新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.10
  • (823)
  • (456)
  • (594)
  • (13)
  • (4)
本棚登録 : 4698
レビュー : 213
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105723

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2015.12.20読了。

  • 幕府の偵吏は、寺田屋とこの藩邸を重点に見張っているのだ。使いを走らせて着物をとりにゆかせるなどはとてもできない。第一、寺田屋のお登勢は竜馬と慎蔵がこの藩邸でぶじだということも、確かめ得ずにいるのだろう。連絡は断絶しているといっていい。「そのままで当分辛抱しろよ」「でも」「またおれが長崎で儲けたら、一枚二枚ぐらいは買ってやらァ」「うん」またうなずいた。「坂本様」と絶句しておりょうは泣き出した。着物などのことより、連れて行ってやるという言葉が、泣くほどうれしかったのである。「泣くな」竜馬はあわてて立ち去ろうとし、二、三歩行ってから「おりょう、一生だぜ」「えっ」「ついて来いよ」気恥ずかしかったらしい。捨てぜりふのようにいって、そそくさと立ち去った。おりょうは両手に水をしたたらせて立ち上がり、ぼう然と立ちつくした。(一生。……)男女のあいだでこれほど重い言葉はないであろう。「坂本様、一生ですか?」おりょうは小さくつぶやいている。

    竜馬は目の前の高千穂の頂を望みながら、矢立を出して山のスケッチをはじめた。「絵を描くのですか」とおりょうは意外な竜馬を発見したが、竜馬は亡友の武市半平太とはちがって絵ごころなどはない。「乙女姉に報せてやるのじゃ」そのための写生なのである。乙女にもこのおもしろさを裾分けしてやりたい気持ちでいっぱいであった。「乙女お姉様って、よほどあなたにとって大変な方なんですね」とおりょうは笠の下で眼を光らせ、複雑な表情をした。いかに姉弟をはいえ、ここまで濃かすぎるのはどうであろう。おりょうは竜馬のどの部分を独占してよいかわからない。

  • 五巻で多少中だるみを感じたが、ここにきて緊張感があがってきた。この六巻はすいすい読み進んだ。

    志士たちのもくろみとは裏腹に長州が佐幕へと揺り戻しが起こり、読んでいてくじけそうになった。しかし、当の勤王志士たちの落胆はそんなものではなかっただろう。

    薩長同盟を取り持とうとする龍馬が、薩摩人の付き人と寺田屋で交わした会話、
    「生死などは取りたてて考えるほどのものではない。何をするかということだけだと思っている。世に生を得るは事を成すにあり、と自分は考えている」
    「事とはなんですか」
    「しごとのことさ。仕事と言っても、あれだな、先人の真似ごとはくだらぬと思っているな」

    四十代後半の今、私にもまだできることがあるのではなかろうかと心が奮い立つ。

  • 亀山社中設立と薩長同盟の締結、そして幕府と長州の戦端が開かれた。維新への道が大きく開かれ、時代が大きく動く。坂本龍馬の活躍が凄い。

  • 遂に坂本龍馬の大偉業、薩長同盟が締結を迎える所まで来ました。
    歴史の授業や紙幣の肖像画でもお馴染みの人物が沢山登場します!
    そして、浅い知識だった頃の私でも知っていた「亀山社中」、竜馬が妻帯を決意するきっかけとなった「寺田屋襲撃事件」。
    犬猿の仲といわれる薩摩と長州の仲介等々、見所がとにかく山の様にあって、無我夢中で読み終えました!

  • 2015/2/12読了

  • 敵対し合う長州と薩摩とが連合協定を結ぶために龍馬が2藩の仲立ちを行う。

    当時の世論として、倒幕を成すためには薩長の協力が必要であるということは認識されていた。しかしながら、それは絵空事に近いものであり、例えて言うならばソ連とアメリカが協調すれば世界に平和が訪れるということと同義であった。

    2藩の団結は誰もが求めていた、しかし実行に移したのは坂本龍馬只一人であった。

    世に生を得るは事を成すにあり

    一度は西郷の行為により薩長の協定はなくなりかけたが、龍馬の英断により無事同盟が結ばれることとなった。

  • 竜馬の自覚が生んだ、世紀の連合。
    西郷どんを口説くシーンは圧巻。個人的には長州の米を社中がいただく下りが秀逸。
    そして時代は最終盤へ。

  • ありきたりだが、素直に面白い。相当に!
    成果という点でもそうだが、ここまでで最大の興奮を覚えた。結末を知っているにも関わらず、薩長同盟の締結から寺田屋の事件に至る過程では、緊張感が高まり興奮する。
    そして竜馬の機転には、尊敬の念を抱くしかない。
    幕府の戦いを通じて時代の変化を感じるシーンは、本当にそういうものだと思う。幕府の船を勝が指揮していたら、時代はどのように変わっていたのだろうか?と想像すると、結末は必然だったのだと感じる。

  • ここにきて、いよいよ薩長同盟が成るんですね。海戦における惨敗振りからしても、幕府の勢いが急速に衰えていっている様子が分かるし、倒幕の機運がますます高まってきました。おりょうとは、とうとう結婚してしまって、その身軽さっていう圧倒的利点が損なわれるんじゃないかって、気になってしまいますが。この時点まで、既に何度も生命の危機に晒されてきてるし、ハナからそんなもの捨ててかかってる感じは大いにあるけど、いよいよ物語は、その最後に向かって動いていく訳ですね。

全213件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)のその他の作品

竜馬がゆく 6の詳細を見る 単行本 竜馬がゆく 6 司馬遼太郎
竜馬がゆく(六) (文春文庫) Kindle版 竜馬がゆく(六) (文春文庫) 司馬遼太郎
竜馬がゆく (6) (文春文庫) 文庫 竜馬がゆく (6) (文春文庫) 司馬遼太郎

司馬遼太郎の作品

ツイートする