主大谷光端、仏教遺跡調査の名目で、
    中央アジアに派遣した探検隊。

    第1回1902年~04年。
    本田恵隆、井上弘円、渡辺哲信、堀賢雄の4人
    をつれて、ヨーロッパからパミールを越えて、
    カシュガル、ヤールカンドをとおって、インドに入った。

    第2回1908~09年 
    橘瑞超、野村栄三郎のふたりが、
    トルファン、ロブ・ノール、クチャ、ホータンなどを調査。

    第3回は、1910~14年に
    橘、吉川小一郎が敦煌を始め中央アジアを調査。
    「西域考古図譜」「新西域記」

    スタイン イギリスの探検家 
    Mark Aurel Stein 1862-1943

    ベズクリクの千仏洞 トルファン 東方50キロ 

  • 井上靖と司馬遼太郎が西域について語ってる豪華な一冊。
    それも平山郁夫画伯の表紙付き。
    皆、西域好きな人たち。

    知識量が半端じゃなく、マニアックすぎて話しについていけないという部分もあるのだけど、さすが本格派の小説家の口から出る言葉で、西域のロマンや魅力が十分伝わってくる。

    井上氏は、西域が日本人やアジア人にとって、文化の源のようにとらえていて、私たちが西域を懐かしく感じたり、憧れたりするのはそのせいだ、と考えているようだ。
    うんうん、そうかもしれない、何か郷愁じみたものを感じるもの。

    崑崙山は、西域にあって、中国からインドへの道なのだけど、神さびた山のように思われていて、実際神聖な気が満ちているのだとか。
    風水などでは、ここを龍脈の根源としているし、地磁気エネルギーの源でもあるらしい。
    西域っていうのは、いろんな意味で、私たちにとって大切なところのようだ。
    ロマンだなぁ。

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著者プロフィール

井上 靖(いのうえ やすし)
1907年5月6日 - 1991年1月29日
北海道旭川で生まれ、天城湯ヶ島、三島・沼津で18歳まで過ごす。その時代までのことは『しろばんば』をはじめとした「自伝的小説三部作」に詳しい。金沢の第四高等学校(現・金沢大学)で詩作を始め、京都帝国大学を卒業後大阪毎日新聞社に入社。
小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950年デビュー。現代小説、歴史小説、エッセイ、自伝的小説、シルクロード西域関連の作品、詩集など創作範囲は多岐に及ぶ。主な代表作に、『風林火山』『氷壁』『天平の甍』『おろしや国酔夢譚』などがある。
1964年日本芸術院会員に。同年『風濤』で第15回読売文学賞、1980年菊池寛賞、1985年朝日賞などをそれぞれ受賞。1976年には文化勲章も受章しており、多数の受賞歴がある。

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