新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫) (文春文庫 し 1-73)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105730

作品紹介・あらすじ

同盟した薩摩と長州は着々と討幕の態勢を整えてゆく。が、竜馬はこの薩長に土佐等を加えた軍事力を背景に、思い切った奇手を案出した。大政奉還-幕府のもつ政権をおだやかに朝廷に返させようというものである。これによって内乱を避け、外国に侵食する暇を与えず、京で一挙に新政府を樹立する-無血革命方式であった。

感想・レビュー・書評

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  • いろは丸と 後藤象二郎の巻。
    先日、鞆の浦のいろは丸展示館なるところへいってきましたが、その いろは丸。
    名前がかわいい。
    海援隊としての第一歩、という意味で名付けたようですが、いきなり事故って沈没。
    竜馬って、船運ないよな。
    目の色を変えて紀州に談判する様子は、まるで中国の政治家のようでちょっと呆れた。

    それよりも、竜馬と後藤象二郎。
    竜馬からしたら、後藤は半平太らを殺した張本人で、複雑な気持ちのはずなのに。
    仇を討つという感情などへんぺんたるもの、捨てねばならぬ。
    日本のためなら手を組める。
    と、本当に後藤を利用して土佐藩を動かし始めちゃうんだから恐れ入る。
    ここまで無私無欲になれるものか。
    いろは丸のときはあんなにヒステリックに感情爆発させてたのに。
    また、最後に出てきた「大政奉還」。
    ネーミングに感嘆。
    現代みたいにカタカナが出てこないのが、当たり前だけど いい。

  • 風雲急を告げる幕末。いよいよここにきて竜馬のバイタリティーが爆発します。揺らぐ幕府の土台に、最後にどんな仕上げを加えるのか。最終巻が楽しみでなりません。

  • 「竜馬がゆく」の第7作目は、討幕へ向けて薩長同盟を実現させた龍馬が次の一手として土佐藩と連携していく様子が記されている。数多の勤王志士達を死へ追いやった土佐藩の上士らと手を取り合おうとする龍馬の行動に初めは違和感を感じた。しかし、そうせざるを得ない程に状況が逼迫していたのも事実である。仲間を思い信念を突き通す事は大事だが、世の中の動きに敏感になり時勢によって信念をも変えてしまうくらいの器の人が新しい時代を作っていくのかなと複雑な気持ちになった。

  • いよいよ大詰め。
    自分が知る日本になる礎ができる直前。
    多くの人の命と思いをかけて。

    心を打たれながら本に入り込んでいたら、
    日課のPodcastでちょうど紀州藩と海援隊の話があった。
    本は竜馬寄りだけど、Podcastは歴史を今の視点で見て語られているから、
    より竜馬側は海賊的な悪どいやり方だと語られていた。
    情はない。
    そして、そもそも実は海援隊も竜馬も航海技術はあまりなかったとのこと。中途半端だったとも。

    なるほど。
    本に書かれたことが正しい話だと思い込み過ぎていた。
    他の角度から見ることも大切。
    人が変われば、時代が変われば、見方が違う。

    日頃の仕事や考え方にも取り入れなければと思っている視点を、
    なるほど、こういうことかと改めて実感。

    そして大政奉還は竜馬の素の案ではなく、
    3年前の勝海舟の案だったと。
    勝海舟の凄さと、やはり物事にはタイミング(時間)という第3軸があるんだと学ぶ。

  • ◯「惚れずに物事ができるか」と、龍馬はいった。(391p)

    ◯「言うぜ」龍馬は長岡に合図し、やがて船窓を見た。(411p)

    ★後藤象二郎が小気味いい。

  • 大政奉還そして船中八策、あまりにも素晴らしい。大詰め近し

  • この時代に船中八策をまとめ上げたことは、現代人がいくら時代背景を想像して賞賛しても足りないレベルの偉業だと思う。
    あと、山内容堂について今まで漠然と立派な人だという印象を持っていたのですが、本書での書かれっぷりは決して好意的ではない。どういう人だったのか自分なりの見解を持つために、別の立場からの書物を読んでみたくなりました。

  • 再読中。幕府の第二次長州征伐が始まるも、長州のトリックスター高杉晋作の活躍で長州側が勝利を得る。その後、将軍家茂が亡くなり、さらに天皇でありながら最大の佐幕家だった孝明天皇の崩御で、時代は勤王派に有利な流れに。

    長崎でくすぶっていた竜馬に、土佐藩の後藤象二郎が接近。亀山社中は土佐藩の付属となり海援隊と名を改める。蒸気船「いろは丸」を手に入れて意気揚々と初航海・・・のはずが、紀州藩の船に激突されてあえなく沈没、溺死者こそなかったものの、船と積み荷はお陀仏、まったく悪いと思っていない紀州藩の態度に竜馬ブチギレ、他藩を巻き込んでの騒動に。(余談ですがこのいろは丸、およそ120年後の1988年に海底に沈んでいるのが発見されて色々詳しい調査が進んだ模様。http://www.tomonoura.jp/tomo/irohamaru.html

    竜馬が船のあれこれに追われてる間、政治的なあれこれは中岡慎太郎が奔走中。土佐藩内ではかつて敵対していた乾退助(のちの板垣退助)と仲直りして藩を動かし、一方で朝廷工作のために岩倉具視を引っ張り出す。

    大浦お慶の男妾になる陸奥など笑える要素もちらほら。海援隊士はがぜん池内蔵太と陸奥びいきだけれど、中島作太郎も可愛いな。ところで中島作太郎信行といえば、1986年のドラマ『白虎隊』などでも、会津藩家老の西郷頼母一家の女性たちが籠城戦の前に全員自刃したときに、死にきれていなかった16才の娘を発見し、娘(ドラマでは伊藤つかさだった)が「お味方ですか」と尋ねたのに、安心させるために「そうだ」と答えた(娘はその後すぐ息絶える)というエピソードが有名でしたが、現在では中島は会津戦には参加しておらず、よく似た名前の別人説が確定らしい。

  • 竜馬がひとつずつ仕事を終えていく。
    その度に、結末だけを知りすぎている身としては、終わりが近いなって感じてしまう。
    しかし、その分、これからを担う人たちとの関わりも増えているんだなと感じる。
    それにしても、また船なくなっちゃいましたね。
    竜馬の悲願なのに、とことん船に恵まれない…。

  • 西原さんが言うように、後年の坂本龍馬人気は司馬センセの影響かと私も思う。そりゃこんだけ魅力的に描かれちゃあね

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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